騎士団の雑用係   作:技巧ナイフ。

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「ウサギ伯爵、出撃」の言い方、好き。


お魚どかーんの後は偵察騎士と共に

 この世界には、神の目というものが存在する。

 それ手のひらサイズのブローチのような形状のソレは、選ばれし者の前に突然現れ、一般人とは比べ物にならない並外れた身体能力と『元素力』と呼ばれる特殊な権能を与える。

 この神の目を持つ者は神に魅入られ、そして神になる資格があるとも言われている。

 

 ……まぁ、神の目を持たない———いや、()()()()()()俺には関係の無いことだけどね。

 

 

 

 

「どんどん行くよー!」

「やっちゃえ! クレーちゃん!」

「どっかーん‼︎」

 

 ド派手な爆発がシードル湖から巻き起こり、哀れなお魚さん達が宙を舞う光景に、俺は白ワインをラッパ呑みしながら手を叩いていた。

 それに気を良くしたのか、クレーちゃんはさらにお手製の爆弾———ボンボン爆弾を湖へ投げ込んでいく。

 その繰り返し。

 

 見るものが見れば、最悪の悪循環かもしれない。でも、俺からすれば花見酒ならぬ()()酒だ。

 ここには綺麗なお姉さんもいないし飲んでるワインは安物だが、華々しいものを鑑賞しながら呑む酒も十分美味い。

 

「はい、おじちゃん! 魚香トースト焼けたよ!」

「んん〜! さすがクレーちゃん。気が利くねぇ」

 

 皿にも乗せず、ポンと渡されたのはクレーちゃんのオリジナル料理。

 ここに来る前、彼女を肩に乗せながらモンド城内の飲食店『鹿狩り』で買った小麦粉、トマト、玉ねぎ、牛乳で作られた出来立てのトーストは、意外にも酒に合う。元の料理は“漁師トースト”と言って店でも数量限定で売られているものだ。“魚”という文字が入ってるくせに、魚を使っていないのはそこそこ謎だが。

 だからと言って、別に文句はない。幼女に飯を作らせたあげく、その飯にケチをつけるほど人の心を捨てたつもりはないし。そもそも普通に美味い。

 

 しかし、せっかく魚に合わせて白ワインを買ったのに魚料理が食えないのも寂しい。

 なので哀れにも爆殺されてプカプカ浮いてる魚を何匹か取り、コショウと一緒に鍋へin。

 少し待てば、野趣のある“チ虎魚焼き”の完成だ。やっぱり酒にはこういった問答無用の濃い味が合うね。

 

(そういえばチ虎魚焼きのオリジナル料理を作ってくれた子、元気かな……)

 

 ふと、璃月で世話になったお偉いさんを思い出した。確か料理名が“九死に一生の焼き魚”だったか。

 初めて会った時は嫌われ、別れ際は蛇蝎の如く嫌われたけど、料理は美味かったな。見た目最悪だったが。

 

 閑話休題。

 

「はい、クレーちゃんも」

「わーい!」

 

 漁香トーストのお返しにと渡せば、クレーちゃんはすぐにかぶりついた。可愛い。変な連中が思わず誘拐したくなっちまいそうなくらい可愛い。

 育ち盛りのせいか、よく食べる。どかーんされたお魚さん達も本望だろう。

 

 左手に魚。右手に酒瓶。それを交互に口へ含んでいると、クレーちゃんが魚の油でギトギトになったお口の周りもそのままに、こちらを見上げていた。

 

「ねえねえ。お酒って美味しいの?」

「もちろん。この世に酒が無かったら、たぶん人類は戦争で滅んでるよ」

「クレーも飲んでみたい!」

「ダ〜メ。お酒はもう少し大人になってから。子どものうちに飲んでも良いことないよ」

「そうなの?」

「そうなの。5歳の時から飲んでる俺が言うんだから間違いない」

「…も、もし子どもの内に飲んだら、どーなっちゃうの?」

 

 大人からすれば馬鹿げた質問だが、それを子どもらしく戦々恐々と尋ねる。そんなクレーちゃんの曇りなき眼を見つめていると、俺の中にちょっとした悪戯心を湧いてきた。

 

