白い部屋の最高傑作、ボーダーにて   作:齏琥梦

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嵐の前の嵐

「優秀な銃手って…オメーの事か…?」

 

「?…他に誰がいるの…?」

 

きょとんとした様子で尋ねる榎沢(えのさわ)に、諏訪は呆れながらも榎沢を今一度見る。

 

(日佐人と同じくらいか?)

 

隊に所属していない為かC級の訓練服に身を包んだ少女。

綺麗な紫色の髪は両サイドで纏められて、ツインテールになっている。

まさに今どきの少女と言った感じで、とても戦えるようには見えなかった。

 

(どうすっかな…。)

 

「榎沢…だったかァ?生憎うちは隊員募集してねェんだ。悪ぃが…「お邪魔しまーす。」…おいコラ。」

 

諏訪の言葉を無視して榎沢は諏訪隊の作戦室にズカズカと入って行く。

 

「うわっ…これ雀卓ってやつ?作戦室で麻雀やってるの?」

 

「お前な、作戦室に勝手に入るんじゃねェ。」

 

そう言って諏訪は榎沢の頭をチョップする。

 

「あれ?諏訪さんお客さんですかって…榎沢?」

 

作戦室の奥から出てきた笹森が榎沢を見て尋ねる。

 

「なんだなんだ?知り合いか?」

 

「?…誰だっけ?」

 

榎沢は知らないらしい。

 

「ほら、同じクラスの笹森だよ。二学期からうちのクラスに編入してきた榎沢だろ?」

 

「あー…うん、そうかも。同じクラス同じクラス。」

 

「覚えてねえなテメー。」

 

「でもなんで榎沢がうちにいんの?」

 

笹森が尋ねた。

 

「あたし、諏訪隊に入るから。よろしくねー。」

 

そう言って榎沢はヒラヒラと手を振る。

 

「募集してねェつってんだろーが。」

 

そう言って諏訪は2度目のチョップを榎沢に落とす。

 

「えー、でもあたし強いよ?トリオンも高いし。」

 

榎沢は不貞腐れながらも自慢げにそう言った。

 

「多分〜…

 

 

…諏訪さんより強いかも。」

 

そう言った後、榎沢は笹森を一瞥した。

 

 

「…へぇ。そこまで言うならやってやるよ。」

 

「待ってください。」

 

それを止めたのは笹森だった。

 

「俺にやらせてください。」

 

笹森の目付きが鋭くなる。

 

「…わーったよ。…日佐人、相手してやれ。」

 

「はい…!」

 

 

 

──

 

「じゃあポイントの変動はなしの5本勝負だね。」

 

転送された市街地で、榎沢が目の前の笹森に話しかける。

 

「…ああ!」

 

笹森は力強く頷いて弧月を抜く。

 

 

──模擬戦5本勝負、スタート。

 

 

始まったと同時に笹森はカメレオンで姿を消した。

 

 

「わあ、それがカメレオンってやつ?」

 

榎沢はハンドガンを適当に撃つが、狙いが定まらず当たらない。

 

「全然当たらないや。」

 

その間にも笹森は榎沢との距離を詰める。

 

「じゃーあ…

 

 

 

 

 

 

…こっち♡」

 

「!」

 

そう言って榎沢が取り出したのは巨大なガトリング砲。

ボーダーだと、玉狛の木崎が使っているものだ。

 

「これなら関係ないよね。」

 

そう言いながら榎沢が艶やかな笑みを浮かべると、ガトリング砲の銃身が回転を始めた。

 

笹森はすぐさまカメレオンを解除し、シールドを張るがあまりの威力に一瞬で大破。

そのまま穴だらけになってしまった。

 

「くそっ…!」

 

 

──1-0

 

「よし!まずは1本。2本目行こっか。」

 

「っ…!」

 

笹森は先程のガトリング砲を警戒してか、引き気味に弧月を構える。

 

「アハハ、そんなに警戒しないでよ、あれはそんなに使い慣れてないから。さて…じゃあ次はどれで行こうかな?」

 

その言葉に笹森は身構える。

 

 

 

…その瞬間、1発の銃声。

 

「え…?」

 

笹森の額には1発の銃痕が。

 

 

「ダメだよ、そんなに距離とっちゃ。あたしに勝ちたいならまずは抜かせないようにしなきゃね。」

 

 

そのまま笹森は緊急脱出。

 

2本目も榎沢の点となった。

 

 

──

 

「おいおい、下手すりゃ弓場並みだぞ?今の早撃ち。」

 

見ていた諏訪が思わずタバコを落とす。

 

「さすがに日佐人じゃ不利すぎますね。」

 

堤は笹森に同情するように言った。

3本目も榎沢の早撃ちで、笹森は撃ち抜かれる。

 

「…まあ自画自賛するだけあるな。…にしても個人ポイント4000って…上がり立てじゃねェか…。」

 

そのまま模擬戦は終了。

笹森は一太刀も与えることが出来ず、榎沢の勝利となった。

 

 

 

──

 

「すいません、諏訪さん…!負けてしまいました…!」

 

笹森は悔しそうに頭を下げる。

 

「どーお?欲しくなってきた?」

 

「…テメー、日佐人をわざと挑発しやがったな?」

 

諏訪は目を細めて尋ねた。

 

「…なんの事ー?」

 

「しらばっくれんな。でもまあ…腕は確か見てーだな。」

 

諏訪は首を鳴らしながら榎沢に近付く。

 

