ガンダムビルドダイバーズ Vivid Re:cord   作:麻婆炒飯

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本日2本目なので初投稿です。

※本作品は不定期投稿です。この更新ペースが続く訳ではありませんのでご了承くださいませ。




[第2話] 初陣 / 初心者なんて居なかった

光から抜け、視界が開ける。

 

若干近未来的な景色から光の輪を潜って次に目にした光景は、彼方に廃墟が垣間見える荒れ果てた荒野だった。

 

 

「ここがハードコアディメンション・ヴァルガ……たしか世紀末って言うんだっけ、こういうの。」

 

 

一昔どころか二昔も前の往年の名作漫画?とやらで普及した概念を呟く。そういえばモヒカン刈りが悪党ってイメージもその頃のものだったかな、なんて考えてると…お待ちかねのアイツらの声が聞こえてきた。

 

 

「ヒャッハーッッ!ヴァルガにようこそ初心者ちゃん、オレ達全力で歓迎してやるぜェッ!!」

 

 

彼等なりの皮肉か何かのつもりだろうか、妙にテンションの高い連中の乗ったガンプラが3機…いや、4機そこに現れる。うち1人の機体はさっきロビーで私に声を掛けてきた紫モヒカンの乗るガンプラだ。

 

1人は紫色のザクをベースに大古株のレプリカキット、スーパーカスタムザクF2000の追加装甲を盛り込み、SEED/Destinyのザクファントムのスパイクシールドを両肩に、グフカスタムのガトリングシールドを両腕に装備して、背中にサンダーボルトに登場したサイコ・ザクのロケットブースターに作品問わずザク系武装を盛り込んだガンプラを乗り回している。オープンchのIDを見るに、これが紫モヒカンの機体だろう。

 

また1人はMGスケールと思しきガイアガンダム。両肩や背中にスパイクを移植して刺々しい見た目に仕上げられ、獣らしい挙動が分かりやすい。…武装の位置を見るに干渉してMS形態への変形は出来なくなっていそうだが、相手の趣味にとやかく口を出す気は無い。

 

もう1人は……レーダーにこそ映っていないが、音が聞こえる。さしずめステルス機能を組み込んだ機体なのだろうが、私のゼロに搭載された演算装置(ゼロシステム)の力を持ってすれば、大した問題にはならない。

 

残る1人は……なんだこれ。

全身金ピカなのはまだ言い。黄金塗料とかヤタノカガミとか、保存こそ難しいものの無い訳ではない。

 

問題はその姿だ。ズゴックの頭に、ハイゴッグの腕、あとはナイチンゲールの下半身と背部バインダー……とんでも無いゲテモノなのに、不思議と噛み合ってしまっている奇妙な姿が、私の脳みそをバグらせる。

 

シュミレーターにもこんなイカれたビルドは中々見掛けない。上手く噛み合ってる機体と全く噛み合ってないガンプラはよく見かけるが、全く噛み合っていないようで上手くマッチしている、なんて謎センスを発揮しているビルダーは世の中そう多くないのだ。

 

 

「全員、精度は悪くない……それだけ良いもの作れるなら、もっと真っ当にやれば良いのに。」

 

 

彼ら全員、ガンプラの制作、改造技術は悪くないしむしろ良い方だ。それにこんな無法地帯で徒党を組んででも生き残っているのだから、操縦技術ひとつを取っても決して弱いという訳では無いのだろう。

 

それでもこんな事をしているのは……まぁ、彼等生来の資質か、趣味かのどちらかだろうか。…とあれば、これ以上こんな考えを続ける事も無い。

 

きっとGBNにも自治厨と呼ばれる人達はいるだろうから、その辺の連中への説教は彼等に任せよう。

 

 

「オレのハイパーDX(デラックス)カスタマイズザクファントムF6000がご挨拶に来てやったぜお嬢ちゃんッッ!」

 

 

