「...!長門!一体何が?」
俺は伝書鳥の手紙を読んですぐに避雷針で雨隠れの里へ向かった。するとそこにいたのは両目を包帯で覆われ、寝台に横たわっている赤毛の青年、長門であった。
「ムラクモか。来てくれてありがとう。見ての通り、両目を奪われた。」
長門の両目。それは言うに及ばず神の目、古来六道仙人が持っていたものと同じとされる輪廻眼である。それを奪われたという事は...
「...敵は?」
無論次に気にするのはどんな奴が奪い去ったのか。思想、所属。それらによって世界の情勢を左右させるほどのものである。
「仮面を被った男よ。だから顔も年齢も分からない。」
「少し前から俺らに、いや長門に接触してきてたんだ。くそ...もう少し早く何とかしてれば長門が...。」
「でも相手にも深手は与えたからしばらくは動けないと思うよ。だから僕達も生き残れた。」
長門達がやられたという事はそれなりに強いという事だ。伊達に里のリーダーをやっていない。
「ムラクモ。長門を救える方法を知らないか?」
弥彦は縋りつくように尋ねてくる。しかし危険だ...。いや、長門の髪は赤い。可能性は他とは違うはずだ。
「失われた臓器、手足を復元するために義手や義眼を作る技術は実はある。初代火影、柱間の細胞を使った技術だ。」
「!なら長門にもその技術を!」
「だが当然リスクもある。初代火影のその高すぎる生命力を制御できなければ細胞に身体を取り込まれる事になる。」
その大きすぎるリスクに一同は押し黙る。それもそうだ。眼球を失ったとしても感染を防ぐなどきちんとした対処をすれば命は落とさない。…むしろ正直に言えば輪廻眼という強大な力を持つ代物を失った事で長門の身体は以前よりむしろ負担は小さくなっている。
「おいお前!いい気になってんじゃねぇよ!」
これは長門が輪廻眼を奪われるより数年前の話。うちはイタチがまだ忍者アカデミーに入学したばかりの話である。
「別になってない...。」
イタチはその高い忍者としての素質と爽やかなルックスでアカデミーでは人気者。女子生徒からは常に黄色い歓声を浴びていた。それに嫉妬するのは他の男子生徒。イタチの事が気に入らないとして、しかし個人ではイタチには敵わないと思ったかこうして度々集団でイタチに因縁をつけているのだ。上級生もこの輪に加わる事も少なくない。
「またか...」
小声でイタチが呟いたその言葉は幸い彼らの耳に入る事はなかった。イタチにとっては集団で何かされても全く問題ないのだが、しかし流石に鬱陶しい。でもイタチが何かすれば事が大きくなるのは目に見えており、こうして我慢をするしかなかった。そう、年不相応の諦観を示していた時だった
「ちょっとあなた達。何をしているの?」
それがイタチと彼女との初めての出会いだった。
「なんだお前?お前もイタチに取り入りたいだけなんだろ?全く、イケメンはモテモテで羨ましいですな〜」
イタチに詰め寄っていた少年たちはその矛先を少女に向ける。
「俺の事はいい。君は早く逃げるんだ。これは俺の問題だ。君が被害に遭ってしまう。」
自分一人ならどうにでもなる。だから自分を庇ってくれたこの少女に早く逃げてもらおうと思ったのだ。
「...なら私は大丈夫。」
そう言って彼女は少年達に向き直る。
「ッ!?」
しかし先ほどまでの威勢はどこへ行ったのか彼女の目を見た瞬間、彼らの顔は真っ青になっていた。
「それは...」
イタチも気づいた。彼女、うちはイズミの瞳がまだイタチが開眼に至っていない写輪眼にへと変化している事に。
「イタチ君って本当に甘いもの大好きだよね。」
川辺に座るイタチとイズミ。イタチの方には既に額当てがある。
「好物に成績の上下も男も女も関係ないだろ。」
そう言ってイタチは彼女が作ってきたお団子を美味しそうに頬張る。
「そうだね。あっ!今度お団子、また作ってくるね!おばあちゃんに教わったんだ!」
イタチとイズミの交流は、イタチがアカデミーを飛び級で卒業しても続いていた。今でもたまにこうして二人で会ったりしている。しかしイタチは彼女を自分の他の友人に紹介する気はなかった。否、バレないように隠そうとしていた。しかしその努力はある日無に帰す事となる。
「なあシスイ。最近イタチの奴、付き合い悪いよな。」
「あいつもアカデミーで友達ができたとかじゃないか?」
松樹ムラクモとうちはシスイ。この両名もまたうちはイタチの友達である。彼らは最近遊びや修行に誘ってもイタチに断られる事が多く、ちょっと悲しかった。そんな会話をしながら川沿いを歩いていく。
「「あ。」」
そうして彼らは出会ってしまった。
「なあシスイ。これはイタチが俺たちの誘いを断るのも仕方ないな。」
「ああ、ムラクモ。俺もイタチが
ムラクモとシスイは何かを察したのか、ニヤニヤしながら話す。
「俺に聞こえるように話しているだろお前ら...。イズミはお前らが思ってるようなのじゃない。」
「え...」
イタチはこの二人の追求から逃れるために自分の想いとは異なる事を言ったが、しかしそれはイズミに対して大ダメージを与えた。
「そうだね...。イタチ君はすごい人だもんね。私なんかじゃ釣り合わないよね...」
「えっ...あっ、いや...。」
普段クールに振る舞うイタチでも色恋沙汰は例外のようだ。イズミの落胆をみて慌てて彼女をフォローする。そんな、普段では見られない様を目の当たりにしてムラクモとシスイは目を丸くする。
「イタチ君は私の事嫌いなの...?」
「いや好きだ。俺は...あっ...。」
恋愛偏差値を他の能力に使ってしまったイタチは勢いそのままに友人達の前で公開告白をしてしまう。イズミはそれを聞くと、先ほどまでの慌てようが嘘のように笑顔を浮かべる。
「イズミ...まさか...」
イズミ、恐ろしい子!
おまけ マツモトキヨシ(ムラクモ店主の開店裏話)
「あ!ムラクモ君!そういえばもうすぐだっけ?お店が開店するの。」
イタチとイズミさんがお互いの気持ちに気付いてから数日。しかしイタチには暗部の仕事があるという理由で恋人関係にはなっていないらしいが。
「こんにちは、イズミさん。そうなんです。今からお店の看板を発注するんですよ。他にも結構作業がありましてね...。」
「それなら看板発注は私が手伝うよ!」
「ええと。じゃあ店名は商店マツキね。」
「はい、お願いします。」
この火の国にもいくつかの商店がある。花屋やまなか、など。店主の苗字が使われる事が多いようだ。この里で商売をするのなら変に目立つよりも従う方がいいだろう。
「よし、大体の文字のフォントとかは分かったべ。あれ、店の名前、なんだっけか?」
イズミはそれからムラクモにお願いされた文字のフォントなどが書かれた申請書を持ってから、看板屋へと向かった。
「ええと。商店マツキよ!商店の後はカタカナね!」
「商店マツキヨだな。あいわかった。完成を楽しみにしといてくれ!」
こうしてムラクモの商店の名前は彼の苗字から少し異なった名前となってしまった。
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常にクールな人間でも弱点がある方が魅力的だと感じてしまいます。イタチは完璧超人でなければならないと思う方は今話がちょっと嫌だったのかもしれません。ですが次回もよろしくお願いします!
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