本戦に入るんだから入らないんだかの回。兼フラグを巻いたり回収したりする回
世界大会で戦う予定のチーム紹介と、烏山や青島たちvs千羽山の回想、
世界大会にフェイたちを出したい⇨フェーダ、ザナークドメイン、プロコトルオメガの他にもう少し欲しい⇨こうなりました。
水道橋にある出版社「松學館」の自社ビル5階は丸々一フロア、サッカー雑誌「週刊サッカーサンデー」の編集部となっている、
「円堂世代」とも呼ばれる円堂守を筆頭とした選手たちがユース年代に台頭し始めたあたりから徐々に増していったサッカー誌の需要は松學館にも訪れており、数年前からサッカーサンデー専用のフロアとして使われているのだ。
普段は数十名のライターやデスクが毎日毎時戦場の如く走り回ってはサッカー関連の記事を集めているのだが,今日は珍しく若年の記者、源田が1人、広いフロアにぽつんと残っているだけである。
高校サッカーは選手権や高円宮杯、プロも天皇杯のトーナメントが進んでいることもあり…そして何より、明日開会式が行われるフットボールフロンティアインターナショナルV2のために、松學館からも多くの取材スタッフをライオコット島に派遣している。
源田もかつては代表クラスの実力を有し、高校一年の年には円堂に次ぐ第二キーパーとして世界大会の代表に選抜されることもあった…のだが、プロ2年目で負った膝の怪我を原因にフィールドを去り、新人記者としてサッカーに携わっていた。
そんな新人記者がライオコット島の取材スタッフに選抜されることもなく、以前盛り上がりを見せる国内リーグの方を取材するのが源田の仕事…なのだが、少し気になることがあり、以前行ったインタビューデータを引っ張り出すために会社を訪れていた。
数ヶ月前、ホーリーロードが終わった直後に源田の先輩記者が行った千羽山中監督へのインタビュー。
そこには、現在イナズマネクストジャパンに5名の選手が選抜された東京ブルーコメッツの選手,そしてチームの実像が記されていた。
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「それでは矢野原監督,よろしくお願いします」
「はい、よろしく」
「まずは、ホーリーロード全国大会,お疲れ様でした」
「いやぁ…疲れるも何も,と言った結果だったがね…あの負けは直前の試合を引きずってしまったとは言え,選手たちも悔しく思っているよ」
「聖堂山との準決勝 0-16での敗戦…」
「ああ、その前にジュニアユースのチームと練習試合をしていた。東京ブルーコメッツというんだが…そことの試合以降選手たちが嫌に調子を崩してね…それで,あの結果だよ」
「その試合は報道陣もシャットアウトされて行われましたが…詳しくお話を伺えますか」
「勿論。フィフスも解散したことだしね…と言っても,あくまでフィフスは仲介をしただけ,どちらのチームもその意思は関係なく,全力でサッカーをやっていたよ、うちの子たちも久しぶりに勝敗指示のないサッカーができると言って喜んでたね」
「なるほど…試合展開の方は,どうでしたか?」
「ブルーコメッツはトップチームからして固い守備とカウンターが主体のサッカーだろう?うちも近いものがあるとは言え圧倒的に守備寄りのチーム。うちと当たったチームはどこも…10年前の雷門のように攻めで守備を突破してきた。あちらさんも攻めてくると思ったんだが…なんとブルーコメッツは、前半29分までずっとラインを上げず、それどころかこっちに頻繁にボールを奪われていたんだよ」
「ジュニアユースのチームが,ですか」
「ああ。前半を終えたボールの支配率はこっちが8割を超えていたからね…実際,うちの子たちも容易く相手のオフェンス陣からボールを奪っていたし…そこまで攻めが得意でないうちの選手でも,やすやすとゴール前まで行けたんだよ」
