「ここがCクラスか」
俺はCクラスに入り、教室内をさり気なくぐるりと見渡す。既に教室内の大半の席が埋まっていた。
ここもか。俺が特に気になるのはこの学校に設置されている監視カメラについてだ。この教室まで来る途中、幾つもの監視カメラが設置されているを発見し、この教室にも監視カメラが設置されていた。
解せないな。防犯の為なのかもしれないが余りにも多過ぎる。そんなに監視カメラがーーん? 監視カメラ? ……監視か。
なるほど。監視カメラで我々生徒を監視しつつ実力を測るという訳か? いや、まだそう決まった訳ではない。
俺は一度思考を止め自分のネームプレートが置かれた席へと向う。廊下側の後ろの方の席だ。
ふむ、ここは喜ぶべきかな。
しかし、このクラスは柄の悪い生徒が多いな。怖いな、絡まれないように気をつけよう。
自身の席に座りHRまで読書を再開した。
本を読んでいると、隣から肩を軽くトントンと叩かれる。叩かれた方に意識を向けるとそこには綺麗な銀髪にふわふわとした雰囲気を纏う美少女がいた。そして彼女の視線には現在読んでいたであろう本に興味津々に向けている。
「何の本を読まれているのですか?」
「あ、ああ。アガサクリスティのオリエント急行殺人事件というミステリー小説なんだが」
そう答えると、彼女は目を輝かせる。なんなんだこの子は。
「本がお好きなのですか?」
「ああ、小さい頃から読んでいるからな。本は好きだな」
本は偉大だ。物心がついた時から分からない事、知らない事は大体本に書かれており、幾度なく俺を救ってくれた品物だ。
「本当ですかっ!」
そう俺との距離を詰め眩しいほどの笑顔を浮かべる。近い。あと……天使かな。
「あっ申し遅れました。私は椎名ひよりと言います」
「俺は柊美輝。よろしくな」
「はい。よろしくお願いします柊くん」
その後、椎名は本について話し出す。彼女の一方的なマシンガントークに遮ることが出来ず彼女の話を聞いていた。テンションを上がて話すあたりよっぽど本が好きなんだろう。
「あ、勢いづいてすみません。迷惑でしたか?」
我に戻った椎名はシュンと落ち込む。
「いや、迷惑だなんてとんでもない。椎名の本の話は実に面白かった。今後とも椎名の話を聞かせてくれないか?」
「はい!」
曇りのない笑顔を向けられ俺は心が安らぐのを感じる。これが癒しとというものなのか。椎名の話を聞いているとチャイムが鳴る。
「チャイム鳴ってしまいましたね」
「ああ」
彼女は残念そうにまたシュンと効果音が出るかのような顔をする。
ここは何とかしなければな。直感的にそう思った。
「良ければ、放課後に図書館へ行かないか?」
そう椎名を誘ってみる。彼女は俺の言葉に少し驚いたような顔をしたが、徐々に優しい笑顔に変わる。
お互い本が好きという共通点から図書館に行くかと誘ってみたが正解だったようだ。
「はい! 是非ご一緒させてください」
と元気よく答える彼女に微笑ましく思っているとドアからスーツ姿の男性が入ってきた。
「新入生の皆さん、入学おめでとうございます。君達Cクラスの担任を務めることになった坂上数馬です。担当科目は数学です。この学校には学年ごとのクラス替えはありませんので卒業までの3年間は私が担任を務めます。よろしくお願いします。
今から1時間後に入学式が行われますが、その前に入学案内と一緒に配布され内容は把握していると思いますが改めてこの学校の特殊なルールについて記載された資料を配りますので後ろに回して下さい」
前の席の生徒から資料が回ってきて自分の分をとり、残りの資料を後ろに回す。
「次は学生証カードを配ります。このカードは敷地内にある全ての施設を利用することや、商品をこのカードの中にあるポイントで購入することが可能です。デビットカードのようなものです。そして学校の敷地内にあるものならば、ポイントで買えないものはなく何でも購入が可能です。それからポイントは毎月1日に自動的に振り込まれることになっています。君達全員にはあらかじめ10万ポイントが支給されているはずです。確認の為、振り込まれていない人は申し出て下さい」
配られた学生証は、カードをいうよりも携帯端末に近い形状をしている。あえて紙幣を持たせないことで、金銭的なトラブルを未然に防止、あるいはポイントの消耗をチェックすることで無駄使いをしないようにしているのかもしれない。
画面をタップし残高確認をすると、確かに10万ポイントが支給されていた。
「振り込まれていない人が居ないようなので話を続けます。このポイントは1ポイント=1円の価値があるという認識でお願いします。」
ここで話を静かに聞いていたクラス内がざわつき始める。まあ仕方のないことだろう。何せ高校生がいきなり10万という大金が支給されたからな。
「ポイントの支給額に驚く人もいますが無理もありません。この学校は実力で生徒を測ります。これは入学を果たした君達に対するご褒美として受け取ってくれても構いません。それだけの価値と可能性が君達にはあるということです。ただし、卒業後には学校側が全て回収します。現金化は出来ませんので注意して下さい。
また、他の人にポイントを譲渡することは可能ですが強奪や恐喝のような手段を行うことは厳禁です。発覚次第、処分が下されます。いじめなどの非道徳的と思われる行為も同様に処分が下されますので、くれぐれもそういったことをしないように努めてください。学校はいじめ問題には敏感ですので。
何か質問がある人は挙手をお願いします」
坂上先生の説明が終わったのか、質問がないかと確認してくる。
「……どうやら居ないようですね。では1時間後に入学式が行われますのくれぐれも遅れないようにして下さい」
坂上先生はそう言い教室から出て行った。それを見送った俺は坂上先生が説明している時に疑問に思うこと、気になること等を箇条書きでまとめたメモ帳に目を通した。
・クラス替えはない
・この学校内にあるものは何でも購入可能
・毎月1日にポイントが支給される(10万?)
・この学校は実力で生徒を測る
読んでいただきありがとうございます。誤字やおかしな点がありましたら感想欄で教えてください。