ガンダムビルドダイバーズ Vivid Re:cord   作:麻婆炒飯

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ゴッグウィークなので初投稿です。




[第3話] 仕切り直し/ 考え無しな悪魔の子

「なるほど…これが正式な初心者向けチュートリアルミッション…あんな頭の悪い連中でも、本物を参考にして作るぐらいの頭はあったって事なのかな…」

 

 

モヒカン達に騙されてのヴァルガ旅行(語弊あり)を楽しんだ翌日、再び中央ロビーに入り受付からチュートリアルミッションを見ていると、彼等が言う程アホが極まった連中ではなかった事が判明した。

 

ミッションそのものも一見本物のチュートリアルミッションと変わりないし、本物の方も簡単なアイテムの納品と、その過程で障害物として敵NPDが待ち受けている仕様になっているらしい。

 

勿論バトルを好まない人もいるので、バトル専門と採取のみで分離したチュートリアルも存在しているようだが…これは出来るだけ早急にチュートリアルを済ませてしまいたい人向けに解放されているようだ。

 

そのミッション内容は「ヤナギランの入手」、メイン依頼の概要だけならば、条件が「花の入手」だったモヒカン達が用意している偽ミッションと同じ。

 

もちろん本物の方が場所やモデルもハッキリしていて分かりやすいのだが、それを差し引いても積極的な声掛けを続ければ難無く騙せてしまうのだろう。

 

そんな事を考えながらも受注動作を済ませた私は先にヴァルガへ踏み入った時と同じように、中央ロビーから離れて格納庫へとワープしていったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅん…やっぱり造形は悪くない……」

 

格納庫から愛機に乗って出撃した私とヴィヴィッドは目的地に向け、ネオバード形態で飛行していた。

 

眼下に広がるは大きな運河と山々が自然の雄大さを思わせる絶景と、未来過ぎない程度に発展した都市。

 

サンクキングダムエリア、私のヴィヴィッドのベースにもなったウイングゼロの出典である、新機動戦記ガンダムWに登場した王政国家の再現エリアだ。

 

このエリアを超えてあと少し飛んだところに、今回の目的地となるヤナギランの花畑は存在している。

 

遊覧飛行もほどほどにして、さっさとミッションを済ませてしまおう。そう思った私の視界…バーチャルコンソールに、普段見慣れない通知が届いていた。

 

 

「ん……SOS…?」

 

 

何だろう、誰かが初心者狩りにでも遭遇したか、或いは害悪ダイバーとトラブルにでもなったか。

 

面倒くさいと思いつつも、ほんの少しの好奇心を刺激された私は通知が示すポイントに向けて操縦桿の舵を切り、高度を下げていく。そうして見えてきたのは……森林地帯の少し手前、小川が見える平原だった。

 

そしてそこに、赤髪の子供?が蹲っている。

 

私は降りたヴィヴィッドを待機状態にすると、歩いて子供の元へ向かう。その結果解ったのは───、

 

 

「うぅ……おなかいたいよぅ…」

 

 

「──────、」

 

 

この子供……いや、初心者狩り狙いのク○ガキが、至極とんでもない考え無しだった、ということだ。

 

まず第一に、ここはVRゲームの中だ。

そもそも身体に臓腑が存在していないのだから、腹痛なんて起ころうはずも無い。…精神的な要因で発生する胃痛はともかくとして、の話ではあるのだが。

 

次に、もし仮に腹痛が起こるとしても、それはプレイヤーの不調であり、そういった事態に備えてフルダイブVRゲームの機器にはそれを検知して緊急ログアウト処理を行うシステムの搭載が義務付けられている。

 

にも関わらずこの場で蹲って腹痛を訴えているのだから、それは紛うことなき「嘘」、仮病なのだ。

 

わざわざSOSなんか出して人を呼び寄せて、そのうえで腹痛を訴える理由なんて1つしか無いだろう。

 

 

「………はぁ、大丈夫?どうかしたの?」

 

 

何を要求されるのかは分かりきっていたが少し腹が立ったので、一泡吹かせるつもりでこの赤髪の害悪ダイバーの策略に引っ掛かったフリをしてみる。

 

 

「うぅ…お姉ちゃん…ボク、おなかいたくて…画面も上手く触れなくて…助けてよ……」

 

 

「……どうすれば良い?私よく知らないから…」

 

 

「う、うん…画面開いて、そこ、押して……」

 

 

どの口が言うか。

演技だけはそこそこの腕だったが、何故その才能をもっと別のことに活かせないものかとも思う。

 

私は赤髪に近付くと相手のコンソールを覗き込み、わざとらしく相手に質問を投げ掛けてみる。結果として返ってきた答えはまぁ、十割想像通りだった。

 

画面を開いて、と言って開けばそれは自分のコンソールなのは当たり前だろう。そこで指示された場所は、フリーバトル設定だ。相手を上手く騙してセーフティを解除させ襲いかかる、といったところか。

 

そうしてワザと相手の術中に嵌り、フリーバトル関連のセーフティを一通り解除してやれば……

 

 

