諏訪隊作戦室
「…あ?榎沢はどうしたんだ?」
防衛任務を終えて、作戦室に入った諏訪は堤に尋ねた。
「榎沢ならさっき出ていきましたよ。綾瀬川と帰るって言ってました。」
「道理で緊急脱出でとっとと基地に戻りやがったのか。」
そう言いながら諏訪は緊急脱出用のベッドルームを覗く。
「…ん?」
緊急脱出用のベッドの上に落ちていたのはトリガー。
「あ?これ榎沢のじゃねえか。」
「一華ちゃん急いでたから忘れてっちゃったのかな?」
飴を咥えながら小佐野はそう言う。
「日佐人。お前同じクラスだよな?明日渡してやれよ。」
「いや、でも明日土曜なんで学校休みですよ?」
「あー…。じゃ、いいわ。一服ついでに届けてくる。そんな遠く行ってねえだろ?」
そう言いながら諏訪は上着を着てタバコをポケットに入れた。
「気をつけてねー。」
「おー。」
「…ついでになんか買ってきて〜。」
「おいコラ。」
──
「綾瀬川セーンパイ。」
夜道。
前を歩く綾瀬川に榎沢は話しかける。
「…榎沢か。何か用事か?」
「…特級戦功だってね。」
「まあな。…お前も一級戦功だろ?」
「うん!」
そう言いながら榎沢は綾瀬川の隣を歩く。
「よく一緒に帰ってるオペちゃんはどうしたの?」
「綾辻の所だ。オレは特にやることもないからな。」
「…ふーん。」
榎沢はそう言うと綾瀬川の前に立つ。
「ねえ、今回の戦績どうして隠さなかったの?」
何時になく真面目なトーンで榎沢は話す。
「大好きな城戸司令に隠蔽してもらえば良かったじゃん。そうすれば平穏に過ごせるでしょ?」
「隠せることでも無いだろ。」
そう言って綾瀬川は榎沢の横を抜ける。
「隠す気も無くなったんだ。」
「オレは一応B級1位部隊のエースをやってるからな。これくらい箔があった方がいいだろ。」
「…そっか。また柿崎隊。」
ものすごく低いトーンで榎沢はそう言った。
「もうすぐランク戦だね。…約束覚えてる?…あたしが勝ったら綾瀬川センパイ、あたしの隊長になってよ。」
「なるつもりも無いし、したつもりも無い。」
「いや、綾瀬川センパイはやってくれるよ。」
榎沢は立ち止まりそう言う。
「…そう言えば綾瀬川センパイって柿崎隊のみんなにどれくらい話してるの?」
「…何を?」
綾瀬川は声のトーンを落とす。
「綾瀬川センパイの事だよ。ホワイトルームでの事とか、先生の事とか。…もしかして何も話してないの?」
「…お前こそ諏訪さんに話してるのか?」
綾瀬川の問に榎沢は笑う。
「アハハ、話すわけないじゃん。諏訪隊はあたしが綾瀬川センパイと戦う為の居場所でしかないから。話してないならさ…
…あたしが柿崎隊のみんなに話してあげよっか?」
その瞬間、綾瀬川の蹴りが榎沢を襲う。
榎沢は腕をクロスしてそれを受ける。
「痛ったぁ…。アハハ、怒らないでよ。冗談…
…だって!!」
そう言いながら榎沢は綾瀬川に掌底を撃ち出す。
綾瀬川はひらりと避けると榎沢の腕を捻りあげる。
「ッ…!!」
榎沢は綾瀬川の腕に飛び付き、首を足で絞め、三角絞めを繰り出す。
「下着見えてるぞ。」
「綾瀬川センパイになら見られても良いし…!!」
綾瀬川は力で強引に解くと、榎沢を投げ飛ばす。
「ッ…いたた…
…ッ?!」
目前に綾瀬川の足が迫る。
「…っぶな!!」
榎沢は上体を逸らして避ける。
「あたし一応女の子なんだけど!!」
そう言いながら榎沢も綾瀬川に殴り掛かる。
「…」
綾瀬川はヒラヒラそれを避ける。
「遅いな。ホワイトルームで何を習ってたんだ?」
「!、最高傑作の綾瀬川センパイには分からないかもね!!」
綾瀬川のその言葉に榎沢の攻撃はさらに鋭くなる。
「遅い。それに単調だ。」
「!」
攻撃の隙間を縫って綾瀬川は榎沢の首を鷲掴み、壁に叩きつける。
「カッ…ハッ…!」
榎沢は苦しそうに息を漏らす。
「オレに勝てると思ったのか?」
「ア…ハハ…たし…かに…。」
榎沢は苦しそうにしながらも笑みを見せる。
──
榎沢のトリガーを届けに来た、諏訪の目に飛び込んだのは、壁に押さえつけられた榎沢だった。
首を絞め、押さえつけているのは柿崎隊の綾瀬川。
目の前の光景に、諏訪は思わずタバコを落とす。
「テメェ、榎沢を離しやがれ!!」
「ちっ…面倒だな…。」
綾瀬川は力を緩める。
…その瞬間、榎沢は足を振るい、綾瀬川の側頭部目掛けて蹴りを放つ。
「…」
綾瀬川は何でもないように避けると、榎沢の首を離す。
「ゲホッ!ガホッ!」
榎沢はその場に崩れ、苦しそうに息を吐く。
「榎沢!!」
「諏訪さん?邪魔しないでよ…。」
榎沢は立ち上がると綾瀬川に目を向ける。
「明白だろ。お前じゃオレには勝てないぞ、榎沢。」
その言葉に諏訪も綾瀬川に目を向けた。
「綾瀬川、テメェ…相手は女だぞ?」
「別にオレは落ち着いてますよ。ただ…」
榎沢は綾瀬川に飛びかかると、足を突き出す。