紫モヒカンの駆るやたら名前の長いザクが、全身に詰め込んだ実弾兵器をこれでもかと撃ち込んでくる。…お粗末だ、下手な鉄砲数打ちゃ当たるなんて言うけど、幾ら数が多くてもこんな隙間だらけじゃ安置も丸見えで面白く無い。

 

操縦桿をほんの少し手早く動かしてやれば、この程度の弾幕を回避するぐらい造作も無い。

 

 

「なッ、運のいい奴め…だが次は───、」

 

 

「次なんて無いよ、これで終わり」

 

 

「ばッ…!?オレのハイパーアルティメットカスタマイズザクファントムF18000がこんなッ───、」

 

 

操縦桿の射撃ボタンを押して、構えたツインバスターライフルを撃ち放つ。シリーズ中トップクラスと言っても過言では無いビーム砲撃をマトモに受けて無事でいられる機体はそう多くは無いだろう。

 

ましてや全身にミサイルやらをふんだんに詰め込んだMSなんて自重で上手く避けきれず、全身の火器がビームで誘爆して木っ端微塵になるのが関の山だ。

 

そしてその予測通り、紫モヒカンと彼のザクは砲撃をマトモに受け、全身を誘爆させて消滅した。

 

途中で彼の機体の呼び名が変わっている気がしたが、そんなポンコツらしさ全開のムーヴは彼が遺した汚い花火に免じて忘れてあげる事にしよう。

 

 

「なッ、兄貴!?テメェッ!!」

 

 

「人情深いのは良いけど冷静になったら?怒りで我を忘れて、周りが見えないのは致命的だよ。」

 

 

どうやら先の紫モヒカンが兄貴分だったらしい。激昂して仇討ちに突っ込んできたMGガイアが前脚に備えたビームクローを私のゼロに向けて振るおうとする。

 

……が、あまりにも分かりやすい挙動。これなら避ける事に関してはさっきの弾幕の方がまだ難しい。

 

私は盾を相手の腹下に投げつけて、そのまま飛び上がり突撃を回避して見せる。そのまま相手のMGガイアが想定通りの位置へ着地したのを確認すると…

 

 

「チィッ、すばしっこい奴めェ…!」

 

 

「残念、アンタもこれで終わり。」

 

 

「なッ、なッ…なんとォーッ!!?」

 

 

地面に先端を上向きにして突き立てたシールドから、ビーム砲が放たれる。私のゼロのシールドはただの盾では無い。裏側に幾つか武器を隠しているのだ。

 

今回のはその内の1つ、シールド裏にガンダムXのシールドバスターライフルを仕込んである。

 

それも銃身部分にはあの「イタリアの伊達男」の愛機「不死鳥」のレプリカキットから、バスターライフルカスタムのソレを使ってカスタマイズしている。

 

その威力だけなら今手元に持っているツインバスターライフルとも遜色無いだろう。

 

そんな一撃が腹下から、至近距離で撃ち抜いたのだ。幾らMGスケールサイズの分厚いVPS装甲でも、そう易々と耐えられるものでは無い。

 

真下から撃ち抜かれたMGガイアガンダムは、一撃で爆発四散し電子の海へと還っていく。

 

 

「これで2機…そこッ!」

 

 

「なん、でバレてんだよォ……」

 

 

消えゆくMGガイアを見ながら、即座にウイングバインダーの付け根から発振器を引き抜き、逆手に持ってビームソードを伸ばすとそのまま背後へ突き出す。

 

何かを貫く音が響いた後、そこにはミラージュコロイド・ステルスの効果が切れて姿を現した黒く塗装されたエクリプスガンダムが胸を貫かれていた。

 

GBNにおいてステルス系アビリティはその名の通り、友軍機以外のレーダーから消失する効果を持つ。

 

しかし私のゼロの元となったウイングゼロに搭載されている「ゼロシステム」は、GBNでは「レーダーに影響を与える機能の無効化」として実装されている。

 

