夢のまた夢と言われても   作:地球の星

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Quest.13 バーバラのために

 バーバラのために命の木の実を見つけに行く決意をした後、リベラは城の中に封印されたままになっているラミアスの剣を使いたいと両親に申し出た。

 しかし、レイドックからあの剣は今の世の中では危険過ぎるという理由で拒否されてしまった。

 さらにシェーラからは工事直後で財政的に少し厳しい状況で、大金を用意し辛いため、今城にある他のもので我慢するように説得された。

 リベラはお金を払うことなくこの場で手に入れることが出来、なるべく攻撃力の高いものとして、考えた末にグラコスの槍を選ぶことにした。

(見た目はちょっとアレだけれど、攻撃力はある程度上がるし、スカラの効果もあるから新しい武器が手に入るまではこれにしよう。)

 彼がそう考え事をしていると、ターニアが部屋にやってきた。

「お兄ちゃん…。」

「ターニア、大丈夫なのか?」

「大丈夫。少しは気持ちも落ち着いてきたから。」

「それならいいけれど、どうしたんだい?」

「私も出来ることならお兄ちゃん達の仲間に加えてくれる?」

「ええっ!?」

 ターニアが戦うなんて今まで想像すらしたことがなかっただけに、リベラは当然のように反対をした。

「そう言われると思ったわ。正直心の中でも2人の私がいて、それぞれが意見を主張していて、どうすればいいのか分からない状態なの。でもバーバラさん…、お姉ちゃんのために何かしたい。彼女がいなかったら今の私はない。お姉ちゃんを放っておいて、私だけが幸せになんてなれないと思って…。」

「そう言われても、戦闘は危険を伴うからなあ…。」

 リベラはその場で決断を出すことが出来ず、他の3人に相談をすることにした。

「ターニアはどうやら映画撮影をしていた時のあたしに影響されたようね。」

リベラ「映画撮影?」

「そう。あたしが映画の戦闘シーンで僧侶の熟練度を上げていた時、ターニアが自分も何か身に着けたいと言ってきたの。そしてダーマ神殿に連れていって僧侶と踊り子に転職して稽古をした結果、ホイミ、ニフラム、みかわしきゃくを身に付けたのよ。」

ハッサン「でも、稽古と実戦は違うと思うぜ。」

ミレーユ「そうね。ダメージを受けることも多々あると思うし…。」

リベラ「僕としても、やっぱりターニアを戦場に連れていくことは出来ない。だけど、僕の破邪の剣を渡すから、これで稽古を積んでくれ。道具使用でギラも打てるから。」

「…分かったわ。じゃあ、剣だけ受け取るわね。そしてライフコッドで毎日素振りの練習をして、腕前を上げておくわね。」

 ターニアは戦力になれず、悔しそうな表情をしながらも、兄に同意をした。

 そしてリベラ達がライフコッドに来た時には、微力ながらもホイミで傷を回復したり、おいしい料理でもてなしたり、寝泊り出来るようにすることを約束してくれた。

「分かった。その時にはみんなで行くよ。それから、バーバラが毎日寝泊り出来るようにベッドを準備しておいてくれ。」

「あっ、そうね。じゃあ、私はバーバラさん…、お姉ちゃんが楽しくこの世界で過ごせるように頑張るわね。」

「うん、頼んだよ。じゃあ、今からライフコッドに送り届けてもいい?」

「いいわよ。夢の世界の私にとってはまだ知らない人達ばかりだから、これからあいさつをしていきたいの。」

「じゃあ、行こう。」

 リベラはターニアを連れて城のベランダに行くと、彼女をルーラで送り届けてあげた。

 

 彼はレイドック城に戻ってくると、今度はハッサン、ミレーユ、バーバラを連れてサンマリーノに向かっていった。

 そしてハッサンが炎のツメを手に入れると、今度は徒歩でマーズの館に向かった。

 館に入っていくと、ミレーユはグランマーズに月の扇を使わせてほしいとお願いした。

 しかしゲントの村に行けばいいアイテムが手に入ることを伝えられたため、4人はそちらに向かうことになった。

 

 ゲントの村に到着すると、彼らはチャモロのいる場所に向かっていった。

 すると彼に加えて、たくさんのお金を持っているテリーに遭遇した。

チャモロ「こんにちは、って、ええっ!?バーバラさんがいる!?」

テリー「夢じゃないよな!?本当に俺達が知っているバーバラだよな!?」

 彼らは2度と直接会えないと思っていた仲間が目の前にいたものだから、その事実を信じられずにいた。

 バーバラは本人であることを打ち明けた後、夢の世界にいる間に転職でメラミやホイミ、ベホイミ、ベホマなどを覚えたこと、そしてここに来られた代わりに最大HPが減っていく代償を背負ったこと、これからみんなで協力して命の木の実を探しにいくことを話した。

