この日、リベラとバーバラはデートのような感じで、手をつなぎながらトルッカの町にやってきた。
ここではかつて町長の娘エリザが盗賊のビッグとスモックに誘拐され、身代金5000ゴールドを要求されたことがあった。
その時、リベラ、ハッサン、ミレーユ、バーバラの4人がその盗賊を退治して、お礼として命の木の実をもらったことがあった。
久しぶりにエリザに会った2人は、彼女にバーバラの事情を話した後、再び実をもらえるか問いかけた。
「私が持っていた実は裏山に植えて、今自分で育てているの。だからそれ自体は渡すことが出来ないのよ。ごめんなさいね。」
バーバラ「そうなの。他の人達は持っていないの?」
「以前はお父さんが持っていたけれど、ある日、さすらいの剣士を名乗る人に渡したわ。」
「さすらいの剣士?」
「そうよ。銀髪の凄くハンサムな顔をした男の人で、幼い人間の姿をした男の子と女の子、そしてドラゴンの親子を連れていたわ。」
リベラ「間違いない、テリーだ。彼は(杖で人間に変身した)デュナンとデュアナ、そしてドランゴの親子を連れてきたんだね。」
「彼らはそういう名前なのね。」
「それで、彼が命の木の実を欲しいって言ってきたの?」
「いえ。その時、カンダタと名乗る覆面をした大男と、鎧を着こんだ子分みたいな人達がやってきて、お金やアイテムを渡すように要求してきたの。」
「カンダタ?名前は聞いたことはあるけれど、会ったことはないな…。」
「私も初めて見る人だったわ。最初は私もお父さんもどうしようか分からずにいたけれど、テリーという人が単身で戦いを挑んでいったわ。」
建物の陰で見ていたエリザは、その様子を詳しく教えてくれた。
『貴様、この大盗賊カンダタ様と3人の子分に逆らおうってのか?』
『ああ、そのつもりだ。俺が返り討ちにしてやるぜ。』
『何だと?貴様一人で勝てると思うなよ!』
『勝てるさ、余裕でな。それじゃみんな俺から離れろ。』
『分かった…。さあみんな…こちらへ…、ギルルルン…。』
ドランゴはデュナン、デュアナに加えて自分の子を守りながらテリーから離れていった。
テリー『スカラ!』
一同『何っ?ダメージがさほど入らない?』
『ああ、そうだ。何ならもう一度スカラ!』
子分A『親分、これではほとんど攻撃が通じません!』
子分B『親分、何かいい方法ないでしょうか?』
カンダタ『とにかく攻撃するしかないだろ!』
子分C『そんなこと言われても…。』
『どうした?かかってこないのか!ならこっちから行くぞ!』
攻撃態勢に入ったテリーは手始めにイオラを唱え、全員にダメージを与えた。
それに続いてカンダタ達は一斉攻撃をしてきたが、両手に持った剣に阻まれ、仮に当たってもほとんどダメージらしいダメージにはならなかった。
『フン!お前達、その程度の力か。だが、俺は手加減しないぜ。ライデイン!』
テリーがらいめいの剣を振りかざすと、全員にかなりのダメージを与えた。
『ほらほら、どうした!?かかって来ないのか?じゃあ、続けていくぞ。ばくれつけん!』
攻撃はカンダタと子分達3人に1回ずつヒットし、子分は全員ダウンしてしまった。
『お前達…。お、おのれ!』
カンダタは突進するように攻撃をしてきたがテリーは素早くかわし、持っていたオノを弾き飛ばした。
『お、おのれ…。よくも俺様の武器を!』
『降参しろ!』
『な、何だと!』
『さもなければ本気でお前を倒す!』
テリーはルカニを唱え、カンダタの守備力を大きく下げた。
『これが最後通告だ。降参しないのなら、次のターンでお前はお陀仏だ。』
彼は大きく息を吸い込み、気合ためのモーションに入った。
それを見て、さすがのカンダタも青ざめてしまい、完全に戦意を喪失した。
『くっ!やむを得ねえ!ここは退却だ!』
カンダタはオノを拾いに行こうともせずにキメラの翼を使い、子分達と一斉に飛び立っていった。
『テリー…さすが…。強い…。私…尊敬する…。』
デュアナ『キャーッ!テリーお兄ちゃん、かっこいい!』
デュナン『僕も大きくなったらそれくらい強くなる!』
『じゃあ、何か武器が必要だな。カンダタが落としていったオノでは重いだろうから、それを売ってお前達に使えそうなものでも買うか?』
2人『うん、賛成!』
リベラ「テリー、凄い強さだったんだね。」
「そう。私もお父さんもビックリだったわ。そしてお父さんはテリーさんがオノを売って得られたお金で、デュナン君にはブーメランを、デュアナさんにはいばらのムチをプレゼントしたわ。そしてテリーさんには命の木の実を渡したの。」
「あっ、その実ってこの前、彼が持ってきたものに違いないわ。」
