夢のまた夢と言われても   作:地球の星

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Quest.14 ふたりが出会った場所

 チャモロはバーバラのために命の木の実を見つけることを決意した後、色々な場所を飛び回り、人々に実のありかについて聞いて回った。

 多くの人達は実について知識を持っておらず、手に入れるどころか、情報すら集めるのに苦労していた。

 でも、自分の最大HPを削ってまでこの世界に来てくれたバーバラの気持ちに応えるために、彼は決してあきらめることなく、聞き込みを続けた。

 そんな中、アークボルトでブラストから実を一つもらうことが出来た。

 チャモロは彼にお礼を言うと、早速風の帽子を使って、マーズの館にやってきた。

「ミレーユさん、一つ手に入れましたよ。」

「ありがとう、チャモロ。バーバラはきっと喜ぶわ。」

 彼女は笑顔で実を受け取った。

「どういたしまして。それで、バーバラさんはどうしているんですか?」

「彼女はリベラと一緒に月鏡の塔に行ったわ。2人が初めて出会った場所でもあるし、そこに今も住んでいるポイズンゾンビが実を持っていることを伝えたら、間髪入れずに向かっていったわよ。」

「そうなんですか。何だかデートしているみたいですね。」

「みたいじゃなくて、本当にデートよ。2人は手をつないでお互いの顔を見ながら、幸せそうに微笑んでいたわ。」

「うらやましいな。私もそんな付き合いを早くしてみたいな。」

「あなたはセリーナさんと仲良しでは?」

「うーーん…、仲はいいんですけれど、なかなかそこから進まなくて…。そういうミレーユさんは?」

「私は…。」

「ハッサンとの仲もあまり進んでいないようですね。」

「ま、まあ…。お互い様ってところね。」

「そうですね…。リベラさんとバーバラさんにどうすればいいのか聞いてみたいですね。」

 2人は少し顔を赤らめながら会話をしていた。

 

 その頃、久しぶりに月鏡の塔にやってきたリベラとバーバラは、初めて2人が出会った場所である、東の塔の5階にやってきた。

「あっ、あの鏡の場所だね。」

「うん。そこであたしが途方にくれていたところに、リベラ達がやってきたのよね。」

「そうだね。懐かしいな、あの時のこと。」

 

『君は、そこで何をしているの?』

『えっ!?あたしが見えるの?』

『うん、僕達には見えるよ。』

『やっと見つけたわ!あたしの姿が見える人を!』

 

 2人はその場所で、鏡を背にして並んで座った。

「あれから色んなことがあったわね。」

「そうだね。この塔で君を仲間として迎えて、僕達と一緒に旅をしたよね。」

「うん。でも、あたしが打たれ弱かったせいで、みんなに迷惑かけちゃったよね。でも、あたしは他に行く場所もなかったから、絶対に役に立たなきゃって思っていたの。」

「それは痛いほど伝わってきたよ。だから僕は君を放っておけなくて、我慢して君を起用し続けていたし、ムドーの時を除いて最後まで君と一緒に居続けたんだ。」

「ありがとう。あたしのことをそこまで考えてくれて。」

 バーバラはそう言うと、自分の顔をリベラの右肩に乗せてきた。

 そしてリベラは右腕を伸ばして、手をバーバラの右肩に置き、2人で寄り添っていた。

(このまま、ずっと一緒にいられたらなあ…。リベラもそう思っているのかなあ…。)

 バーバラは顔を赤らめながらそう思っていた。

 

 それからしばらくすると、上の階で何か物音が聞こえた。

「何が起きたんだろう?」

「そうね。行ってみましょう。」

「うん、行こう。」

 2人は立ち上がると、手をつないで駆け出していった。

 

 階段の途中で立ち止まり、顔だけを出して6階の様子を見ると、そこでは何とポイズンゾンビが悪魔の鏡と戦っていた。

(モンスター同士が戦闘?)