「それは…勝敗指示が出ていたとは考えましたか?」
「いやぁ、うちも…いや、中学サッカー自体、何年も勝敗支持を受けてきたんだ。出てる時と出ていない時の選手の顔つきや動きくらいわかる。まして相手は指示なんて全く関係なくやってきた子達だよ?彼らは間違いなく「勝つため」にあのプレーをしていた。彼らは…そうだね、勝つために「前半28分 0-1」のシチュエーションを作り出したんだよ」
「と言いますと…先制は千羽山が?」
「うん。珍しくうちの子が…ディフェンダーの子がシュートを決めてね。思えばその時点で彼らの術中にはまっていたんだろうね。彼らは…わざとうちに攻めやすいように立ち回り,前線を上げることに不慣れな千羽山をイケイケムードに持っていったんだ」
「不慣れなプレーを行わせることで,前線の崩壊を狙った,ということですね」
「ああ、彼らは一点を取られた後もこちらに攻めさせ続けるようにプレーを行い…前半残り2分のところで,うちの子の些細なパスミスからボールを奪った。そこからはまさに電光石火だったよ…息をつかせない勢いでフォワードの中西くんが駆け上がり,シュートを決めた」
「千羽山といえば現在も無限の壁が健在ですが…」
「そこも彼らのキモだったんだよ。無限の壁は3人での連携技,無論それに参加する2名は上がりすぎないよう,すぐに戻れるよう普段から指示も練習も徹底していたが…」
「イケイケムードの中で,中学生…まだ若い少年は、気が付いたら戻りきれない前線にいた,ということですね」
「そうだね。現に一点を決めたのもその無限の壁を構成する選手だったんだ」
「そこからは…どうなりましたか?」
「後半は酷かったよ,前半の感覚が残ったまま…いや、感覚を植え付けられた子たちを相手に電撃速攻,前半とは別チームのようだった…結果試合を終えてみたら1-9で敗北。調子を崩した千羽山は聖堂山を相手に勝敗指示なしに0-16、と言ったところだ」
「なるほど…」
「彼らは…ブルーコメッツはリーグ戦、同じ相手と2度3度やることを前提にプレーをしている。ただ一度突破すればいいだけではない。次につながる勝ち方をできるようにしていたんだろうね…うちみたいに長所を砕けば,リーグの中ではどんどん落ちていくわけだ」
「ありがとうございます…ブルーコメッツの中で,際立った選手はいましたか?」
「そうだね…後半からキーパーが変わったが,その後半のキーパーは女の子ながら素晴らしかった…少し古臭いかもしれないが…それが当てはまる。麻倉くん、彼女はチームが勢いに乗れば乗るほど手がつけられなくなるキーパーだ。うちはあまり攻めが得意なわけではないからか余計に…正面からの突破は無理なように感じたよ」
「ディフェンダーは、あのチームは景浦を有していますが…」
「景浦くんは…そうだね,僕も注目していた。楽しみな選手ではあったが,あの試合は…「上」の試合に出ていて欠場していた。代わりに青島,と言ったかな?リベロの子が面白い活躍をしていた。必殺技こそ使わなかったが、プレーの一つ一つが丁寧で、美術品を見ているようだったね。いくつか現役プロの真似事も披露していた」
「ミッドフィールダーは…」
「なんと言っても,烏山くんだ。小学生時代…帝国ジュニアにいた頃からその才能は知っていたが、東京に移籍して正解だったね、彼は」
「と言いますと」
「元々…リーグでの戦い方を熟知していた子だよ。とくにあの試合のように、相手の力を少しずつ削ぐというか…相手に100%を出させないプレーは彼特有のいやらしさを感じた。今のプロ年代では鬼道くんやフィディオくん、チャンスゥくんのような正統派のゲームメーカーが好まれるが,ぼかぁ彼のようないやらしいゲームメーカーも大好きなんだよ。タイプで言うと…ストラーダくんや…不動くんが近いだろう?
