不死人、アルザーノ帝国魔術学院へ   作:ナガレッ伽

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一周目で解放された珍しいオリ主不死人です。
人間味がかなり残っているのであまりダークな雰囲気にはならないと思います。



1話

 

 ヴィンハイムという国にある《竜の学院》

 そこは世界有数の魔術学院であり、魔術師を志す者は必ず訪れる。僕も竜の学院を目指した一人だった。

 

 

 擦り切れてもう僅かにしかない日本という国で生きた記憶。その楽園を知るせいで僕は、普段の暮らしが苦痛にしか感じられなかった。

 生まれた(転生した)のは夢も希望もない世界だった。苦しみに溢れ、病と呪いが蔓延る古き悪し時代だった。生活に余裕はなく、治安は悪い娯楽は少ない飯はまずけれゃ美人はおらん!

   

 死んだ目をしながら畑を耕すだけの日々は突然終わった。

 

  『ソウルの矢』という魔術だった。習得難易度は低く火力も低い。けれど確かにこの魔術は僕の人生を変えてくれた。

 “魔術”という存在をもたらしてくれた旅人さんにはマジで感謝してる。

 

 

 思い立ったが吉日とも言うし、家の金をちょろっと盗んで僕は

 

 

 

──ヴァンハイム《竜の学院》へ旅立

 

───てなかった!

 

 

 旅出ようとした前日、身体に“ダークリング”が出現したのだ。

 ダークとは不死人の証、呪いの証。

 不死人とは不死身の人間では無く、死を許されない忌むべき人間だ。

 

 そんなバケモノはとーぜん道徳と教養もない無法地帯な時代じゃあ迫害の対象。僕は問答無用で北の不死院(不死人を監禁するファッキンな所)にぶち込まれる覚悟しておいて下さい!!良いですね!だった。

 

 そこからはまぁァア酷いものです。死にかけの騎士様の使命を託された僕は鐘を鳴らすために何度も斬られ死んで落ちて死んで犬で死んで裏切られ泣いて潰れて死んで悲しくて泣いて死んで…心バキバキ範馬刃牙??

 

 んでやっと鐘ならして「俺はやった!」喜んでたらめちゃくちゃ臭くてデカい蛇に「王になるんだよ!あくしろよ!(意訳)」とか言われ今度はアノールロンドに向かわされてさ。そしてまた死ぬ。慈悲はない。なんならソウルも人間性もない。

 古城の罠で53万回は死んだし、四騎士の一人、クソデブ処刑人と同時に戦わされて百万回死にました。絵本にでもする?

 

 愚痴は無限に続いちゃうし、この旅で得たもののことを考えよう。

 

 まず一番に沢山の魔術を覚えた。ソウルの矢は勿論、太矢から槍、追尾するソウルの塊。そして結晶魔術から闇術までも。

 

 次に出会い。偉大な魔術師 我が師ローガン、太陽の如きソラール、陽気なカタリナ騎士 ジークマイヤー……みんな死んでしまったね。良縁悪縁関係なく人との出会いは素晴らしかった。

 

 

 嗚呼、これ以上はやめておこう。決意がゆらぐ

 

 「……終わりだ、薪の王グウィン」

 『────』

 

 魔法は尽き、エスト瓶もすっからかん。体力も残り僅か。

 けれど、僕の月光の大剣は大王グウィンを貫いていた。

 

 最初の火を継がなくてはならない。

 世界は終焉(おわら)せない。薪になるのだ。

 

 「世界がどうなろうと、知ったこっちゃないけどさ……。僕を救ってくれた人たちへの恩返し。貴方たちは道半ばで斃れたけれど、この火が絶えないことが、英雄の証だから……!」

 

 全て燃えていく。零れた涙も、きっと。

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 『目が覚めたらそこは─異世界でした』なんて語りをどこかで何度も耳にしたことがあるが、正しくソレだった。

 僕は最初の火の薪となって(多分)死んだはずだが、永い眠りから醒めたような感覚と共に視界は青空で輝く太陽に占領された。

 

 「…僕には眩しすぎるよ、ソラールさん」

 

 薪になった不死人。

 この美しい世界を、更なる魔術を、叡智を。そして出逢いを求める旅路。

 

 

 

 ◇◇

 

 《雷精よ・紫電の衝撃以て・撃ち倒せ》

 

 ショック・ボルトという黒魔術を発動するための呪文。この()()で初めて会得した魔術でもある。

 

 「ローガンさんみってる〜^^?僕は今、貴方の全く知らない魔術を学んでまァ〜す!うひょひょこの呪文はエッチだねぇゲヘ」

 

 ここは学究都市フェジテにあるアルザーノ帝国魔術学院。僕は現在2年E組の一般魔術師見習いであり、恩師(死去)にさえ魔術に関してはマウンティングする一般魔術狂いでもあるかもしれない。

 

 詳細はここでは省くが、この世界の魔術は僕の修める『ソウルの業』とはまっったくとてもすっごく異なりメチャクチャに難しい!!故に楽しい!!

