テリーとドランゴは、チャモロ、アモスに合流した後、早速とある村へと向かっていった。
するとそこにはすでに何匹ものモンスターがいた。
ほとんどの住民はすでに外に避難していたが、中には「クワ攻撃!カマ攻撃!!」と言いながら戦っている人もいた。
しかし彼らだけでは対応しきれず、状況は段々不利になりつつあった。
アモス「少し来るのが遅かったかもしれませんね。」
チャモロ「とにかく一刻も早く手を打たなければ。」
「戦う…今から…、ギルルルン。」
「それじゃみんな。気合を入れていくぞ!」
テリーがみんなを鼓舞すると、住民に助太刀をする形でずしおうまるとバーサクオークと戦闘になった。
先制攻撃はバーサクオークで、いきなり捨て身でアモスに大ダメージを与えた。
それを見たチャモロはすかさず彼にベホマを唱え、HPを回復させた。
テリーは隙が大きくなったバーサクオークに二刀流で連続攻撃を浴びせた。
ずしおうまるは振り回しでテリーを攻撃したが、かわされてしまった。
アモスは立ち上がるとお返しとばかりにバーサクオークを攻撃し、ダウンさせた。
そして久しぶりに戦闘に復帰したドランゴは炎の剣で強力な通常攻撃と追加攻撃を行い、ずしおうまるに大ダメージを与えた。
次のターンでずしおうまるは再度振り回しをしてきて、ドランゴにヒットさせた。
しかし続けざまにテリーのせいけん突き、チャモロのメラミ(←バーバラが渡してくれた炎のツメ)、アモスの通常攻撃を受け、ドランゴが反撃をする間もなくダウンしてしまった。
チャモロ「ドランゴさん、本当にこれまで引退していた身なんですか?」
「確かに…私…引退していた…。今まで…。」
アモス「それにしては凄い攻撃力でしたけど。」
「それ…多分…体、成長したから…。私…まだ…大人…じゃない…。ギルルルン。」
テリー「おいおい、だったらお前はこれからどれだけ強くなるんだよ!」
「分からない…。」
ドランゴの底知れぬ実力を見せつけられたテリー達は驚きを隠せなかった。
住民A「本当にありがとうございます。」
住民B「おかげで助かりました。」
アモス「いえいえ、無事でよかったです。」
「でもケガをしているようですね。私がベホイミを唱えてあげましょう。」
チャモロが呪文を唱えると、あっという間に傷が治った。
「ありがとうございます。私達も戦いに参加します。」
「いや、あんた達は安全なところに避難してくれ。」
「家族…心配…している…、多分…。」
テリーとドランゴがそう忠告をすると、住民の人達は「分かりました。では家族のところに向かいます。」と言って、走って彼らのもとに向かっていった。
その後、彼らは複数のずしおうまるとバーサクオーク、そして魔王のつかいと戦闘をした。
テリーは全体攻撃の時はライデイン、単体攻撃の時はせいけん突きやばくれつけんを使いながら攻撃をした。
チャモロは最初のターンでメラミなどで攻撃をして、それ以降は回復に専念した。
アモスははやぶさの剣でひたすら連続攻撃を行い、チャモロだけでは回復が追い付かない時にはゲントの杖で回復要員も兼任した。
ドランゴは素早さが低すぎるために相手の攻撃を全くかわすことが出来ず、ほとんど確定でターンの最後に行動していたが、それでも非常に高い攻撃力と激しい炎のおかげで、単体攻撃でも全体攻撃でも大活躍をしていた。
やがて村からモンスターを撤退させることに成功した彼らは、村人達から大歓迎を受けた。
そしてごちそうをしてもらいながら、命の木の実などの色々なアイテムをもらった。
彼らが旅人の洞くつの前に降り立つと、外ではリベラが一人でドラグーンの世話をしていた。
テリー「おっ、その子とうまくやっているようだな。」
「うん。楽しく過ごしているよ。」
「ギルルルン、それ…うれしい…。子守り…、お願い…。」
「心配しないで。すっかり自信もついたから。」
リベラが楽しそうに答える姿を見てドランゴも安心した。
するとミレーユが水晶玉を持った状態でやってきた。