「もし飲んだら……」

「もし…飲んだら……?」

「俺みたいになっちゃうんだよ!」

「嫌だ! クレーお酒いらない!」

「…………」

 

 俺は心に深い傷を負った。

 

 

 

 さてさて。ピクニックみたいになっていたが、一応俺は今も仕事中の身。クレーちゃんは知らない。

 そして仕事とは結果を持ち帰るものであり、組織とは独断専行を許さない。それをするには、正当な理由が必要だ。

 

 既に俺は自己判断で隊の連中と別行動をしている。それを正当化する為の理由を探さなければならない。

 

 が、すぐにそれは見つかった。

 

「Gyaa!」

「Mi !」

「dada」

 

 仮面を付けた上半身裸の部族———ヒルチャールだ。形は人と似ているし、独自の言語を持つが基本的に人類の敵である。

 そいつらが群れを作って街道から見える位置にえっちらおっちらと監視塔を作ってやがる。

 

(ちょうどいいや)

 

 あいつらシバいて手柄にすれば、このピクニックも仕事として認められる。

 そこそこ数が多いし、神の目を持っていない俺1人なら苦戦したかもだけど、今はクレーちゃんがいるしな。

 この子がいれば、あの程度の数は有象無象だ。さっきのお魚さんみたく爆殺してくれる。

 

「クレーちゃん。あれ、見えるかい?」

「うん? あっ! ヒルチャールだ!」

「あいつら、どかーんして来てもらっていい? もちろん俺も手伝うからさ」

「うん!」

 

 元気に頷いたクレーちゃんは法器と呼ばれる本型の武器を取り出して、すぐにそちらへテッテッと走って行っちまう。

 さすが神の目の所有者。足速いな! 

 

「dada⁉︎」

「いっくよー!」

「yaaaa‼︎」

 

 あ〜あ。可哀想に。

 ヒルチャール達は逃げる間なく、クレーちゃんの炎元素を載せた爆弾各種にどかーんされて吹っ飛ばされてるよ。へっ、汚ねぇ花火だ。

 

 とはいえ、俺も見ているだけってわけにもいかない。一応適当に働かないとな。

 運良く群れから少し離れた場所にいたヒルチャールがこちらに逃げて来たので、えいや。

 俺も反省室でクレーちゃんから教わったお手製の爆弾を投げて応戦する。

 

 神の目を持つ連中にとっては雑兵でも、俺からすれば危険極まりない魔物だ。奴らが振り回す棍棒に当たれば昏倒するし、当たりどころが悪けりゃ死んじまう。

 なので本来は槍を使うところ、俺は遠くから撃退できるように爆弾で戦うことにしていた。とりゃー。

 

 ヒルチャール掃討はクレーちゃんのおかげで1分もかからず終わったよ。神の目様様だな。

 特に怪我した様子もないクレーちゃんが戦果を誇るように笑顔でこちらへ手を振ってくるので、こちらも振り返してあげる。

 すると———彼女の笑顔が瞬時に別のものへ変わる。

 

「おじちゃん! 後ろ‼︎」

 

 振り向けばそこには、俺の1.5倍はある体躯のヒルチャールがいた。ヒルチャール暴徒だ。クソッ、こいつも群れから離れてたのか…っ! 

 手には刃の部分が赤熱化している巨大な斧———炎斧が握られている…やべぇ! 

 振りかぶられる巨大な斧に、肝が冷える。あんなもん頭に振り下ろされたら、右半身と左半身でキスできるようになっちまう。

 

 この距離だと、クレーちゃんからの助けは期待できない。あの子の爆弾だと、近くにいる俺まで巻き添えになっちまう。

 

(やるしかない……か!)

 

 俺はヒルチャール暴徒から距離を取るように真後ろへ飛びながら、互いの中間地点に持っていた爆弾を投げる。

 爆発。爆風をモロに食いながらも、それを利用してさらに距離を取ることができた。よし! 