そんな彼が東京に入って、プレーが正確になったね。縦のパス回しを重視するチームだからかその意識が強くなったし、パスのスピード,精度共に比較にならないくらい上手くなっていた。気になった選手はそのくらいかな…」
「フォワードの選手は…」
「うん、1点目こそ女子選手…中西くんが「気が付いたら」得点していたくらい印象が薄かったが、それ以外は特に、フォワードは…いや…今思うと薄められていた…のか?」
「薄められていた、とは」
「中西くんは確かに面白いストライカーだ、トップスピードへの加速力とその持続は目を見張るものがあった。しかしゴールをこじ開けるパワーを有しているかというと,それはイエスではない。彼女は10番ではなく13番のストライカーだね」
「必ずしもエースではないストライカー,ですか」
「うん、そもそもストライカーとは…同年代なら白竜くんや門司烈」
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矢野原のやや精神論じみたストライカー論が展開される前にレコーダーの電源を切り,源田はフロアの隅にあるテレビをつける。
ブルーコメッツのチームの詳細はよくわかった。同時に,鬼道がなぜ愛弟子…かつての影山と自身を思わせるほどに手をかけていた烏山を帝国学園へといれずに他チームへと移籍させたのかも。
「烏山総司の才能を生かしつつ…中学サッカーには染めたくなかった,というわけだな…鬼道」
現在イナズマネクストジャパンで指揮をとる親友のことを思い浮かべながら,源田はそんなイナズマネクストジャパンが登壇しているテレビ番組にチャンネルを変えた。
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「はい、放送終わりましたー!」
『お疲れ様でしたー!』
「お、お疲れ様でした…」
都内の一等地,テレビ局のさらに一等地にあるスタジオ、眩しいライトと共に四方八方から飛び交う挨拶に,白竜もぎこちなく返す。
「お疲れ様でした〜」
「お疲れです」
「青島くん!本戦楽しみにしてるよ!」
「ありがとうございます、頑張りますね!」
「烏山くん!ライオコット島に差し入れしちゃう!なにがいい?」
「どもっす、距離あるんで島にはいいっすよ,そのかわりジュニアユースの方,チケット買っといてください」
そんな白竜とは対照的に,隣にいた青島と烏山は慣れた雰囲気で白竜もなんとなく名前は聞いたことがある著名なアナウンサーや芸人とやり取りをしている。
イナズマネクストジャパンがライオコット島に出発する…まさかの当日,白竜たちは昼のニュースバラエティ番組に出演していた。その足で大江戸国際空港に向かいチームと合流、ライオコットを目指すことになる。
「しかし、何故俺たちがこのようなことを…」
テレビ局の廊下を歩きながらぼやく白竜に、マネージャー代わりに同行していたチームスタッフの塗壁が声をかける
「これも代表の仕事だからね」
それに青島,烏山が続く。
「僕らは慣れてる」
「ま、プロになったらいずれ通る道だからな」
「そうなのか…」
「マジで、ジュニアユース年代から追ってる熱心なサポーターもいるし,その人たちは俺たちのグッズなんかも買ってくれて…」
テレビ局の出口から外に出ると、用意されていた車までの短い距離の間に詰めかけたイナズマネクストジャパンを応援するサポーターがめいめい手にした応援グッズを掲げて歓声を白竜たちにかけてくる。
『頑張れよジャパン!』
『優勝,待ってるぞ!』
「だから、そのためにも勝つんだよ,俺たちは」
歓声に手を振る形で返事をした烏山は、ニヤリと笑ってそう言った。
「塗壁さん、他の人たちの予定は?」
乗り込んだ車が大江戸国際空港に向けて動き出したところで,車内に用意されていたペットボトルのカルピスに口をつけた青島が塗壁に聞く。
「ほとんどの選手は練習の後空港、黒裂くんと貴志部くん、雪村くんで何やらやってるみたいだね…真帆路くん兵頭くん、三国くんなんかもそれぞれ必殺技を練習してるって、コーチから来てるよ」
そう言われ3人がスマホを見ると,専用のアプリにそれぞれのトレーニングの様子やその結果が記録されていた。
