ゴーレムのゴレムス、スライムナイトのピエール、オークキングのオークスを仲間として迎えたリベラ達は、みんなでアジトの中を進んでいった。
入口付近では大したことのないような感じだったそのアジトは、実際に入ってみると迷路のようになっていて、地下深くまで続いているような感じだった。
その中で、彼らは何度か敵意をむき出しにしたモンスターや人間と遭遇した。
相手がモンスターの場合はホイミンやゴレムス達が会話をし、人間の場合はリベラ達がまず彼らと話しかけて、ここに来た理由などについて聞いてきた。
その結果、話し合いで戦闘を回避出来たこともあったが、必ずしもうまくはいかなかった。
戦闘になった時、単体攻撃を重視する場合はリベラ、ハッサン、ゴレムス、ピエールがスタメンに入り、通常攻撃や特技を駆使した。
その中でピエールはハッサンから気合ためを教えてもらい、すぐにマスターして使い始めた。
一方、複数攻撃を重視する場合はリベラ、ミレーユ、オークスが戦うことになり、リベラとミレーユはライデインを、オークスがマヒャドを唱えた。
残りの一人はハッサンかピエールが入り、ハッサンがスタメンの場合はまわし蹴りや炎の剣のイオを、ピエールの場合はイオラを唱えた。
途中で回復が必要になった場合はホイミンが一時的に入り、ベホマやベホマラーを唱えた。
なお、バーバラは体に故障を抱えていることをリベラに考慮されて、敵の呪文や打撃攻撃の当たらないところにいた。
そのため、ラリホーやマホトーンなど敵にかける呪文が使えず、スクルトやベホイミでリベラ達の援護をしていた。
4人と4匹は戦闘後の敵のドロップや、宝箱からHP、MP回復アイテム、装備品、異世界への移動アイテムなどを手に入れた。
その際、HP回復アイテムは移動中の回復呪文の節約のために、MP回復アイテムは呪文をある程度唱えたメンバーがその場で使っていった。
装備品はゴレムス達がその場で装備していき、異世界への移動アイテムはリベラ達とゴレムス達のパーティーで共有していった。
地下4階までは戦闘の連続だった彼らだったが、5階に来ると途端にパッタリと止んだ。
バーバラ「何だかこれまでとは違って凄く静かね。」
ハッサン「そうだな。それがかえって不気味だけれどな。」
ミレーユ「どうやらここからはボスが待ち構えていそうね。」
リベラ「多分そうだろうな。気合を入れていくぞ。」
「僕がみなさんのHPを満タンにしましょう。」
ホイミンは回復呪文を何度か唱えてくれた。
彼らが歩いていると、突き当り付近にジャミというモンスターがいた。
リベラ達には面識がないが、彼はゴレムスに呪いをかけてきた張本人であり、ゲマの手下でもあっただけに、ゴレムス達にとっては因縁の相手であった。
「そうか。呪いが解けたのか。どうせならそのままこの世界で暴れまわって欲しかったが、こうなった以上、ゴレムスよ。お前はもう必要ない。オークス、ピエールともども仲良く死ぬがいい。」
彼は早速自身にバリアとマホカンタを張り、先制攻撃でゴレムスに連続でダメージを与えてきた。
戦闘にはゴレムス、ピエール、オークスに加えてリベラが飛び入りで参加し、ピエールは気合ためをして、ゴレムスは瞑想でHPを回復させ、リベラは通常攻撃をした。
しかしバリアのせいで守備力が異常に高く、ほとんどダメージが入らなかった。
ジャミはバギクロスで全員にかなりのダメージを与えてきたため、オークスはとっさにベホマラーを唱えた。
次のターンでリベラは自分にバイキルトをかけ、ピエールは力任せの攻撃で多少のダメージを与えた。
ジャミは凍える吹雪で全員にダメージを与えてきたため、オークスは再度ベホマラーを唱えた。
そしてゴレムスが力任せの攻撃を浴びせた。
しかしジャミはHP自動回復の能力を持っていたため、せっかくのダメージが一瞬でリセットされてしまった。
それを見たリベラはバイキルト状態のラミアスの剣で精一杯の攻撃をした。
すると剣がまぶしく光り、ジャミのバリアとマホカンタを一気に解除した。
「な、何だと!?」
とっておきの切り札を封じられた挙句、守備力を下げられたジャミはとっさにリベラに通常攻撃をしてきたが、彼はうまく攻撃をかわした。