本来、未来予測に近い精度の高度な演算システムとして機能するゼロシステムを再現するその効果は、妨害耐性の判定からも抜ける為に筒抜けになるのだ。

 

こうして貫かれたエクリプスもまた爆散消滅した。

 

 

 

 

 

 

 

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

 

 

「さて、後はそこの金ピカだけ…」

 

 

「ぐぬぬぬ……くらえぇいッ!!」

 

 

「ふん…ッ!そこ…!」

 

 

荒野に取り残されたたった1人の初心者狩りと、当初の目的通りであればとっくに彼等の養分と化していたはずのウイングゼロ乗りの初心者ダイバー。

 

雄叫びと共に腰のメガ粒子砲を放つ黄金のキメラ機と、即座に避けてツインバスターライフルを撃ち放つウイングゼロヴィヴィッド。

 

その一射は黄金の装甲に直撃し……しかし、反射されてウイングゼロヴィヴィッドの左肩を掠めていく。

 

 

「ハッハッ!俺のヤタノカガミを舐めるなよォ!」

 

 

「めんどくさいな……なら、こう!」

 

 

「バカめ、ウイングに残された武装は肩のマシンキャノンのみ、その距離では届くまぬォォ!?」

 

 

悪あがきでもするかのように片手を上げて手繰るウイングゼロ、高笑いする初心者狩り一派の1人が乗った黄金のキメラの頭部に、どこからとも無く単独で飛んで来たウイングシールドが突き刺さった。

 

 

「バカな…ウイング系列にそんな機能は無いはず、ましてやログインしたばかりでプラグインも入手してない初心者が……ま、まさかァ!?」

 

 

「やっと理解した?私はアンタ達が言うところの似非初心者。この子だって中身はスクラッチだよ。」

 

 

ウイングゼロヴィヴィッドに隠されたもう1つの機能、その名は「フルサイコ・ガンダムフレーム」。

 

μの母がGPD時代に考案したシステムであり、本来サイコフレームとは関係の無い機体に「透明度の低いクリアパーツで成型したガンダムフレームを用いる」事で、見た目を遥かに凌駕する頑強さと強力なオールレンジ適正を持たせる事ができるのだ。

 

 

「じゃあね、初戦にしては悪くなかったよ。」

 

 

「ち、ちくしょおぉぉぉォッ!!」

 

 

初心者狩りの断末魔と共に、ウイングシールドの裏側に仕込まれていたマシンキャノンが起動する。

 

他作品のバルカン系武装と違って、ウイング系列のマシンキャノンはそれ単体でも十分に敵機を破壊する威力を有しており、黄金の機体もまた、一瞬でメインエンジン部分に無数の風穴を開けてしまう。

 

断末魔が止まないまま、初心者狩りと黄金のゲテモノは爆散し、電子の海へと還元されたのだった。

 

 

「はぁ……疲れた、戻ろう。」

 

 

そう呟いて、μは背後の転移ゲートからそのままセントラル・ディメンションへと帰還する。その日はそのままログアウトして、1日のプレイを終えるのだった。

 

 

……己のコンソール通知画面に、

「New ! 『虐殺者入門』獲得 」という称号獲得通知が来ている事にも気付かないまま……

 





[プチ紹介コーナー]

[ハイパーカスタマイズサイコ・ザクF2000]

μをヴァルガに誘い込んだ初心者狩りダイバー「ヤン・チー」が用いるザク系列の盛り込み改造機。様々なザクの武装を盛り込んだ、いわゆるフルアーマーになっている。ただし全身火器なので挙動が若干重く、ロケットブースターで補うも精密な機動力では大幅に劣る挙句強力なビーム1発で全身の火器が誘爆して即撃墜される事も多い模様。
また搭乗者のヤン・チー自身が名前を覚えきれておらず、毎回呼び方が微妙に変わってくる。

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