夢のまた夢と言われても   作:地球の星

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Quest.3 アモス劇場

 この日、リベラとアモスはロンガデセオの鍛冶屋でコブレ、サリイと共に鉄棒用の棒を作るための作業に参加していた。

 最初はコブレとサリイが中心になって作業をしており、リベラとアモスは見ながら手順を覚えることが中心だったが、途中からリベラが座って熱くなった鉄を火ばさみ越しに持ち、アモスが立ちながら叩く役を買って出た。

 その様子をコブレとサリイは注意深く見守り、時にはアドバイスを送っていた。

「2人ともなかなか覚えるのが早いじゃないか。あたいの予想以上だよ。」

「本当ですか?ありがとうございます。」

「ハア、ハア…。でも、これを休まずに続けるって本当に大変ですね。」

 リベラとアモスはすでに全身が汗びっしょりだった。

「でも、少しでも丈夫な鉄の棒にするためには妥協するわけにはいかん。頑張るんじゃぞ。」

「コブレさん、分かりました。妥協することなく、頑張って叩き続けます。」

「僕も頑張ります。僕が依頼したことですし、鉄の熱さになんか負けてはいられません。」

 2人は息を切らしながら鉄を鍛え続けた。

 

 その頃、チャモロが色々な荷物を持った状態で、鍛冶屋に到着した。

「こんにちは、コブレさん、サリイさん。チャモロです。」

「チャモロ君か。こんにちは。」

「今日は何の用だい?またあたい達に新しい仕事の依頼かい?」

「実は農作業道具をもらった人達が、あなた達へのお礼としてお弁当を4人分作ってくれたので、それを持ってきました。」

「お弁当かね?これはありがたい。」

「じゃあ、早速あたい達が2人分いただくね。」

「どうぞ遠慮なく。それから、その人達の娘さんからあなた達宛にお手紙をいただいてきましたので、これもお渡しします。」

「そうですか、お手紙まで。私達は本当に皆さんから感謝をしてもらっているようですね。」

「それでこそこっちもやりがいが出るってもんよ。後で読もうな、親父!」

「ぜひ読みましょう。」

 2人は喜びながらお弁当とお手紙を受け取った。

「じゃあ、私は次の目的地に行くので、これで失礼します。」

「早いな、おい。今リベラとアモスも来ているんだぞ。」

「そうですよ。2人にあいさつでもすればいいのに。」

「いえ、ちょっと急ぎの用事なので、ごめんなさい。」

 チャモロはそう言い残すと、急ぎ足で鍛冶屋を後にし、風の帽子を使って飛び立っていった。

 

 コブレとサリイは、リベラとアモスが隣の部屋で頑張って棒を叩き続ける音を聞きながら、おいしそうにお弁当を食べていた。

 そして食べ終わると、もらった手紙を広げて読み始めた。

 そこには、彼女が下手ながらも一生懸命書いた字で、次のようにつづられていた。

 

 コブレさんとサリイさんへ

 このたびは、わたしたちのために、のうさぎょうようのどうぐをつくってくれて、どうもありがとうございます。

 どうぐがとどいたときは、ほんとうにうれしかったです。

 みんなでおかねをだしあって、つくってもらったものなので、わたしのりょうしんをはじめ、まちのひとたちは、みんなだいじにつかっています。

 しごとがなくてこまっていたひとたちも、いまはすごくやるきになって、まいにちさぎょうにはげんでいます。

 ほんとうは、ちょくせつあいにいきたいけれど、いまはまだいくことができません。

 だから、りょうしんにすすめられて、てがみをかくことにしました。

 コブレさん、サリイさん、ほんとうにありがとう。

 

 あと、りょうしんにはないしょだけれど、こないだ、てすとでこたえられなかった、ことわざのもんだいをかいておきます。

 Q.1:そなえあれば(  ?  )

 Q.2:いぬもあるけば(  ?  )

 こたえをおしえてください。

 

サリイ「アハハハ…。子供らしいや!どさくさにまぎれて問題に答えてくれってさ!」

コブレ「他に聞ける人がいなかったんでしょうかねえ…。」

「きっと聞いたら恥をかくとでも思ったんだよ。」

「もしくは、自分のプライドが許さなかったのかもしれませんね。」

 

