ガンダムビルドダイバーズ Vivid Re:cord   作:麻婆炒飯

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GW最終日がもうすぐ終わってしまうので暗黒初投稿です。




[第4話] 無双ミッション/夢を穢す敵

GBNを始めてから、およそ2週間が経った。

 

ある程度の初歩的なミッションは一通り攻略し終えて、ダイバーランクもいつの間にかDまで上がっている。

 

ついでに通知欄を整理していたら、いつの間にか

「下剋上入門」なんて物騒な称号を獲得していた。きっと最初にヴァルガへ入った時に倒したモヒカン達のせいだろう。アレはアレで一応、中の下ぐらいのフォース…他のゲーム作品で言うところのギルドやクラン…を組んではいたようだし。

 

ちょっと調べてみたが、初心者向けミッションを終えてもだいたいはEランク止まりなのだという。これもモヒカン達や赤髪の初心者狩りを返り討ちにした時のポイントによるものだと思う事にする。

 

そうしてついに、私はこのGBNで「自由度が高い」と言われる所以の入口に足を踏み入れふ事が出来るようになった。なので今回は、Dランクまでで受けられる一番歯応えのあるミッションを受けてみようと思う。

 

 

「とは言っても……ありふれた普通のミッションじゃ歯応え無さそうだし…何か良いのは……ん…?」

 

 

Dランク時点で受注可能なミッションの一覧が映ったバーチャル画面を指でスクロールしているとふと、気になるタイトルのミッションが目に留まる。

 

そのタイトルは、

『無双ミッション:マリーメイアの反乱』

 

その名前から察するに、間違い無く

新機動戦記ガンダムW[EndlessWaltz]の一幕であるマリーメイアの反乱、3機のガンダムと2機の救援によって展開された長期戦を舞台にしたミッションだろう。

 

 

「一応の受注下限ランクはD…ただし推奨値はC、か…無双ミッションは確か…うん、これなら楽しめそう。」

 

 

ミッションの詳細を確認すれば、それは想像通り。

50機のサーペントNPDを撃破せよ、というもの。流石にコックピットを破壊せずに無力化、とかの無茶ぶりはして来ないようで、少しだけ安心感を覚えた。

 

私はそのまま無双ミッションを受注し格納庫へと移動する。推奨ランクもそれなりに高いのだから、きっと楽しめるだろうと期待を胸にワープに身を任せた。

 

 

 

 

 

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

「ん……へぇ、結構いい作りしてるじゃん。」

 

 

激戦の渦中を再現したのか、ミッション専用エリアの内部は荒廃した街が広がっている。各所に見られる弾痕や斬撃の跡が、戦いの激しさを物語っている。

 

そして薄暗い情景の先には……緑色に仄かな光を湛える影が一つ、二つ、三つ…際限なく増えていくソレは間違いなく、今回の無双ミッションのターゲットに設定されている、サーペントカスタムの軍勢であった。

 

 

「確か50機だっけ。流石に原作再現する程驕ってるつもりは無いし…全機、確実に殺していくよ。」

 

 

私は1人コックピットの中でそう呟くと操縦桿を握り直し、迫り来るサーペントカスタムの軍勢へと、先制攻撃を目的とした突貫を仕掛ける事にした。

 

まだ距離はある、先手を撃つならばここだろう。

手にしたツインバスターライフルを連結状態で正面に向けていきなり最大出力で放つ事で、敵性NPDのAIルーチンの外側から撃ち抜き3機を消し飛ばす。

 

案の定、NPDはその砲撃から射線を避けて二手に別れ、結果としてその戦力を二分させてしまう。

 

この辺りが低難度NPD特有の弱味だろう。

 

あとはただひたすら、戦力が激減したサーペントカスタムの群れを1機ずつ確実に潰していくだけだ。

 

私は勝利を確信したまま、無心で狩りを再開した。

 

 

 

 

 

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

「ふぅ…これであと3機……」

 

 

ミッション開始からおよそ20分と少しが経った頃、無数のサーペントカスタムがスクラップと化して周囲に転がる中、残る3機を追い詰めてヴィヴィッドの左手…シールドに備えられたマシンキャノンを向ける。

 

もうあと5分もあれば完全クリアだ。あと一息、そう思っていた矢先……事件は起きてしまった。

 

 

「これで終わり……っ!?」

 

 

残りのサーペントカスタムにトドメを刺そうとした瞬間、突如空から降り注いだビーム射撃によって獲物は貫かれ、爆発四散して消滅したのだ。

 