ピエールは再び気合ためのモーションに入り、ゴレムスとオークスは通常攻撃を叩き込んだ。
この時点でジャミの自動回復や呪文の耐性はすでに失われていたため、この時点ですでに流れはリベラ達に傾いていた。
その後はミレーユとまじんの鎧を外したハッサンも飛び入り参加して総攻撃を仕掛け、ついにジャミを打ち負かした。
「お、おのれ…。だが、俺はこのままムザムザとはやられん!」
彼はそう言うと、渾身の一撃とばかりに、何か呪いのようなものを唱え始めた。
「あっ!危ない!」
ハッサンが叫ぶと同時に、リベラはとっさにラミアスの剣を道具使用した。
するとバリアとマホカンタが発動し、リベラに向かって放ってきたその呪いをはね返した。
「な、何い!?」
ジャミは思いもよらない状況を再び見せられ、驚いたまま呪いを浴びてしまった。
すると彼は少しずつ体が石化していった。
「ま、まさか…。嘘だ…。こんなことに…なる…なんて…。」
やがて彼の体は完全に石になってしまった。
ハッサン「リベラ、倒せて本当に良かったな。」
「うん、一時は倒せないんじゃないかと思ったけれど、良かったよ。」
ミレーユ「その剣が本当に役に立ったわね。」
「そうだね。バイキルトと凍てつく波動に加えてこの効果も加わるとなれば、本当に頼りになるよ。」
バーバラ「リベラ…。良かった、無事で…。」
「ごめんね、心配かけて。」
リベラは彼女のところに歩み寄り、両手を彼女の両肩に置いて見つめ合った。
この後の2人の運命をハッサンとミレーユは知っているだけに、彼らはその光景をうれしそうに眺めていた。
5階の奥には何か旅の扉らしきものがあった。
オークス「ここは俺達が通ってきたところだな。これで元の世界に帰れるぜ。」
ピエール「でも、長くは持ちそうにないようなので、早く帰る必要がありますね。」
ゴレムス「出来ることなら、君達ともっと一緒にいたかったが、仕方がないな…。」
彼らは名残惜しそうな表情をしていた。
リベラ「でも、異世界に移動出来るアイテムを手に入れたんだから、きっとまた会えるよ。今度ここに来てくれたら、この世界をゆっくり案内してあげるからね。」
ピエール「それはありがたいですね。ぜひお願いします。」
オークス「お前達が困った時には、ぜひこちらの世界に来てくれ。力になるぜ。」
「分かりました。」
一行が残された時間を噛みしめるように会話をしていると、ゴレムスは自分達が遠い未来の世界からやってきたことを打ち明けてくれた。
それを知ったハッサンは、これから何が起きたのかについて問いかけてみた。
しかしピエールはそこまではよく分からないことを伝え、続けざまにオークスはたとえ知っていたとしても、もし教えてしまうと歴史を狂わせるかもしれないからということで、未来のことについては何も語ってくれなかった。
「結局、未来は白紙ってことよ。私達の手で見つけ出していかなければね。」
「分かったぜ、ミレーユ…。」
ハッサンは自分達2組のカップルがこれからどうなるのかを知ろうとしたが、それは結局出来なかった。
そしてリベラ達はまた会えることを約束しながら、彼らが元の世界に帰っていくのを見届けた。
階段を下りて地下6階にやってくると、そこにはカンダタと4人の子分達が待ち構えていた。
それを見て、さっきまでのリベラ達の気持ちは一瞬にして吹き飛んでいった。
「お前達、ここまでやってきたのか。だが、今の俺達は以前とは違うぜ。誰が相手でも負ける気がしねえからよ。」
カンダタは完全に上から目線で語りかけてきた。
「僕達は出来ることなら戦いたくはない。それ以前に、お前はどうしてこの世界にやってきたんだ!目的は何だ!」
リベラは怒りに満ちた表情で問いかけた。
「理由?俺達は盗賊だぜ。世界中のお宝を集めてみたいんだ。そして盗賊王に俺はなりてえんだ。」
カンダタはその後も話を続け、元々住んでいた世界で勇者一行にコテンパンにやられてしまい、逮捕までされたため、その夢が叶わぬものになってしまったこと。
脱獄後に異世界からやってきたモンスターに出会い、そちらの世界は平和であることで、人々の警戒感が薄れていることを教えてくれたこと。