 2人は休憩の後、リベラとアモスと役割を交代することにした。

 その際、チャモロからお弁当と手紙を受け取ったことを話した。

「ありがとうございます。じゃあ、早速僕もお弁当をいただきます。」

「私もいただきます。そしてそのお手紙も読んでみます。」

 リベラとアモスはお辞儀をしながらお礼を言った。

「じゃあ、あたいたちが引き継ぎをするから、あんたたちはゆっくり休んでいてくれ。」

「あと、2人とも汗びっしょりだから、体もきれいにして、着替えておいてくれ。」

「分かりました。では、僕はお言葉に甘えてそうさせていただきます。」

「私は先にお弁当をいただきます。何しろお腹ぺこぺこなので。」

 アモスは早速お弁当箱のフタを開けて、おいしそうに食べ始めた。

 一方のリベラは「コブレさん、サリイさん、頑張ってください。では、僕は着替えた後でいただきます。」と言って、代わりの服が置いてある部屋に向かっていった。

 そして着替えが終わると戻って来て、お弁当を食べ始めた。

 

 食事後、2人はその手紙に目を通した。

「こうやってみんなから感謝されると、僕達にとってもうれしいですね。」

「そうですね。私もやる気がわいてくるってもんです。ところで、どさくさにまぎれて、質問までするってお茶目ですね。」

「これ、アモスさんなら簡単に答えられますよね。」

「確か、『そなえあれば うれしいな』でしたっけ?」

「違いますよ。『そなえあれば うれいなし』ですよ。」

「あっ、そうでしたね。では2問目は、確か『いぬもあるけば

(注:この直後、アモスが言葉を噛んだことが原因で大変な事態になったため、以降の会話はカットさせていただきます。)

 

 それから2日後、努力の甲斐があって、ついに立派な鉄棒が2本完成した。

「ありがとう、サリイさん、コブレさん、そしてアモスさん。あなた達のおかげで立派なものが出来上がりました。本当にありがとう!」

リベラは満面の笑みを浮かべてお礼を言った。

「それはお互い様さ。あたいもあんたの役に立てて良かったよ。仕事の依頼、ありがとうな。」

「これでまたしばらくの間、生活に困らなくて済みます。こちらこそ、ありがとう。」

「良かったですね。リベラさんのそのうれしそうな顔を見て、私もうれしいです。」

 コブレ、サリイ、アモスの3人も疲れてはいたが、それを忘れるくらいの達成感と満足感に満ち溢れていた。

「それじゃ僕はこの棒を持って、今からルーラでレイドックに戻ります。」

「えっ?リベラさん、少しゆっくり休んでからでもいいのでは?」

「多分ハッサンが支柱を用意してすでにレイドック城に到着していると思うので、彼を待たせるわけにはいきません。」

「そうか。それなら仕方がない。じゃあ、気をつけて。」

「はい、分かりました。アモスさん、ありがとうございます。」

 リベラはお辞儀をしながらお礼を言った。

 さらに、コブレとサリイにもお辞儀をしながら「ありがとうございます。」と言った。

「お気をつけて。また来てください。」

「じゃあ、元気でな。また来てくれよ。」

 2人は笑顔でそう言ってくれた。

 そしてリベラは2本の棒を大事に抱えながら外に出ると、早速ルーラを唱えて、レイドック城に向かって飛び立っていった。

 

 一方のアモスはゆっくり休んだ後、鍛冶屋で料理を振る舞ったりしながら、一夜を過ごした。

 そして翌朝、食事を済ませると2人にお礼を言って、徒歩でロンガデセオを後にしていった。

 一人になった彼はぶらぶらと山道を歩きながら、自分のこれまでの発言を色々と思い出していた。

 

ケース1

『私、彼にフラれた後、食べ物がのどを通らなくて…。』

『じゃあ、すりつぶしてスムージーみたいにしたら、通りませんかねえ。』

 

ケース2

『ホリディがお堀でお待ちです。わっはっは!まじめな顔してシャレですか!』

 

ケース3

『バーバラさんの明るさに、胸がキューンとしました。リベラさんがうらやましいです!』

『やだーーっ!アモスさんにそんなこと言われたら、あたし困っちゃうな。』

 