「姉さん、帰ったぜ。」
チャモロ「無事にモンスターは討伐出来ました。」
「テリー。それにみんな、お帰りなさい。元気で何よりだわ。」
「あと、久しぶりに命の木の実を手に入れたので、届けに来ました。」
「どうもありがとう!」
アモスが実を差し出すと、ミレーユは喜んで受け取った。
彼女は今からリベラと交代で子守りをすること、そして他の場所にもモンスターが出没していることを伝えた。
アモス「今度はどんなモンスターですか?」
「それがね…。」
ミレーユが水晶玉に手をかざしてそれを映し出すと、そこには異世界からやってきたと思われるモンスター達が集団で歩いていた。
テリー「確かに結構強そうな奴らだな。」
「このまま…歩く…、この先の町…、危ない…。」
アモス「もし襲われたら間違いなく町は廃墟になるでしょうね。」
チャモロ「ということは、早く手を打たなければいけませんね。」
「お願いしてもいいかしら?私はこの場を離れられないし、ハッサンは月鏡の塔でスミスやホイミン達の手伝いをしに行ったの。そしてバーバラは休みたいという理由でライフコッドに戻っていったわ。」
「分かった。姉さんがそう言うのなら俺達で行ってやるよ。」
テリーは渋い顔をしながらも、依頼を承諾した。
するとそこにリベラがやってきた。
「今度は僕も一緒に行かせてもらっていいかな?」
テリー「お前も行くのか?」
「まあ、あれから色々考えたんだけれど、やっぱりみんなに申し訳ない気がしたんだ。バーバラはすでにベッドに入って眠っていると思うから、今はそっとしておいてあげたいし。」
アモス「おおっ!じゃあリベラさんも一緒に来てくれるんですか!それはありがたいです。」
こうしてリベラは炎の剣を返してもらった上でパーティーに加わることになり、ドランゴはグラコスの槍を装備することになった。
彼らが現地にやってくると、あくまのきしが部下であるスターキメラ、キラーリカント、ドラゴン、だいまどうを引き連れて、町に近づいているところだった。
リベラ達がモンスター達の前に立ちはだかると、ドラゴンとドランゴが彼らの言葉で会話を始めた。
ドランゴは何とかして戦闘をすることなく撤退してくれるように申し出たが、あくまのきしに拒否されてしまい、4匹の部下達も彼には逆らえなかったため、結果的に1対1で戦うことになった。
「ちっ。話してダメなら戦って分からせるまでだな。」
テリーは顔をしかめながら気合を入れ、戦いに備えた。
1回戦はチャモロ対スターキメラだった。
先制攻撃はスターキメラで、いきなり火炎の息でダメージを与えた。
チャモロは毒蛾のナイフで攻撃をしてマヒの効果を狙ったが、その効果は期待出来なかったため、今度は炎のツメを道具使用した。
しかしかなりの耐性を持っているのか、思ったほどのダメージにはならなかった。
(こうなったら次はバギマで攻撃ですね。)
彼がそう考えていると、スターキメラは通常攻撃をしてきた。
チャモロは身かわしの服の効果もあって、直撃は避けられたものの、それでも高い攻撃力が響いてある程度のダメージを受けた。
両者はお互い火炎の息とバギマをメインに攻撃をした。
(※とはいえ、スターキメラはバギ系に弱耐性を持っているため、バギマの威力もある程度軽減されました。)
そしてダメージが蓄積してくると、両者はお付き合いと言わんばかりにベホマを唱え、ダメージを完全にリセットさせた。
「これでは戦闘が終わりませんね。それなら!」
チャモロが試しにマホトーンを唱えると、見事に呪文を封じ込めた。
一方、回復が出来なくなったスターキメラは本気を出したのか、突如激しい炎を吐いてきた。
一気にHPが減ったチャモロはすかさずベホイミでダメージをリセットさせた。
彼はまるで勇者がりゅうおうの第二形態と戦った時のように、地道にダメージを与えながら回復を繰り返すというやり方で戦った末に、どうにか勝つことが出来た。
