白い部屋の最高傑作、ボーダーにて   作:齏琥梦

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お久しぶりです。
ちょっと近しい身内に不幸があり、色々立て込んでて、投稿の暇がありませんでした。
ようやく落ち着いたので投稿致します。
これからは通常通り、2、3日に1回投稿に戻します。
失踪しかけてすいませんでした。


初陣

柿崎隊作戦室

 

「…って感じだな。俺と文香、虎太郎と清澄が合流できるのがベストだが…転送位置によって臨機応変に対応する。文香と虎太郎は弓場とカゲとは1対1では戦うなよ。俺もだけどな。」

 

「了解です。」

 

「…分かりました。」

 

虎太郎は素直に。

文香は少し悔しそうにそう言った。

 

「清澄は大丈夫だろ?」

 

「…まあ頑張ります。」

 

「開始まで30分位あるな…。各自ゆっくりしててくれ。」

 

柿崎のその言葉で各々の時間となる。

文香と虎太郎は作戦板を見直し、柿崎と真登華は各マップの射線の確認をしていた。

 

…解説をやったからだろうか。

喉が渇いた。

 

「…ちょっと飲み物買ってきます。」

 

「おう、遅くなるなよ。」

 

「はい。」

 

そう言ってオレは作戦室を出て、自動販売機へと向かう。

 

 

 

 

「…ランク戦前なのに随分と余裕なんだな。」

 

 

自販機にお金を入れようとした時だった。

隣の自販機の前に立った人物に話しかけられる。

 

「…三輪。」

 

そこに立っていたのは三輪秀次だった。

 

「やれる事はやったからな。」

 

そう言ってオレはお茶のボタンを押す。

 

「…」

 

「…」

 

 

気まずい。

仲直りは出来たという事でいいんだろうか。

 

隣の三輪はお茶を買うとすぐに歩き出す。

 

「っ…三輪…。」

 

その言葉に三輪は振り返ること無く立ち止まる。

 

「…観戦席で見ている。無様な試合にはするなよ。

 

 

 

 

 

…慰めるのは御免だ。…やるのなら祝勝会だからな。」

 

「三輪…。」

 

「俺に協力してくれるんだろう?だったらとっととA級に上がってこい。お前なら…いや、柿崎隊ならすぐにA級になれるはずだ。」

 

そう言って三輪は歩き出した。

 

 

「…ああ。」

 

 

素直じゃないな…。

 

 

いや、ホントに。

 

──

 

「うぅ…解説席…どこ…?」

 

迷子になり途方に暮れる少女、榎沢一華は、そう言って項垂れる。

 

「急がないと始まっちゃうのにー!」

 

「…ホントよく迷子になるね、榎沢さん。」

 

声の方向に振り返る。

 

「!…とっきーくん!…と、こび…「風間だ。」…じゃなくて風間さん。」

 

そこに立っていたのは嵐山隊万能手、時枝充と風間隊隊長、風間蒼也だった。

 

「た、助かった!とっきーくん!あたし綾瀬川センパイの試合見たいんだけどどこ行けばいいの?!」

 

榎沢は時枝に尋ねる。

 

「…それなら僕と風間さんも行くところだから一緒に行く?」

 

「!…行くっ!」

 

「こっちだよ、付いて来て。」

 

食い気味に答えた榎沢に、時枝は小さく微笑むと歩き出す。

 

「とっきーくんと風間さんも綾瀬川センパイのランク戦気になるの?」

 

榎沢が尋ねた。

 

「俺と時枝は解説をする事になっている。」

 

榎沢の質問に風間が答えた。

 

「え!?風間さん!それあたしと代わって!!」

 

榎沢が風間の手を取りながら、お願いする。

 

「…断る。お前が真面目な解説をするとは思えない。」

 

「はぁ〜?!やるし!やってやるし!」

 

「ダメだ。信用ならん。」

 

「…はぁ?チビのくせに生意気なんですけど?」

 