 

「Gyaaaaa‼︎」

 

 ヒルチャール暴徒が吠える。それは自分の群れを爆破されたことの怒りなのか、獲物に逃げられたことへの怒りかは分からない。俺、ヒルチャール語できないし。

 とはいえ、クレーちゃんがこちらに来るまで約10秒。それまでこの神の目も持たない一般人よりは多少マシな程度の貧弱な体であのドデカい炎斧に対処しなけりゃならない。

 

 拳を握り、構える。元々は璃月港で習った補助的な技術だが……やってみせるさ。

 

「Guoooo‼︎」

 

 一吠えしたヒルチャール暴徒は斧を脇構えにして突っ込んでくる。そして俺の目の前で上体を水平に倒して、突っ込む慣性を乗せた重々しい一撃を振り下ろしてきやがった。

 

「っ!」

 

 それを半歩横にズレて紙一重で躱す。落ち着いて観察すれば、そんな大振りは騎士団の誰でも避けられる。この巨体が突っ込んでくる恐怖に目を逸らさなければ。

 地面に斧が食い込んだ瞬間、奴の手首を掴みながらヌルリと———代理団長曰く、スライムのようなヌメヌメした動き———で敢えて(ふところ)に入り込む。

 コツは間合いを詰めるんじゃなくて、()()イメージ。

 ここまで入り込めば、あとは簡単。“震脚”と呼ばれる地面を割る勢いで力強く踏み込み、その動きで生まれた反作用と体重を乗せて、掬い上げるような肘打ちをヒルチャール暴徒の脇腹に叩き込んでやった。

 何千何万と反復したこの一連の動作は、根を張るように俺の体に染み付いている———裡門頂肘。

 

 ———ズッッッンッ‼︎

 

「……ま、これが限界だわな」

 

 人間相手なら致命傷を負わせられる自信はあるが、流石に相手が悪かった。この程度で倒れてくれるなら、誰も恐れやしない。

 苦し気に呻いたヒルチャール暴徒は数歩たたらを踏むに留まり、怒りのこもった目で俺を睨み付けた。

 

 うん。無理。1発で倒せるわけ無いやろがい! 

 

 というわけで、俺はもう一度後ろに飛んで爆弾を投げさらに距離を取ってやる。ここまでくれば安心だ。そろそろクレーちゃんがここに着く頃だろ。

 と、気を抜いた瞬間。

 

「ふぎゃ⁉︎」

 

 俺の後方で可愛らしい悲鳴が聞こえた。見ると、クレーちゃんが……コケ…てる……だとっ⁉︎

 

「嘘やん」

「Gyaaaaaaaa‼︎」

 

 ヒルチャール暴徒は炎斧の柄先を両手で持ち、グルングルン回転しながら近付いてくる。

 本格的にピンチ。これはもう奥の手しかないとポケットに手を突っ込んで()()を使おうとした時———

 

「———ウサギ伯爵、出撃!」

 

 少女の声が響き、ヒルチャール暴徒の前にウサギのぬいぐるみが踊りながら現れた。

 この緊迫した状況に相応しくないコミカルな動きを見せるウサギにターゲットを変えたらしく、ヒルチャール暴徒は斧を振り回しながらそちらへと近付いていく。

 

「下がって! 2人とも!」

 

 素早く身を翻し、クレーちゃんを脇に抱えてダッシュ。同時にヒルチャール暴徒へ炎の矢が集中豪雨。

 いつも思うけど、この矢ってどうやって生み出してんだろね。まぁ、大体の不可思議なことは『神の目を持ってるから』で解決するんだけど。

 

「2人とも怪我はない?」

 

 炎元素が乗っていた為、消し炭となったヒルチャール暴徒にザマァと思っていると、空から赤色の美少女が降りてきた。

 

 ……俺、今日赤色に縁ありすぎじゃね? 早朝のアビスから始まって、クレーちゃん、ヒルチャール暴徒炎斧、そしてこの女の子———アンバーちゃん。

 

「いや〜助かったよ。危なく三枚おろしになるとこだったわ」

「もう! そんな事言って、ノア先輩ならなんとかできたでしょ?」

「なんとかならなかったからあの状況だったんだけど……」

 

 油断していたと言われればそうだが、こちとら神の目なんて上等な物は持ってないんだ。

 状況が悪かった。以上! 

