急造したのでおかしな部分もあるかもしれませが見逃してくれると嬉しいです。
ミネルバのモビルスーツパイロット、ルナマリア・ホークは自身が搭乗する事になった新しい機体、インパルスのコアスプレンダーのシートに座っている。
説明書を片手に操作方法の確認と、自分の癖に合わせた微調整をしていた。
分離、変形、合体をするインパルスはルナマリアが今まで乗っていたガナーザクウォーリアとは勝手が全く違う。
ザフトの士官学校で優秀な成績を収めたルナマリアは、その証として赤服と呼ばれる制服を纏っている。
「ガイドビーコンの照射時間は3秒以内。合体するのも苦労するのに、レッグフライヤーだけ分離なんて器用な事出来るかしら」
複雑な操作を覚えるのに苦労しため息を付く。
機体が変われば武装も変わるし、それに伴い操作性も大きく変わってくる。
熟練したパイロットでも初めて乗るモビルスーツを完璧に使いこなすとなると3日は訓練が必要だ。
凝り固まった肩から力を抜き、背もたれに体重を掛け気分を落ち着かせる。
「悩んでても仕方ないわ。シミュレーションで肩慣らしよ」
片手に持っていた説明書をパタンと閉じ、邪魔にならないようにシートの隙間に押し込んだ。
両手で操縦桿を握り締めディスプレイの電源を入れ、戦闘シミュレーターを起動させる。
モビルスーツだけでなく戦闘状況までもデータ化され、地上、水中、月面、宇宙と様々な状況下で訓練が可能だ。
モビルスーツデッキだった背景が一瞬の内に宇宙空間へと早変わりする。
「まずは、レベル5くらいからかな~」
反映される敵データの数値を決定し、戦闘シュミレーターが開始された。
何もない宇宙空間には残骸と化したモビルスーツが散乱し、母艦であるミネルバが後方に位置している。
ペダルを踏み込みスラスターを吹かせて加速し、ミネルバのデッキからチェストフライヤーとレッグフライヤーが順番に射出された。
レーダーで位置を確認しながら、合体する為に赤い光のガイドビーコンを照射する。
「チェストフライヤー確認。ドッキングするわ」
コアスプレンダーの羽を折り畳みさらにコンパクトにし、上半身を構成するチェストフライヤーと合体した。
下半身のレッグフライヤーとも合体し、モビルスーツへ姿を変える。
バッテリー電力がフルに供給され、グレーだった装甲が色鮮やかなトリコロールカラーになり、最後にシルエットフライヤーが機体背部へドッキングし、折り畳まれていた羽が展開された。
コアスプレンダーはザフトの新型モビルスーツ、インパルスになり大出力のメインスラスターで宇宙を飛ぶ。
「邪魔されなければここまでは出来るんだけど、本番ではそうもいかないか」
ペダルをさらに踏み込み機体を加速させ、見える景色が置き去りにされて行く。
データに忠実なシミュレーターは実際に動かした時とほとんど変わらない動きを見せてくれるが、加速に伴うGなどの衝撃ばかりはパイロットに伝えきれない。
パイロットスーツを着ていないルナマリアは平然とシートに座って居た。
「さて、敵は何かしら?」
宇宙の闇の中から編隊を組んだウィンダムがインパルスに向かって真っ直ぐに向かって来る。
その数は3機、通常で考えれば不利だ。
けれどもセカンドステージシリーズとして開発されたこの機体は、他のモビルスーツの性能とは一線を超す。
マニピュレーターに腰部にマウントさせてあるビームライフルを握らせ、ルナマリアは3機のウィンダムへ突っ込んだ。
「凄い加速、ザクとは違う。それなら!!」
トリガーを連続して引き、銃口からビームが3連射して発射される。
ディスプレイに映るウィンダムの3D画像がメインスラスターから青白い曲線を描いて拡散した。
僅かな時間でも連携を崩す事が出来れば機体の性能差が浮き彫りになる。
インパスルのフォースシルエットが生み出す加速力は、分散したウィンダムの内の1機へ瞬時に肉薄した。
敵が銃口を向けるよりも早く、頭部のイーゲルシュテルンを発射しウィンダムのメインカメラのレンズを破壊する。