「お前の方が俺よりチビだろう?榎沢。」

 

「ま、まあまあ風間さん。榎沢さんも落ち着いて。…いいんじゃないですか?さっきのランク戦で大活躍だった榎沢さんが解説をやれば盛り上がると思いますし。…フォローは僕がしますから。」

 

「…一理あるな。だが、甘く見るなよ。

 

 

 

 

…榎沢はお前が思っているほど利口なやつじゃない。」

 

 

 

───

 

拝啓、風間さん。

 

 

『えー、解説って特等席で試合見れるってことじゃないのー?ジュースとか出るもんだと思ってたー。てかどーせ綾瀬川センパイが勝つんだからMAPの紹介とか要らなくない?』

 

『えっと…解説をして欲しいのですが…。』

 

武富桜子は困ったように時枝に視線を向けた。

 

 

 

…僕1人じゃ無理かもしれません。

 

そんなことを思いながら時枝は観戦席に座る風間に視線を送る。

 

風間はため息を吐くと、立ち上がる。

 

「だから言った。詰めろ時枝。俺も座る。」

 

「…すいません、ありがとうございます。」

 

『風間さん!で、では気を取り直して始めていきましょう!B級ランク戦夜の部最初の試合は柿崎隊VS影浦隊VS弓場隊の試合となります!実況は私、武富桜子が、解説席には嵐山隊時枝隊員と風間隊風間隊長、そして今シーズン初戦では大活躍!諏訪隊の榎沢隊員にお越しいただいています!』

 

『『どうぞよろしく。』』

 

『よろしくー。これって綾瀬川センパイにも聞こえてるの?てかジュースは?』

 

『えっと、今回の三つ巴ですが、解説の御二…御三方はどのような展開になると思いますか?』

 

『そうですね…『そりゃ綾瀬川センパイの勝ちだね!』』

 

時枝の言葉を遮り、榎沢が話す。

 

『全員綾瀬川センパイが倒して勝ち!って感じ!』

 

『諏訪…どうせ聞いているだろう、手網はしっかり握っておけ。』

 

 

 

 

「言われてるよ、諏訪さん。」

 

小佐野が隣に座る諏訪に話しかける。

 

「るせェ、そう簡単に握れたら苦労しねェんだよ。」

 

 

 

 

『柿崎隊は前シーズンの台風の目でしたからね。今シーズンもなにか見せてくれそうです。』

 

時枝が流れを戻すようにそう言った。

 

『なるほど。確かに前シーズン、柿崎隊は中位の13位から一気にB級トップに躍り出ました。』

 

『その要因は榎沢の言う綾瀬川の功績が大きい。二宮相手に1対1で勝った男だ。俺の予想が正しければ今シーズンのB級ランク戦は如何に綾瀬川を攻略するか…それにかかっているだろう。』

 

 

──

 

影浦隊作戦室

 

「風間さんの言う通りだねー、どーする?カゲ。」

 

影浦隊銃手、北添尋は影浦隊隊長にしてエース攻撃手、影浦雅人に尋ねた。

 

「別に何もしねーよ。何かした所でどうにかなる相手でもねーだろーが。」

 

影浦はそう切り捨てる。

 

「俺のやる事は変わらねえ。あいつと会ったら喉元掻っ捌く。」

 

そう言って影浦は獰猛な笑みを見せた。

 

「はいはい。ヒカリちゃんとユズルもいつも通りよろしくね。」

 

「うん。」

 

「綾瀬川の弁当のおかずがかかってるんだ。絶対勝てよ。」

 

「ヒカリちゃん、勝手に変な賭けしないでくれる?」

 

──

 

弓場隊作戦室

 

「…」

 

弓場隊隊長、弓場琢磨はサングラスのブリッジを指で押し上げると、口を開く。

 

「今回のランク戦…明らかに不利なのは俺たちだ。神田が抜けた以上どこまで通じるかは分からねえ。」

 