日本代表には専用のアプリケーションが製作され,それぞれの選手データや練習の進捗は選手,コーチ,監督の間で共有できるようになっている。これもブルーコメッツが導入しているシンキングサッカーの一環らしい。
「…何人か名前が出なかったが」
白竜の問いに塗壁が応える。
「麻倉さんと中西さんは「仕事」、狩屋くんと霧野くんは…雨宮くんたち他のメンバーと練習だね」
「仕事?」
「客商売がプロ予備軍のお仕事の上,あいつらは顔のいい女子選手だからな」
「半ばアイドルのような仕事もしてて…確か今日はミニライブ」
青島と烏山が半目でいう。
「それは…サッカー選手なのか?」
「僕らもややそう思ってるんだけど…需要もあるしね」
「しかし今日やらずとも…」
「元々俺たちは代表に呼ばれる予定なかったからな,今宇宙にいる奴らがそのまま世界に行く前提だったから,チームも今の時期に予定入れたら急遽世界行きが決まった。んでできる仕事は国内にいるうちに…ってこと」
「景浦さんなんかもここ最近ラジオ仕事多かったし」
と青島が烏山に補足をする。
プロとはそういうものなのか…と無理矢理に近い形で納得しながら、白竜は自分にオファーを寄せているユースチームのその手の対外アピールのことを思い出していた。
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ライオコット島へは日本から飛行機で八時間程度で到着する。いくつかの島から構成された諸島を10年ほど前にサッカーのために改造したものを,今も世界大会等の際に使用している。
ライオコット国際空港に降り立った白竜たちを出迎えたのは,一足先に現地入りをしていた虎丸と不動だ。
「みんな、こっちです!」
「どこかの鬼道クンが決めた強行日程のせいで、夕方には開会式だからな,宿舎に向かうぞ」
「飛行機をすぐに確保できなかったんだ,文句をいうな不動」
「はいはい、鬼道サン」
ライオコット等についたことで,少し昔を思い出したかのようなやりとりを見せる不動と鬼道。そんな2人を虎丸や土方,立向居は懐かしそうに眺めていて…
「兵頭さん大丈夫っすか?水ありますけど…」
「うむぅ…かたじけない、狩屋」
「俺,もう飛行機乗らない」
「太陽、帰りも飛行機だぞ」
それをよそに兵頭をはじめとする何名かが開会前から深刻なダメージを受けていた。
宿舎に荷物を置き記者会見、とライオコット島に到着した直後から慌ただしく日程が進行していき…サッカーボールに触れる暇もないほどの多忙さで,日本代表は開会式と決勝戦が行われるタイタニックスタジアムの通路に立っていた。
「しかし…早いな,思った以上に」
「まあ、ここまで一話だからな」
「????」
キャプテンマークをつけた景浦の真後ろに立った三国がつぶやくと,目の前の景浦はよくわからない返しをする。
それに誰が突っ込むわけでもなく…突っ込めるほど気の抜けた選手もおらず…程よい緊張感を持ちながら、開会式が始まる。
『日本のサッカーファンの皆様,お待たせしました!フットボールフロンティアインターナショナルV2、いよいよその開会式が始まろうとしています!本大会の実況は私角馬王将が!そして解説は元日本代表の西澤ツヨシさんが担当いたします!』
『よろしくお願いします』
『いやぁ西澤さん!しかし観客を見てください!』
『ユース年代,とりわけU15でこの盛り上がりはね,珍しいですね』
『円堂世代から続くとも言われるこのサッカーブーム,世界でも同様のようです!さぁ早速選手たちが入場してきました!まずはアメリカ代表「ダイノレックス」!!!!』
『天性のフィジカルを持った大陸最強の選手,ティタンことティル・タイタンを軸としたチームですね。その他もキーパーのバニアンや中盤のホーマー、カートマンと体格の良い選手を揃えています』
『続いて入場するのは…コトアール代表「マスターギガント」!!』
『元々才能に溢れた選手が多い国ではありましたが,ロココウルパをはじめとした選手たちが積極的に国内リーグの整備を行った結果国内外でハイレベルな活躍を見せるこの国も目が離せません』
『三カ国目、ドイツ代表の「フォルクスシュタイン」っっっ!!!』
『日本のジュニアで活躍するハンナ・バーブラ選手も所属するこのチーム、鋼鉄の守備と戦車の如く突き進む中央からのオフェンスが特徴です』
