アランとクレリアの帝国創世記   作:m.t54

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作戦案の検討

俺は集団Aを襲おうとしている武装集団のことを考えている。

当たり前だがあいつらは盗賊の類では無い。

複数の集団が組織的に動くのは通信手段が発達していないこの星ではとても難しいことだからな。

事前にしっかりと練られた計画をその計画の指示どうりに遂行する。

そんなことができるのは良く訓練された兵士たちにしか出来ないだろう。

 

「どう考えてもどこかの国の兵士たちだよな。

でも、軍だとしたらどこの軍隊なんだ?」

 

[艦長、やはり艦長も武装集団は軍人で構成されているとのお考えですか]

 

(イーリス、聞いていたのか。

そうだな、イーリスからの情報が正しければ訓練された兵士の集団だとしか思えないな)

 

[情報は正しいですよ?]

 

あれ、イーリスの機嫌を損ねたかな?

AIにもそんな感情があるんだな。

生前の性格がAIに反映されているんだとするとどこから仕入れたんだろう。

艦長にはプライバシーなんて無かったってことだな。

 

(イーリス、今のは言葉の綾だ、イーリスから提供される情報を疑うわけが無いだろう。

俺はイーリスを信頼してるからな)

 

[ありがとうございます]

 

声の感じからすると機嫌は直ったかな?

 

(それでイーリス、訓練された兵士の集団だとするとこいつらがどこの国の兵士かを知りたくなるんだがそれについては何か情報はあるか)

 

[残念ながらどこから来たかは不明です。そして監視を始めてからはこの武装集団群に接触する者はいません]

 

(そうか、解らないか。残念だがしょうがないか。大事なのは集団Aを守ることだからな。

それでイーリス、集団Aを守るプランは幾つ出来たんだ?)

 

[派手なのと、こっそりなのと、肩透かしの3パターンがありますが、艦長はどれがお好みですか?]

 

(そうだな、スターヴァインからここに逃れてくる後続の集団のことを考えると二度と襲おうなんて考えないように派手に殲滅するのも手なんだが。

派手な手段を具体的に教えてくれ)

 

[派手な手段は、武装集団が集結した時点でその中心地点に本船から質量弾を投下するプランです]

 

(質量弾か。確かに派手だがオーバーキルじゃないか?)

 

[本船が受けている損害を考えますと使える兵装や資源に限りが有りますので、現時点では質量弾の投入が最適解になります]

 

(確かにな。質量弾は安価だし落下させるだけだしな。

それに衛星軌道から投入すれば破壊力も大きいしな)

 

[精密誘導も不要ですから]

 

精密誘導も不要?

それって??

 

[本船が保有している最小の質量弾でも半径2キロの円内を完全に消滅させられますから]

 

半径2キロを完全に消滅させる。確かに精密誘導は必要無いな。

いや、やりすぎだろう。

 

(イーリス、確かに派手だけどやはりオーバーキルだろう)

 

[そうですか。ではこっそりにしますか?]

 

(こっそりってどんな方法なんだ)

 

[こっそりは、暗殺です。分散している各武装集団の指揮官たちを特定して暗殺します]

 

(指揮官の排除か。確かに効果的だな。でもどうやって暗殺するんだ?)

 

[ドローンに狙撃させます。分散している各武装集団にドローンを1機づつ貼り付けていますから直ぐにでも作戦開始は可能です]

 

(ドローンの力は出来れば使いたく無いな。使徒様として崇め立てられている現状へのリスクになるからな)

 

[それでは肩透かしですね。肩透かしは集団Aの移動速度をあげる事で武装集団が集結する前に襲撃ポイントを通り過ぎるというプランです]

 

(移動速度はどの程度上げないとならないんだ?)

 

[今の集団Aの移動速度は老人や子に合わせていますのでとても遅いです。それを止めるだけで十分なスピードアップが得られます]

 

(それじゃ、老人や子供たちが置いて行かれるじゃ無いか)

 

[はい、ですから老人や子供を切り離した集団Aは襲撃ポイントを通り越した後で集結する前の武装集団を各個撃破してから女子供を回収します。

若しくは女子供はこちらで回収することにして集団Aは武装集団との戦闘を回避してこちらへ向かうという方法もあります]

 

(こちらで回収する?

どうやって回収するんだ??)

 

[往還機を使います]

 

(往還機か。たしかに確かにあれは大型のコンテナーみたいな物だから詰め込めば結構な人数が入るな。

だけど、重力制御ダンパーを取り付けないと機能しないぞ)

 

[これを見てください。3日後の天気図です。快晴、無風で重力制御ダンパーの降下には最適な条件が揃います]

 

(そうか、3日後に重力制御ダンパーを降下させられるのなら間に合うか。

でもな、往還機を見せるのか。あれはオーバテクノロジーの塊だぞ)

 

[前にドラゴンの死体を運んだ時と同じようにグローリアが運んだように見せればよろしいのではありませんか?

それであれば往還機は大きな箱にしか見えません]

 

(グローリアを使うのか。頼ってばかりだな)

 

[グローリアは私たちの役に立ちたいと思ってますから喜ぶと思いますよ。

それにグローリアが実際に往還機を運ぶわけではありませんから]

 

(そうだな。飛ぶだけか。ならいっそのことリアがグローリアに乗って行くのもいいか。

リアのカリスマ度がアップするかもな)

 

[そうですね。王女様が自ら救出に向かえばインパクトは大きいですね]

 

(ありがとう。イーリスが提案してくれたプランをもう少し吟味することにするよ。

俺の考えがまとまったらもう一度イーリスと打ち合わせたいな。

それからリアたちと話し合うことにしたい)

 

[了解です。艦長のお役に立てたようで良かったです]

 

(勿論だとも。イーリスはとても役に立ってくれてるよ。ありがとう)

 

イーリスは満足そうな笑顔と共に通信を終了した。

 

さてと、どの案で行くかな。

俺は各案のメリデメを再考しながら思考の海へと沈んでゆくのだった。

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