 思いもよらない光景に、2人は状況を理解出来ずにいた。

 すると、ポイズンゾンビがダメージを受ける度にホイミで回復し、力いっぱいの攻撃で悪魔の鏡の守備力を徐々に打ち破っていき、ついに悪魔の鏡を倒した。

 彼は床に倒れこんだ鏡を拾い上げると、「よし!これでモシャスの能力を手に入れられる。」と言って、さらに上の階にのぼっていった。

「モシャス?変身したいわけなの?」

「あいつ何を考えているんだろう?」

 まだ状況を理解出来ていないバーバラとリベラは6階に行き、さらに上に行く階段の近くまでやってきた。

 すると、上の方から「おい、ばあさん。言われたとおり、悪魔の鏡を倒してきたぜ。これで俺もモシャスを唱えられるようになるんだろうな。」という声が聞こえてきた。

(ばあさんって、誰だろう?まさか?)

 リベラは自分の知っている人を想像してみたが、その人がこんなところにやって来てモンスターと話すとは到底考えられずにいた。

 しかし、続けざまに「そうじゃ。ご苦労じゃった。では、そのモシャスの能力をそなたに移植しよう。そしてお前さんが戦闘を一回経験すればその呪文が使えるようになるぞい。」という声が聞こえると、さすがにそのまさかを信じるしかなくなった。

「あの声、ミレーユのおばあちゃん?」

「ああ、間違いない。グランマーズさんだ。行こう、バーバラ。」

「うん、行ってみましょう。」

 2人は手をつないだまま、7階に上がっていった。

 そこには確かにグランマーズがいた。

「おお、お前さん達。こんなところにいたのかい?」

「お前達、何しに来たんだ?まさか、また俺を倒しに?」

 彼らの問いかけに、リベラとバーバラは何と言ったらいいのか分からずにいた。

「話は聞いていたじゃろう。わしはこいつがモシャスを使いたいという望みをかなえてやろうとしておるんじゃ。」

「そうそう。俺もこの塔から外に出て、他のモンスターだけでなく、人間とも交流を持ちたいからよお。」

 まだ状況が理解出来ていない2人のために、グランマーズはポイズンゾンビのその後について話してくれた。

 彼はあの戦いに敗れた後、傷を直し、再び出番が来た時に備えて準備をしていた。

 しかし、待っていたのは「ドラゴンクエスト戦力外通告 クビを宣告されたモンスターたち」の一人になってしまうという現実だった。

 目標を失った彼だったが、それでも孤独な自主トレーニングをしながら、いつオファーが来てもいいように努力を続けていた。

 そして世の中が平和になった後、もう人間と戦う必要が無くなったことを知ると、彼は敵モンスターとしては引退し、今度は仲間モンスターとしてどうやったら一緒に暮らせるかということを考えるようになったそうだ。

 そんな中、グランマーズが命の木の実のありかを探っていた時に、ポイズンゾンビがその実を持っているだけでなく、そのような気持ちを抱いていることを知ったため、彼女自身がわざわざ出向いてきたということだった。

