松風天馬たちが地球を後にしてから…およそ三週間が経過した。
「イナズマイレブンGO」における正史では宇宙へ旅立った松風天馬たちが「アースイレブン」として地球の命運を賭けて戦い、「ファラム・ディーテ」、そして「イクサルフリート」との激戦の末地球を、そして宇宙をも救う物語。
これは、天馬たちの宇宙での激闘の裏で行われた、「ジャパンの誇り」をかけた戦い。フットボールフロンティアインターナショナルV2、世界大会本戦の物語。
◇
「絶!ゴッドハンド X!!!」
両手で描いたXの中心に溜めたエネルギーを巨大な掌の形に放出し、放たれたシュートはゴールキーパー、三国の手の中に収まる。
「影山!いいシュートだったぞ!」
「は!はい!ありがとうございます!」
三国から褒められた紫の髪の少年、影山煇は背筋を伸ばし、三国に一礼をする。
ここは日本の東京にある私立雷門中学校サッカー棟、イナズマジャパン、そしてプロ選手も何人も輩出している少年サッカーにおける超名門校である。
ついこの間までも松風天馬、神童拓人、剣城京介の3名が新生イナズマジャパンとしてアジアを相手に戦い抜き、世界大会への出場を決めたのだが…「さらに高い次元での戦い」のため、天馬たち3名…と、西園信助は宇宙へと旅立ってしまった。
「この辺は「ギャラクシー」のアニメとかゲームで補完、ってことでいいんですよね、先輩?」
「お前は何を言ってるんだ…」
三国と影山のやりとりを見ながらぽつりと呟いたつり目の少年、狩屋マサキを美少じ…美少年、霧野蘭丸が冷静に諌める。
「しかし、三国さん、また必殺技のキレが増したんじゃないのか?」
霧野が言う。元々三国太一は優秀なキーパーであった。強力な技能の一つとも言える化身を所有していなかった、と言う点においてパワーが足りず、ゴールを許してしまうことはあったが、必殺技「ゴッドハンドX」を習得、進化させることで化身技すら受け止める強力無比なキーパーへと進化を遂げ、化身禁止ルールが引き続き適用されることが判明したFFI世界大会本戦でもその実力は発揮されるだろう。
そう、発揮されるのだ。
「三国せんぱーい!そろそろ、時間なんじゃないですか?」
狩屋が声をかけると、スポーツドリンクから口を離した三国が狩屋たちの方へへ歩いてくる。
「おう、今行く!」
「今日が召集と発表の日なんですから、遅れないようにしないと」
霧野に急かされながら三国はジャージをユニフォームの上に羽織り、2人と共にサッカー棟を後にする。
そんな3人を羨ましそうに影山が見ながら声を漏らす。
「雷門から本戦メンバーに選ばれたのは3人かぁ…いいなぁ」
そんな影山の後ろにいつのまにか這い寄っていた髪を逆立てた男、車田、と巨漢の天城が影山の肩を組む。
「何言ってるんだ影山!俺たちもジャパンのメンバーだろ?」
「そうダド!リザーブメンバーも積極的に使うって、鬼道監督も言っていたド!」
「つまり…天城」
「おう!車田!今から特訓ダド!」
「あの、先輩?…って、僕も!?!?!?」
影山の叫びが空に溶けていく中、フットボールフロンティアインターナショナルV2日本代表の正式発表会見が、都内某所で行われようとしていた。
◇
「皆様、大変長らくお待たせいたしました。只今より、フットボールフロンティアインターナショナルV2、世界大会本戦へ出場する日本代表、名付けて「イナズマネクストジャパン」のメンバー、並びに監督の発表会見を行わせていただきます。司会を務めます、緑川リュウジです、よろしくお願いします」
緑かかった髪をポニーテール状にした青年、緑川がマスコミの前で会釈をする。
この新生日本代表、一応表向きには前監督黒岩流星氏の体調不良並びに「実力、実績等を考慮して改めて日本代表メンバーを選考した」と言う「てい」で選出をされている。…というのも、本来の日本代表が宇宙にいるから…というか、天馬たちは「宇宙で戦うメンバー」であり、このメンバーが「本来の日本代表」なのかは、鳥が先か卵が先かに近い問題なので、ここは置いておく。
そんな事情を知っているのも代表関係者だけだしね、と内心で思いながら緑川は監督、コーチ陣の発表に移る。
「まずは日本代表の監督から。イナズマネクストジャパンを率いるのは、10年前に司令塔としてイナズマジャパンを統率、世界一の座へ導いた男、指導者としても帝国学園と雷門中学での指導を歴任しました、鬼道有人氏です」