ケース4

『あっ!木こりの人が大事に使っていたオノを壊してしまった!OH, NO!』

ミレーユ『それ、誰かさんが似たようなことを言っていたわね。』

『誰でしょうか?』

『多分、36歳くらいの力自慢な男の人が言っていたと思うわ。』

 

ケース5

『皆様、この度はスタメンだけでなく、馬車内でもその存在感をいかんなく発揮している、パーティーのアイドル的存在のバーバラさんが、誰よりも積極的にホイミを唱えております。30ポイント以上のダメージを受けている方には、馬車から彼女の愛のこもったホイミが飛び込んでくる場合がありますので、呪文の行方には十分にご注意ください!』

一同『アハハハ…。』(+拍手)

ハッサン『いいぞ、アモっさん!』

 

ケース6

女性『この度はモンスターに襲われていた私を助けていただき、誠にありがとうございます。お礼に、このうさみみバンドを差し上げます。受け取ってくれますね?』

『いや、私は男ですから装備出来ませんし、結構です。』

『そんな、ひどい…。かわの帽子よりも守備力が18高いんですよ。受け取ってくれますね?』

『いいえ。』

『そんな、ひどい…。おなべのフタよりも守備力が18高いんですよ。受け取ってくれますね?』

『いいえ。』

『そんな、ひどい…。ただの布きれよりも守備力が17高いんですよ。受け取ってくれますね?』

『いいえ。』

『そんな、ひどい…。とんがり帽子よりも守備力が17高いんですよ。受け取ってくれますね?』

『いいえ。』

『そんな、ひどい…。布の服よりも守備力が16高いんですよ。受け取ってくれますね?』

『いいえ。』

『そんな、ひどい…。かわのたてよりも守備力が16高いんですよ。受け取ってくれますね?』

『いいえ。』

『そんな、ひどい…。』

(※この後、うさみみバンドよりも守備力の低い装備品の名前が延々と出てきます。)

『いいえ。』

『そんな、ひどい…。魔法のたてと同じ守備力なんですよ。受け取ってくれますね?』

『仕方無いですねえ。まあ、装飾品の名前こそないものの、装備品の一覧表も見ずにそこまで言える知識も凄いですし、さらには延々としゃべり続けてのどがカラカラでしょうから、受け取ることにしましょう。』

『本当ですか?うれしゅうございます。ぽっ。』

 

 彼がこれまでの発言を思い出しながらニヤニヤしていると、近くにある茂みのところで、何かガサガサ音がしたような気がした。

(ん?誰かいるのか?モンスターか?それとも?)

 彼は腰にさしていた剣に手をやって身構えた。

 すると次の瞬間、茂みが大きく揺れ、2人組の男女が姿を現した。

「何だ、お前達は?」

「おいっ、お前!武器を捨てろ!」

「有り金とアイテムをよこせ!」

 女性と男性はいきなりアモスを脅してきた。

「あの、その前に名前を教えてもらえませんかねえ?私はアモスと申します。」

 こんな状況になっても、彼は至って冷静だった。

「あたいはトーイ。こっちは弟のレイだ!こう見えても盗賊やってんだよ!」

「そうさ。俺達は一度逮捕された後、脱獄してまたこうして活動をしてんだ!」

(※この2人はマンガ版の第1巻で登場します。)

「あの、わざわざ自分で盗賊だの、脱獄だの言わなくても…。」

「うるさいね!とにかくあたい達はお金とアイテムを欲しがってんだよ!」

「もしくは、俺達の仲間になれ。もし味方になれば、世界の半分をお前にやろう。どうだ?味方になるか?」

「じゃあ、遠慮なく。」

「本当だな?」

「はい。」

「では世界の半分、『世』の字を与えよう!」

「く…、くだらないですね。やっぱり結構です。」

「おろか者め!思い知るが良い!」

 結果的にアモスは誘いを断ったことで、戦闘に巻き込まれてしまった。

 

 1ターン目(2人の先制攻撃)

 トーイ:通常攻撃(成功)

 レイ:盗み(アモスは薬草とアモールの水を盗まれた)

 