「でもおばあちゃん、こんなところに単身で来ちゃって大丈夫なの?」

「そうだよ。もしそいつが襲いかかってきたら。」

「お2人さん、心配はいらんぞい。もしもの時に備えて月の扇と星のかけら、星降る腕輪を持っておるし、さらにはいつでもニフラムで消し去る準備はしておる。」

「そ、そればっかりは勘弁してくれ。俺はこんなこころざし半ばで消えたくはないぞ。」

 ポイズンゾンビは命乞いをするように言った。

「まあ、お前さん達も下の階で話を聞いていたのであれば、これで状況は理解出来たじゃろう。どうじゃ、こやつの相手をしてはくれんか?」

「えっ?相手ですか?」

 思わぬ依頼にリベラは顔をしかめた。

 そして話し合いの結果、リベラとポイズンゾンビが武器を使わずに1対1のガチ勝負することになった。

 当初はバーバラも参加を希望したが、リベラは君のために戦うと言って、そこで待っているようにお願いをした。

「じゃあバーバラ。少しの間、この手を離すからね。」

「頑張ってね。負けないでね。」

「うん、君のために頑張るよ。」

 リベラはそれまでつないでいた自身の右手を離した。

「それじゃポイズンゾンビ、勝負だ。」

「おう、坊ちゃん。ホイミ以外の呪文は使うなよ。」

「そっちこそ、猛毒攻撃はやめてくれよ。」

「OK。じゃあ、いくぞ!」

 こうしてリベラとポイズンゾンビの勝負が始まった。

 その様子をバーバラは手を組んで祈るような仕草をしながら見つめていた。

 

 その後、両者は時にはこぶしで、時にはキックで攻撃し、時には相手の攻撃をかわしたり、受け止めたりしながら、キックボクシングのように戦った。

 勝負はお互いなかなか決定打にめぐまれず、しかもHPが減ってくる度にホイミを唱えるため、なかなか決着がつかなかった。

 そして、こう着状態のままターン数ばかりが増えていき、ついに両者のMPが枯渇してしまったため、ホイミをこれ以上唱えられない状態だった。

 すでに2人とも相当ダメージが蓄積して疲れ切ってしまい、とうとうダブルKOに近い状態になってしまった。。

 するとグランマーズが一歩前に踏み出してきて

「もうよかろう。これで十分じゃ。ポイズンゾンビのモシャス使用を認める。」

 と言って、勝負をストップさせた。

「ハア…ハア…。本当ですか?」

「ゼエ…、ゼエ…。やった…。願いがかなったぜ。」

 HPの大きく減少したリベラとポイズンゾンビの2人は、すでに床にへたり込んでいた。

 するとグランマーズが2人のところにやってきて、魔法の聖水でMPを回復してくれた。

 次にバーバラがリベラのところにやってきて、ベホマを唱えてくれた。

「ありがとう、助かったよ。」

「どういたしましてよ。僧侶に転職して、一生懸命頑張って修行して良かったわ。」

 2人が話をしていると、今度はポイズンゾンビが自分にもかけてほしいと言い出してきた。

「ええっ?あんたにもかけるの?恩をあだで返したりしないわよね!?」

「俺はもうあんた達の敵じゃない。約束するぜ。命の木の実をやるからよお。」

「分かったわ。」

 バーバラはポイズンゾンビのところに歩み寄り、彼にもベホマを唱えた。

「ありがとうな。助かったぜ。今日からは俺もあんた達の仲間だ。」

バーバラ「本当に?」

リベラ「仲間になってくれるの?」

「ああ、仲良くしようぜ。今から俺のことはスミスって呼んでくれ。」

バーバラ「分かった。じゃあスミス、これからよろしくね。」

「俺からもよろしく。それから、確かお譲ちゃんは命の木の実を欲しがっていたよな。」

「うん。それを求めてここに来たの。」

「それならそこにいるばあさんに渡したぜ。彼女から受け取ってくれ。」

「本当?おばあちゃんが持っていたの?」

 バーバラは驚きながら振り返った。

「本当じゃよ。ほおれ。受け取りなさい。」

 グランマーズはその実を見せると、バーバラにトスしてきた。

「ありがとう、おばあちゃん、そしてスミス。」

 彼女はお礼を言うと、早速実を食べ始めた。

「じゃあスミス。早速モシャスを唱えてみてくれないか?」

 リベラにそう提案されると、スミスは「そうだな。」と言って呪文を唱え、バーバラそっくりの姿になった。

 

(注:この後、「ぎゃあああっ!あたしもどきの、どこを触ってんのよ!このドえっちいっ!!」というどなり声に続いて、スミスはベギラゴン級のベギラマを受けてしまいました。)

 