 

「まぁ、とにかく助かった。さすがは西風騎士団唯一の『偵察騎士』だ」

「煽てたって何も出ないよーだ。それにわたしがこの近くを偵察してたのは、シードル湖で爆発音がしたって報告があったからなんだけど?」

 

 アンバーちゃんの目が、俺からクレーちゃんへ。

 その視線を受けて、クレーちゃんはダラダラ汗を流しながら早口で捲し立てる。

 

「クレー何も知らないよ! 湖でお魚どかーんとかしてないもん!」

「ふ〜ん……」

「ノア何も知らないよ! 湖でお魚どかーんするところ見ながらお酒呑んでないもん!」

「あんまりこういう事言いたくないけど、ノア先輩の裏声って汚いね」

「裏声汚いって何⁉︎」

 

 たぶん酒焼けのせいだと思うけど、アンバーちゃんくらいの年頃の子の暴言って1番心に来るんだよね……。

 

「ま、いいや! 2人とも無事で本当に良かった!」

 

 ニコッと、彼女は太陽にも負けない笑顔を俺たちに向けてくれる。

 その顔に、俺もヘラヘラ笑いを返しておくよ。

 この子は西風騎士団の中でもあんまり騎士の誇りとか気にする方じゃないわけだから、俺も少し気が楽だよ。そそっかしいところはあるけど、アンバーちゃんの人柄を知ればそれも笑って流せる程度のものでしかない。

 なにより、騎士団の中でも俺に無利子でお金を借してくれちゃう超絶いい子だ。いつかお酒を奢ってあげよう。その為にはお金が必要なんで、別の人から借りなきゃならないが。

 

 アンバーちゃんの助けは仕事のうちだから本来は礼を言うだけでいいんだけど、それだと俺が納得できない。

 彼女に限ってそんな事は無いと思うけど、この借りを返せとか言われて無理難題を押し付けられてもたまんないしな。少なくとも、俺が逆の立場ならこの件を利用して借金チャラにしてもらうし。

 

「アンバーちゃんは昼飯食べた? 良かったら作るよ?」

 

 てなわけで、安直だけど食事でお礼を済まそう。

 ちょうど良いことにクレーちゃんがどかーんした魚が余ってるしな。これ使って適当なものを作ればいいだろう。

 

「やった! ちょうど食べようと思ってたんだ〜!」

「そいつは良かった。よし、クレーちゃん。アンバーちゃんにとびきり美味しいご飯を作ってあげて!」

「わかった! すぐできるから待っててね、アンバーお姉ちゃん!」

「あ…ノア先輩が作るんじゃないんだ……」

「男の手料理なんかより、女の子のほうがいいでしょ?」

 

 意気揚々と幼女に飯を作らせる俺へ、アンバーちゃんドン引きなご様子。

 

「大体、男の触った飯なんて汚くて食えたもんじゃないよ。やっぱり飯は女が作らないと。『僕食べる人、あなた作る人』って言葉知らない?」

「それ、女性の人権団体と一悶着あった標語じゃなかったっけ?」

「あったね〜」

「ていうか、ノア先輩の作るご飯普通に美味しいよ?」

「あれ? 作ってあげたことあったっけ?」

「うん! まだわたしが新米の頃」

 

 あ〜あったなぁ。偵察騎士なんていう廃れて久しいものになろうとして、スタミナ切れで空から落ちたこの子を捜索した時だ。

 確か足を怪我して動けないまま、ヒルチャールとかその他諸々の魔物から隠れてたんだったか。

 そのせいで発見が遅れて、丸一日何も食べてないこの子をたまたま仕事サボろうとして茂みに入った俺が見つけたんだ。

 そんで近場のヒルチャールの集落から鍋強奪して、その場で適当に作ってあげたんだっけ。何作ったかも忘れちまったなぁ。

 

「あれはお腹が空いてたからでしょ? 空腹は最高のスパイスだし。なんなら極限まで腹減ってる時は、その辺の雑草だって美味しく感じるもんだよ?」

「……実体験?」

「うん、実体験」

「えっと……本当に困った時はわたしに言ってくれれば食事くらい作ってあげるよ?」

「お、マジで!」

「うん、マジマジ」

 

 小っちゃいお手々で頑張ってお料理するクレーちゃんを眺めながら、アンバーちゃんはにこりと笑いかけてくれる。

 ……うん、これはあれだな。経験不足のお坊っちゃんだと、勘違いしちゃうやつだわ。この笑顔は一体何人の男の純情を無自覚に踏み躙ってきたのか。ぜひ酒の肴に聞きたいもんだね。

 人の不幸は蜜の味。酒が格段に美味くなる! 

