魔の大樹海への旅ということで、プレッシャーもありみんな疲れていたようで食事が終わると早々に部屋へと引き上げて行く。
「イーリス、セリーナ、シャロン。この後、領主の執務室で帝国軍としてのミーティングを行うので集まってくれ」
「「「わかりました」」」
今までは色々と忙しくて帝国軍としての定例会議の開催も行えてなかった。
少人数で先行して領都に来たので良い機会だから帝国軍としての会議を開催することにした。
幸い、クレリアもカリナさんも部屋に下がってくれたのでセリーナとシャロンを憂いなく呼び出せた。
(イーリス、会議の前にこの間と同じようにこの部屋を宙兵隊のブリーフィングルームっぽくしてくれないか?)
中世風の執務室では宇宙軍の会議って雰囲気にならないからな。
部屋の内装がハイテクっぽく変わる。
俺の後ろの壁は大きなスクリーンになっており、テーブルはコンソールになっている。
イーリスの仕事はいつも完璧だな。
部屋に入ってくるセリーナもシャロンも帝国軍としての会議ということで制服に着替えている。
勿論、俺もだ。
[最高司令官、全員揃いました]
イーリスは帝国軍としての場では俺のことを最高司令官と呼ぶようだな。
会議のテーマがこの惑星の占領に関わる話というのもあるかな?
「さて、これから第一回帝国軍定例会議を開催する。
まずは、楽にしてくれ。
セリーナ少尉とシャロン少尉は座りたまえ」
「「ありがとうございます」」
「それでは早速始めるか。
我々が帝国軍としてこの惑星を占領して人類銀河帝国領とすると決めた時にはクレリアとエルナをいれても我々は6人の集団にすぎなかったが、未では二千人を数え、やがて2万人の集団になる。
この惑星を占領後リアクターを衛星軌道に打ち上げてイーリス・コンラートに収納してFTL通信にて本国に救助を請うという計画がやっとスタートする。
それに向けての方針を今日的状況を加味してとすり合わせたい。
これが本日の会議の目的である」
「最高司令官がお考えの擦り合せる事象とはどのような事でしょうか?」
「イーリス准尉、前回、5年で1万人規模の都市を作ることから計画がスタートすると設定したが、1年で2万人規模の都市を作ることができた。
これだけでも計画が随分と前倒しになっている。
それに加えて、作った都市をどのような都市とするかについて十分な検討が出来ていないと私は思っている。
イーリス准尉、准尉の想定では独立した都市に人材を集め教育を進めることで科学の進歩速度を大幅にブーストする。
それによりこの惑星、アレスの住民の科学水準をリアクターが構築可能なまでに引き上げる。
概要としてはこれで良いかね?」
「はい、概ねその通りです」
「私はこの計画を推進する上で、幾つかのファクターについて方向性を決める必要があると考えている。
特に重要なファクターは今現在我々が有する装備や知識をこの惑星の住民に継承させるのかどうかについてだ」
「リアクターは現在周回軌道上にある戦艦イーリス・コンラートに組み込む計画ですから当然継承が前提です」
「確かにな。ではドローンやボッドなどこの惑星に降下させた物資についてはどう考えるべきだろうか?」
「ドローンやボットには耐用年数があります。戦艦であれば改修を続けながら延命は可能ですがドローンやボットは耐用年数がくれば破棄されることになります」
「では、ナノムは」
「ナノムはレアメタルさえあれば自己増殖が可能ですがレアメタルは有限ですので手持ちのレアメタルが無くなればナノムは維持できなくなります」
「そうだな。だからそれまでにこの惑星の科学の進歩を加速させ、進歩した科学が我々の技術に追いつくのを待つ。
それ故、500年という時が必要となるわけだ」
「その通りです」
「イーリス准尉、戦艦のリソースを活用して、降下させたリソースやナノムを維持することが出来れば計画は変わるのではないかな?
もっと言えば、保有しているリソースを元にマザーマシンを構築すればドローンやボット、それ以外の装備だってアレスで作れるようになるのではないかな?」
「理論上は可能です。
ネックは戦艦イーリス・コンラートとアレスの間で物資の受け渡しができないことです。
イーリス・コンラートには設備はありますが資源がありません。
アレスではマザーマシンが作れるよな設備がありません。
特に電子部品関係です。
今の科学水準からすれば初期的な電子部品が作られるまでに数百年の時間が必要です。
勿論、このネックを解消する手段もあります。
イーリス・コンラートとアレスを結ぶ往還機が存在することです。
最高司令官は往還機によるイーリス・コンラートの工場化をお考えですか?」
流石はイーリス准尉だ。
俺が考えていることなどお見通しか。
実現には幾つかの禁則事項を破る必要があるはずだけどな。
それゆえ、AIの倫理規定に抵触してイーリスはこの考えを計画から排除したのだろう。
さてと、これからイーリスとその辺を擦り合せようか。