その世界なら自分の前歴がチャラになるために思う存分暴れられるし、最終的に自分が盗賊王になれると思ったことで、この世界にやってきたことを教えてくれた。
「というわけだ。最初はテリーやお前達にあっさりとやられそうだったが、その後、ジャミの能力を俺も分けてもらったから、今の俺達は誰にも負ける気がしねえぜ。その実力を今から思う存分お前達に披露してやる!」
カンダタは自慢気にそう言うと、早速バリアとマホカンタを張ってきた。
(ジャミと同じことをしてきたわけか。だったら、僕はさっきと同じ手を使えば…。)
リベラは口にこそ出さないが、早速対処法を思い付いた。
戦闘になると、リベラは自分にバイキルトをかけ、ミレーユとバーバラはスクルトをかけた。
するとここから相手の怒涛の攻撃が始まり、リベラはカンダタの2度攻撃で大ダメージを受けてしまった。
幸い鎧とスクルトのおかげで致命傷にはならなかったものの、彼の持っている武器が何かとんでもない攻撃力を秘めているようだった。
4人の子分達のうち、3人は通常攻撃でミレーユ、バーバラ、ハッサンにダメージを与え、残りの1人はラリホーでハッサンとミレーユを眠らせてしまった。
ターンの合間にホイミンはリベラにベホマを唱えてくれた。
(ラリホーが厄介ね。まずこれを何とかしなければ。)
バーバラはスクルトの代わりにマホトーンを唱え、子分達の呪文を封じた。
すると子分の1人がラリホーをキャンセルして彼女にダメージを与えてきた。
「まず、あの女をやっちまえ!」
カンダタが指示を出すと、自身も含めて残りの子分達が一斉に集中攻撃を仕掛けてきた。
(やられる…!)
バーバラは自分がお陀仏になってしまうことを覚悟したその時、リベラが彼女の前に立ちはだかってきて、ダメージを一手に引き受けてくれた。
「リベラ、あたしのために…。」
「君のダメージになるって言ったろ。」
「ごめんね…。」
バーバラはゴレムス戦の時に続いて、2度も自分を守ってくれたリベラに頭を下げて謝った。
それを見てホイミンは再びリベラにベホマをかけてくれた。
ここでハッサンは目を覚ましてくれたが、ミレーユはまだ眠ったままだったため、彼はげんこつで無理やりたたき起こした。
「そうか。ここで全員お目覚めというわけか。だったらちょうどいい。あの時の恐怖を再び見せてやる!」
カンダタはトルッカで戦った時に使ったアイテムを取り出し、爆弾岩3匹を召喚してきた。
「これでお前達は一瞬でお陀仏…。」
彼がここまで言ったところで突如「ニフラム!」という声が響いた。
するとその爆弾岩は光に包まれて、その場からいなくなった。
「な、何?」
思いもよらないことが起き、カンダタは驚いていた。
唱えたのはバーバラだった。しかしとっさにだったためか、足ではなく手で唱えていた。
(良かった。あれから爆弾岩の弱点について調べておいて。もしあの時唱えたのがニフラムだったらこんなけがをしなくて済んだけれど…。でも、あの時それを唱えて、もし失敗していたら命はなかったはずだから、確実に切り抜けるにはマダンテしかなかった。でも、今度唱えたらあたしは間違いなく助からないだろうから、対策を練っておいて本当に良かったわ。)
彼女は両手に多少の痛みが走っていたが、それを表情には出さずにいた。
続けざまにリベラはラミアスの剣でカンダタを力一杯攻撃した。
するとジャミの時と同様に剣がまぶしく光り、バリアとマホカンタを一気に解除した。
「な、何だと?これすらも対処するのか!」
カンダタは切り札をまたも失うことになった。
ミレーユは再度スクルトを唱え、守備力をさらに上昇させた。
カンダタ子分達はハッサンに集中攻撃をしてきたが、その守備力のせいで大したダメージにはならず、しかも4回のうち1回は攻撃を受け止めた。
ホイミンはベホマラーを唱え、ハッサンは自分を取り囲んでいる子分達にまわし蹴りを叩き込んだ。
カンダタと4人の子分達との戦いは、徐々にリベラ達の流れになりつつあった。
その中で、切り札を2つも失ったカンダタは、先程リベラに強力な2度攻撃を叩き込んだ武器について話し出した。