「そうなの?じゃあバーバラさんはお父さんから間接的に実をもらえたことになるわね。」
「うん。だから、後であなたのお父さんにお礼を言っておくね。」
「じゃあ、今から家の中に案内するわ。」
「ありがとう!」
「それじゃ、僕もお世話になります。」
バーバラとリベラはエリザに連れられて、彼女の家の中に入っていった。
そして町長にお礼を言った後、お茶とお菓子をごちそうになった。
会話が終わると、3人は町の中を歩き回り、そして町の外に移動して、薬草の材料になる野草や、食べられる実や種などのアイテムを探しに行った。
その頃、チャモロはこの日も慈善活動をしながら、命の木の実を集めるための活動をしていた。
その中で、アークボルトに行った彼はホリディから守りの種を、ガルシアから力の種をもらった。
実はこれらは以前、ブラストから命の木の実をもらった時に一緒に提示されたものだったが、その時は断っていた。
だが、ブラストが「これらもきっと誰かの役に立つはずだ。」と言ってくれたこともあり、今回は受け取ることにした。
そして彼はマーズの館にやってきたが、運悪く留守だったため、代わりに徒歩でサンマリーノに向かうことにした。
その途中、彼は運悪く盗賊2人組に遭遇してしまった。
盗賊A「おい、小僧!持ち物とお金を置いていけ!」
盗賊B「それとも、俺達と勝負するか?」
彼らの目は本気だった。
(どうしましょう?私は久しく戦闘をしたことが無いですし、持っている武器はあろうことか、ゲントの杖しかない。呪文で一応バギマはあるけれど、ブランクが長いから、威力が低下しているでしょうけれど、こうなっては仕方ありませんね。)
チャモロは意を決して1対2の戦いに身を投じた。
しかし盗賊2人は先制攻撃をしてきた上に、離れたところから石つぶてを使ってきたため、なかなか彼らのところに近づけなかった。
チャモロはかくなる上はとばかりにバギマを唱えたが、その威力は思ったよりも低かった。
(これじゃ「今のはバギではない…。バギマだ。」と言っているようなものですね。)
彼が焦りの表情を浮かべている中、盗賊Aは砂けむりを、盗賊Bは体当たりを仕掛けてきた。
幸いメガネをかけているおかげで砂けむりこそ効かなかったが、体当たりはヒットしてしまい、チャモロはかなりのダメージを受けてしまった。
(イタタタ…。これではしばらくまともに行動が出来ませんね。こうなったら、もう一度バギマ!)
彼は倒れ込みながら懸命に呪文を唱えたが、今度はバギにも及ばない威力だった。
一方、盗賊は隙ありとばかりに攻撃をしてきて、チャモロは立ち上がったものの、サンドバッグ状態になってしまった。
(このままではやられてしまう。悔しいけれど、退却します!)
追い詰められたチャモロは風の帽子を発動させ、その場を後にしていった。
彼は降り立った場所でベホマを唱えて傷をいやすと、改めて風の帽子を使い、サンマリーノにやってきた。
町ではハッサンとミレーユが並んで歩いていた。
チャモロは2人を見かけると、「こんにちは。」と声をかけた。
「よお、元気か?今日はここで慈善活動か?」
「そういうわけじゃないんですけれど、アイテムを届けようと思ってマーズの館に行ったら留守だったので、それでここに…。」
「あら、おばあちゃん、出かけちゃったのね。今日は留守番の予定だったはずなのに…。」
チャモロ「何か急用でもあったのでしょうか?」
「うーーん…。そんな雰囲気はなかったけれど、タイミングが悪かったようね。せっかく来てくれたのに、ごめんなさいね。」
「私は大丈夫です。今日は守りの種と力の種を届けに来ました。命の木の実じゃなくて恐縮なんですけれど。」
「大丈夫。ターニアが欲しがると思うから。」
「そうですか。それなら良かったです。ところであなた達が仲良さそうに歩いているのを見ると、デートですか?」
ハッサン「そう思うのか?」
「だって、そんな感じがしたから…。って、実際どうなんですか?」
「あなたの想像にお任せするわ。」
「…つまり、デートなんですね。」
「想像にお任せだって言っただろうが!」
ハッサンはムキになってせいけん突きのモーションに入り、寸前で止めた。
「ちょっと!何ですか!」
「冗談だよ、冗談!」
「冗談にしてはきわどすぎます!」
チャモロがハッサンに食って掛かるかたわらで、ミレーユは水晶玉を起動させて、グランマーズと連絡を取ろうとしていた。
普段ならそれでつながるはずだが、今回に限っては応答がなかったため、彼女は何か不安を感じるようになってきた。
「ちょっと悪いけれど、私はマーズの館に戻ることにするわ。ハッサン、せっかくのデ…。」
「デ?デ!?今『デ』って言いませんでした?」
