ようこそ凡人がいく実力至上主義の教室へ   作:神威 

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第2話 Sシステムについて1

 

 ・クラス替えはない

 

 クラス替えはない、か。なら3年間はこのクラスの生徒達と過ごすことになる。でもこの学校のことだから、深い意味があるかもしれないな。

 

 

 ・この学校内にあるものは何でも購入可能

 

 なんでも、という事はあんなことやこんなことも……んん! 真面目に考えよう。

 なんでもということはあらゆる権利、人権、名誉等がポイントで買えると認識したら良いのか。もしくはクラスの移籍や試験免除、あとは土地と物品の所有権。まあ、今思いつくのはこんなところか。

 

 

・毎月1日にポイントが支給される(10万?)

 

 もし毎月1日10万ポイントが全校生徒に支給されると仮定すると、

 全生徒は、1クラスが40人程度、1学年が4クラスであるならば、

 

 (40×4)×3 = 480

 

 約480人の生徒に各一人ずつ10万ポイントが支給されると、

 

 480×100,000 = 48,000,000

 

 4800万ポイントに年間12ヶ月をかけると、

 

 48,000,000×12 = 576,000,000

 

 年間5億7600万ポイントの出費だ。

 うん。こんな莫大な出費はあり得ない。常識的に考えておかしい。必ずと言っていい程、何か裏がある。坂上先生は毎月1日にポイントが支給されると発言してる訳で毎月1日に10万ポイントが支給されるとは言ってはいない。

 なら何故、あらかじめ10万ポイントが支給されているんだ……?

 

 ふむ………………。

 

 ・この学校は実力で生徒を測る

 

 ……! なるほど、そういうことか。実力を測るということは、生徒のあらゆる能力を測ると認識してもいいだろう。そして、監視カメラが役に立つ。教室でも監視カメラがある、つまり、生徒の授業態度やカンニング防止を監視カメラで査定する。

 そしてここで10万ポイントだ。毎月が10万ポイントではないのであれば、ポイントは変動し支給される。授業態度、試験や部活動の成績によってポイントは変動し個人個人違うポイントが支給される。

 まだ情報が少なく確証はないが……とりあえず、情報収集だな。Sシステム、思ってたよりも謎が深い。

 Sシステムの概要についての推測を止めメモ帳をポケットにしまう。支給された学生証カード、もとい携帯端末を取り出す。プリインストールされている学校のアプリを起動し、そこで学籍番号とパスワードを入力しログイン画面に移る。

 

 100,000ppt

 

何かヒントになる情報はないか、とポチポチと探っていると気になる点が見つかった。

 

 1,000cl

 100,000pr

 

 メニューの残高照会から探っていたらこの数字が明記されていた。

 どういう意味だ。100,000pr……100,000pptと一緒だな。どう違うんだ。10万ポイント(100,000ppt)は各個人に支給されるものであってーー待てよ。個人………っあーね。個人という単語を英訳すればprivateと訳することができる。prはprivateの略称だろう。この流れだとclも何かの略称かな。

 俺はclに続く英単語を追憶するが、どの単語もピンとこない。

 駄目だ。情報が少ない。よし、放課後は情報収集として校内を探索したいところだが椎名と一緒に図書館に行く約束をしていたんだったな。仕方ない、明日探査するか。

 

 

 

 入学式に参加し敷地内についての説明を聞いた後、初日という事もあり解散となった。

 

「柊くん」

「ん? 椎名か」

「それでは行きましょう?」

 

 ウキウキした様子で微笑む椎名に俺は席を立つ。この学校の図書館はとても広いと聞く。俺も椎名につられウキウキしてしまう。

 

「了解。じゃあ行こうか」

 

 俺と椎名は約束通り、一緒に図書館に向かった。図書館に向かう途中、3人の男子生徒の会話が聞こえ耳を傾けた。

 

「よーし、今年も『Dクラスに落ちないよう』頑張ろうぜ!」

「おう! 『クラスポイント』が少なく貧乏生活を送っているDクラスには同情するわー」

「それなー」

 

 俺は思わず足を止めた。

 『Dクラスに落ちないように』? 『クラスポイント』? その時、電撃が走った。

 俺は直ぐにメモ帳を取り出し、メモを取る。

 思わぬ情報の収穫に嬉しく思い、愉快な気分だ。感謝しますよ、先輩方。

 

「どうしましたか柊くん」

 

 足を止めた俺に椎名は心配そうに顔を覗き込んできた。

 

「いや、何でもない」

「もしかして、先ほどの先輩方の会話に気になることがありましたか?」

「ああ、椎名もか」

「はい、恐らくですがポイントは二種類あると考えられますね。そしたら、来月支給されるポイントについて関連しているのかもしれません」

 

 驚いたな。椎名はこの学校のSシステムの仕組みについて勘付いているのかもな。

 

「そんなことより、早く図書館に行きましょう!」

 

 え、いや、割と大事なことだと思うのだが。

 その後俺と椎名は図書館に到着した。

 

「おお、広いな」

「そうですね。早速読みましょう!」

 

 お互いにおすすめの本を紹介し合い、本の感想を言い合ったりした楽しい時間を過ごした。興味深い専門書や実用書に出会ったことに感謝を。次来た時に読もう。

 日が沈みかけた頃、丁度本の感想が言い終わったので2人で帰ろうとする。

 