緑川の紹介とともに都内に用意された会見場に鬼道が姿を表し、報道陣からも一斉にシャッターが切られる。
鬼道は軽く礼をし、マイクを手に取る
「この度日本代表監督に就任しました鬼道有人です、日本代表の重みは少年サッカーであれど変わりはしません。第一回で掴んだ栄冠を再びこの日本代表が掴み取るため、最善の采配を行うまでです」
強気な挨拶を行い、席に着く。
緑川は「変わんないね…」とでも言いたげな表情を見せてからコーチ陣の紹介に移る。
「本大会では各ポジション毎に一名ずつコーチを任命、戦術面だけでなく未来ある少年である彼ら、彼女らの育成も努めていく予定です。まずはフォワード担当コーチ、宇都宮虎丸!」
鬼道とともにイナズマジャパンとして、そしてのちに雷門へと入学。「学生サッカーの最高峰」とも称された若き天才、宇都宮虎丸が二十代とは思えない童顔を見せる。
「ミッドフィールダー担当コーチ、帝国の反逆児、不動明王!」
同じく元イナズマジャパン、鬼道の相棒にしてライバルとも言える選手、不動が珍しくスース姿で会見場に入ってくる。
「ディフェンダー担当コーチ、土方雷電!」
「久しぶりだな鬼道!ていうか、これほとんどイナズマジャパンの同窓会だな、緑川!」
これまたイナズマジャパン出身、現在は地元沖縄でのサッカー振興を担う豪傑、土方雷電が高笑いと共に入場する。
「最後にゴールキーパー担当コーチ、立向居勇気!」
最後に紹介された、言うまでもなく日本代表イナズマジャパン出身、現在もプロリーグで活躍する立向居勇気がやや緊張した趣で入ってくる。
本来彼はプロの試合があるのだが、本大会がちょうどオフシーズンに開催されると言うこともあり、チームから一時的に離れ日本代表入りすることを決めていた。
コーチ陣が全員鬼道の横に座ったことを確認してから、緑川は改めてマイクに向かう。
「以上がイナズマネクストジャパンを支える監督、コーチ陣となります。その他移動面、世界大会の会場であるライオコット島に入って以降の日本代表サポートは吉良カンパニーが、本戦中の代表の体のケアは久遠冬花氏が担当いたします。それでは本題に移りましょう…イナズマネクストジャパンのメンバー発表です!
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チームゼロから究極のストライカー、白竜!
白恋中から氷結の後継者、雪村豹牙!
月山国光中からソニックストライカー、南沢篤志!
ジュニアユース 東京ブルーコメットから影に這い寄るストライカー、中西紫月!」
白竜をはじめとした錚々たるメンツが会場に足を踏み入れる中、白竜と雪村の視線は4人目の日本代表、やや薄めの色素をした髪をポニーテールにした少女、中西に注がれていた。
(雪村、あいつを知っているか?)
(一応、ジュニアユースで活躍してる女子選手…のはず)
U15年代のサッカーは雷門や帝国といった圧倒的なスターチーム、そしてかつてのフィフスセクターの影響により中学サッカーの知名度の方が群を抜いていたが、当然プロチームの傘下にあるジュニアユースチームも存在する、今回もそのジュニアユース、東京ブルーコメッツから何名かが選抜されていた。
中西は視線に気付いたのか白竜の方を見ると軽く会釈をし、報道陣に目を向ける。
白竜たちも同様にシャッター音が鳴り止まない記者たちへ視線を直し、緑川は次のメンバーの紹介に移る。
「ミッドフィールダー
東京ブルーコメッツから「悪鬼」烏山総司!
聖堂山からサッカーの申し子、黒裂真命!
幻影学園から奇術師 真帆路正!
木戸川清修から獅子王 貴志部大河!」
中西と同チームに所属する茶髪を長く伸ばした少年、烏山総司が新しいおもちゃを見つけたような表情で会見場に姿を表す。
中西はそれを見て「まーたなんか変なことやってるよあのバカは」とでも言いたげな表情を浮かべて鼻でため息をつく。
一方本会見がインターネットで中継されている中、SNSでは「錦は?」「錦おらんのか」と選出外になっているメンバーの名前が上がりながら、会場の緑川はさらに紹介を続ける
「ディフェンダー
東京ブルーコメッツから追跡者 青島咲!
