うちはと千手。これら一族は長い時をかけて争ってきた。それはこの一族が他と隔絶した実力を持っており、千手を雇えばその対立陣営がうちはを、うちはを雇えばその対立陣営がまた千手を雇ったりとしたからである。しかしこの対立はある時期、一旦なくなる事になる。千手柱間とうちはマダラがそれぞれ胸の内に思うところはありながらも手を取って和平を実現させたからである。彼らは和平を成立させてから木の葉隠れの里を設立した。それからうちはマダラが里抜けをしたり、二代目火影の千手扉間がうちはを危険視したりと色々あったがしかし里内ではお互い手を取り合って共存していた。
しかしその平和は九尾襲撃事件によって幕を閉じる事となる。木の葉上層部は九尾を襲撃させたのがうちはの人間であると推測してうちはの人間を隔離、監視を始めた。そして里側のその対応にうちは側も次第に不満が溜まってゆく。こうして木の葉とうちはには埋めようもないほどの亀裂が生じてしまったのである。
...俺はうちはの人間でありながらうちはの情報を里に流す二重スパイをしている。うちはの人間の気持ちは分かる。しかしクーデターを起こせば他国が攻め込んでくるのは分かりきっており、より多くの血が流れる。そしてもう既にクーデターを止められる段階にはない。シスイは別天神を使おうとしていたがムラクモに止められていた。正しい判断だと思う。志村ダンゾウという男は里を守るという目的のためには如何なる手段を取ることも厭わない。別天神の存在を知られればその能力を恐れて眼を奪って自らの力とするだろう。優秀すぎたスパイを里の情報を知りすぎたという事で粛清した例も少なくない。つまり俺たちはいかに犠牲を少なくしてクーデターを早期に失敗させるべきかを考えなければならないという事だ。そんな時、俺はダンゾウに呼び出される。
「来てくれたかイタチ。三代目は未だに言葉での和平を望んでいると言っているがいざとなれば木の葉を守るために動く。だから選択して欲しいのだ。...うちは側につき、クーデターを起こして家族と共に全滅するか、我ら木の葉側につきクーデター前に弟だけを残してうちは全滅に協力するか。」
「うちは...全滅...」
「里を守るためには混乱を生む前に何としてでも事を収めなければならない。この任務を任せられるのはうちはと木の葉二重スパイであるイタチ、お前だけだ。」
まだ幼くうちはと里の確執を何も知らないサスケだけは生かしてやると言うダンゾウ。本人にクーデターの意思がなくてもその確執を知っていれば大切な人間を殺された復讐心を里に抱く事をダンゾウは恐れている。...つまりイズミやシスイも対象だという事だ。
「この任務、引き受けてくれるか?」
里、一族、忍。戦いは生まれるべくして生まれていく。里か一族か、俺はどちらを選べばいい...。
「今の...本気じゃないからな!」
「本気だったろ。」
アカデミーで張り合っているサスケとあれは...ナルト君だな。ムラクモが世話をしていて今は日向一族で暮らしているんだったな。ムラクモが自信満々に話していた。ウチのナルトは今日こんな事をしたんだぞ!と口うるさく言ってたな。
「サスケ...。」
最近ずっと考え込んでいたからか、サスケの笑顔を久しく見ていなかった気がする。いや、俺がこんな俺を見てほしくなくて「許せサスケ」と言ってあいつを遠ざけていたんだな。クーデターを起こしてもうちは一族に万に一つも勝機はない。父さんは無血革命を謳っていたがそれも難しいだろう。もし仮に三代目をどうする事ができてもダンゾウはじめ、木の葉上層部を同時に何とかしなければクーデターは成功しない。まず無血革命などあり得ない。そして革命が起これば他国は攻め込んでくる。もっとも多くの血が流れないのは...そしてサスケを助けられるのは...
「俺は...」
「そうか、受けてくれるか。」
俺はうちは全滅の任務を受託した。刀を背にさし、俺はうちは居住区にへと歩を進める。
「待てイタチ。」
だから頼むから俺の覚悟を揺るがさないでくれ
シスイよりもイタチの方が実力は上という設定です。(ただし圧倒的ではなく、ダンゾウは不意をついた奇襲を想定していた)
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