『続いてはイタリア代表「ステラ・ロッソ」!!!!こちらは日本人プレイヤーが2人参加しています!!!!!!!!』
『錦龍馬選手と門司烈斗選手、どちらも中学とジュニアユースでトップクラスのチームの中軸を担う選手,イタリア代表での活躍も期待しています』
「まさか錦がイタリア代表になっていたとはな…」
霧野が現在進行形で観客に手を振っている錦を見ながらつぶやく。最初は霧野たちも,日本のサッカーファンもリザーブメンバーにも選出されていないことに疑問を抱いていたのだが…門司共々イタリアの空港に姿を表し,イタリア代表選抜へと参加することを表明したことで疑問が解消された。
「門司はそっちが、錦は俺たちが熟知…ってほどでもないが,知らない関係ではないな」
「そっすね」
貴志部が烏山に声をかける。
「あとハンナも,うちの選手だったんで知らない仲では…てか、めっちゃ知ってます」
「…マブダチ」
烏山の言葉に中西が付け加える。
「ハンナバーブラか…確かに優秀なボランチだとは聞いているな」
「うちとしても中盤は得意分野だし,ドイツの中盤技術やリベロの動き方についても学んどきたかったんで。留学枠で受け入れたんです」
烏山が雪村にいう。
中国、スペイン代表と続き,程なくして日本代表の入場が始まる。
「よし、行くか」
景浦の言葉と共に,日本代表メンバーが歩き出す。
『8番目に姿を表すのは我らがイナズマネクストジャパン!!!!日本代表の入場です!!!』
『いつもは中学サッカーの有力選手を軸にしますが、今回は大胆にプロクラスの実力を持つ景浦らジュニアユースのセンターラインをチームに組み込みました。どのように機能するかがとても楽しみですね』
『いやあ本当にその通りですね!そういえば西澤さんはフランス五り』
『角馬さん、次のチームが来てます』
『失礼しました。続いては…太平洋の小さな島国ラグーナ代表、ラグーナオーガです!』
『選手たちの経歴も一切不明,無名の小国ながら高レベルなサッカーを見せ地区予選と大陸間プレーオフを勝ち上がり出場を果たしました。優勝候補は下馬評ではアメリカ、日本、イタリア、コトアールが上がっていますが、このラグーナは間違いなく本大会のダークホースと言えるでしょう』
霧野がふとラグーナの代表に目を向けると,どこかで見た…というか、少し前まで一緒にサッカーをしていた顔が目に飛び込み,思わず声を出してしまう。
「…フェイ!?」
「霧野先輩,そんなフェイがいるわフェイ、?!?!?!?」
「…やぁ、霧野!」
霧野と狩屋の叫びが聞こえたのか,日本代表の隣に列をおさめながら,緑のツインテールを揺らした未来人、フェイがこっちに話しかけてくる。
彼は少し前に霧野や太陽たちとサッカー,そして人類の未来を守るために共に戦った「200年後からきた未来人」なのだが…その話は「イナズマイレブンGOクロノストーン」参照。
入場は他の国も続くが、それをお構いなしに狩屋はラグーナ代表を見渡す。
「フェイの他に…SARU、ニケ、チェット、アルファ、ガンマ、ベータ…」
「俺様もいるぞ!!」
「ザナークまで…」
フェイの後ろから自己主張してきたザナーク・アバロニクに苦笑しながら反応する狩屋。エゴこそ強いが間違いなく時代を超えて通用する超選手ではある。
「まさに未来組のオールスターだね」
太陽がそういうとフェイが指を鳴らす。
「そう!未来組のオールスターなんだ!またみんなとサッカーがしたくなって…こうしてみんなを集めて、時空に介入したんだ!」
「いいのかよそれで…」
狩屋のぼやきにああ、構わない。とある人物が割り込む。
「円堂守に匹敵する強者がこの時代にいると聞いて、俺はこのフェイとやらの誘いに乗った…」
「いや誰だよ」
灰色の髪をした男に狩屋がツッコミをいれると、フェイが補足をしてくれる。
「彼はバダップ、ボクやSARU、アルファたちみたいに一度は円堂守の敵として立ちはだかったサッカープレイヤーだよ」
「俺は一度も奴の味方になった覚えはないが…チームオーガのバダップ・スリードだ。よろしく頼む」
他にミストレ、エスカバ、ザゴメルという仲間と共にチームに参加していることを付け加え、バダップは再び直立の姿勢をとる。
「彼,軍人なんだって」