「柊くんはこの後の予定とかはありますか」

「ああ、コンビニで日用品を買おうと思いている」

「そうですか。では一緒に行きませんか?」

 

 椎名の誘いに断る必要もないので俺は承諾した。

 

 

 

 コンビニで歯ブラシや歯磨き粉、洗剤といった日用品と食料品等をカゴの中に入れていった。 

 一回りしていると、妙なものを発見した。

 

「無料?」

 

 コンビニの隅に置かれた一部の食料品や生活用品。一見他のものと同じに見えるが大きく異なる点が無料の商品だ。

 タオルや絆創膏といった日用品が、無料と書かれたワゴンに詰められている。1ヶ月3点までと但し書きも添えられており、明らかに周りから浮いた異質さを放っていた。

 

「ポイントの使いすぎた人への救済措置でしょうか」

「またはポイントの支給額が少ない人への救済措置、か」

「その口振りですと」

「ああ、毎日振り込まれるポイントは、何らかの規定でポイントが変動し振り込まれると思う」

「……その規定は普段の授業態度や素行、テストの成績とかですかね」

 

 どうやら椎名は相当頭が切れるそうだ。俺が必死に考えたことをこうもあっさりと。

 

「そうだな。異常に多い監視カメラといいSシステムといい、本当にこの学校は特殊だと実感するな」

「そうですね。では今後の為にポイントは節約した方が良さそうですね」

「だな」

 

 俺は無料商品の中から、タオル、カミソリ、ボディソープの商品をカゴに入れる。椎名も同様、生活において必要な物を取りカゴに入れた。

 

「舐めてんじゃねぇぞ! あぁ!?」

 

 店外から怒鳴り声が聞こえた。揉め事か? 何事かと思い見てみると、赤髪の男子生徒が3人の男子生徒と対峙している。うわー喧嘩かな。

 

「お前、1年のDクラスだろ」

「んあぁ! だから何だよ」

「おーひでぇ口の聞き様だな。上級生に対してよ」

「うるせぇ!!」

 

 赤髪の男子生徒は凄むが、3人の上級生は嘲笑を浮かべたままだ。

 初日からはまずいだろ。ほら、あそこに監視カメラがあるの気づかないのか。

 

「ふん、今日はここまでにしてやるよ」

「惨めのお前ら『不良品』をこれ以上苛めちゃ可哀想だもんな」

「逃げんのかオラ!」

「吠えてろよ。どうせお前らこれから地獄を見るんだからな」

 

 3人の上級生はそう言い、去っていた。

 俺はポケットからメモ帳を取り出し、メモを取る。

 あの先輩達はあの赤髪の男子生徒をDクラスだと見抜き、Dクラスは『不良品』、これから地獄を見ると言っていた。もしや、クラス分けにも意味があるとすれば試験の成績以外の言動の振る舞いやコミュニケーション能力、社交性、思考力、身体能力などといった実力でクラス分けが行われるとしたら? A>B>C>Dの順になるな。

 

「椎名。質問いいか」

「? ええ、どうぞ」

「すまない。失礼な質問なんだが中学の時の成績はどうだった?」

「中学の成績ですか? 自慢ではないんですが、テストの成績は200人中10位以内でずっとキープしていました」

 

 ビンゴ。この学校は学力以外の能力でクラス分けが行われていた可能性が高い。

 

 ・クラス替えはない

 ・この学校内にあるものは何でも購入可能

 ・毎月1日にポイントが支給される(10万?)

 ・この学校は実力で生徒を測る

 

 ・異常な数の監視カメラ

 ・プライベートポイント(pr)、クラスポイント(cl)

 ・Dクラスに落ちるな(競争?)

 ・無料商品が売られている

 ・Dクラスは不良品であり苦労することになる(地獄?)

 ・クラス分けは各人の能力で分けられている可能性が大

 

「柊くん」

 

「……あ、すまん」

「そのメモ帳で何か考察でもされているんですか。坂上先生の説明の時や図書館に向かう途中に聞こえた先輩の方々の会話の時とかにメモを取り、深く考えられている様子でしたので」

「Sシステムについて考えていたんだ」

「Sシステム、その様子だと何か分かったんですね」

「まあ、俺の推測だから合っているか知らんけど。ひとまずここに長居するのなんだしそろそろ会計しよう」

 

 俺と椎名は物を購入しコンビニを出た。この後、雑談しながら学生寮へと足を進めた。ほどなくして歩いていると大きい建物が見えた。あれが今日から過ごす寮か。

 

「わぁ、とても大きい学生寮ですね」

「そうだな」

 

 俺と椎名は学生寮を見上げながら感想を言う。世間一般の学生寮はこんなに大きいものなのか。

 寮の中に入ると中はとても綺麗だ。1階フロントの管理人から410と書かれたカードキーと、寮でのルールが書かれたマニュアルを受け取り、椎名とエレベータに乗り込む。椎名は上の階と言う事なのでここでお別れのようだ。

 

「今日はありがとうな。付き合ってくれて」

「いえいえ、私の方こそ楽しい時間を過ごせて頂いたのでこちらもありがとうございました」

「じゃあ、また明日」

「はい!」

 

 そうして俺達は自分の部屋へと向かった。

 

 

 




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