アランとクレリアの帝国創世記   作:m.t54

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アランとクレリア

「リア、行こうか」

 

俺たちが泊まる領主の館のエントランスでは既にリアが待っていた。

少し早めに降りてきたのにリアより遅くなってしまったようだな。

リアに会う前に少し時間を作って心を落ち着かせるつもりだったんだがしょうがないか。

 

なんだろうな。リアの瞳から自然と目が逸れてしまう。

我ながら情けないが、これは昨日の会議のせいだ。

イーリス達があんなにズケズケとプライベートな問題に突っ込んでくるとは思わなかった。

 

いや、判ってはいるんだ。俺とリアの結婚はプライベートな問題じゃないことぐらいは。

 

俺はもう公人なんだ。

この領都に大勢の領民を招き入れた時点で私人としての自由は失われたんだ。

 

それだけじゃない。

リアの瞳を見つめて心が穏やかでいられないぐらいに俺はリアを意識している。

 

公人とか私人とか関係なくリアに惹かれている自分がいる。

 

今まではリアはティーンエイジャーの少女で恋人とかの対象たり得ないとして自分の心に蓋をしていた。

自分の心を欺いていたんだ。

 

今やその蓋が開き、自分の中にリアへの思いが溢れている。

 

くそ、これはマズイ。

本当なら暫くはリアと二人きりという状況は避けたいところなんだが、今日はリアと領都を見て回る約束をしていたのだ。

随分と楽しみにしていたのでドタキャンとはいかなかった。

 

「アラン、おはよう」

 

「ああ、おはよう」

 

「それでアラン今日はどんなところに連れて行ってくれるのかしら?」

 

「そうだな、俺もこの街に来るのは初めてだからそんなに詳しいわけじゃないから、ざっと一通り回ってから、グロリアのところに行かないか?

グロリアに乗せてもらって領都や大樹海を空から見るのも楽しいだろう?」

 

「グロリアに乗って空から眺めるの!

それはとっても素敵ね。

でも、その前にやはり領都の主だった場所は見ておきたいかな。

よろしくね、アラン」

 

なんだろう。幼げに見えたリアの笑顔に魅せられてしまう。

まずい、これはまずいな。

冷静に、平静にだ。

 

「それじゃあ、まずは街の中心街を見て回ろうか」

 

領主の館は街の中心に作られている。その周りは区画整理はされているがまだ建物は一軒も建っておらず空き地だ。

 

「アラン、このあたりはアランの部下達の屋敷が建つのかしら?」

 

この世界の城を中心とした街の作りは少ししっくりしないんだよな。

 

街の中心に王が住む。

その周りを貴族達の住居が身分に応じて固める。

もちろん、王に近いほど高い身分だ。

 

その周りには平民が住む。

貴族街に接して商業街と裕福な商人の住まい。

その周りに普通の平民の家。

それも、商人街に近いほど家の値段が高い。

 

その周りを工房やスラム街が囲む。

もっとも、金持ちの工房主は富裕層と同じ場所に家を別に構えているけどね。

 

ヒエラルキーに応じた棲みわけというわけだ。

王に近いほど偉いという構造だ。

 

「なあ、リア。スターヴェーク王国の王都はどんな風に街が造られてるんだ?」

 

「王城が中心にあってその周りを身分が高い順に家族の屋敷が取り囲んでいたわね。

その外に平民の家が建ってたわ。

平民の街は職人、商人たちのお店もあったかしら?

まあ、普通の街よ」

 

やっぱり、身分別に住んでるんだよな。

 

「このあたりはやはり貴族の屋敷が経つ場所なのかしら?」

 

リアの常識ならそうなるよね。

 

「この辺りは、役人が働く場所かな?」

 

俺は機能を優先して街を作りたいんだ

身分は能力とは関係ないからね。

 

「役人が働く場所は王城の中じゃないの?」

 

「お城は無いからね」

 

「あら、私たちが泊まった場所はお城じゃないのね」

 

「あそこは領主の公邸かな。

男爵はお城には住まないよね」

 

「でもアランはすぐに国を起こすんでしょう?」

 

「今は、男爵だからね。

それに国を起こしてもお城は造らないかな?」

 

「えっ、そうなの?」

 

「あ〜、お城は時代遅れだしね」

 

「そうなのかしら?」

 

「リアも知ってるだろう。

グローリアみたいに空から攻撃できる相手にはお城は無力だからね」

 

「グローリア相手ではなんだって無力じゃないかしら?

でも確かに空から攻撃されたらお城はお手上げね」

 

「それに、俺は大き過ぎる住まいは持て余しそうだしね。

ずっと宿屋の部屋に住んでいて寝るのに困った事も無かったからな」

 

「本当にアランは欲が無いのね。

大陸を全部自分の物にするって言っている人とはとても思えないわ」

 

「大陸に覇を唱えるのは別に自分の為じゃ無いからね」

 

「そうよね、教育の為ですものね」

 

やはり、リアには物好きなお人好しって思われているんだな」

 

「ねえリア、俺はリアに話せて無い事がいっぱいあるんだけど、リアは気にならないのかな?」

 

あっ、反射的に言葉が出ちゃったな。

でも、丁度良いかな。

 

「気にはなってるわ。

でもアランが話したく無いならしょうがないじゃ無い」

 

「話したく無い訳じゃ無いんだけどね。

聞いてしまえば後戻りはできないんだ。

リアの負担になる事が心配だから話せないんだ。

でもね、俺とリアはこれから共同統治者として二人三脚で歩むことになる。

だからね!

リアが受け入れてくれるならリアには話したいと思うんだ」

 

「本当、本当に教えてくれるの?

本当は私、ずっとまってたんだよ。

セリーナとシャロンが知っているのに私だけ知らないのは寂しかったんだからね!」

 

「リア、本当に良いのか?

さっき言った通り知れば戻れないんだ」

 

「私はアランの共同統治者なの。

でも、今のままでは名前だけの共同統治者よね。

私はアランのさと本当の共同統治者になりたいの!」

 

リアは覚悟を持って俺に訴えている。

なら、俺も覚悟を決める事にしょう。

 

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