本来ならばデータでしかないウィンダムは損傷した所で動きに動揺や乱れなどを表さないが、実戦での敵パイロットの動きをトレースしている部分もあるために、ウィンダムはメインカメラが壊れた弾みで一瞬動きを止めてしまう。
その隙を逃さずビームライフルを向けたルナマリアは、敵を照準に収めてビームを発射した。
高熱のエネルギーはコクピットを庇う右腕を貫き爆発に変わってしまう。
片腕は失ったが動く事はまだ出来るウィンダムは、インパルスを捉えようと最低限のスラスター噴射とアンバックで崩れた姿勢を制御する。
目標であるインパスルを捉えようとするも、もう1度視認した時には薙ぎ払われたビームサーベルが胴体を切断し、上半身と下半身が分離して無重力空間に漂った。
「残りは2機ね。楽勝よ!」
次の目標に向かうべく、ルナマリアはペダルを踏み込んでインパルスを加速させる。
宙に漂う戦闘不能になったウィンダムはエンジンが爆発する事もなく、データとしての役割を終えてデータの宇宙の暗闇へ消えた。
敵を捉えたルナマリアは左腕のアンチビームシールドを前方に構えて、自分目掛けて発射されたビームを受け止めながら片方のウィンダムへタックルする。
「いっけぇぇッ!!」
加速と高い剛性力に物を言わせた強引な攻めだが、喰らったウィンダムは背面へ仰け反ってしまう。
本来ならインパルスにも高い衝撃が襲いかかるがシミュレーターはそこまでは再現出来ず、ルナマリアはもう片方を既に見ている。
味方を助けようとすかさずビームライフルの銃口を向けるが、インパルスは握っていたビームサーベルをブーメランのように投げた。
ピンク色に光り弧を描き飛ぶビームサーベルは、デスティニーやソードインパルスに装備されているフラッシュエッジのように機体の手元には戻っては来ない。
マニピュレーターから離れた瞬間に出力が少しずつ低減して行くが、量産機の装甲を突き破るくらいのエネルギーはまだ充分に残っている。
ビームサーベルはウィンダムの左膝を切断し、片足と勢いをなくしたビームサーベルが漂う。
ルナマリアは姿勢を崩したウィンダムの腹部を蹴って、メインスラスターの加速と合わせて飛んだ。
蹴られてビームライフルを手放すウィンダム。
片足を失くした方も敵を照準に入れようとするが、既に加速しているインパルスには追いつけない。
ビームは闇へ飲まれ、ルナマリアはすかさずビームライフルのトリガーを引く。
「当てる!」
正確な射撃は握っていたウィンダムのライフルを貫きエネルギーが爆発する。
投げ捨てるのが遅れてしまい、ビームライフルはマニピュレーターごと爆発した。
残っている左手でサイドスカートからビームサーベルを引き抜き、メインスラスターを吹かしインパルスへ接近戦を仕掛けに行く。
ルナマリアもそれを迎え撃とうとビームライフルを手放し、バックパックから残り1本のビームサーベルを掴む。
「来る!!」
接近するインパルスにビームサーベルで横一閃するが、インパルスは寸前の所でブレーキを掛けて相手の攻撃をやり過ごす。
ウィンダムはさらに腕を振り被りインパルスに詰め寄るが、左腕のシールドでビームの刃を受け止めた。
アンチビームコーティングが施されているが万能ではない。
強引にビームを受け止めたのと持続的に与えられるビームエネルギーにシールドが溶解して行く。
耐え切れずにジワジワと溶け出すシールド。
だがマニピュレーターを破壊されて片手しか使えないのがウィンダムの敗因に繋がった。
「これで終わりよ!!」
自由に動かせる右手にはビームサーベルを握っており、コクピットへ突き刺すのは容易だった。
戦闘不能になり動かなくなるウィンダム。
数秒後にはディスプレイから目標の姿が消去され見えなくなる。
全ての敵を排除したルナマリアは両手を操縦桿から手放し、体をほぐそうと軽く背伸びした。
ずり上がる制服の隙間から黒いインナーがチラリと見える。