 

 「おう、フィアは今日も絶好調だな」

 「カッシュさんちーッス」

  

 体格のいい少年カッシュの外見は魔術師っぽくない。明るく良いやつ。

 

 「今日から新しい講師だってな。しかもあのアルフォネア教授の太鼓判だぜ?さぞかしスゲェ人なんだろうな」

 

 むむっ今フラグ立ちませんでした?いやまさかね…。

 カッシュや同級生と軽く雑談をしていれば、授業の開始まで残りわずかであった。みんな自分の席へ。

 

 開始時間──来ない。

 授業時間が半分を切る──前の席の子が吠えた。

 

 「遅い!!全然来ないじゃない!!」

 

 この女の子はシスティーナ=フィーベルさん。ツンツン系銀髪貧乳だ。可愛いけど突然吠えるので怖い。グロはいいけどビックリはダメなんだ。

 

 「ま、まあまあ…落ち着こう?なにか理由があるかもしれないし…」

 

 乳のでけぇルミア=ティンジェルさん。乳がでかい金髪。僕にも優しい…コイツ絶対俺のこと好きじゃん!って男なら一度思う。

 

 ぅうう…この世界、人は優しいし女の子は可愛くて露出多いし飯は美味いし魔術の多様性ガラパゴスだし…。きっとあの地獄はここへ至る為の試練だったんだね。

 

 「なんで泣いてるの!?怖えよマジで!?」

 「な゛ん゛て゛も゛な゛い゛!゛」

 

 涙を拭う間に、ガラガラと音を立て教室の扉が開かれる。全生徒の注目を集めたその男。

 

 「あッ───!?貴方は今朝の!?」「違います。人違いです」

 

 システィーナさんと一悶着あったが、非常勤講師はグレン=レーダス。かの第七階梯、セリカ=アルフォネア教授に優秀と評価される凄そう(小並感)な男である。

 

 「えー…かったりぃけど授業始まるかぁ…。はい、つっうことで今日の授業は」

 

 黒板には『自習』の文字。

 

 「…眠いから」

 

 そう言い残し非常勤講師は眠りにつく。当然教室で非難の嵐が巻き起こり、彼はまるで亡者のようにふらふら立ち上がって不満を隠さない授業を始めたのだった。

 

 「……なるほど」

 「…ロクでもねぇ先生が来ちまったな」

 

 気になるなぁ……グレン=レーダス。微かに感じる懐かしの(殺しの)気配を纏った彼をじっくりと観察する。

 

 グレン先生はぶるりと体を震わせ左右を確認するが、頭を傾げた後何事もなかったように授業(授業にあらず)を再開する。この学院の殆どが魔術に敬意を払うし、探究心の高い生徒だからグレン先生の態度に一層腹を立てていた。

 

    

 最初は一応教科書を読んで板書していた。が、次の日には板書するだけで終わり、また次の日には教科書を黒板へ貼り付けて終わるようになっていた。当然前の席のシスティーナさんは小言(小声にあらず)をぶつけていたが彼には一切響かなかったらしい。

  

 黒魔術、白魔術、錬金術に召喚術から神話学魔導史学数秘術自然理学占星術ルーン語学etc…あらゆる授業を不真面目にこなす姿は、僕にはどこかムキになっているように感じられた。

 

 そして数日後…システィ、キレた!!

 

 「いい加減にして下さいっ!どこの世界に教科書を黒板に打ち付ける授業があるんですか!?」

 「チッ…またか。しつこいねー白髪娘。そんなんだからまだ若ぇの「こ、これは白髪じゃありません!!銀髪ですッてそうじゃなくて!」

 

 「私の家は魔術の名門フィーベル家、この学院にも多少の影響があります。私がお父様に進言すればあなたの進退も決することが出来るですからねっ」

 「おいおいマジかよ……。是非、お父様によろしくお願いしておいてくれ!!」

 

 グレン先生に煽られたシスティーナさんはもはや「なんだァ?テメェ……」と言わんばかりに怒り心頭。

 遂には“左手の手袋を投げ付けた”!それ即ち、魔術による決闘の宣誓!!

 

 タツジン×タツジンの真剣勝負(タイマン)がいま開かれ──

──なかった!

 

 いや、魔術決闘はしたんだけどね。もはや決闘というか弱い者イジメというか何というか……。ちなイジメられたのはグレン先生でした。

 一節詠唱には勝てなかったよ…。

 

 




 
主人公のステータスは詳しく決めてませんが月光大剣が持てる筋力16技量45理力50くらい?最強無双ハーレムは出来ませぬ。
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