リアに跪かれ神のごとく扱われた俺はとても焦った。
冗談じゃない。
それから一生懸命リアに説明をした。
リアにインストールした知識を引き出させ、俺達のリアは同じ人間なんだってことをね。
人類銀河帝国の拡大の歴史は異なる星で異なるレベルの文明の人類を見つけて併合していく歴史だったって伝えたんだ。
それでもリアは納得出来ないらしい。
「ねえ、本当にアランは神様じゃないの?」
あれだけ説明した後でリアは聞いてくるんだ。
「リア、俺は神様じゃないってちゃんと説明しただろう?」
「そう、アランから説明されたわね。
なら、天使様かしら」
なんでそこで天使が出てくるんだよ?
「だから、俺はリアと同じ普通の人間だから」
「だって、アランは使徒様を使う立場でしょう?」
「あれは偵察用ドローンだってリアは知ってるよね」
「ええ、イーリスから与えられた知識が使徒様はドローンだって言うのよ。
でもね、私は敬虔な信徒でもあるの。
ルミナス様の使徒ってどうしても思ってしまうのよ」
宗教はやっぱり面倒臭いな。
まあ、ドローンを使徒として利用している俺が言えた義理じゃないけどね。
「リア、現実をちゃんと受け入れてくれ。
俺たちは神様じゃないし、バグズは悪魔じゃない」
「そうね。アランは神様でも天使様でもないのよね」
「そうだよ。俺はリアの共同統治者だろう」
セリーナがそこは王配、婚約者って言うところよって呟いているが聞こえないな。
俺はリアの共同統治者だよ。
「そうね、アランが神様や天使様じゃ私と結婚できないものね」
シャロン、笑うんじゃない!
「そうだな。俺が人間だからリア女王にスターヴェーク王国をプレゼントできるんだろう」
セリーナうるさいぞ。往生際が悪いとか呟くなよ。
「でも、バグズは悪魔よね」
「所業は悪魔だな。
いや、悪魔以上だ。
惑星にいる人類を食いつぶすなんて悪魔だってやらないだろう」
「ねえ、そんなバグズが襲ってきたらやっぱりみんな殺されて食べられちゃうのよね」
「あ〜、だからバグズに対抗できる力を持つ人類銀河帝国に是が非でも守ってもらう必要があるんだ」
「人類銀河帝国は本当に私たちを守ってくれるのかしら?
私たちは守られる価値があるのかしら?」
「俺たちとリア達はともに人に連なるものなんだ。
文明のレベルこそ違うが同族なんだ。
それに俺の権限でこの星を征服して人類銀河帝国の版図に組み入れる。
後はその事実を人類銀河帝国に伝えればこの星は人類銀河帝国に自動的に組み入れられるんだ」
「だから、アランはこの大陸に覇を立てるのね。
それと領民に教育を施して私たちに文明をもたらすのね。
それってやっぱり……」
今度は聖人とか言い出しそうだな。
「だから、言ってるだろう。
俺たちとリア達は同じように人に連なるものなんだ。
同じ人類だからこそ俺たちはリア達をバグズから守ろうとしてるんだ」
「そうよ。リア様とアランは同じなの。
そうじゃないと結婚しても子供ができないでしょう」
セリーナ、なにを言うんだ!!
「こっ、子供、私とアランの……」
リア、顔が真っ赤だぞ。
「そうよ、子供ができないと王国が続かないでしょう」
「セリーナ、その議論は今必要かな?」
勘弁してくれよ。
「あら、アラン。とても必要よ。
ねえリア様。アランや私たちがリアと同じ人間じゃなければ、リアとアランの間で子供はできないでしょう。
子供が出来るってことは同じ人間なの。
だからもう神様とか天使様とかいう話はお終いね。
分かったでしょう」
[この星の人間の遺伝子は解析済みです。
この星の人間と人類銀河帝国の臣民の間では問題なく子供が作れます]
いや、イーリスまで……
「アラン、ゴメンなさい。
私随分と動揺しているの。
イーリスからもらった知識でアランと私たちは同じ人間だって理性では理解できるの。
でもね、混乱してたの。
だって、ルミナス様からの啓示を受ける司祭様の言葉も絶対だって思ってしまうから」
「リアにとってルミナス様の言葉は絶対なんだな。」
宗教にはあまり踏み込みたくないんだけどな。
「ええ、でも私とアランの間に子供が出来るなら私たちとアラン達はやっぱり同じなのね。
それがわかったからもう迷わないわ」
[アラン、リア様が理解してくれて良かったですね]
イーリスはあくまで落ち着いてるな。
ちょっとズレてる気がするんだけどな。
「ねえ、アラン。もう直ぐ領都に大勢の領民が住むことになるでしょう。
領都の名前を決めないとダメね。
それとリア様はちゃんと領主の将来の伴侶として領民に紹介する必要もあるわよね」
セリーナはどうしても俺とリアの結婚を既成事実化したいらしいな。
もう、外堀はすっかり埋まっているし。
俺も逃げる気はないんだがな。
「確かに、領都の名前は早く決めないとな。
でもリアを領主の将来の伴侶として紹介するのはマズイだろう」
「あら、アラン。私はやっぱりアランの伴侶には相応しくないのかしら?」
いや、リアそんな悲しげな目で俺を見ないでくれ。
「リアは俺の伴侶として申し分ないよ」
あ〜、言ってしまった。
もう戻れない!
「でもね、もとスターヴェーク王国の皆にとってクレリアは王女なんだ。
男爵風情の伴侶になるとか認められないだろう」
「そんなことはないわ。
ここはアランの領地でしょう。
アランが将来、私の王配になるって知って皆来るのよ」
「それはスターヴェーク王国を取り戻して俺がみんなに認められてからの話だろう?」
「アランはもう充分に認められてるわよ!」
「でも、たかが男爵だぞ」
「本当にアランは変な所で自己評価が低いのよ。
そんなに心配ならリア様の腹心達に確認すれば良いのよ。
ねえ、リア様そうでしょう」
「そうね。エルナや、ダルシムなどの皆に確認しよう」
確認って?
問題ないと言われたらもう結婚するって事か?
「問題が無ければ、領都の名前のお披露目とリアとアランの婚約発表を大々的にしましょうよ。
そうすればみんなの心が一つになるもの」
「シャロン、それは素晴らしいアイデアよ」
「婚約発表!
私とアランの!!」
みんな凄いハイテンションだ。
リアは、はにかみながら俺を熱い目で見つめているし。
リアと婚約か?
何でこんなに急に決まるんだ??
[今まで、向かい合わずに引き伸ばしていたからです]
イーリスの最もな指摘に俺は年貢の納めどころと言う地球の古い諺を呟くのだった。