『あはッ!ありがとうお姉ちゃん!これで思いっきりお姉ちゃんの事ぶっ潰してあげられるよ!!』

 

 

直後、赤髪の○ソガキは自身の機体であろう、グレイズアインの改造機に携えた黒いGNバスターソードでまだ機体を出してもいない私を直接狙ってきた。

 

……とはいえ、想定通りの流れ。

相手が振り降ろした位置にヴィヴィッドを出現させ、擬似的な遠隔操作でビームソードを出力させて受け止める。相手の剣もそれなりに作り込んではいるのだろう、中央で真っ二つになるなんて事は無く、剣がぶつかる轟音と共に激しく競り合う結果になった。

 

 

「なん……ッ!?」

 

 

「どうしたの?私と戦いたいから、わざわざあんな解りやすい罠を張って待ってたんでしょ?受けてあげるから、遠慮なく掛かって来なよ。」

 

 

「この…初心者のクセにナマイキなやつ…!」

 

 

その間に私はヴィヴィッドのコックピットへと移動して、敵の剣を弾き返し距離を取っておく。

 

ついでに煽っておく事も忘れない。この手の連中は大抵、自分が煽られる事にはめっぽう弱いからだ。

 

想定通り、相手に黒い機体は真っ直ぐ突っ込んで来る。両手に携えた2本の剣をやたらめったらに振るって暴れ回る。そのお粗末な扱いに、私はこのGBNについて、また1つ幻滅する事になった。

 

 

『はぁ…雑な挙動、私より経験があるって言うんなら、その腕もう少しどうにかならないの?』

 

 

『ぐっ…うるさいうるさいうるさいッ!ボクのヴェガは強いんだ!!お前みたいな初心者なんかに、負けるわけが無いだろ!!トランザムッ!!』

 

 

刹那、ヴェガと呼ばれた黒い機体が紅く染まる。

その場に紅い残像を残すそれは、機動戦士ガンダム00に登場し、現在GBNにおいても覇権を握っている時限強化システム。通称「覚醒」の枠に収まっている、

「TRANS-AM」と名付けられているもの。

 

GNドライヴ搭載機に付随する、GN粒子の放出量を一気に増大させる事で3分間のみ全出力が大幅に上昇する、というもの。ただし時間制限を超過すると反動が起こり、逆にステータスが大幅に減少してしまう諸刃の剣でもある玄人向けの強化システムだ。

 

そのまま真正面から突っ込んでくるヴェガへ向けて、ツインバスターライフルを撃ち放つ。

 

しかし放たれた大出力のビームは敵の装甲に触れた瞬間拡散し、後方へビームの雨を降り注がせる。

 

 

『あッははは!!ばァーッか!!!ナノラミネートアーマーが標準装備になってるボクのヴェガに、ビーム射撃なんか効くわけないんだよぉっ!!!』

 

 

そう言って赤髪はそのまま突っ込んで来る。

本当に…馬鹿正直だ。

 

 

『これで終わっ…あ、あれ?いない…!?で、でもレーダーじゃ間違い無くここに…まさかっ!!?』

 

 

その言葉と共に、ヴェガが上を向く。

 

その通り、ヴィヴィッドは拡散するビームを目眩しにして、その機動力を活かし真上に飛んだのだ。

 

そしてそれに気付いた時には────、

 

 

『────もう、遅いよ。』

 

 

真上から突き出したビームソードが、ヴェガの紅い瞳を貫きその胴体を串刺しにする。

 

この敵に一瞬の猶予を見抜いてコックピットの位置をズラす、なんて上等な技術が扱える訳も無く、コンソールに映ったヴェガの耐久値は既に0だった。

 

私はそのままビームソードの出力を停止して発振器を片付け、飛び離れて相手を見る事も無く一息つく。

 

 

「あ、ありえないっ!ボクが初心者なんかに負けるはずが無いっ!負けるハズがぁぁぁっっ!!!」

 

 

敵の黒いキメラ、ヴェガが爆発四散する。

 

最後の断末魔に、何処かで聞いたような台詞を聞いた気がしたが、その赤髪がデシル・ガレットを模したものなら、ダイバールックはやつれ気味の若干中年男にするべきじゃないのか、とは思った。

 

まぁ、そんな事はどうでもいい。

アイツも所詮は数いる害悪の1人なのだから。

 

 

「はぁ……2日で二度目。めんどくさ…」

 

 

私はこのGBNの法の脆さに大きな溜息を零しながら、まだ中途半端だった採取ミッションをさっさと片付けるべく、目的地へと飛び立ったのだった。

 

 




今日の解説

[GN-ヴェガ]
赤髪の初心者狩りダイバーが用いているガンプラ。
ベース機はグレイズアイン、胴体をGN-Xに変え、バックパックにゼダスを採用、腰に翼を被せる事で電磁装甲による防御力恒常を図っている。
またGN-Xの擬似太陽炉とゼダスの光波推進により重力圏での高速飛行も可能になっている等、機体そのもののポテンシャルはかなり高い。
トランザムも制限付きながら使用可能であり、それなりに製作技術は高い事が伺い知れる。
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