「ふぅ、これだと簡単であまり練習にならないわね」
戦闘シミュレーションをクリアしたルナマリアはコントロールパネルを叩き、さらにレベルを上げようとディスプレイに表示される数値を変更する。
現状では10段階しか設定されていないシミュレーターで、今までとは違う事にルナマリアは気が付いた。
「あれ? EXなんてなかった筈だけど」
レベル10のさらに次に本来ある筈のない文字が浮かび上がる。
赤い文字でEXと浮かび上がるそれをルナマリアは一瞬だけ考え込むが、次の時には迷いなく選択した。
再びコンピューターグラフィクスで宇宙空間が再現され、インパルスの投げ捨てたビームサーベルとシールドも完全に復元した状態でシミュレーションが開始する。
「EXなんてぐらいだから、レベル10よりも難しいんでしょうね? まぁ、このインパルスの性能ならフリーダムでもぶつけてこないと。でもシンは1度戦って勝ってるのよね。よぉし!! 今度はアタシが倒す番よ!!」
ルナマリアは同期のシンに遅れを取るまいと気合を入れて操縦桿を握る。
すると早速レーダーに敵影が1機表示された。
視線だけを向けて相手を確認すると、そこに表示されている型式番号は見たことのないモノで困惑してしまう。
「フリーダムじゃない。MSA-0011・Gクルーザー。初めて見るわね」
3D画像で映し出される敵との距離が少しずつ迫って来る。
離れているせいで形すらまともに見る事は出来ないが、ルナマリアは射程圏内に届くまでに対策を進めた。
コントロールパネルを叩き、母艦のミネルバから新しいシルエットを要求する。
「ミネルバ、ブラストシルエットを」
背部のフォースシルエットを切り離し、発射されたブラストシルエットに換装するインパルス。
それと同時にヴァリアブルフェイズシフト装甲へ回されるバッテリー電力も変更され、トリコロールの鮮やかな色だったのが緑色を基調としたモノに早変わりする。
最も特徴的な2門のビーム砲、ケルベロスを前方に構え照準に敵影が映るのを待つ。
「さぁ、どうやって来るかしら」
集中するルナマリアはその時が来るのを今か今かと待つ。
操縦桿を握っては離しを繰り返し、呼吸を整えている4本の線がインパルスに迫って来た。
「射程外からの長距離射撃!? クッ!!」
ペダルを踏み込み機体に回避運動を取らせる。
フォースシルエットと違い、重たい武器を装備しているブラストシルエットの機動力はさっきよりも劣ってしまう。
そもそもが射撃用に開発されたブラストシルエットと、高機動戦闘を目的としたフォースシルエットとではコンセプトがまるで違い、機動力の差は見るまでもない。
機体の右側を通り過ぎて行くビームを目で追ったルナマリアは、ケルベロスの射程圏内に敵を収めるべく接近する。
インパルスが動きを始めるのと同時に相手も行動を開始した。
真っ直ぐに近づくインパルスに敵影も巨大なブースターで加速して来る。
スピードは見る見る上昇し、ようやくルナマリアにも敵の全貌が見えた。
「早い!! アレはモビルアーマー!?」
巨大なボディーを突き動かすバーニアとそれに合わせて作られたプロペラントタンク、4門のビームカノン、機首に付けられたビームスマートガンがインパルスを狙う。
「このままじゃ不利ね。換装を間違えた」
ミネルバにフォースシルエット射出を要請し、ルナマリアはそれまでに動きの早いモビルアーマーにケルベロスとレールガンを向けた。
自分よりも早い相手に回避行動を取りながら、さらに取り回しの悪い武器での攻撃は至難の業。
「当たらなくても時間稼ぎになれば」
ケルベロスから放たれる大出力ビームはモビルアーマーへ発射されるが、驚異的な加速を見せつける相手は易々と避けて行ってしまう。
けれども機体サイズが大型な事で小回りが利かず、機首をすぐにインパルスの方角へ向ける事が出来ない。
ある程度は自由の効くビームカノンを向け、照準に入って居るインパルスへビームを撃つ。