「それなら私にもぜひ協力させてください。きっとその実を持っている人がいるはずですから、一つでもたくさん手に入れて、バーバラさんに手渡してあげますよ。」

「俺は以前、その実をつける木を見つけたんだ。だから早速その場所に行ってくる。さらにはその実を持っている敵のアジトに行って、盗賊になったつもりで戦闘をしてくるぜ。」

「チャモロ、テリー。あたしのために、ありがとう…。」

「困っている人がいるのであれば、私は放っておきません。ちょうどテリーさんがおどる宝石狩りをしたり、敵から手に入れた高額な品を売ったりしたおかげで大金が手に入ったので、これで資金難も解消されました。だから今からはバーバラさんのために頑張ります。」

「俺もな、チャモロの目的を果たして、次は何をしようかと思っていたんだ。だからちょうどいいタイミングだ。それからな、姉さんに会ったら渡そうと思っていたものがあるんだ。これからマーズの館に向かおうと思っていたが、その手間が省けたぜ。」

「何を私に渡してくれるの?」

「実は氷のやいばを手に入れたんだ。俺にはらいめいの剣ときせきの剣があるから必要ないし、アモっさんはもっといい武器を手に入れたと言っているし、チャモロはほとんど戦いから引退した状態だしな。」

「確かに私は大魔王を討伐して以降、実戦経験がないですからね。」

「というわけで、引き取り手がいない状況だったんだ。貴重品だから売るのももったいないし、もし姉さんが使えばヒャダルコ使い放題になるから、会えたら渡そうと思っていたんだ。受け取ってくれるか?」

「喜んで受け取るわ。私は今、攻撃呪文がヒャドやイオ程度しかなかったから、本当にありがたいわ。」

「確かにそれじゃ戦力外級の力不足だな(←SFCではあんたに言われたくないけれど。)。まあこれでかなりのダメージになるから、姉さん、頑張れよ。くれぐれも他の奴らの足を引っ張るんじゃねえぞ。」

「はいはい、分かりましたよ。」

 ミレーユは苦笑いを浮かべながら氷のやいばを受け取った。

「じゃあ、俺はこれから出かけてくる。バーバラ、これから命の木の実をたっぷり食わせてやるから、待っていてくれ。」

「オッケーイ!手に入れたらミレーユの住んでいる館に持ってきてね。」

「了解だ。」

 こうしてチャモロ、テリーの2人も協力をしてくれることになった。

 

 リベラ達は彼らと別れた後、再びマーズの館にやってきた。

 入口の扉を開けると、中にいたグランマーズが早速命の木の実がある井戸を教えてくれた。

「おおっ!ばあさん、準備いいじゃねえか!早速行こうぜ、みんな!」

「ただし、ミミックを倒してからじゃがのお。」

「えっ?あのミミック?」

「その通りじゃ、ミレーユ。」

「私達に倒せるかしら?」

「まあ、頭を使えば十分倒せるはずじゃ。」

リベラ「分かりました。じゃあ、みんなで行ってきます。」

「行っといで。幸運を祈っているぞよ。」

 グランマーズはそう言って、外に出ていく4人を見守った。

 

 井戸に入る前に、ミレーユは氷のやいばとハッサンの炎のツメを交換することを思い付いた。

確かにその方がハッサンにとっても攻撃力があがるし、ミレーユにとってもヒャダルコよりメラミの方がミミック単体に与えられるダメージが増えるため、すぐに交換成立となった。

 井戸の中では、確かに宝箱っぽいものが一つ置いてあった。

「どうやらこれね。一見すると本当に宝箱そのものだけれど。」

「そうだね。でも、このままでは実が手に入らないよね。」

「これがミミックって分かり切っているなら、この場で倒すという手もあるけどよ。」

 ミレーユ、リベラ、ハッサンはどうすればいいのか考えた。

「じゃあ、この場で倒しちゃえばいいのね。」

 バーバラは考えようともせずに、率直に言い切った。

リベラ「倒すって、どうやって?」

「こうよ。いくわよーーーっ!」

 彼女は両手を上にかざした。

ハッサン「ちょ、ちょっと待てよ!それはもしや!?」

リベラ「マダンテを使うのか!こんなところでやめてくれ!」

「そうよ!井戸が壊れるわ!それに箱も実も木端みじんよ!」

 彼らが叫んだものの、すでにバーバラは怖い表情で「マアアアァァッ!!」と叫んでいた。

 もはや止めることは出来ないと判断した3人は、目を閉じて防御態勢に入った。

 そして……!!