 

「んまぁ困ってるといえば、ちょ〜っとばかりまたお金を都合してほしいんだけどなぁ」

「それはダーメ! ジンさんにも、ノア先輩にお金貸すなら、まず返済が終わってからって言われてるんだから」

「……なんで代理団長は人の個人的な借金にまで口出すんだよ」

「騎士団のほぼ全員から借りてるからじゃない?」

「なるほど」

 

 仕方ない。今度は璃月の人から借りよう。あの仕事が生き甲斐とかいうワーカーホリックな半人半仙なら売るほど金ありそうだし。

 次の借用先を考えていると、クレーちゃんの明るい声が上がる。

 

「アンバーお姉ちゃん! できたよ!」

「わあ! ありがとう!」

 

 元気にこちらへ寄越されるのは、クレーちゃんお馴染み漁香トースト。

 そんな素振りはなかったけどかなりお腹が空いていたらしく、お礼もそこそこにアンバーちゃんはかぶりついた。

 しかし、忘れちゃいけない。いくら焼いたとはいえ、パンとは口の中の水分を吸うもの。そんなものにがっつけば、当然———

 

「ムグゥッ…⁉︎ンッ! ンンン〜ッッ⁉︎」

 

 喉に詰まる。

 

「お、お姉ちゃん⁉︎大丈夫⁉︎」

「んっ! んん!」

 

 苦しそうに踠きながら、アンバーちゃんは必死にコップを傾ける仕草をしている。飲み物か。

 えっと……あ、あった。手近なものはこれしかないし、これでいいか。

 俺は持っていたビンの蓋を開けてアンバーちゃんに渡してやる。

 それを慌てて飲むアンバーちゃん。

 

「ぷはぁ! 助かったぁ……って、これお酒じゃん!」

 

 はい、白ワインです。俺からしたらほとんど水みたいなもんだから、実質水だね。

 が、ここで俺は1つ良いことを思いついた。

 

「あれあれ〜? アンバーちゃ〜ん? 西風騎士団が誇る唯一の偵察騎士が仕事中に飲酒とはいただけませんな〜?」

「ノアおじちゃん…すっごい悪い顔してる」

「こ、これは仕方ないじゃん! 不可抗力だよ!」

「不可抗力ならお酒を飲んでもいいんですか〜?」

「ダ、ダメだけど……あのっ…」

「と・こ・ろ・で〜、ちょっとお願いがあるんだよね〜?」

「お願い……?」

 

 アンバーちゃんは少し上を向いてこの状況でされるであろう、俺の“お願い”の内容を考えている様子。

 

 不可抗力とはいえ酒を飲まされた。

 これを言いふらされると、偵察騎士としての立場が危うい。

 しかもそれを知っているのは西風騎士団の中でも女癖には悪い意味で定評のある男。

 

 その事実から何を導き出したのか分からないけど、アンバーちゃんは顔を急速に青くしたり赤くしたりしてる。

 さらに腕で全身を守るように抱き締めて……おい。絶対これ誤解されてるでしょ。

 

「あの…今はクレーがいるから……」

「俺とクレーちゃんがシードル湖でお魚どかーんしてたの黙っててね?」

 

 早口で捲し立てておいた。

 

 

 

 後日、この光景を見ていたクレーちゃんが会話の流れの意味をそのまま代理団長に尋ねたようで……うん。なんかすごい性犯罪者を見るような目を向けられたよ。

 サボりを誤魔化そうとしただけなのに。







はい、いかがでしたか? 分かる人には分かったと思いますが、ノアが使ったのは八極拳です。璃月って中国がモチーフだし、ファデュイも風拳とかいるし、まぁアリだよね☆

アンバーってお酒強いのかな…?
自分の中では、お酒飲んでるエウルアの横でちびちびツマミだけ食べてるイメージです。
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