「へ、へぇ…」
あーもう何が何やら…と言った感情を狩屋が抱いている間に開会式は終わり、霧野や太陽はタイタニックスタジアムのそとで再びフェイたちとの再会に会話を弾ませる。
「そうか、未来でもまだサッカーが」
「うん、すごい人気だよ!」
「我らもプロとして多忙に活動をしている」
フェイの言葉にアルファが続く。
「ベータちゃんも,アイドル選手やってまーす♡」
「君はアイドルが先行、だろ?このガンマはキチンと人気が先行するほぶぅっ!!」
「黙れやナルシス…やぁんガンマったら急にどうしたの?」
「今君が肘を入れただろう肘を…」
呻くガンマをよそにベータは日本の女子選手にも話しかけていく。
「あなたたちも女子選手なの?お互い頑張ろうねー!」
「…は、はい…」
「紫月ちゃん対応しちゃダメ,自称未来人なんてロクな人いないよ?自称宇宙人と同じ類なんだから」
「…なるほ…」
「おい待てやクソアマ2人」
青筋を浮かべたベータが2人に詰め寄ろうとしたその時、日本とラグーナ・オーガの面々に割り込むように叫び声が響く。
「日本代表!!!!!我らを忘れてもらっては困るな!!!!」
「…?」
「誰だ?」
真帆路と南沢が仕方なく聞くと、赤と緑のツーカラーのユニフォームに身を包んだ選手団が姿を表す。
「我々はメキシコ代表!情熱のマリアッチサッカーチーム「カサボニータ」だ!!!」
中心に立つ褐色の大柄な選手がチーム名を名乗る。
「カサボニータ…?」
「聞いたことがないな」
「なぁっ…!」
ガチで初耳,と言った雰囲気を出す白竜と雪村の反応にずっこけるメキシコ代表と名乗る11人。青島が隣で付け加える。
「白竜くん、カサボニータってあれだよ」
「おおっ、我々を…!ほら見ろ日本代表!同じ代表でも強き選手を知るものはキチンと」
「カサボニータはコロラドにあるメキシコ料理屋,メキシコ料理屋のディズニーランド みたいなところなんだよ。前アメリカ遠征で行ったもん」
「そうなのか?」
「うん、海賊の洞窟に滝壺ダイバー,食べ放題のナチョスとソバピーヤが…」
「待!て!ぇい!!!!違う!そうじゃない!!!」
そんな曲あったよな,と脳裏で考える日本代表にメキシコ代表のキャプテン、ガウチョが叫び声を上げる。
「ていうか!我々をあんな野蛮なアメリカ代表の店と一緒にするな!」
「でもキャプテン、あの店うまいですよ?」
「俺も行ったことあるけど、あそこのソバピーヤはなかなか」
「そうか?なら今度ティファナを経由して俺たちも…じゃなぁい!なんだお前らは、日本代表はメキシコ代表のことを全く知らないのか???」
「知らなくはないな」
景浦が応える。
「おお!なら我々の強さも」
「…南北アメリカで五番手くらいだろう、この年代のメキシコは」
「ふべぅ!!!」
景浦の至極真っ当なツッコミに再びずっこけるメキシコ一同。
「データ共有はメンバー間でしているが…特段目立った選手もタクティクスもない、アルゼンチン代表とギリギリで競り勝てた,くらいの印象だな,メキシコは」
「ふぐっ!!!」
景浦の追い討ちにめげることなく,メキシコのキャプテンガウチョは景浦に指を突きつける
「初戦の相手は俺たちだ!日本代表は油断しているようだが…それならこの試合…ヨーロッパ遠征18勝無敗の、今一番ノリに乗っている俺たちがもらった!!!!それでは!!!日本代表よ」
『サラダバー!!!!』
そう全員で言い残し,鞄を手に宿舎へと走っていくメキシコ代表。
「面白い奴らだな!」
豪快に笑う土方の隣で鬼道はグラスの向こうの目を光らせる。
「メキシコ代表、初戦は3日後…勢いは最高潮と言ったところか…面白い相手になるな」
◇
次回予告!
ついに世界大会開幕!
初戦の相手はメキシコ代表…なんだけど,「ジャムセッション」早速破られる!?
「この程度のタクティクス、今の俺たちなら余裕だぜ!」
今もなお急成長を続ける「あの頃の日本代表」のようなメキシコ代表、それに対抗するには…急成長!?
「後半からは雪村を投入する」
次回「クロスファイアハリケーン」
これが超次元サッカーだ!!!
次回からやっと試合が本格稼働します。やったね!
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