夢のまた夢と言われても   作:地球の星

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Quest.18 ターニアのデビュー戦

 ミレーユの新呪文「ベホイム」が生まれた翌日、ライフコッドでは今日もターニアが破邪の剣で素振りをしていた。

 すると、家事仕事を済ませたバーバラが家から出てきた。

「おっはよー。」

「あっ、お姉ちゃん、おはよう。」

「ターニアはもうすっかりこの世界に慣れたようね。」

「うん。最初は不安もあったけれど、どうやら2人の私がうまく調和してきたようだし、この世界の人として生きていく自信がついたわ。」

「それは良かったわ。でもあたし、時々思うことがあるんだけれどね。」

「何を?」

「夢の世界の人達は怒っているんじゃないかなって。」

「それは私も気になっているわ。ランドをはじめ、ライフコッドの人達やエリーゼさんはどうしているのかなって。」

「あたしも、エリーゼには悪いことをしたと思っているわ。それに、たとえ戻ったとしても、みんなにあわせる顔がない気がするの。もう以前のようなアイドル活動は無理でしょうし、間違いなく無職になっちゃうから。」

「そうなってしまったら、それは辛いわね。」

「うん。この世界でミレーユが水晶玉で上の世界を映し出してくれることが分かった以上、あたしは帰ったらゼニス王か誰かに下の世界を映し出してほしいと言うつもりではいるけれど。」

「あっ。考えてみたら、そういう手があったわね。それなら直接会えなくても会話が出来るわね。」

「うん。でもやっぱりあたしはリベラ達に直接会いたいの。離れたくない。時が流れるのが怖いって、時々思うのよ。」

「そう・・・。何とかここにいられる方法が見つかればいいわね。」

「うん。って、あたしってばいつの間にかターニアの気持ちを落ち込ませちゃったわね。ごめんね。」

「大丈夫よ。今の私があるのは、お姉ちゃんのおかげだから。お姉ちゃんへの感謝の気持ちは1日として忘れたことはないわ。」

「ありがとう。それじゃ、あたしはこれからマーズの館に出かけてくるわね。」

「今日はどんな用事なの?」

「ミレーユのおばあちゃんに超・キメラの翼と命の宝玉を見てもらって、どうやって別世界に飛んでいくのか、そしてどうやったら光る時間を伸ばせるのかを見てもらうの。」

「じゃあ、何かいい方法が見つかるかもしれないのね。」

「うん。そうなったらいいなって思っているの。それでね、今日は夕方までそこで過ごすことになるから、あたしの氷のやいばとまどうしのローブ、自由に使っていいからね。」

「分かったわ。ありがとう。」

 2人の会話が終わると、バーバラはルーラを唱えて飛び立っていった。

 