救援NPDによる演出か?だとしたらクソゲーのレッテルを貼りたくなってしまうくらい無粋な真似だ。

 

だがこの事態は決して、GBNのシステムに備えられた無粋な演出仕様などでは無かった。

 

 

「ハッハッハハ!漁夫の利クリア大成功!これでオレっちもやっとAランクだぜ!」

 

 

「やったなフェツリー!」

 

 

「今日は祝杯、だな。」

 

 

空に視線を動かす。そこに居たのは……あぁ、なんて最悪な日だ。そこに居たのは、3機の乱入者。

 

ここは無双ミッションをソロで進行するための専用エリアだ。本来なら該当ミッション進行中は受注主が許可したメンバーしか入れない仕様になっている。

 

それをコイツらは、侵入してきた。

 

つまりコイツらはチーターだ。

 

私の楽しみを不正に奪い、あまつさえこっちを無視して勝手に喜び合ってるクズの中のクズだ。

 

マスダイバーの時代はとっくに終わってる、彼のブレイクデカールも既にGBNには存在していない。

 

あれ程レベルの高い隠蔽は無かったから、それに対策を立てた以上連中はいずれ運営が連中のアカウントの凍結措置なり取ることだろう。

 

……だとしても、コイツらを許す気にはなれない。

 

 

「よしっそれじゃあさっさと帰…っぶねぇ!?」

 

 

「どうしたフェツリー!?」

 

 

「あんのDランクのガキ…撃って来やがった…」

 

 

「あぁ?獲物取られてご立腹ってか?」

 

 

クズ共が何かほざいてるな。

 

私は操縦桿を操作して、ヴィヴィッドのスラスターを最大出力で吹かして飛び上がる。即座に連中の元へと辿り着いた私は、そのままビームソードを敵機体……素組みのフェニーチェリナーシタへ振るう。

 

 

「ゴミ共、その機体で、私の夢を穢すな。」

 

 

「あぁ?何だお前、伊達男のファンか何か?」

 

 

「だったら何…お前ら全員、ゴミだっ!」

 

 

ビームレイピアで応戦して来たリナーシタと数秒競り合う。その時背後からもう1人のクズ……同じく素組みの、ガンダムシュバルツリッターが大剣を振りかぶって斬り掛かってくる。

 

 

「おらぁ初心者のガキぃ!死ねよやぁ!!」

 

 

「邪魔…!消えろっ」

 

 

「ぐぉ…テメッ、人を足蹴に!?」

 

 

あまりにも精度が低い。Aランクだとか言ってたが、やってた事を見るにどうせずっと漁夫の利チートでロクに鍛えもせずに上げてきたのだろう。

 

それはもう既に、チートだけでもガンプラへの……私の憧れへの侮辱だったが…更に加速させていく。

 

 

「もう1つ、アンタ達が使ってるの、オプションデカールでしょ。劣化量産品なんかでチート使って…」

 

 

私の中での彼等への怒りを加速させる、もう1つの要因、それは「オプションデカール」…かつて、母が作ったGPDでガンプラに取り付ける事で容量外の追加効果を付与する高級デカール「プラグインデカール」を勝手に解析して大量生産された劣化量産品。

 

既に出願していた特許違反で生産は停止済みだが、それでも一定数が世間に流出している品だ。

 

GBNとしても、一度は許可してしまった上、読み込みの外側で取り付けられたデカールに関しては完全にはブロック出来ないものだから一般的な用途で使う分には黙認、という形で落ち着いている。

 

だからこそ…その盟約すら破るコイツらが、尚更に許せない。私の憧れを、母さんの作品を穢すコイツらを、何があろうと絶対に許さない。

 

 

「それだけじゃない……そこの高みの見物してるお前。その機体…見た目通りって事で良いんだよね。」

 

 

「………あぁ、そうだな。コイツはGPDに再臨した黄金の不死鳥が使っていたガンプラの再現品だ。」

 

 

「んだガキお前、GPDに未練残してる派閥かよ。っかぁー、これだから時代遅れは嫌だねェー!」

 

 

………は?

