殺人を強要されている内に快感を覚えてしまう清純乙女『風』   作:乙女竜

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ほわぁあああ!!!もうね、書いて頂いた感想の全てに共感できてすごいことになってる。

まあ右往左往しても私の性癖に従うしかないよね。

あ、今回主人公視点があとです。


棚上げ

12歳になったクソガキの初めての任務は、私がペアだった。

別に望んでそうなった訳じゃなくて、探知能力のないクソガキと探知スキルに特化している私の相性が良かっただけ。

 

クソガキは相変わらず眠れていないみたいで、目元に深い隈がある。こんなに小さな子供が殺人の咎に心を病むだなんて、世の中はクソだ。

クソガキは『眠れなくても大丈夫です』だとか言っていたが、やっぱり子供がやつれているのは気分が悪い。

 

「おい、お前また眠れてないだろ。そんなんで仕事が出来るのかよ」

「良いんです。これが、私への罰ですから。それに、私はもう眠らなくても平気です」

 

にへら、と力なく笑ったクソガキに、どうにも救われない気持ちになる。今日の任務はさっさと終わらせて帰ろう。

 

ターゲットの貴族は、教会に属しておきながら王家派のお友達共に御布施を流していた元助祭の豚野郎だ。一度別のやらかしで役職無しの神父にまで格下げされて、その後裁判にかけられて投獄されたってのにまた内部に入り込んでチームを作っているらしい。バカは死ななきゃ治らないようだ。

 

教会は最早内部から腐り始めている。そういう腐った部分を切り落とす仕事もとうとうこの『白い布』に回ってきた。奴はいま数十軒先の廃墟の中庭で大勢の貴族共と金の受け渡しをしている。

 

今回はそいつらを皆殺しにして死体は放置する。見せしめだ。

 

目的地に着いたのでクソガキを後ろに待機させ、角から様子を覗く。ターゲットの顔を見て、私はすぐに昔見た資料を思い出した。

 

 

─────デクタスッ!!!

確か、クソガキの孤児院の保護者だった筈の男だ。まだあいつはターゲットがこいつだと知らない。どうする?私一人で殺るか?

あいつは敵討ちなんか考えないだろうし、あまりあいつを過去のトラウマに近づけたくない。とりあえず一旦離れさせて中の様子がバレないようにしよう。

 

そんな事を考えていると、クソガキが私の後ろから覗いていた。

 

「……あんなに沢山の人を殺すんですね」

「そうだ。それよりもお前……大丈夫なのか?」

「…はい。もう、人を殺すのには慣れましたから」

 

幸いにも、クソガキはターゲットを覚えていないようだった。それよりも確認のために別の傷を抉ってしまったのが辛い。……人殺しに慣れた、だなんて。12歳の少女に言わせて良い言葉じゃない。

 

金の受け渡しが終わったので、私が合図を出してフィリアが飛び込む。

私がスキルで周囲に膜を張り、逃げられなくなった所をフィリアが短剣で斬りつけていく。小さな体躯で魔獣以上に俊敏に動く彼女は叫ぶ間も与えず切りかかる。相手に向かってから殺すまでの動きはどこまでも効率化されており、数秒で五人が死んだ。

 

私は、フィリアの闘いを見るのは初めてだったが、それは明確な殺意によって象られた技だと分かった。彼女は、そうなってしまった。普通に生きることが出来たかもしれない女の子が、心は望んでいないのに殺しに偏ってしまった。

 

用心棒の一人がスキルで彼女の剣を融かす。彼女は剣を投げ捨てて拳で殴りかかった。二人が死んだ。

 

火炎スキルの男の手を掴んで振り回し、最後には本人の顔を直接火で焼いた。四人が死んだ。

 

命乞いをする暇も与えず殺し続け、最後はデクタスが残った。デクタスを前にして、フィリアは暫く立ち尽くしていた。その後、あいつは自分の体を掻き抱くと──────

 

フィリアは、デクタスが動けなくなるまで殴って殴って殴り続けた。一撃殴れば殺せる筈なのに、明らかに加減していた。フラフラと壁の方へ歩いて行き、走っていた鼠を捕まえた。割れた窓ガラスの欠片を拾った。私にはフィリアが何をするか分からなかった。

 

あいつは、フィリアは、デクタスの口に鼠を突っ込んで、目にガラスを突き刺した後に思い切り奴を踏みつけた。髪を掴んで地面に叩きつけた。何度も、何度も殴り、蹴り続けた。奴が死んでも、止まらなかった。

 

私には何が何だか分からなかった。あいつは今何をやっている?なんでそんな事をする?何故?どうして?

 

私は我に返るとすぐにスキルの発動を止めてフィリアの方へ走った。走りながら目に入ったフィリアは此方を向いて、

 

「お前、何やってるんだ────よ……」

 

フィリアは、目から涙を流して、顔を赤らめて震えながら────笑っていた。

 

「……は?………お前、何で……」

 

「もうこんなことしたくない……!ははは!もうこんなことしたくないのに!!!」

 

「なぁおい?大丈夫か?」

 

「私はこんな事したくないの!!でもヴィーアが!!ヴィーア君が!!!はは!!そうしてきたから!!!孤児院ではそれがルールだから!!強くならないと!!あはははっ!!!」

 

「落ち着けって!!!」

 

ヴィーア。資料で見た名前だ。そうか、こんなに酷い事をされてきたのか…。こいつは、未だにその幻影に悩まされているのかもしれない。

 

「強くならないと!!!ホワイト・クロスは!!!ははは!!教会の暗部は!!誰よりも!!非情でないと!!!残酷に!!!ならないと!!!」

 

フィリアは、続けてそう言った。

 

「殴らないと、蹴らないと!!だって!──────

ネルさんが!!!そうして来たから!!!」

 

 

 

私の名だった。

 

苦しめていたのは私だった。自分を棚に上げて、許されたものだと思っていた。彼女はどうしようもなく苦しんでいたのに、私は毎日のように追い討ちをかけた。彼女を殴った回数を覚えているだろうか?まるで仲間かのような顔をして先を行く私を、彼女はどんな思いで見ていたのだろうか。

 

私は、彼女の心に、どれだけ深い傷を負わせてしまったのだろうか。

 

 

「ゆ、るしてくれ……」

 

私はもう謝る事以外できなかった。土下座をしてひたすらに許しを乞うしかなかった。彼女は夜明けまでずっと笑っていた。うわ言のように私の名前を呼びながら。

 




感想いつも読んでます!!!ありがとう!!!

ライブ感だけで書いているので、とてもやばい。
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