アランとクレリアの帝国創世記   作:m.t54

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フライト

今日は俺とクレリア、セリーナとシャロンのふた組でセリーナとシャロンが乗ってきた脱出ポッドを回収に向かう。

本当はセリーナとシャロンは分かれて各々の乗ってきた脱出ポッドを回収する方が合理的なのだがなぜかこの組み合わせだ。

まあ、脱出ポッドからはビーコンが出ているので見つけるのに問題はないけどね。

 

俺たちは偵察用ドローンが着陸する予定の空き地でドローンの降下を待っている。

 

「ねえ、アラン。なんだか変な音が聞こえるわ」

 

ドローンのエンジン音だな。

ドローン自体はステルスモードのため目に見えないので音だけが聞こえて来る。

 

段々とエンジン音が大きくなり、エンジンが噴き出す熱風が感じられるようになる。

 

「あそこ、あそこが何か変よ」

 

近づいてきたのでステルスモードでも完全には隠せないようだ。

本当の背景とドローンの境目がどうしても不自然になるんだ。

 

やがて、ドローンは降下を完了して空き地に無事に着陸する。

ドローンがステルスモードを解除して何もなかったところにいきなりドローンが現れる。

 

「ねえ、ねえ、使徒様が顕在されたわ。

やっぱり、使徒様じゃない!」

 

何もないところにいきなり現れたように見えるからな。

神秘性を感じてもしょうがないところか。

 

「リア、落ち着いて。あれは偵察用ドローンだから。

使徒様とかじゃないから」

 

「だっ、だっていきなり現れたのよ。

奇跡よ、奇跡でしょう!」

 

「リア、ステルスモードって言葉が記憶にあるよね」

 

「ステルスモード、ああ、光学迷彩を使って周りから見えなくなる機能よね」

 

「なんだ、ちゃんと分かってるじゃないか」

 

「そうね。ステルスモード、光学迷彩よね。

でもね、いくら頭の中に知識があっても私の今まで生きてきた世界の常識がそれを認めきれないのよ」

 

(D2、D3ハッチを開けるんだ)

 

俺の指示でドローンのハッチが開く。

 

「ほら、見てごらん。開いたハッチから中に入るよ」

 

中に入れば嫌でもわかるだろう。

鉄とプラスチックの塊は生き物じゃないからな。

 

「ここから入るの?

暗くて狭いのね」

 

「基本的には人は乗らないからね。

緊急時に無理やり乗る感じだから快適性はあまり考えられてないんだ」

 

そう言って安心させようとしたんだが、リアは中を覗き込むだけで乗ろうとはしない。

 

「ほら、セリーナとシャロンはもう乗り込んだよ」

 

セリーナとシャロンが乗るD3は既に二人は乗り込み済みでハッチは閉じている。

 

そしてD3はステルスモードに移行し消え失せる。

 

「うわっ、消えたわ。セリーナとシャロンは平気なのよね」

 

「ああ、問題ないから。俺たちも乗り込まないと遅れるよ」

 

リアを押し込む様に後部ハッチから乗り込むと2人分の座席が中にある。

何とかシートに座ると自動的にシートに包まれる。

このシートには対G機能が備わっていて、ドローンのある適度の高機動から体を保護してくれる。

 

「リア、ドローンの中はエンジン音でかなり五月蝿いんだ。

だからナノムに指示して聴覚からの音を90%カットするんだ。」

 

「こうかしら?」

 

(俺も聴覚から音を拾ってないから聴こえないんだ。

ナノム経由のコミュニケーションに切り替えてくれ)

 

(こうかしら?)

 

(あ〜、それで良いよ。

D2発進だ)

 

下に押さえつけられる様な力が掛かりD2が垂直上昇しているのがわかる。

 

それは良いのだが、さっきからリアの思考がダダ漏れだ。

 

リアは本当にお姫様なんだな。

男と閉じられた空間に2人きりでいるのが初めてで緊張しているようだ。

 

いや、何を期待してるんだ?

リアがダメだって言うのに俺が???

いや、しないから。

そもそもシートにホールドされているから出来ないし!

 

困ったな。

今、ナノム経由のコミュニケーションは意識してコントロールしないと考えていることが全部伝わるとか言えないよな。

 

だから、俺は何もしないから。

心配しなくて良いから。

えっ、なんか期待してないか?

 

セリーナが言ってたって?

あいつ、リアに何を教えてるんだ??

 

ダメだ、これ以上は不味い。

 

(プヒ)

 

(ひゃっ、アランがホッペを突いたのね。

私、変な声が出たよね。

恥ずかしいわ

ねえ、アラン、何でホッペを突いたの?)

 

(リア、プヒは恥ずかしいんだ)

 

(なに?

なんで??

なんで私が考えた事がアランに伝わってるのかしら?)

 

(リア、ナビ経由のコミュニケーションでは相手に伝える時と自分の頭の中で考えている時を明確に意識するんだ。

今みたいに油断すると伝えるつもりが無いことまで伝わるからね!)

 

(嘘、私の考えていた事がアランに伝わってるの!)

 

(ああ、俺がホッペを突いた後はダダ漏れだったぞ)

 

ホッペを突ついた後からね。

なら、私がアランに考えた事は伝わってないわよね。

 

リアの動揺する顔も可愛いな。

おや、動揺が収まったみたいだな。

リアの思考のヤバイ部分は俺に伝わってないって無事に思ってくれた様だな。

 

なら、俺の知らんぷりをしたいとな。

 

(リア、ドローンと視覚をリンクしてごらん)

 

(視覚をリンクするのね。

きゃっ、飛んでる。私飛んでるわ)

 

リアはドローンを通して見る景色に夢中だな。

これならば、もう俺の2人きりを意識する事も無いだろう。

 

こうしてリアは俺と狭い空間に2人きりでいる事をすっかり忘れて、リラックスした空の旅を楽しむのだった。

 

 

 

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