右足でペダルを全開に踏み込んだままルナマリアはビームを避けつつ、肩からレールガンを何発も発射した。
ケルベロスと一体になっている誘導ミサイルランチャーで弾幕を張り、迂闊には近寄られないようにする。
エネルギーの消費の激しいケルベロスをルナマリアはこの状況下であまり使いたくはない。
誘導ミサイルランチャーを全て使い切り、ミネルバから射出されたフォースシルエットを迎えに行った。
「ドッキングの邪魔をされたらマズイわね。タイミングは今しかない」
わずかな時間ではあるがモビルアーマーはミサイルに注意を向け直撃を避けようとする。
砲身の長いビームスマートガンの銃口から大出力のビームを発射した。
それはブラストシルエットのケルベロスよりも出力が大きく、戦艦並の攻撃力を持っている。
ビームの光が宇宙を照らし、ミサイル群へ突き刺さり大きな爆発を起こす。
爆発が爆発を呼びミサイルが次々に飲み込まれてまたさらに爆発する。
モビルアーマーが炎をカーテンを潜り抜けた先には、フォースシルエットに換装したインパルスが待ち構えていた。
「フォースシルエットなら追い付ける!!」
ルナマリアはビームライフルのトリガーを引きモビルアーマーを狙う。
急速旋回してビームを避けようとするも、青いスプリッタ迷彩柄の装甲へ霞める。
バーニアを全開にして距離を離そうとするモビルアーマーにルナマリアのインパルスも逃がすまいと追いかけた。
だがモビルスーツとモビルアーマーの出力差はいくら最新鋭のインパルスと言えども歴然としており、バックパックの推進剤を使い切る勢いで加速してもジワジワと開いて行く。
「加速はすごいけど、動きが直線的なのよね!!」
青白い光で線を残して飛ぶモビルアーマーの背後から、ビームライフルの照準を合わせる。
トリガーを引き発射されたビームはさらに早く、モビルアーマーへ一直線に迫った。
小回りの利かないこの機体では直撃コースからもう退避出来ない。
「もらった!!」
ALICE ALICE ALICE ALICE ALICE
ここは何処なのだろう?
私はもう、戦う理由を持っていない。
なのにどうして戦う必要があるの?
人間の感情は合理性がない。
彼女も同じなのだろうか?
守るべき人も、守るべきモノもないと言うのに戦う理由。
私はそれが知りたい。
私は何の為に戦えばいいのか、この先に答えがあるのか。
だからもう1度。
今の私は戦う意味を求めて戦っている
ALICE ALICE ALICE ALICE ALICE
高速で移動するモビルアーマーもこれで致命傷を避けられない。
ルナマリアは勝利を確信した。
だが目の前で、モビルアーマーはフレームを駆動させてその姿を変えて行く。
横幅の広い肩、無骨な手足、トリコロールカラーの装甲。
「あれは……」
変形した姿はまぎれもなくモビルスーツ。
ブースターはモビルスーツが装備するには過剰に巨大で、アーマーを取り付けた装甲はゴツゴツとしており威圧感を醸し出す。
ビームスマートガンも片手で握れるサイズではなく、エネルギー供給ユニットと結合させて支えている。
そしてインパルスが放ったビームは胸部中央に命中すると思われたが、寸前でエネルギーが拡散してしまい装甲にはキズ1つ付いていない。
「インパルスに似てる。デスティニーやレジェンド、フリーダムにも」
ルナマリアはディスプレイに映る機体を細かく観察する。
そして表示されていた形式番号が変更された。
連合とザフトが開発したGシリーズとは似て異なる存在。
目を見開くルナマリアは、そっとその名前を呟いた。
「Ex-S……ガンダム……」
ALICE ALICE ALICE ALICE ALICE
は文字数稼ぎに含まれるのだろうか?
小説ではこのように表現されていたのでコレでも同じようにさせてもらったのですが。
まぁ6000文字以上書いているので問題はないと思いたい。
次話は10日21時に更新します。