「俺に頼みだと…?!
…断る。他を当たれ。」
「おいおい、話だけでも聞いてくれよ…。」
三輪の言葉に迅は呆れながらも食いつく。
「今回の大規模侵攻の流れのどこかでうちのメガネくんがピンチになる。その時に助けてやって欲しいんだよね。」
迅悠一は未来予知のサイドエフェクトを持っている。
「…三雲が?…なぜ俺に頼む?あんたなり玉狛の連中なり、それこそお供の近界民にやらせるなりすればいい。」
三輪の言葉に迅は口を尖らせる。
「そうしたいとこだけど、その時駆けつけられそうな人間がお前しかいないっぽいんだよな。」
「…」
三輪は少し考えたあと立ち上がる。
「三雲は正隊員だ。自分の始末は自分でつけさせろ。
…それが無理なら玉狛に閉じ込めておけ。」
そう言って屋上の出口に歩き出す。
「…城戸さんが…。」
その言葉に三輪は足を止める。
「風刃を誰に使わせるか悩んでるらしい。第一候補の風間さんが辞退したんだと。…木虎と嵐山も広報の仕事があるから無理だ。候補から外れた。」
三輪は振り返り、迅の言葉に耳を傾ける。
「今候補に上がってるのは
…そして綾瀬川とお前だ。」
「!」
綾瀬川と言う言葉を聞いて三輪は俯く。
「悩むまでもないだろう、綾瀬川に持たせるのが適任だ。あんたと同等かそれ以上に使いこなせるんじゃないか?」
「もちろん。綾瀬川にも聞いたよ。近々ある大規模侵攻ではあいつが持ってた方がいいかもしれない。…大規模侵攻では…ね。」
「…それで?」
「もしお前が俺の頼みを聞いてくれるなら…俺はお前を推薦する。」
「…何…?!」
「風刃があればお姉さんの仇を討ちやすくなるぞ?」
三輪は迅を睨んだまま黙る。
「パワーアップはできる時にしておいた方がいいだろ?」
「ふざけるな。あんたの一存でブラックトリガーの持ち手が決まるわけが無い。…話は終わりだ。」
「…お前はきっとメガネくんを助けるよ。
…俺のサイドエフェクトがそう言ってる。」
笑みを浮かべながらそう言う迅を一瞥し、今度こそ三輪は屋上を後にした。
──
あたしは『天才』だった。
勉強、スポーツ、どれをやらせても私にできないものなんてなかった。
それは
周りの人間よりも頭1つ抜けたあたしの才能に、誰もが私を褒める…
…そう思っていた。
──1年前の最高傑作の方が凄かった。
──最高傑作を超えろ。
──最高傑作には及ばない。
待っていたのは比べられる毎日。
周りの人間はその最高傑作に対して憎悪した。
どうやっても超えられなかったから。
そして憎悪を抱き続けた人間は次々と脱落。
気づけばあたし1人だった。
…でもあたしはその最高傑作に対して憎悪なんて抱いたことは無い。
抱くわけない。
だって…
『天才』のあたしがたどり着けない領域に彼はいるのだから。
…それを『神』と呼ばずして他に何と呼ぶのだろうか。
「榎沢って…アンタ?」
「…何?」
突然赤い髪の女に話しかけられた。
「アンタが榎沢かって聞いてんの。」
「…誰?尋ねるなら自分の方から名乗りなよ。」
その言葉に目の前の女はあたしを睨む。
「はあ?何?ふざけてんの?アタシよ。」
いや、知ってるでしょって感じで言われても…
「?…知らない。誰?」
「っ〜!香取よ!香取葉子!本当に知らないわけ?」
「初めて聞いたかな〜。で?あたしが榎沢だけど…何か用?」
「…ちょっと付き合いなさいよ。」
香取はイライラを隠すことなくあたしを誘う。
「いや、あたしこの後用事あるから早退なんだけど…。」
「諏訪隊の防衛任務はまだでしょ?サボりたいからって適当なこと言ってんじゃないわよ。」
「あれ?あなたもボーダーなんだ。」
「はあ?!B級8位、香取隊の香取よ!」
「いや、だから知らないって。ん?…あー、香取隊ってROUND5で綾瀬川センパイ達にやられた…」
「っ〜!いいから付き合いなさい!」
そう言って香取はあたしの腕を引っ張った。
「何〜?こんな人気の無いとこで。…カツアゲ?あんまりお金持ってないよ?」
「アンタ…なんでこの高校に来たわけ?」
「…なんでって…家の都合だけど?」
「アンタ成績いいんでしょ?進学校にでも行けば良かったじゃない。」
いまいち掴みどころの分からない質問。
「家からだとここの方が近いんだよね。…わざわざ呼び出して聞きたいことってそれ?」
「アンタなんでクラスで友達作らないわけ?」
「?…なんでそんなこと聞くの?」
「いいから答えなさいよ!」
そう言って香取はさらにあたしに詰め寄る。
「何?あたしと友達になりたいの?」
「は?怒るわよ?」
香取はあたしを睨みつける。
「そんなんだから孤立するのよ。ちょっと成績が良くて顔もまあまあ整ってるからって調子に乗らない事ね。」
「…あー…嫉妬?」
「っ…!!」
香取はあたしの胸ぐらを掴む。
「ちょ、どーどー…ぼーりょくはんたーい。」
「そう言う態度がムカつくのよ…!」
「いや、初対面の人にそんな事言われても…。…あ、そろそろ時間だ。ふふ、あたし達仲良くやれそうだね。」
「っ…ムカつくっ…!」
そう言ってあたしの胸ぐらを乱暴に離すと教室に戻って行った。
「…何ちゃんだっけ?