「B級になったのはいつだ?」

 

「昨日。」

 

「昨日って…マジでB級成り立てじゃねえか!…入隊は?」

 

「3ヶ月くらい前かな…?」

 

「3ヶ月何やってたんだ…?」

 

「ちょっとねー。」

 

「はぁ…もういい。…トリオンが高ぇつったな。いくつだ?」

 

「えー、じゃあ教えたら入れてくれるの?」

 

「…それは聞かねえと何とも言えねェな。」

 

「うーん…じゃあ諏訪さんいくつ?」

 

榎沢は少し考えたあと尋ねた。

 

「俺ァ6ぐらいだった気がする。」

 

 

 

「じゃああたしはそれの倍だね。」

 

「「「!」」」

 

「へぇ…二宮や出水レベルって事ね…。…日佐人、おめーはどう思う?」

 

「俺は…負けましたから。何も言うことはありません…。」

 

「堤。」

 

そう言って諏訪は堤に視線を向けた。

 

「…いいんじゃないですか?他の隊に取られる方がやばい気がします。」

 

「なるほどなァ…後は小佐野だけだな。」

 

「あれ?て事は諏訪さんも認めてくれるの?」

 

「俺ァ勘は良い方なんだよ。テメーを逃したら後々後悔しそうだぜ。」

 

「…ふーん、あたしの前で(・・・・・・)勘が良いとか言っちゃうんだ。ますます気に入っちゃいそう。」

 

そう言って榎沢は笑みを浮かべる。

 

「て言うか榎沢ってボーダーだったんだね。ボーダーにはなんで入ったの?」

 

笹森が尋ねる。

 

「…逢いに来たんだ〜…

 

 

 

 

…あたしの神様に。」

 

 

 

──

 

「綾瀬川…少し話せるか?」

 

「…すごいくまだぞ?大丈夫なのか?」

 

話しかけてきた三輪に綾瀬川はそう返した。

 

「…問題ない。」

 

そう言って三輪は持っていた缶コーヒーを口に運んだ。

 

 

「…綾瀬川…この前は助かった。そして力及ばずすまなかった。」

 

そう言って三輪は頭を下げた。

 

「言ったはずだぞ。オレは城戸さんの指示に従っただけ。お前と同じだ。」

 

「…っ…だが結局近界民は迅の思い通り玉狛に収まった…!ブラックトリガーもだ…!」

 

三輪は悔しそうに握りこぶしを作る。

 

「迅や玉狛の連中は分かってない…近界民の恐ろしさを。」

 

三輪は4年前の大規模侵攻の際、唯一人の姉を失っている。

 

「…三輪…寝れてないのか?あれから。」

 

綾瀬川が三輪に尋ねる。

 

「…ボーダーに近界民がいるんだ…俺は…俺は不安で夜も眠れない…。」

 

三輪は悲痛そうにそう言いながら頭を抱えた。

 

…そして綾瀬川に尋ねた。

 

「…お前は何とも思わないのか…?」

 

 

「…思わないな。」

 

 

「!」

 

綾瀬川の言葉に三輪は目を見開く。

 

「…何だと?」

 

そして目を細めた。

 

「オレは城戸派だが近界民に恨みがある訳じゃない。」

 

そう言って綾瀬川は無機質な瞳を三輪に向けた。

 

「母親を殺されたんじゃなかったのか…?」

 

「会ったことないからな。母親を近界民に殺されたと聞いても特に何も思わなかった。」

 

そんな事をなんでもない様子で言ってのける綾瀬川。

三輪は思わず綾瀬川の胸ぐらを掴んだ。

 

「ふざけるな…近界民は…敵だぞ?」

 

「敵対するなら…な。オレの敵は敵だけだ。…分かるか?」

 

「っ〜!!」

 

そう言うと三輪は俺を射殺すように睨む。

そして、乱暴に胸ぐらを離すと歩いていった。

 

 

 

 

「…」

 

「お前は小南の件で反省しなかったのか〜?」

 

そう言って近付いてきた男は俺にぼんち揚げを渡してくる。

 

「…近界民への恨みなんてオレにはない。偽ってあいつと一緒にいるのも居心地が悪いからな。…三輪とは正直な関係でありたいと思っただけだ。…おかしいと思うか?」

 

そう尋ねながら俺は迅からぼんち揚げを受け取る。

 

「おかしくは無いけど…言い方とやり方ってもんがあるだろ?」

 

「…そうか…。で?何か用か?」

 

「そう警戒しなさんな。近々起こる大規模な侵攻についてだ。

 

…綾瀬川…お前さ…

 

 

 

 

 

 

 

…風刃、使ってみる気無い?」




榎沢一華トリガーセット

メイン:アステロイド(ハンドガン)、ハウンド(アサルトライフル)、free、シールド
サブ:アステロイド(ガトリング砲)、ハウンド(ハンドガン)、free、シールド


各キャラからの印象&各キャラへの印象(榎沢一華)

諏訪洸太郎→興味。生意気。
堤大地→強い。興味。
笹森日佐人→負けました。クラスメイト。

諏訪洸太郎←気に入った。
堤大地←無関心。
笹森日佐人←無関心。クラスメイト(だったんだ。)


感想、評価等お待ちしております!

幕間何読みたいんじゃワレェ!

  • 誰かの独白。多分榎沢か三輪。
  • 掲示板形式のやつ。(作者無知)
  • 日常小話。
  • if(綾瀬川VSボーダー)
  • 住民税高すぎ。
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