弓場の言葉に、弓場隊万能手、帯島ユカリと弓場隊狙撃手、外岡一斗は俯く。

 

「だがそれは負けていい理由にはならねえ。いつも通り、俺たちの得意なマップで行く。

 

 

 

…気ぃ引き締めろやコラァ!!」

 

「「…ッス!!」」

 

 

──

 

『ここで弓場隊により、マップは「市街地B」に決定されました!』

 

『弓場隊はいつもここを選びますね。高い建物や低い建物が入り組んでるので「市街地A」より少し難しいマップになります。メテオラや旋空なんかで建物を壊せれば射線も通りやすいので上手く地形戦に持っていけば、どの隊も有利、不利になり得るマップだと思います。』

 

『時枝先輩、解説ありがとうございます。』

 

『てか試合まだー?あたしお腹減ったんだけどー。』

 

榎沢は椅子机に項垂れる。

 

『お前がやりたいと言ったんだろう?』

 

風間は榎沢を呆れたように睨む。

 

『榎沢さん、少ないけどお菓子あるよ。』

 

時枝は榎沢の前にお菓子を置く。

 

『!、さすがとっきーくん!風間さんと違って優しい!

 

 

…風間さんと違って!』

 

2回目は風間を見ながら。

 

『時枝…あまりこいつを甘やかすな。調子に乗るぞ。』

 

『はぁ?チビのくせにうるさいんだけど。』

 

『何度も言わせるな。お前の方がチビだろう。』

 

『え、えーっと!まもなく転送開始の時刻となります!皆さん準備は良いですか!!』

 

武富はそんな2人を遮るように声を張る。

 

 

…もう帰りたい。

 

時枝、武富の心の中は同じだった。

 

 

──

 

柿崎隊作戦室

 

「よし、真登華、市街地Bの射線は大丈夫か?」

 

「何とかー。」

 

柿崎の問いに、真登華はそう返した。

 

「文香と清澄が暴れて俺と虎太郎でサポートだ。まずは初戦…勝つぞ。」

 

「新生柿崎隊を見せつけよーっ。」

 

真登華は元気よく拳を突き上げる。

 

「勝ちましょう。」

 

前シーズンより、一層強者の風格が出てきた文香はそう言って笑みを見せる。

 

「清澄先輩、全力でサポートしますから。」

 

虎太郎はオレにそう言う。

 

 

 

静かに目を伏せ、三輪を思い浮かべる。

 

…初めて明確な目的も出来た。

 

自分の為の目的ではなく三輪の為…

 

 

 

…いや、それは建前だ。

 

大規模侵攻で戦ったヴィザは今までで1番の強敵だった。

 

それ以上の猛者が近界にはいるのかもしれない。

 

ヴィザよりも…

 

 

ホワイトルームの最高傑作(オレ)よりも。

 

 

 

 

 

 

 

 

…怪物はゆっくりと目を開く。

 

 

「負けはないです。

 

 

 

…勝ちましょう。」

 

 

こうして無機質なボーダー隊員の今シーズン、初戦が幕を開ける。




各キャラからの印象&各キャラへの印象

綾瀬川清澄
三輪秀次→仲直り。協力してくれると言ってくれて嬉しい。

三輪秀次←ツンツンツンデレ。友人。


榎沢一華
時枝充→よく迷子になるね。友人。
風間蒼也→生意気。俺の方が年上だ。
武富桜子→解説…。

時枝充←恩人。とっきーくん。お菓子ありがとう!
風間蒼也←チビ。生意気。
武富桜子←解説してあげるんだからジュース買ってこいや。

感想、評価等お待ちしております。

幕間何読みたいんじゃワレェ!

  • 誰かの独白。多分榎沢か三輪。
  • 掲示板形式のやつ。(作者無知)
  • 日常小話。
  • if(綾瀬川VSボーダー)
  • 住民税高すぎ。
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