…暇なのかなぁ…。」
今度こそあたしは昇降口に歩き出す。
するとそこには見知った顔が。
「日佐人くーん。」
「榎沢。」
同じ隊の笹森くんに声をかける。
「一緒に行こ…嘘、ちょっと待って…。」
「?」
それよりも視界に写った光景に口を覆う。
そこには通学カバンを持った綾瀬川センパイが、外履きに履き替えていた。
そういえば大規模侵攻があるからとか言って防衛任務の人数を増やしたんだっけ。
しかもあたし達の時間は柿崎隊と被ってた気がする。
「ごめん、日佐人くん。あたし他の人と行くね!」
「あ、おい…!」
「綾瀬川セーンパイっ♡」
あたしは綾瀬川センパイに声をかける。
「っ…ビックリした。…榎沢…だったか。」
「うん!なんで連絡してくれないの〜?」
「え?…ああ、登録はしたんだが何を送るべきか迷ってな。」
何それ可愛い。
「もう、なんでもいいのに〜。」
「…榎沢も防衛任務か?」
「うん。柿崎隊と被ってたよね。…一緒に行かない?」
「別に構わないぞ。」
「やった…!」
そう言ってあたしは綾瀬川センパイの横を歩く。
──
「諏訪隊に入ったんだったか…ポジションはどこなんだ?」
気まずさを紛らわすようにオレは榎沢に質問する。
「えー…どこに見える?」
「え…そうだな…。」
オレは榎沢を見る。
「意外と攻撃手だったりするんじゃないか?」
「残念。正解は…」
そう言うと榎沢はオレに人差し指を向けて拳銃の形を作る。
「銃手か…?」
「そ。綾瀬川センパイは銃手トリガー使わないの?」
「オレは射手用のトリガーの方が向いてるからな。」
「へえ…あたし使ったことないや…。そうだ!防衛任務終わったらあたしに射手教えてよ。」
まさかの提案を受ける。
「…オレがか?そうだな…オレよりも本職に習った方がいいぞ。1人紹介出来るやつがいる。弾トリガーが好きないわゆる弾バカだけど腕は確かだ。」
オレは出水を思い浮かべて提案する。
「えー、あたしは綾瀬川センパイに教えてもらいたいな。」
榎沢は不貞腐れながらそう言った。
「…分かった。防衛任務の後は特に予定はないからな。」
「!、本当に!?」
「ああ。さっきも言ったが本職じゃないから上手く教えられるかは分からないけどな。」
「じゃあそれが終わったら一緒にご飯食べに行こうよ!あたしこの街来たばっかだから色々教えて欲しくて。」
榎沢は上目遣いでさらに提案する。
「…別に構わないが…それこそ諏訪さんとかに聞いた方がいいんじゃないか?」
「いいの。」
そう言って榎沢は嬉しそうにオレの前を走る。
「そうと決まったらほら!早く防衛任務終わらせちゃおうよ。」
「シフト制だから早く行っても終わる時間は変わらないぞ…。」
──
目的は忘れてない。
目の前にいるのは『神』であり『敵』だ。
でも…
やっぱりあたしにとっては憧れ…
いや、憧れや尊敬なんかじゃ弱すぎる。
あたしはこれまでずっと『崇拝』してきたんだから。
自然と口元が緩む。
しかし、その直後、あたしの
「…急ごう、綾瀬川センパイ。」
「?…だからシフト制だって…」
「違う…
…来るよ。」
その直後、暗く分厚い雲が警戒区域の空を覆い始めた。
…そして無数のゲートが発生する。
あたしと綾瀬川センパイの携帯端末が緊急呼び出しを鳴らす。
「…緊急呼び出し…迅さんの言ってた大規模な侵攻か?悪いな榎沢。街の案内は出来なそうだ。…トリガー
そう言って綾瀬川センパイはトリガーを起動する。
あたしもトリガーを起動する。
「…ふーん…
…邪魔するんだー…。」
榎沢一華パラメーター
トリオン 13
攻撃 9
防御・援護 5
機動 8
技術 8
射程 7
指揮 2
特殊戦術 1
TOTAL 53
感想、評価等お待ちしております!
幕間何読みたいんじゃワレェ!
-
誰かの独白。多分榎沢か三輪。
-
掲示板形式のやつ。(作者無知)
-
日常小話。
-
if(綾瀬川VSボーダー)
-
住民税高すぎ。