 2ターン目

 トーイ:あしばらい(成功)

 アモス:あしばらいのため、1回休み

 レイ:通常攻撃(成功)

 

 3ターン目

 レイ:捨て身(アモスは攻撃をかわした)

 アモス:通常攻撃(レイにヒット)

 トーイ:みかわしきゃく

 

 この後、アモスは通常攻撃とホイミで懸命に応戦していた。

 しかし相手が2人である上に、トーイがあしばらいやみかわしきゃくを駆使するため、当たれば大きいはずの攻撃力をなかなか思うように発揮出来ずにいた。

 さらにその隙にレイが盗みを挟みながら力任せの攻撃を仕掛けてくるため、じわじわとダメージが蓄積してきた。

(このままではまずい。何とか打開しなければ。かくなる上は…!)

 そう思ったアモスは、変身することを選択し、モンスターに姿を変えた。

「ぎょええーーーっ!ちょ、ちょっと待ったーーっ!何だこいつは!!」

「正体はモンスターだったのか!?マジ、降参!こんな奴と戦ったら殺される!」

 トーイとレイの2人は腰を抜かすほど驚き、尻もちをついたまま、とうとう戦闘を放棄してしまった。

 戦いはアモスの勝利に終わった。

 彼は元の姿に戻ると、盗まれたものを返してもらえるよう、お願いをした。

「あわわわ…。分かりました。返します、返します。」

「さらにあたいからはおなべのフタとステテコパンツ、そして120ゴールドを差し上げます。」

「カ、カッコよさ超マイナスなんですが、まあいいでしょう。受け取ります。」

 結果、アモスは盗まれたアイテムに加えて上記の2つと、お金を手に入れた。

 

 その後、アモスは一人でテクテクと歩き続け、その日の夕方にとある町に到着した。

 そこで泊まるための宿を探していると、そこでテリーにばったりと遭遇した。

「アモっさん、どうしたんだよ、こんなところで。」

「いやあ、そろそろ宿で一休みしたいなと思って。テリーさんこそ、ここで何を?」

「同じく、宿に泊まろうと思ってな。でも、ここ、ちょっと高くてな。」

「じゃあ、私は盗賊からこんなアイテムをもらったので、これを売って宿代にでもしましょうか?」

「何だこれは!趣味の悪い盗賊だな。」

「私もそう思います。」

 そうしているうちに辺りは暗くなってきたため、2人は急いで道具屋に向かい、ステテコパンツとおなべのフタを売った。

「ところでアモっさん、うさみみバンドまで持っているじゃないか。何でそんなものを?」

「あっ、これですか?実は以前、モンスターに襲われていた女性からいただいたんですよ。でも私は装備出来ないから、売るしかないかなと思っているんですが…。」

「じゃあ、俺にそれをくれないか?」

「テリーさんも装備出来ないのに、どうしたんですか?」

「そのうちドランゴに会おうと思っているんだ。彼女が以前『私もうさみみ着けたい』と言っていたから、望み通り着けさせてやろうと思ってな。」

「ドランゴさんにそんな好みがあったなんて…。私にはそんな姿、ちょっと想像出来ませんが。」

「ああ。俺も意外だった。」

 2人が話をしていると、宿屋の前までやってきた。

「じゃあ、アイテムを売ったお金もあることですし、これで今日は一緒に泊まりましょうか?」

「アモっさん、いいのか?割り勘しなくても。」

「私は大丈夫です。これで払わせてください。」

「じゃあ、言葉に甘えるぜ。」

「分かりました。」

 こうして2人は宿屋にチェックインしていった。

 

 




 このQuest.3の後半に登場するトーイとレイは、元々ビッグとスモックでした。
 ステテコパンツはその名残です。
 変更した理由としては、回想シーンの後、全然女性キャラが出てこなくて、何だかむさい気がしたからです。

 僕はドラクエに限らず、RPGの敵キャラに女性(またはメス)がもっといてほしいという気持ちを持っていることもあって、スライムベス(英語名:She-slime)はメスと考えていますし、敵キャラのまほうつかいは、中身が女性でもおかしくないと考えています。
 それを踏まえて、次のQuest.4にも女性の敵キャラが登場します。
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