「良かった、勝てて…。マホトーンが無かったら確実に負けていましたね。」
チャモロは心の底からほっとしていた。
2回戦はアモス対キラーリカントだった。
どちらも通常攻撃でダメージを与えるという肉弾戦キャラで、小細工無しの真っ向勝負になった。
はやぶさの剣を持つアモスは常に2度攻撃が出来るため、当たればキラーリカントを上回るダメージを与えられた。
とはいえ、時々攻撃をよけられてしまい、その度にアモスの表情に焦りの色が浮かんだ。
どちらが早く相手のHPを削り切るかという一戦は、最終的にアモスがHPを4分の1以下に減らしながらもキラーリカントを降参させ、軍配が上がった。
3回戦はドランゴ対ドラゴンという、名前が似た者同士の対決になった。
先制攻撃はドラゴンで、通常攻撃をしてきた。
一方のドランゴはグラコスの槍で通常攻撃を叩き込み、鋼のように固い体を誇るドラゴンにある程度ダメージを与えた。
次のターンではお互い激しい炎を吐き、双方にダメージを与えた。
ドランゴは攻撃こそ確定で後手に回っていたが、攻撃力は相手を上回っていたため、ターン終了時のダメージ量では徐々にリードを奪っていった。
しかしかなりのHPを持っているドラゴンはなかなかダウンしなかった。
その間、回復手段を持っていないドランゴのHPは減る一方で、タフな体力の持ち主である彼女にもさすがに焦りが浮かんできた。
(今度…激しい炎…受ける…。それ…危ない…。)
次の一撃で決着をつけなければと思った時、ふと彼女の脳裏に子供の声が聞こえたような気がした。
『ギル、ギルルン。(ママ、頑張ってね。)』
するとそれが引き金になったのか、突如ドランゴが覚醒し、「ギルルルーーーン!!」と叫びながらしゃくねつをぶっ放した。
「ギャフフーーーン!!」
思わぬ大ダメージを受けたドラゴンは、その場にバタリと倒れ込んでしまった。
「ギルーーーッ!ギルルン!!(キャーーーッ!ごめんなさい!!)」
ドランゴは悲鳴をあげて謝り、誰でもいいから何とかしてくれるようにお願いした。
するとスターキメラが大急ぎでベホマをかけてくれたおかげで、おおごとになるのは免れた。
「ギルルン!ギルルルン!(ごめんなさい!やり過ぎました!)」
「ギャフフン…。ギャフギャフ…。(ビックリした…。死ぬかと思った…。)」
「ギルルン…。(ごめんなさい…。)」
ドランゴは平謝りをした後、スターキメラに向かって頭を下げた。
彼女は人間には通じない言葉で「当然のことをしたまでよ。」と言って、ドランゴをなだめた。
この時点でリベラ達のパーティーが3連勝し、勝ち越しが確定したことを受けて、ドランゴはどうかこのまま元の世界に帰っていってくれないかお願いをした。
それを受けて、ドラゴンはあくまのきしに意見を求めたが、彼は残り2戦が終わったら考えるという決断を下したため、勝負はこのまま継続となった。
4回戦はテリー対だいまどうだった。
テリーは先制攻撃でメラミを唱えたが、だいまどうの身に付けているローブが威力を半分以上軽減したため、少ししかダメージを与えられなかった。
一方のだいまどうは反撃とばかりにベギラゴンを唱えてきて、テリーにかなりのダメージを与えた。
次のターンでテリーはせいけん突きをくらわせた。
一方のだいまどうは通常攻撃でダメージを与えたが、威力はベギラゴンには及ばなかった。
「これで決着をつけてやる!くらえっ!!」
テリーが二刀流でばくれつけんを使うと、やめられない止まらない連続攻撃となり、あっさりと勝負がついてしまった。
「つまらん戦いだったな。とはいえ、俺が大将ではお前の立場が無いからな。後は頼んだぞ、リベラ。」
「うん。分かった。」
テリーに肩をポンと叩かれたリベラは大きく深呼吸し、勝負に備えた。
最後の勝負はリベラ対あくまのきしだった。
先に行動したのはリベラで、自身にバイキルトをかけた。
しかし、あくまのきしがラリホーを唱えてきたため、リベラはダメージを与えることもなく眠ってしまった。
