殺人を強要されている内に快感を覚えてしまう清純乙女『風』 作:乙女竜
今回は視点ごとに時間がズレます。
オッスオッス!忌み人キラーのフィリアだぜ!
レフコちゃんにおねんねシェーンを見られちまって、丁度良いしこの子にもお友達ができる頃かと思って紹介したんだけど、思ったよりもシャイガールだったみたいだぜ!でも俺がシェーンに絵本を読み聞かせ始めても遠くへ行かなかったから、一緒に遊んであげて欲しいって強く頼んだら了承してくれた!やっぱ優しい子なんだよな〜。
で、今日はまたまた忌み人狩り!忌み人の死体っていつも黒フードが回収していくんだけどあれなんでかね。3年前の晒し上げ処刑の時も父親忌み人を黒フードが持っていっちゃったし。
それはそうと今日の忌み人狩りは一味違うぜ!いつもなら愛しのカホ姉が『あの日私は貴女を止めることが出来なかった』とか何もしなかった癖に勝手に自分の無力を悔いて付いてくるんだけど、今日はソロよ。
なんでかってそりゃあ普通に役立たずのカホ姉を連れて回るより一人の方が効率が良いってのもあるけど、なななんと、愛しのレフコちゃんが事前にターゲットの場所特定とその周辺の人払いを済ませてくれているのだ!!やったぜ!
『殺している姿をずっと見られたくなくて、今までもできれば一人でやりたかったんです』って言った時のカホ姉の遣るせない顔がとても良かったです。
さて、早速ターゲットの家に到着ぅ!今回のターゲットは隠居してるおっさん!何もしてないのに忌み人ってだけで殺すとか、教会って怖ぇ〜。
出来るだけ気付かないまま楽に送ってあげようとか思ってたけど、なんか内側で暴れてるっぽい音が聞こえるし、もしかして起きてる?
ゆっくりと窓から覗き込んだら、おっさんが苦しみながら部屋のものを破壊して回ってたぜ!この人やべぇ!最初は普通に暴れてるおっさんらしかったけど、だんだんテーブルとか椅子とかを殴って破壊し出して、明らかにおっさんの出せる膂力じゃなかったぜ!え、このおっさんってもしかして人殺したことあるの?
とりあえず様子がおかしいので何か問題が起こる前にさっさと殺そうと乗り込んだら────
────おっさんの身体を突き破って魔獣が出てきた。
は?
すかさず短剣で殺した。いまや魔獣如き犬も同然だ。しかし俺はそんなことはどうでもよかった。目の前で起こった事の方が何倍も重要だ。
今、何が起こった?
全く意味が分からなかった。見た事がない。人から魔獣が出る?またいつもの幻覚か?
こんな時に限って、俺の脳は正常に動き出す。
体内に魔獣が入り込んだ?
そんな筈はない。魔獣はデカい四本足だし、スキルのようなものは持たない。両親が死んだ時にその姿は目に焼き付いている。
では誰かの何かしらのスキルの影響?
それも違う。魔獣を生み出すスキルなんて教会が真っ先に消す筈だ。
この人が特別だった?
だとしたら何か兆候があっただろう。俺は何も言われずいつも通り殺しに来た。
俺の頭は勝手に考察を繰り返し、一つひとつそれを潰していく。
そうしてほぼ自動的に正解を探っていき……ぬるっと。脳の奥から考えたくもない答えが湧いて出た。
魔獣を生み出すものは、教会が真っ先に消す筈だ。
違う。気づくな。忘れろ。
目の前の出来事をもう一度反芻する。人から、魔獣が出てきた。
考えるな。仕事は終わった。それだけ。はやく足を動かせ。
まさかとは思うが──。やめろ。思考を止めろ。もう良いから。
──忌み人は時間経過で魔獣になる?
嫌だ。それはダメだ。ダメだよ。そんなのあっていいわけない。間違い。私が馬鹿なだけ。
もう考えない。もう考えちゃいけない。全部見間違い、いつもの私の幻覚だ。だって。
血みどろの手。たった今人を殺した私の手。鋭い爪が生えていて、大きくて黒い毛に覆われた手。違う。おかしい。間抜けな私の思い込みだ。
シェーンも死んでるし、子供を殺したのも私。人殺しの悪魔。大丈夫、ちゃんと全部分かってる。私はまとも。だからこれは思い込み。だって。
だって、お父さんもお母さんも魔獣が殺したんじゃないか。だって魔獣のせいで私の人生はめちゃくちゃになったんじゃないか。
だってそれは、私がそうなるってことじゃないか。
そんなの、怖いよ。
曇らせ成分控えめです。ごめんね。
結構忙しくて続き遅くなります。重ねてごめんね。
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