東京ブルーコメッツから不屈の男 キャプテン、あこさんこと景浦安浩!
雷門中学から霧にとけるディフェンダー 霧野蘭丸!
同じく雷門、後衛のハンター 狩屋マサキ!
月山国光から鉄人 兵頭司!」
雷門から初の選手の発表と同時に、月山国光で守護神を務めていた兵頭のコンバートに会場、そしてインターネットがざわめく。
「兵頭がコンバート?」
「確かにフィジカル面では強みがあるけど…」
そんな記者の声を受けながら兵頭、そして黒髪を後ろで束ねた青島、短髪で10代とは思えない「深み」を持った顔つきの「あこさん」、景浦が姿を表す。
霧野と狩屋も兵頭のコンバートに以外そうな表情を見せつつ会場に姿を表した。
(先輩、兵頭さんキーパーじゃないんですね)
(本人の意思と鬼道監督の考えがあってのコンバートらしいが…)
ディフェンス陣5人が並んだところで、緑川は最後のメンバーを発表する。
「ゴールキーパー
雷門中学から熱血守護神 三国太一!
東京ブルーコメッツから「最恐ゴールキーパー」麻倉柚子!」
正ゴールキーパーである証の1番を背負った三国と、三国とは色違いのキーパー用ユニフォームを着た茶髪の少女、麻倉が「最恐」とは程遠い柔和というか、怖さのかけらも見せない顔を浮かべながら会場に入ってくる。
「三国くん、よろしくね〜」
「お、おう」
三国はまだ掴みきれないような態度で浅倉に対応をする。
全員が一列に並んだところで、緑川は改めて声を発する。
「以上が世界大会本戦に挑むイナズマネクストジャパンとなります。また、このメンバーは基本的な編成となる15名であり、対戦相手や選手の体調等を考慮したリザーブメンバーも選出しています。本日は会場に姿を見せませんが、こちらがその候補となります」
緑川の合図とともに選手たちの背後のモニターに天城や車田、影山、そして白恋から真狩、ゼロから青銅と言った錚々たるメンツがずらりと名前を連ねる。彼らにもすでにリザーブ候補としての話は通っており、それぞれがいずれ出る可能性のある試合のため牙を研ぎ続けている。
緑川からマイクを受け取った鬼道が選手たちの前に出る。
「今回はジュニアユース、中学双方から男女問わず、才能・実力のある選手を集めました。中には本人の意思でコンバートした選手もいますが、我々にとって現時点での最強メンバーを集めた予定です。このイナズマネクストジャパンで…ライオコット島にて行われるFFI V2本戦に挑みます」
マイクを戻された緑川は、画面を切り替え本戦の出場国を発表する。
「本戦は前回同様ライオコット島にて実施、全12チームが参加し、6チームずつに分かれてのリーグ戦を実施、各リーグの上位2チームが決勝トーナメントへと駒を進めます。Aリーグは日本、アメリカ、メキシコ、コトアール、ドイツ、ラグーナの六カ国、Bリーグは中国、ブラジル、エジプト、スペイン、ノルウェー、イタリアの六カ国で戦います」
続けて日本の初戦の相手は来週メキシコから始まる予定であることが告げられ、いくつかの質疑を経て会見は幕を閉じた。
マスコミが会場を去ったのち、鬼道がコーチ陣、選手を集めて改めて挨拶をする
「よく忙しい日程の中日本代表として集まってくれた。事情こそ各自知りながらこの場に集まっていることは承知している、だが我々は「あまりの日本代表」ではない…必ず優勝し、真の日本代表であることを松風たちアースイレブンに、トロフィーの形で見せつけよう!」
『はい!』
その後日本代表は一度解散…することなく、バスに乗り込み天馬たちが先日まで利用していた宿舎であるお台場サッカーガーデンへ向かう。最終調整を兼ねてそこに合宿を組むのだが…
「うわ…ヒロトさんたち張り切ったね…」
狩屋が目の前の光景を見ながら苦笑する。
天馬たちが宿舎として利用していた建物はギャラクシーノーツ号として宇宙に旅立ってしまっているため、日本代表の一次的な宿舎として吉良の会社が宿を提供したのだが…