チャモロがイジりだすと、次の瞬間、今度こそハッサンから「ゴツンッ!」とゲンコツが飛んできた。
「痛いなあ。殴ることないじゃないですかあっ!」
「デートじゃねえっつってんだろうが!俺達はただリベラとバーバラが並んで仲良く歩く姿がまぶしかったから、参考にさせてもらっているだけだ!」
ハッサンはすっかり頭に血がのぼっていた。
(これじゃはっきりデートって言っているようなものじゃないですか。)
チャモロが心の中でツッコミを入れていると、ミレーユは「それじゃ、種をいただくわね。」と言って、彼から守りの種と力の種を受け取った。
そしてハッサンに一言謝り、急ぎ足でサンマリーノを後にしていった。
2人になった後、チャモロはここに来る途中で盗賊に襲われたことを打ち明けた。
「私、すっかり油断していたようです。思えば移動の時にはいつも風の帽子を使っていたため、敵に出会わずに済んでいましたが、ひとたび出会ってしまうとこんな苦戦をしてしまうなんて…。」
「確かにマーズの館とここは近い距離だから、歩くのは当然だろうな。運が悪かったんだよ。でも、無事にここまで来られてよかったな。」
「まあ、無事に来られたからそう言えるんですが、平和な世の中になっても戦うことは起こりうるんですね…。」
チャモロは戦闘が無くならないことを嘆きながらも、自分の非力さを悔しがっていた。
「今の私は武器が攻撃力の低いゲントの杖ですから、通常攻撃では到底太刀打ち出来ません。その上、バギマもあんな威力では戦力不足もいいところです。せめて何か強力な武器が手に入れば…。」
「それならよ、俺が持っているグラコスの槍をお前にやろうか?」
「えっ?グラコスの槍ですか?」
「ああ。俺は武器として炎のツメ、リベラは炎の剣、ミレーユは月の扇、バーバラは氷のやいばを使っていてな。結果としてそれが余っているんだ。どうだ?受け取ってくれるか?」
「いいんですか?私がいただいても。」
「ああ。お前なら装備出来るだろうからな。」
「それならぜひ譲ってください。」
「分かった。じゃあ今から持ってくるぜ。ちょっと待っていてくれ。」
ハッサンはそう言うと、急ぎ足で自分の家に駆け込んでいった。
グラコスの槍を受け取ったチャモロは、早速素振りをして、自分にも使いこなせることを確認した。
「よし、今日からその武器はお前のものだ。かっこよさは低いかもしれないが、きっと役に立つと思うぜ。」
「どうも。それじゃ、マーズの館に向かいましょうか。ミレーユさん、ちょっと嫌な予感を感じていたみたいですし。」
「ああ、そうだな。」
2人は徒歩でマーズの館に向かっていった。
その途中、またあの時の盗賊に出くわしたため、チャモロは早速グラコスの槍で通常攻撃をし、ハッサンはてつざんこうやバックドロップ、仕上げにせいけん突きを駆使して、今度は彼らを降参させた。
ハッサン「よお、ミレーユ。気になったんで、来ちまったぜ。」
チャモロ「見た感じ、グランマーズさんはいないようですね。」
マーズの館に入っていった2人は、水晶玉とにらめっこしているミレーユに話しかけた。
「あら、来てくれたのね。そう、私一人なのよ。おばあちゃんと連絡を取ろうにも、まるでどこか別世界にでも行ってしまったかのように、音信不通なのよ。」
「それは困りましたねえ。」
「そうなの。それともう一つ、私としては気になっていることがあるの。」
ハッサン「気になっていることって、何だ?」
「リベラとバーバラのこと。今彼らはトルッカの町にいるんだけれど…。」
チャモロ「そこで何かあったんですか?」
「そう。これを見て。」
ミレーユは水晶玉に映し出されている光景を2人に見せた。
すると、そこには町の近くの森で火災が発生していた。
たまたま森でアイテム集めをしていたリベラ、バーバラ、エリザの3人はあちこちで一斉に火の手が上がるのを目撃した。
リベラ『大変だ!この風向きだとトルッカの町が!』
エリザ『急いで町に行ってみんなを避難させないと!』
『じゃあ、あたしが氷のやいばで今から消火活動をするわ!2人とも、町の人達をお願い!』
バーバラはそう言うと、消防服としてまどうしのローブを着た。
『分かった。僕はみんなを避難させたら助けを呼んでくる!』
『頼んだわ!リベラ、そしてエリザさん!』
『ええ。バーバラさんも気をつけて!』
リベラは一刻も早く町に行くためにルーラを唱え、エリザと一緒に移動していった。
『それにしても、この火のあがり方。ちょっと変ねえ。何だか油臭いにおいがするし、一斉に火災が発生したとなると、放火で間違いなさそうね。』
その光景を見て、ミレーユ達もトルッカに向かうことにした。