 

 しばらくすると、辺りはシーンと静まり返り、彼らは目を開いた。

 すると、バーバラは箱を見ながらその場に立っていた。

「大丈夫か?一体何が起きたんだ?」

「もしかして、マダンテ失敗?」

「いや、MPが少ししかなかったとか?」

 ハッサン、ミレーユ、リベラは状況を理解出来ないまま問いかけた。

 すると彼女は途端に笑顔になり「やだーーーっ!あたしマダンテと間違えてマホトラ唱えちゃったーーーっ!」と言ってきた。

 その凄過ぎるフェイントに、3人は思わずずっこけた。

「どういう間違いなんだ!それは!」

「普通、そんな間違いするかあっ!」

「いくらフェイントでも、心臓に悪いわ…。」

 リベラとハッサンが大声でツッコミを入れるのに対し、ミレーユは吹き出しながら苦笑いをしていた。

「アハハハ、ごめーーん!まああたしのMPが増えたから、ミミックで確定したわ。」

 全然反省していないバーバラは持ってきたまどうしのローブを身に付け、さらにマホトラを唱えた。

 すると突然箱がパカッと開き、ミミックが姿を現した。

「キャーーーッ!本当にモンスターッ!」

 思わぬ形での登場に、至近距離にいた彼女はビックリだった。

 ミミックは0になってしまったMPを補充するため、バーバラに向かってマホトラを唱えた。

「あーーーっ!あたしのMP返して!」(←奪ったくせに。)

 バーバラは自分もすかさずマホトラを唱えた。

「しめた!チャンスよ!ミミックが呪文を使えないうちに倒すわよ!」

リベラ「OK!」

ハッサン「行くぜ!」

 まずミレーユがスクルトを、次にリベラがルカニを唱えた。

 続いてハッサンが通常攻撃と追加攻撃をヒットさせた。

 次のターンでミミックはバーバラに連続で通常攻撃をしてきた。

 一発目は体当たりでダメージを受け、二発目はノーダメージで済んだ一方、まどうしのローブを食いちぎられた。

「あーーっ!あたしの思い出の品に何てことするのよ!あったま来た!ベギラマーーーッ!!」

 彼女がやけになって呪文をぶっ放すと、明らかにベギラマより強力な炎がヒットした。

 目にやけどをしたミミックはのた打ち回るように苦しみ出した。

 続けざまにミレーユがメラミをヒットさせた。

 次にリベラが通常攻撃をしたが、槍の使い方に不慣れなせいか、あまりダメージを与えられなかった。

(それでもルカニのおかげで通常ダメージに近い形になった。)

「それじゃ、とどめは俺がさす。格闘ゲーのみんな、技を借りるぜ!」

 ハッサンはそう言うと、ミミックに向かって突進し、強烈な体当たりをくらわせた。

「てつざんこう!!」

 大ダメージを受けて突き飛ばされたミミックは壁に叩きつけられ、さらにダメージを受けた。

 その衝撃でふたが外れ、胴体部分もボロボロになってしまった。

 すると牙、舌、目が消えていき、命の木の実が姿を現した。

「わーい!一つ手に入れた!」

 バーバラはホイミで傷を回復させると、心の底からうれしそうな表情を浮かべた。

 そして実を取り出すと、満面の笑顔を浮かべて食べ始めた。

「これで少しはこの世界にいられる時間が長くなったな。」

「そうね。どれくらいかは分からないけれど、良かったわね。」

 ハッサンとミレーユは噛みしめるように実を食べているバーバラを見ていた。

 

 4人が井戸から出てきた後、リベラはバーバラにいつの間にベギラゴンを覚えたのか問いかけた。

「あれはベギラマよ。今回はメラミと同等のダメージだったかしらね。」

「どうしてあんなベギラマを放てるようになったの?」

「あたし、映画撮影でだいまどうを演じる時に、スタッフからベギラマの火力を3分の2くらいに抑えてほしいと頼まれたの。最初はなかなかうまくいかなかったけれど、役作りのために毎日何度も何度も唱えて練習を繰り返した結果、ついに強弱を調節出来るようになったのよ。」

ハッサン「呪文の威力を変えられるのかよ!すげえな!じゃあ、強力なメラミを放って『今のはメラゾーマではない…。メラミだ。』みたいなことも出来るのか?」

「それは無理よ。今のところ威力を調節出来るのはベギラマだけ。」

「でも、これから強敵に出くわすこともあるだろうから、相当役に立ちそうだな。」

「多分ね。でもどうせならベギラゴン級の威力にして、思いっきり『ベギラゴン!』って叫んでみたいのよね。だから本来ならメラミの場面でもベギラマを唱えているの。それを言うなら、ハッサンだって新しい特技を身に付けているじゃないの。」

「まあな。あれから新たに気合ためや、プロレス技、格闘技の技を使えるようになったからな。」

「すごーい!プロレスラーとして生計を立てられそうね。」

「かもしれんな。以前、アークボルトでの格闘大会で優勝したからな。」

 バーバラとハッサンがそれぞれ身に付けた能力を得意げに話す姿を見て、リベラとミレーユは彼らがまぶしくてたまらなかった。

(バーバラはあれから呪文の数を増やしただけでなく、ベギラマでそんなことも出来るようになったんだね。ハッサンもどんどん新技を編み出している中で、今の僕は5つしか呪文を使えない。勇者だった頃がまるで嘘のように転落しているみたいだ…。)

(バーバラはしばらく会わないうちにかなり成長したのね。私は攻撃でも回復でも負けているし、このまま置いていかれるわけにはいかない。私も何か新たな長所を身に付けなければ…。)

 2人の心の中には危機感が芽生えていた。

 

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