アランとクレリアの帝国創世記   作:m.t54

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魔の大樹海 3

大量の荷馬車と共に俺たちはガンツの城門を出て魔の大樹海へと出発した。

街道を1時間ほど進むと道が分岐する。

昨日まで無かった魔の大樹海の中に在る領都へと進む道が出来ているからだ。

領都までの道は石畳で出来ていて道幅は大型の馬車が3台はすれ違えるほどの広さだ。

 

「アラン様、この石畳の道は何でしょうか?

ここにこんな道は無かったはずです」

 

カリナが途方にくれたように俺に聞いてくる。

 

「この石畳の道が俺の領都に繋がる道だ。

この道を進んでくれ」

 

「そんな、一晩で道ができるなんて」

 

一晩じゃ無いんだけどな。

随分前から道は作っていたんだ。

でも、街道近くの道は上に土を盛って偽装していたから気づかれなかったのさ。

 

領都に向かう石畳の道は一直線に魔の大樹海へと伸びている。

その道を進めば鬱蒼とした森が見えてくる。

俺たちは魔の大樹海の入り口に辿り着いたのだ。

 

「アラン、この道は魔の大樹海の中へ真っ直ぐに伸びているのね。

魔の大樹海の中は魔物がたくさん生息しているんでしょう。

襲われないのかしら?」

 

「クレリアの心配はもっともだけど心配無いよ。

魔物が多めに出没する普通の街道と同じく位の確率でしか襲われないはずだからね」

 

「魔の大樹海の中を通るのよね。なんでそんなに魔物が少ないのかしら?」

 

「領都を作っている俺の仲間が領都に続く道の周りにいた魔物を間引いてくれたからだな。

今も定期的に間引いているから魔物は少ないんだ。

ただ、危険な優先して間引いているのでグレイハウンドやゴブリンぐらいは出てくるかのな。

まあ、問題無いけど」

 

クレリアは心配げだがドローンが毎日魔物を間引いているんだ。

それに今も3機のドローンが上空で俺たちの援護をしているからこのキャラバンは安全なはずさ。

 

[ディー・ワンより艦長]

 

(どうした?)

 

[今時点では道沿いには危険な魔物の存在は確認できません。

道に近づく魔物は発見し次第、殲滅します]

 

(ディー・ワン、よろしく頼むよ)

 

みんなが訝しげに空を見上げているな。

ディー・スリーが降下してキャラバンの護衛に付いたせいで風切り音が聞こえるようだ。

まあ、ステルスモードだからディー・スリーが気づかれることは無いだろう。

 

「さあ、進もうか」

 

俺の声で馬車が動きだし魔の大樹海の中へと入って行く。

 

魔の大樹海に入って1時間。

グレイハウンドの群れを3回、ゴブリンの集団を2回殲滅した。

本当に危険な魔物はドローンに排除させたから俺たちが相手にしたのは雑魚ばかりだ。

全部ドローンに始末させても良かったんだが魔の大樹海の中で一度も魔物に遭遇しないのは不自然だからな。

それでも魔の大樹海に詳しいそうなカリナは雑魚の魔物しか出ないのが納得できないみたいだ。

 

そして目の間に石造りの長城が現れる。

左を見ても右を見てもずっと壁が続いていて壁の終わりが見えないほどの長さだ。

 

(イーリス、これは凄いな)

 

[艦長には事前にデータをお渡したはずですが?]

 

(データで見るのと実際に目にするのでは印象が違うのさ。

短時間でよくぞこれだけの物を作ってくれたな。

感謝するよ)

 

[艦長、壁だけで感動されても困ります。

中もよく確認してください」

 

(ああ、その通りだな。

中を確認するのが楽しみだよ)

 

だが、この壮大な壁に驚いているのは俺だけじゃ無い。

全員が惚けたような顔で壁を黙って見つめている。

 

「いつまで壁を見ている気だ。

中に入るぞ」

 

「門番が居ないのに門の扉が開いてますね」

 

俺たちが着いたので汎用ボットが扉を開けたみたいだな。

さてと、汎用ボットを見せないと扉が開いている理由が説明できないか。

 

(イーリス、汎用ボットは門の内側に居るのか?)

 

[はい、待機状態で門の内側にいます]

 

(そうか、汎用ボットは流石に見せないと扉が開いていることの説明がつかないよな)

 

[扉が開いたこともですが、街を見ればどうやって作ったか誰だって気になります。

その説明の為には汎用ボットは隠さずに見せたほうが賢明です]

 

(そうだな。では俺の指示に合わせて汎用ポボットの待機モードを解除してくれ)

 

「閉まっていれば困るが、開いているなら問題は無いだろう、さあ行くぞ」

 

俺の声に促されておっかなびっくりではあるが馬車が進み出す。

3メートルは有ろうかという壁をくり抜いた門を潜れば領都に到着だ。

 

(イーリス汎用ボットを起動しろ)

 

[了解です]

 

プシューという大きな空気音がした。

音が聞こえた方を見れば汎用ボットが立ち上がり帝国式の敬礼をしている。

 

「ひひひい〜んん」

 

馬が怯えていななきの声をあげる。

御者たちが必死で馬を落ち着かせている。

 

「うわっ、アランあれは何なの?」

 

クレリアの声か。

やっぱり驚くよな。

カリナは口をパクパクさせている。あれが声も出ないほどの驚きってやつか。

「大丈夫だ、心配無い。

あれはゴーレムの一種で俺たちの味方だ」

 

「ゴーレム。あれがゴーレムなの?」

 

「そうだ。味方には危害を加えないが敵には容赦が無い。

門を守ってもらうには最高な存在なんだ」

 

「そう、そうなんだ。

アラン、アランの領都だものいちいち驚いてちゃダメよね」

 

「全員、中にいるな。

ゴーレム、扉を閉めてくれ」

 

(BT・ワン 扉を閉めたら待機モードでスタンバイだ)

 

[イエッサー]

 

(イーリス、倉庫までの道を教えてくれ)

 

[仮想ウインドーに投影します]

 

ここから左方向か。

 

「これから、搬送していた物資を搬入するために倉庫に向かうから付いてきてくれ」

 

街が大きいだけあって、門から物資を搬入する倉庫までは30分ほど掛かった。

 

みんなには倉庫への物資の搬入を進めてもらっているが、俺は冷凍倉庫に魔法陣を設置して魔石を組み込んでいるところだ。

盗み見て覚えた魔法陣だから上手く動くか少し心配だな。

 

でも、それは杞憂だったようで魔方陣に魔石から魔力を流すと冷凍の魔法が無事に起動する。

これで、冷凍肉の保管も問題なくできるな。

 

冷凍肉を搬入した時にカリナさんから胡散臭そうな目を向けられたが、一度見ただけで魔方陣を盗めるとは流石に思っていないようで特に何も言われなかったのでほっとしたよ。

 

何とか物資を倉庫に全て収めたのであとは皆に泊まる部屋を割り当てて、それから食事の準備だな。

あ〜、食事の前に風呂か。

 

まだ、各家で温水を使えないので風呂は暫定的に作った大浴場になっている。

これは地熱発電のために地面を掘った際の副産物の温水を使ってるんだ。

最初にイーリスに聞いたときは地面からお湯が大量に出たと言われてびっくりしたが、いつでも入れる大浴場ができたのはラッキーだった。

 

それと、夜にはセリーナとシャロンと今後の話をしないといけないな。

領都を見せた以上、クレリアにどこまで話すか打ちあわせる必要があるからな。

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