 

 

「おいお前今なんて言った。」

 

 

「あぁ?だからGPDなんて時代遅れに未練を…」

 

 

刹那、何かをほざいていたクズの素組みフェニーチェリナーシタが十文字に切り刻まれて爆散する。

 

その展開を予測できなかったのか、場を数秒の沈黙が支配した。だが私はもう……止まらない。

 

 

「デカール起動、HADES」

 

 

その言葉と同時にコンソールを操作した直後、ヴィヴィッドの二つの瞳が真っ赤に染まる。まるで嗤っているような錯覚を覚えさせる不気味な機械音が響き渡り、ヴィヴィッドの腕から力が抜けた。

 

 

「フェツリー!テメ……あぇ…?」

 

 

仇討ちでも考えたのか、急に突出してきた素組みのシュバルツリッターが右肩から左腰に掛けて袈裟懸けに切断されて、間もなく爆散する。

 

そうして紅い瞳のヴィヴィッドは、次の獲物……偽物のガンダムフェネクスに、その視線を移す。

 

 

「フェツリー、ニヨモク……功を急いだな。…プラグインデカール…オリジナルか。コイツに対するリアクションといい…そうか、お前は……」

 

 

その中のパイロットだけが、未だ冷静だった。

 

プラグインデカール。連中が使っている劣化量産品の、オリジナル。コイツらの劣化デカールの搭載量とは比べ物にならないクオリティを誇る。

 

そして……このデカールに搭載した力、「HADESシステム」はGBNにおいて、耐久値を継続的に削られる代わりに近接格闘を全自動に切り替える効果を持つ。そしてその操作基準は…敵のランクに依存するのだ。

 

つまり敵のランクはA…ただし、漁夫の利チートで得たハリボテのAランクだ。

だがAIは相手のランクがハリボテかどうかなんて、そんな融通を効かせてくれたりはしない。

 

だからこそ、相手は本物のAランクと同等の動きをする私のヴィヴィッドと戦わなければならないのだ。

 

そうしてその結果は……早々についた。

 

 

「っチ……クソがよ。」

 

 

「お前みたいな奴等が多いから、このGBNを認めたくなくなるんだ。だからさ……消えてよ。」

 

 

「あァそうかよ。…けどなぁ…残念なことだが、テメェの憂さ晴らしはもう叶わねぇんだよなァ。」

 

手に持ったビームソードを突き立てようとした瞬間、フェネクスに乗ったクズ野郎が言い放った言葉に、一瞬手が止まった。直後、フェネクスが消えていく。

 

決着は付いていた。

 

既に奴の耐久値はほぼ0だったし、両手脚を斬り落として何も出来ないようにしてやった。HADESの効果は既に終わっていたけど、それでも勝ちは確定だった。

 

なのに、運営が余計な横槍を入れてきたのだ。

 

その後、運営の更新メッセージで、「不正なアクセスを行っていた3つのアカウントを凍結した」との旨が全体公開で通達されていた。

 

確かに、仕事はしたのだろう。

だが遅過ぎるし、タイミングも最悪だ。

 

凍結するなら私に出会わせるな。

出会わせたのなら、トドメぐらいは私に刺させてから凍結なりなんなりやればいいのに。

 

 

「ふっざけんな…ふざけんな、無能共がぁっ!!」

 

 

空に虚しく、「Mission Complete !!」の文字が浮かんでいるのにも気付かず、私は叫び、そしてそのまま不快感に身を任せてログアウト処理を行った。

 

あぁ、こんなだから、GBNはあるべきじゃない。

 

確かにシステムは悪くないかも知れない。けれど、管理人材が、体制が、そして何より、参加しているダイバー達の民度が逐一悪過ぎる。

 

これが、私から母さんを奪って急進、発展させた内容なのだとしたら……私は、GBNを許さない。

 

こんな場所にいる奴等は、一人残らずぶちのめす。そうして全員の心を追って、私の夢(G P D)を取り戻すんだ。

 

 

 




[今日の解説]

[プラグインデカール]
μの母、エレナがGPD全盛時代に開発した特殊デカール。これを使用する事でそのガンプラに使用されていないパーツの効果を1つ付与する事が出来る、という効果で当時界隈を騒がせた高級デカール。
極小数が生産されたが、途中で開発者であるエレナが亡くなった為に製造が中止され、現在はプレミアがついている程の貴重品となっている。

[オプションデカール](原案:守次 奏 様)
とある企業がプラグインデカールを無断で解析、複製、大量生産した品物。全体的にそのクオリティはプラグインデカールに劣り、付与できる効果も限りがある。ある事件をキッカケに製造していた企業は特許違反で摘発を受け、この品物も生産停止になっている。



第一章、これにて終わりです( ˇωˇ )
ここから第二章ですが、本気で鬱展開、闇展開をぶちかましていくので、充分な闇耐性を付けてから御覧くださいませ。
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