盗賊に襲われていた女性たちを無事にルドヴィークに送り届けた後は特にイベントもなく脱出ポッドを回収して俺たちは帰ってきた。
俺たちが帰った時より随分と早くセリーナとシャロンは帰っていて俺たちが予定より随分と遅いので少し心配だったようだ。
二人の機嫌をとる為に盗賊退治と馬車を飛ばして盗賊に襲われていた女性たちを送り届けた話をすると随分と面白がってくれて機嫌を直してくれた。
特にリアがルミナスの声を担当したところがなぜか二人の琴線に触れたようだ。
リア様女神伝説ってのも面白いとなぜか盛り上がっていてリアが必死で止めてくれって言ってたな。
でも、こんな感じで四人でゴタニアにいた頃のように気安くできるのも今日までだ。
救命ポッドを倉庫に仕舞って食事を取り、のんびりとお茶を飲んでいるとイーリスから連絡が入る。
ガンツを出発した二千人の領民はしばらくすると領都に到着するらしい。
[しばらくではありません。先行しているカトル達はもう直ぐ到着します]
(カルト達は先行してくれてるんだ。
それは助かるな。二千人を住処に誘導するだけでも手間だからな。
カトル達の手腕に期待しないとな)
[艦長、カトル達に過度の期待はしない事です。
領都を把握しているのは艦長達だけですよ]
(そうだな。
なら、なおの事急いでカトル達と打ち合わせ無いとな)
イーリスの知らせを受けて俺たちは急いで正門へと向かう。
俺たちがつく前にカルト達は着いていたようで、直ぐに打ち合わせを門に用意された貴族用の待ち合わせ室で始める事にする。
「カルト、それにサテライト6班から10班の皆、先行してくれて事を感謝する」
「アラン様、商業ギルドからの人を派遣していただいています」
「そうだな、カリナにナタリー、急なお願いにも関わらず、商業ギルドから人を集めてくれたこと感謝するよ」
俺のお礼の言葉にカリナが頬を染める。
頬を染める様な事を言った覚えはないんだけどな?
「いえ、仕事ですもの。
商業ギルドとしてにとってアラン様は特別なお客様です。
サイラス様からもできる限り便宜を図るようにと仰せつかっております。
なにしろ、アラン様にご教授いただいたお酒をサンプル出荷したところ反響がとても大きいのです。
それを考えるとこの程度は何の事でも無いとサイラス様から受けたまっております」
相変わらずあの親父は公私の区切りとか考えてないんだな。
まあ、商業ギルドは自分の物だと思ってるんだろう。
「そうですか。そこまではっきりと言っていただけると俺も遠慮せずにすみますね」
「もちろんですわ」
カリナが笑顔で肯定してくれる。
なら、良いか。
色々と頼むことにしよう。
「こちらを見てください」
セリーナがテーブルに領都の地図を広げる。
「中央の大きな建物が政事を行う建物です。
その周りのこの一角には領都の政治、行政、軍事に関わる高官に住んで頂きます。
次にこの区画は結婚している世帯の住居区画です。
家族の人数に応じて広さの違う住居が用意されています」
シャロンが一覧表と詳細な地図を取りだす。
「こちらは高官の方々のお名前と横に住んでいただく場所を示す記号が書かれた一覧です。
こちらの詳細な地図を見ていただくと記号が書き込まれていますので住む場所がわかるようになっています。
高官達はクレリア様とエルナで御宅までお連れしてください」
詳細な地図にどよめきがおきる。
これほど詳細な地図は見た事がないとの言葉があちこちからもれているな。
「同じく一般家族の一覧と地図です。
子供あり世帯、妻帯世帯、独身世帯別に建物が用意されています。
こちらはサテライト6班から10班の皆様で家まで連れて行ったください」
「商業ギルドの皆様には商人と職人を担当いただいます。
商業エリアと工業エリアは離れた場所にありますので2組に分かれてください」
「シャイニングスターの班長の皆様は独身者の対応をお願いします。
主に兵士と冒険者の皆様が住む独身寮がこちらになります」
「私とシャロンは孤児達を寮まで連れて行きます」
これで全員の担当が決まったようだ。
おや、まだ言う事が有るようだな!
「それと、本日の夕食はこの建物で全員で取ることになります。
マナーの関係で貴族と富裕層、平民、孤児達で場所を分けますが皆で新しい領都で生活を始めることを祝いたいのです。
なお、皆さんは1日を掛けた移動で体も汚れている事と思います。
この領都には大規模な公衆浴場が多数用意してあります。
地図に丸が付いている場所に公衆浴場はありますので体を清めてから集まるように指示して下さい」
皆、特に質問も無いようだな。
資料がそれだけよくできているって事かな?
それとも領都の広大さに圧倒されているのかな?
地図を見て領都の大きさに驚いているようだしな。
そう言えば、風呂だ。
タルスさんのお宅で風呂に入る時、入り方を知ってるかと聞かれたな。
孤児達はもちろん、平民でも知らない人間がいるだろう。
入り方の指導を先にしないとダメだな。
「申し訳ないが、住居への誘導の後なんだが、孤児や平民が入る公衆浴場で入り方の指導をしてほしい。
頼めるかな?」
「確かにいきなり浴槽に飛び込みそうですな。
ちゃんと入り方を教えないと大変な事になりそうですな」
「そうね。教える必要はあるわね。
なら手分けして教える事にしましょうね」
風呂のことは後はまかせて良さそうだな。
あと、何か忘れていることは無いかな??
考えても何も浮かばないからきっとないんだろう。
ならば、あとは計画通りに行うだけだな。
俺たちは後1時間足らずで着くであろう領民達を迎えるべく動き出すのだった。