 それから30分後、リベラがルーラでライフコッドに降り立ち、ターニアの家の前にやってきた。

「やあ、ターニア。」

「あっ、お兄ちゃん。」

「今日は氷のやいばで稽古?」

「そう。お姉ちゃんが自由に使っていいって言っていたから。」

「じゃあ、その稽古の成果を発揮するために僕と一緒に来るかい?」

「えっ?どこにいくの?」

「月鏡の塔。そこにいるポイズンゾンビのスミスから依頼が来たんだ。」

 リベラは続けざまに詳しい内容について話した。

 スミスの依頼というのは、塔の内部を改装して改心したモンスター達の部屋を作りたいということだった。

 何とか協力してくれる人間かモンスターがいないか探していた時に、ミレーユがその情報をつかんだため、ハッサンにそれを伝え、彼がその役割を買って出ることになった。

 しかし塔の中にはスミスの考えには従わず、未だに人間と戦おうとするモンスターもいるため、退治する必要に迫られた。

 そこでリベラとハッサンに白羽の矢が立ったということだった。

「その際、バーバラがターニアも誘ってほしいって言い出したんだ。」

「えっ?お姉ちゃんがそんなこと言っていたの?」

「そうなんだ。僕は反対したし、ハッサンとミレーユも難色を示していたんだけれど、バーバラはきっと戦力になると言ってね。それで聞いてみることにしたんだ。」

「そう…。お兄ちゃんの役に立ちたいとはずっと思っていたけれど、いざそう言われると何だか、緊張してきたわ。足を引っ張らなければいいけれど…。」

「悪魔の鏡やシャドーなら氷のやいばのヒャダルコと僕達の攻撃で十分に倒せるよ。どう?行くかい?」

 ターニアが戦うというのはこれまで経験したことのないだけに、彼女自身もそしてリベラも不安を感じていた。

 しかし彼女はリベラやバーバラの役に立ちたいがために毎日素振りをしていただけに、勇気を振り絞ってついていくことにした。

「分かった。じゃあ、早速装備を整えよう。」

「うん。分かったわ。」

 ターニアは家の中に入っていき、まどうしのローブを持って外に出てきた。

 そしてルーラでマーズの館に行き、ハッサンと合流すると3人で月鏡の塔へと向かっていった。

(※ミレーユとバーバラは夕方まで館で過ごすため、不参加。)

 

 東の塔の入口ではスミスに加えて、かつてリベラ達が仲間として迎えたことのあるホイミスライムのホイミンがいた。

リベラ「やあスミス。ホイミンも一緒なんだね。」

スミス「そういうことだ。ここに住まないかと聞いてみたら、喜んで承諾してくれたんだ。」

ホイミン「そうなんです。野外で野宿していては悪意を持ったモンスターや山賊の人間に襲われるかもしれないので、安心して住める場所が欲しかったんです。」

「塔にはすでに何匹かの連中が住んでいるんだ。ただ、壁がないと住み心地が良くないという意見が出てな。それで誰か内部を改装してくれないかと思っていたんだ。」

ハッサン「それで、俺が名乗り出たというわけだぜ。なあ、スミス。」

「ああ、そうだ。だが悪魔の鏡とシャドーだけは平和に過ごせないようでな。それでこうすることにしたんだ。」

 彼らが会話をしている中で、ターニアはモンスターの姿を目の当たりにして足がすくんでしまい、黙り込んでいた。

「大丈夫だよ、ターニア。彼らに敵意はないから。それにこれから戦闘になっても、僕達が守るから。」

「う、うん…。」

 リベラに励まされても、彼女の緊張は収まらずにいた。

 ハッサンもその様子に気づき、身代わりや仁王立ちで彼女を守ってやらないとなと思った。

 そして、ターニアがまどうしのローブを装備すると、一行は塔の内部に足を運んでいった。

 床には何ヶ所かで仕切りの線が引いてあった。

 どうやらこの場所に壁を作り、個人の部屋にするのだろう。

 ハッサンはそこを通過する度に、どれくらいの大きさの部屋になるのか、数が大体いくつになるのかをチェックしていた。

 

 しばらく歩くと、悪魔の鏡2体とシャドー1匹に遭遇した。

 ホイミンは回復要員(通称:ホイミタンク)として待機することになり、残りの4人が戦闘に参加することになった。

 

悪魔の鏡A:通常攻撃(リベラは攻撃をかわした。)

リベラ:通常攻撃(悪魔の鏡Aにヒットし、真っ二つにして倒した。追加攻撃はBにヒット。)

ハッサン:通常攻撃(悪魔の鏡Bにヒットし、倒した。追加攻撃はシャドーにヒット。)

ターニア:ヒャダルコ(シャドーにヒットし、倒した。)

 

「すごーい!私がモンスターを倒したわ!」

 ターニアは自分が放ったヒャダルコてシャドーを倒したことに驚いていた。

リベラ「おめでとう!見事なデビュー戦だったよ。」

「ありがとう。こんな私が戦力になれるのかと思っていたけれど、良かった。」

 彼女は緊張感から解放され、自信をつけることが出来た。

 

 その後、5人(4人と1匹)は、塔の中をどんどん進んでいった。

 その中でリベラは炎の剣の通常攻撃で、悪魔の鏡を真っ二つにしてしまったことが気になっていた。

(攻撃力が一気に上がったのはいいけれど、ここまでの威力だなんて。これではあまり下手に切りつけるわけにもいかないな。)

 彼は父、レイドックがいましめの意味で言っていた「相手にも人生がある。家族がいる。倒してしまえば悲しむ者が出てくる。それを忘れないでほしい。」という言葉を思い出し、忘れないように心に誓った。

 

 一つ上の階に行くと、今度はシャドー3匹に遭遇した。

「それじゃ、私が最初に行くわよ!」

 ターニアがヒャダルコを発動させると一気に3匹とも倒した。

「やったわ!今度は私一人で勝てたわ!」

 これで勢い付いた彼女の表情はますます生き生きとしていた。

 