「ここ、一流ホテル、だよね」
ホテルに足を踏み入れた青島が荷物を肩に背負いロビーを見まわしながら言う。
「まあ、日本代表なんだから、このくらいは、ね?白竜さん」
烏山が白竜に話しかける。白竜も
「ああ、そうだな…俺のことは白竜でいい、敬語を使う歳の差でもないだろう」
と答える。白竜は一年、烏山も一年生での選出のため、同い年なのだが…
「了解、白竜くん、んじゃ部屋行くか、咲」
「うん、てかフロア貸し切るのに2人部屋なんだ、僕ら…」
と笑いながら烏山は青島とともにエレベーターへと消えていった。
「麻倉先輩、私たちは別フロアみたいだから…」
「ほんとだ、女子フロアだ!てか大浴場ある…後で行くか」
「了解…です」
女子組2人も修学旅行のようなテンションでエレベーターに乗り込み、女子組のフロアへと向かう。
他のメンバーもそれぞれ同じ部屋の相方を見つけエレベーターへ向かう中、1人の男が白竜に話しかける。
「白竜、お前は俺と同じ部屋らしい、よろしくな」
「…景浦さん」
白竜よりいくらか大柄な少年、景浦が口角を軽く上にあげた。
◇
次回!
「自分だけの必殺技…まだないんですよねー」
「ゴッドハンド Xを超える必殺技…?」
「狩屋、俺とお前で…連携技をやってみようと思う」
新生日本代表、始動!!
ライオコット島への出発に向け、必殺技や連携の確認を行うイナズマネクストジャパン。
そんな彼らに、鬼道たちから秘伝書が託される!
『イナズマの後継者』
これが超次元サッカーだ!!!
◇
「しっかし、イタリアも久しぶりぜよ!まるで数年ぶりのことのようじゃ!ガッハッハ!」
「にしきー!お前声も外見も目立つんだからそんな騒ぐな!送れんぞ!」
「おう!いやあしかし!お前と一緒に
イタリア代表とは驚いたぜよ!レッド!」
「別に2人ともイタリア留学してたんだから、あり得る話だろ、錦龍馬…世界大会か…勝ち上がってこいよ、イナズマネクストジャパン」
いやあ、ラグーナの代表はダレナンダー
イナズマメモ
東京ブルーコメッツ
東京にあるプロ、並びにユースのサッカーチーム、吉良ヒロトをオーナーとしてプロでは一部リーグで活躍、ジュニアユースも有望な選手を多く揃え「シンキングサッカー」と称した一人一人がプレーの意味、最善の判断を考えたプレーを行えるようなサッカーが特徴。
中西 紫月 一年 女 FW 山
ジュニアユースチーム 東京ブルーコメッツ所属の「赤いストライカー」、シュートの威力より速さでゴールを奪うタイプ。味方が強ければ強いほど点をとっていくスタイル。
必殺技 突風ファング
青島 咲 一年 男 DF 風
東京ブルーコメッツ所属の「トレーサー」の異名を持つ選手、相手の動きのトレースや必殺技の真似に長けている。
必殺技 ????
烏山 総司 一年 男 MF 林
帝国ジュニアサッカークラブから東京ブルーコメッツに移籍した「悪鬼」と呼ばれる司令塔。相手のパフォーマンスを低下させるタクティクスを駆使する神童と対極にいるような選手。
必殺技 イリュージョンボール
景浦安浩 三年 男 DF 山
東京ブルーコメッツユースに昇格を決め、早ければ来年夏にはプロチームへの合流も予定されている超強力なDF、どんな状況でも崩れないタフなフィジカルと怪我から立ち直った精神力から「不屈」の異名を持つらしい。
必殺技 アイアンウォール
麻倉柚子 三年 女 GK 山
ブルーコメッツユースへの昇格を決めた「史上初のプロユース女子選手」、強気なコーチング、配球をするほか「魔王」を呼べるとの噂も囁かれているらしい。
〇〇 ザ・ハンド
門司 烈斗(レッド) 2年 男 FW 火
錦と同期でイタリアに留学していたプロチーム「火の国フェニックス」のジュニアユース所属選手、燃える熱血サッカーが特徴の「真の赤きストライカー」
必殺技 レッドゾーン