「お前達、これははかぶさの剣と言ってな、破壊の剣の恐ろしい攻撃力に加えて、はやぶさの剣の2度攻撃をあわせ持つ武器だ。この武器で八つ裂きにしてやる。覚悟しろ!」
カンダタは懲りる様子もなく、襲い掛かってきた。
それを見てリベラはこちらから攻撃をせず、代わりに自分の剣でカンダタの攻撃を受け止めることにした。
攻撃を2回防ぐと、ラミアスの剣は再び輝きだし、その光がはかぶさの剣に乗り移っていった。
「うおっ!?何だ、これは!?」
カンダタが驚いていると、その剣は2つに分裂し、破壊の剣とはやぶさの剣になった。
「な、何いっ!?俺の最後の切り札がっ!!」
カンダタは自分が色々しゃべったことがあだとなってしまった。
その隙にミレーユはライデインで全員にダメージを与え、バーバラはルカニでカンダタの守備力を大幅に下げた。
4人の子分達はリベラ、ハッサン、ミレーユ、バーバラにそれぞれ行動をしてきたが、リベラとミレーユは攻撃をかわし、バーバラとハッサンは守備力の大幅な上昇もあって、ダメージは少しだった。
ホイミンは再びベホマラーを唱え、ハッサンははやぶさぎりをカンダタにヒットさせた。
リベラ「ミレーユ、メラミ2発でメラゾーマになるんだったら、今度は僕達でライデインを2発同時に放ってみようか。」
「それはいいアイデアね。早速やってみるわ。」
2人は次のターンで早速ダブルライデインを放ち、全員にギガデインに迫るダメージを与えた。
続けざまにバーバラは「メラゾーマ!」と叫びながら炎のツメと足でのメラミを2発同時に放ち、カンダタに命中させた。
(あんたは絶対に倒す!あんたのせいで、あたしがあの後どんな思いをしてきたか!)
彼女は鬼のような表情でにらみつけていた。
カンダタは破壊の剣で攻撃をしようとしたが、呪いで体が動かなかった。
子分達はハッサンに集中攻撃を与えてきたものの、相変わらず守備力の高さに阻まれていた。
彼らはラリホーを唱えようにも、マホトーンで封じられているため、通常攻撃しか術がない状態だった。
ホイミンとハッサンは先程と同じく、ベホマラーとはやぶさぎりを使った。
リベラ「もう少しだ。みんな、頑張ってくれよ!」
ハッサン「ああ、やってやるぜ!」
リベラとミレーユは再びダブルライデインを放ち、子分達を一気にダウンさせた。
バーバラは再びメラゾーマを命中させた。
カンダタははやぶさの剣でリベラに2度攻撃をしてきたが、ラミアスの剣とオルゴーの鎧に防がれてしまい、ダメージを与えられなかった。
そしてハッサンがとどめとばかりに強烈な一撃を叩き込み、ついにカンダタをダウンさせた。
「やったぜ、みんな!」
「私達、勝ったのね!」
ハッサンとミレーユが喜んでいる中で、リベラは厳しい表情でカンダタのところに歩み寄ってきた。
「これで勝負ありだ。この世界から出ていってくれ!」
「それは断る。この世界の盗賊王になるまでは…。」
「そのせいでこの世界の人達が、そしてあの爆弾岩のせいでバーバラがどんな思いをしてきたのか分かっているのか!出ていけ!2度とこの世界に来るな!」
「お、おのれ…。」
カンダタが傷口を抑えながらリベラをにらみつけていると、子分達が目を覚ました。
「お前達、この世界にどうやら俺達の居場所は無いようだ。撤退するぞ。」
「…分かりました…。」
「…仕方ありません…。」
子分達は悔しそうにカンダタの決断を受け入れた。
「そういうわけだ。俺達はこれから元の世界に帰る。」
「本当だろうな?」
「ああ。嘘は言わねえ。お前ら、撤退するぞ。」
「はい…。」
カンダタと子分達はとぼとぼと階段を下りていった。
しばらくすると、下の方からかすかに声が聞こえてきた。
どうやらリベラ達に返り討ちにされたことを誰かに報告しに行ったようだ。
すると「ご苦労だったな。お前達はもう必要ない!」という声が聞こえてきて、「ぐわあああっ!」という、カンダタの悲鳴が聞こえてきた。
ハッサン「何だ?下の階に誰かいるのか?」
ミレーユ「そのようね。つまり、もう一度戦闘になりそうね。」
リベラ「じゃあみんな、MPをしっかり回復させておこう。」
彼らはカンダタを超えるボスとの戦闘に備えて気を引き締めていた。
しかし、かたわらにいるバーバラは…。