 今度の戦闘では、悪魔の鏡2体とシャドー2匹に遭遇した。

 参加者はここでもホイミンを除く4人だった。

 

1ターン目

 リベラ:イオ(全員にヒット。)

 ハッサン:自分にスカラ

 悪魔の鏡A:モシャス(リベラに変身。)

 スミス:モシャス(リベラに変身。)

 シャドーA:通常攻撃(ハッサンにヒット。)

 悪魔の鏡B:まぶしい光(ターニアは目がくらんだ。)

 シャドーB:通常攻撃(リベラにヒット。)

 ターニアは目がくらんだせいで、行動出来ず。

 

2ターン目

 ハッサン:仁王立ち

 リベラもどきの悪魔の鏡:通常攻撃(リベラをかばったハッサンにヒット。)

 悪魔の鏡B:通常攻撃(ターニアをかばったハッサンにヒット。)

 リベラ:通常攻撃(リベラもどきにヒットし、追加攻撃もヒット。)

 リベラもどきのスミス:ライデイン(悪魔の鏡B以外を倒した。)

 ターニア:ヒャダルコ(悪魔の鏡Bを倒した。)

 

 戦闘後、ホイミンはベホマを唱え、ハッサンのHPを全快させてくれた。

 

 次の戦闘ではターニアがスタメンを外れることになった。

 それを踏まえて、事前に氷のやいばをホイミンに手渡した。

 ホイミンはヒャダルコを発動させて攻撃をし、リベラはイオで全体攻撃をした。

 戦闘後、ターニアはホイミを唱えてHPを回復させてくれた。

 

 その後もリベラ達は何度か戦闘を経験した。

 その中で、ハッサンは炎のツメをホイミンに渡してメラミを使うように促し、自分はグラコスの槍で戦うことにした。

 彼は通常攻撃をしながらも、時には最初から自分にスカラかけて仁王立ちをすると決めていたことがあった。

 ホイミンから氷のやいばを返してもらったターニアは出番の度にヒャダルコを放ち、相手をなぎ倒していった。

 リベラは途中から通常攻撃を取りやめ、イオの効果がどうやったら上がるのかを試していた。

(自分なりに考えてはみたけれど、なかなか威力が上がらないな。やっぱりバーバラに色々教えてもらう必要がありそうだな。)

 彼がそう考えながら歩いていると、一行は最上階である7階までやってきた。

スミス「みんなご苦労。どうやら討伐は以上となりそうだ。これからは安心して改装に入れそうだぜ。」

ハッサン「そうか。じゃあ俺が今から現場監督になってやるよ。これまで歩いてきて、材料がどれくらい必要になるかが分かったから、これからそろえるぜ。」

「それはありがたい。俺は作業を手伝ってくれる連中を集めることにする。」

「頼んだぜ、スミス。」

ホイミン「それから、皆さんが協力してくれたお礼をしなければいけませんね。僕の方から用意させていただきます。」

ターニア「何を用意してくれるの?」

「まず命の木の実です。確か、バーバラさんが実を欲しがっているということを聞きましたので。」

「ありがとう。お姉ちゃんはきっと喜ぶわ。」

 ホイミンはその後、不思議な木の実と守りの種、力の種、素早さの種、そしてお金を用意してくれた。

「どうもありがとう。じゃあ、不思議な木の実は私がいただくわ。」

リベラ「良かったね。これでMPを増やせるから、ホイミを唱えられる回数も増えるよ。」

「うん。今日はここに来て本当に良かったわ。」

 ターニアは達成感と手に入れたごほうびにすっかり満足していた。

スミス「それじゃみんな。今日は世話になったな。また会おうぜ。」

ホイミン「僕もまた皆さんにお会いしたいです。」

リベラ「僕からもよろしく。ベホマやベホマラーが使える君なら十分戦力になるし、また協力出来たらいいね。」

「そうなると僕もうれしいです。」

ターニア「じゃあ、私達はこれで失礼します。」

ハッサン「俺は作業のためにまたここに戻ってくるぜ。その時はまたよろしくな。」

リベラ「じゃあスミス、ホイミン、元気でね。」

 3人はあいさつをすると、7階の出口付近からルーラで飛び立っていった。

 

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