「…こうなれば反撃せざるをえなくなる。」
そう言いながら、綾瀬川は榎沢の飛び蹴りをヒラリと避け、手をプラプラと動かし、戦闘態勢に入る。
「余裕そうじゃん!その余裕崩してやる…!!」
獰猛な笑みを浮かべながら、榎沢は綾瀬川に飛びかかる。
綾瀬川は榎沢の拳を2、3回避けると、足払いをかける。
「っ?!」
榎沢はどうにか手を着いて、一回転して距離を取るが、その目前には綾瀬川が迫っていた。
そのまま、榎沢の側頭部目掛けて、蹴りを放つ。
「がっ!」
それよりも先に、榎沢の前に躍り出た、諏訪が腕でそれを受ける。
諏訪はその衝撃で横に吹き飛んだ。
「へぇ、よく止めましたね。」
「テメェ…止めろっつってんだろーが…!!」
「だったら榎沢を抑えてください。」
綾瀬川は呆れたようにそう言った。
「っ…もう止めろ…!榎沢。」
「…ちぇ、他の人に見られちゃったんじゃ仕方ないね。いい所だったのに…。」
そう言いながら榎沢は、服に着いた土を払う。
「楽しかったね、綾瀬川センパイ。動いたらお腹減っちゃった。褒奨金150万入るんでしょ?何か奢ってよ。」
「…お好み焼きでいいならここを真っ直ぐ行ったところにいい店がある。」
「!…お好み焼き?!」
榎沢は目を輝かせた。
「おい、待ちやがれ、綾瀬川。」
「…」
綾瀬川は立ち止まると、諏訪に目を向ける。
「分かってんだろーな?隊員同士のランク戦以外の戦闘は隊務規定違反だ。」
諏訪は綾瀬川にそう告げる。
「それは榎沢もでしょ。…それに…
…オレと榎沢はトリガーは使っていない。ただの喧嘩が隊務規定違反になるとでも?」
「!!」
そうだ。
榎沢のトリガーは諏訪の手にある。
「っ…じゃあさっきまでのは…」
「生身ですよ。城戸司令直属のオレが隊務規定を犯す訳ないでしょ。」
「あっ!それあたしのトリガー!届けに来てくれたの?ありがと、諏訪さん。」
そう言って榎沢は諏訪の手の中にあるトリガーを取る。
「じゃ、バイバイ諏訪さん。」
腰を着いたまま惚ける諏訪に榎沢は手を振る。
「待ってよセンパーイ!冗談だってば、そんなやり方面白くないし!怒らないでってば〜。」
「怒ってない。足が滑っただけだ。」
「うわっ…嘘下手過ぎでしょ…。」
「ほっとけ。」
先程までの空気が嘘だったかのように綾瀬川、榎沢は夜の通りに消えていった。
諏訪は先程の綾瀬川、榎沢の動きを思い出す。
榎沢の鋭い拳、それを楽々と躱す綾瀬川の身のこなし。
それら全てはトリオン体ではなく、生身での動き。
「…」
蹴りを受けた腕はまだ痺れている。
「…バケモンじゃねえか…マジで…。」
そう言いながら諏訪は苦笑いを浮かべた。
──
「…それで?話と言うのはなんだ?綾瀬川。」
翌日。
綾瀬川はA級7位三輪隊の作戦室に足を運んでいた。
「…先ずは礼を言いたかったんだ。大規模侵攻の時は助かった。」
「ふざけるな。礼など言われる筋合いは無い。俺はお前を助けた訳じゃない。そんなことを言いに来たのなら帰れ。」
綾瀬川を三輪秀次はそう言って切り捨てた。
「…」
しかし、綾瀬川はまだ何か言いたげと言ったように三輪をじっと見つめる。
今までと変わらない無機質な、不気味な瞳だった。
「ちっ…ランク戦ブースに来い。綾瀬川。
…10本勝負だ。相手をしろ。」
かつての友人に三輪はそう言って立ち上がる。
「マジで?!」
聞いていた米屋は驚いて立ち上がる。
「綾瀬川と三輪がやんの?!ちょ…弾バカと緑川呼んでくる!!」
そう言って米屋は走り出す。
「出し惜しみをさせてやるほど俺は温くないぞ?…綾瀬川。」
そして、ボーダートップの
各キャラからの印象&各キャラへの印象
榎沢一華→自分が届かない領域にいる。崇拝。
諏訪洸太郎→化け物。
三輪秀次→元友人。自惚れんな。ランク戦しろや。
榎沢一華←警戒。色んな意味で後輩。
諏訪洸太郎←タバコ。見られちった。
三輪秀次←仲直りしたい。
あと2話くらいかな?
そしたらランク戦に入る。(予定)
感想、評価等お待ちしております。
幕間何読みたいんじゃワレェ!
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誰かの独白。多分榎沢か三輪。
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掲示板形式のやつ。(作者無知)
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日常小話。
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if(綾瀬川VSボーダー)
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住民税高すぎ。