アモス「眠っちゃダメですよ!」
チャモロ「めった打ちにされてしまいますよ!」
彼らの心配は見事に的中してしまい、リベラは何も出来ないまま、相手の攻撃を受けてしまった。
幸い2ターン目に目を覚ました彼はとっさに力の盾でHPを回復させた。
しかし、あくまのきしはそれを見計らった上でまたラリホーをかけてきたため、リベラはせっかくのバイキルトを全くいかせなかった。
そうしているうちにHPが危険な領域に入りそうになったため、これ以上傍観するわけにはいかなくなったチャモロはとっさにベホマを唱えた。
テリー「おい、助太刀はルール違反だぞ。」
「だってしょうがないじゃないですか!あんなえげつない手段を使われて、しかも殺気だった攻撃をされたら、もはや勝負ではありません!取り返しのつかないことになってしまいますよ!」
「そうか。だったら仕方ねえ。俺も手助けしてやるよ。」
テリーは吐き捨てるようにそう言うと、あくまのきしにマホトーンをかけ、呪文を封じ込めた。
すると彼はターゲットをテリーに切り替えてきた。
「チャモロ、これ借りるぞ。」
テリーは素早い動きで毒蛾のナイフを奪い取った。
「ちょっと!これじゃルールも何も無いじゃないですか!」
「今さら知ったことか!」
彼は素早くあくまのきしを攻撃し、追加攻撃で相手を動けなくさせた。
「リベラの恐怖を今度はお前が味わえ!」
テリーはルカニを2回唱えると、今度はリベラからラミアスの剣を奪い取り、自身にバイキルトをかけた。
「テリー!やりすぎだよ!」
「お前を殺そうとした奴だぞ。」
「でも…。」
「とにかく俺はこいつを倒す!リベラは下がってろ!」
テリーが鬼のような形相をしながらあくまのきしに向かっていこうとすると、部下達が彼の前に立ちはだかってきた。
「ギャフギャフ!ギャフフフン、ギャフギャフフン!(お願いです!アイテムをあげますから、命はお助けください!)」
ドラゴンは命乞いをするようにお願いをした。
テリー達は最終的にそれを受け入れ、これ以上の攻撃をしないことにした。
「テリー、ごめん…。」
「フンッ!お前でも1対1では大きな弱点があるってことだな。」
「そうだね…。せめてマホトーンが使えれば…。」
チャモロ「それは巡り合わせが悪かっただけですよ。」
アモス「多分私が戦っていてもこうなったと思います。」
2人の励ましを受けてもリベラは事実上の敗北だっただけに、気持ちは晴れなかった。
一方、モンスター達はまじんの鎧と、だいまどうが身に付けていたローブを手渡してくれた後、この世界から撤退していった。
チャモロ「このローブは私が装備出来そうですね。これで強力な防具が手に入りましたし、ミレーユさんから借りなくて済みそうです。」
アモス「でも、もう一方のまじんの鎧はちょっと嫌な予感がしますね。」
リベラ「でもこの鎧だったら、ドランゴには役に立ちそうな気もするけれど…。」
「多分…そう…。私…装備…出来る…。ギルルルン。」
ドランゴは自らもらうことを申し出た。
テリー「いいのかよ。デメリットがあるのに。」
「問題ない…。」
ドランゴはこれまでほぼ確定で最後に行動していただけに、素早さが0になっても大した影響がないことや、守備力が大きく上がる上に呪文などに耐性がつくことを挙げた。
「そうか。だったらお前にやるよ。これで防具が出来たわけだから、さらに活躍が出来そうだしな。」
「ありがとう…。私…大事に使う…。」
ドランゴはその場で装備こそしなかったものの、大事に使うことを約束した。
作中でドラゴンがしゃべっている口調は、スターオーシャン2に登場するアシュトンに憑依したドラゴンの「ギョロ」と「ウルルン」を参考にしました。
僕はDQ6の主人公&バーバラだけでなく、SO2のアシュトン&プリシスも結構気に入っています。
また、今回登場したあくまのきし率いるパーティーで、スターキメラをメンバーの紅一点として解釈してみました。