「みんは、ひょうは…、へわになっはな…。」

(みんな、今日は世話になったな。)

 元の姿に戻ったスミスは口にやけどをしていたため、言葉を噛みまくりながらリベラとバーバラ、そしてグランマーズにお礼を言った。

 ただ、これでは会話がうまく進まないため、バーバラはベホイミをかけてあげることにした。

 そのおかげで会話もスムーズに出来るようになった。

リベラ「こちらこそ世話になったな、スミス。また会えたらいいね。」

「そうだな。困った時には助けになるぜ。」

「じゃあ、お願いね。それからモシャスの使い方に気を付けるのよ!あたしに化けて盗みのような悪いことでもしたらマダンテ唱えるからね!」

「そ、そればかりはご勘弁を!お譲ちゃん!」

「バーバラって呼んでくれればいいわ。じゃあね。」

「ああ、またな。」

 スミスはお辞儀をすると振り返り、塔の中にある自分の隠し部屋へと向かっていった。

「グランマーズさんもありがとう。それじゃ、僕達はこれで。」

「おばあちゃん、バーイ!」

 リベラとバーバラはリレミトで塔の外に出ていった。

 

 その後、バーバラはルーラであちこちを飛び回りたいと言い出した。

「でも、あちこちの場所を訪れていたら、時間もかかるけれど。」

「訪れるんじゃなくて、リベラと一緒に空を飛びたいの。出来ればお姫様だっこで!」

「えっ?恥ずかしいよおっ。」

「だっこだっこ!お姫様だっこ!」

「分かったよ…(汗)。」

 リベラは顔を赤らめながらも承諾し、バーバラを両手で抱えた。

 すると彼女は両手を伸ばしてハグをしてきた。

 リベラは恥ずかしさのあまりに顔が真っ赤になり、どうしようか考えていると、バーバラはしびれを切らしたのか、自分でルーラを唱え、大空へと飛び立っていった。

「きゃははは!たーーのしーー、これ!わーーいわーーい!!」

 バーバラは幼い子供のようにはしゃぎながら大喜びしていた。

 その表情を見て、リベラにも笑顔がにじみ出てきた。

 

 しばらくすると、目的地が近付いてきたこともあって、2人は降下を始めた。

「じゃあ、この町に降り立とうか。」

「やだ。もっと飛びたい。だから、行き先を変えて、ルーラ!」

 彼女がそう叫ぶと、再び2人の体は上昇に転じた。

「わーーーーっっ!!」

「やっほーーー!こうやって空飛ぶの、さいこーーーっ!」

「バーバラ、どこに行くの?」

「どこでもいいもーーん!あたしはリベラと一緒に空を飛びたいんだから!このまま飛び続けたーい!」

「そうか。じゃあ、一緒に空の旅を楽しもう。」

「うんっ!今は何もかも忘れて楽しみたい!」

 それから2人は何度もルーラを重ねがけしながら、空を飛び続けていた。

 




ボツシーンです。


その1
「リベラさん!バーバラばかりにひいきしてないで、私もちゃんと起用してください!」
「ごめん、チャモロ。つい…。」
「私だって真面目に頑張っているんですから!」
「分かった。じゃあ、これからはローテーションを導入する。」
「ローテーションですか?」
「うん。これからはどんなに活躍をしていても、馬車で定期的に休養を取らせることにする。これでいいかな?」
「分かりました。じゃあ、早速私をスタメン起用してください。」
「OK。じゃあ、バーバラに休養を持ってもらうことにするよ。彼女には無理をさせてきたから。」

その2
バーバラ「リベラって、6人でローテーションを回している時、自分が休む時にはよく馬車内であたしと一緒だったね。」
「…バレた?」
「うんっ!あたしはすぐに分かったよ!」


 いざこのQuest.14の完成形を読み直してみたら、何だかバーバラばかりにひいきをしているような感じがしたので、ボツになっていた部分をここで復活させてみました。
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