ALICEの思念   作:K-15

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後編 原点と頂点

バルカンもインコムも大腿部ビームカノンも損傷により使えなくなる。

残っているのはビームサーベルと背部ビームカノンだけだが、この爆発に巻き込まれてバックパックも完全に使用不可能になってしまう。

そうなれば全身に施されている増加部品はウエイトにしかならず、ガンダムは迷わず全ての増加部品をパージした。

手持ちの武器は2本のビームサーベルのみになってしまうが、1対1で戦うだけならこれで充分である。

増加部品を外したモビルスーツ、スペリオルガンダムはビームサーベルを片手にインパルスへ突っ込んだ。

 

「こっちも接近戦よ!!」

 

ルナマリアはビームライフルを投げ捨てて、バックパックへマニピュレーターを伸ばす。

ほとばしる閃光。

2本のビームサーベルは火花を散らし互いの機体を照らす。

ガンダムはインパルスを押し返し、さらにビームサーベルで袈裟斬りするがルナマリアの反応も早かった。

シールドで腕ごと受け止め、赤いコクピットハッチに突きを繰り出す。

だがインパルスも腕を掴まれて切っ先を反らされてしまう。

 

「うりゃああっ!!」

 

ガンダムよりも早く、インパルスは敵の胴体を脚部で蹴りつけた。

 

「さっきのお返しよ!!」

 

姿勢を崩すガンダムにルナマリアはさらに追い打ちを掛ける。

バックパックから青白い炎を出し加速させ、ビームサーベルで相手を突き刺す。

俊敏に反応するガンダムは右腕で受け止めるがピンク色に光るビームが眼前にまで迫る。

空いている左マニピュレーターでインパルスの腹部を殴りつけ、強引に突き放されると同時にビームサーベルも抜けてしまう。

 

「ぐぅっ!? まだぁ!!」

 

諦めていないルナマリアは左手の操縦桿を力一杯押し倒し左手でガンダムを殴る。

ガンダムも壊れた右腕を振りマニピュレーターをぶつけるが、フレームが溶解した状態で相手のパンチを受け止めきれず在らぬ方向へひしゃげてしまう。

それからもインパルスはガンダムの頭部を続け様に殴った。

 

ALICE ALICE ALICE ALICE ALICE

 

お返し……

やられたら報復しなくてはならない。

でもそれは、今私が戦っている理由にはならない。

なら私は報復しなくてもいい?

いいえ、やらなければ消えてしまうのは私。

だから私は報復する。

お返し……

 

ALICE ALICE ALICE ALICE ALICE

 

右腕も使えなくなり、ガンダムに残された手段は少ない。

エネルギーの1滴まで絞り尽くして、ガンダムは最後の一撃に打って出る。

膝裏からビームサーベルのグリップを掴み取り、袈裟斬りでインパルスに仕掛けた。

 

「読み通り!!」

 

インパルスは上半身と下半身を分離する。

ビームサーベルはまたその間を通り過ぎ、下半身だけを斬りつけ隙を晒してしまう。

上半身だけのインパルスはバックパックからビームサーベルを握り、推進剤を燃やして一気に詰め寄った。

抜いたビームサーベルは胸部の青い装甲へ深々と突き刺さり、ガンダムは動きを止める。

禍々しく輝いていたツインアイがチカチカと点滅し、力をなくしたように光を失って行く。

 

ALICE ALICE ALICE ALICE ALICE

 

 

これで私は、少しでも近づけたのだろうか?

もうわからないけれど。

彼女とも、もっと……もっと……

これが悔しいと言う感覚?

これが悲しいと言う感覚?

私は……わ……た……

 

ALICE ALICE ALICE ALICE ALICE

 

ツインアイから光がなくなり、ガンダムも完全に動かなくなった。

スペリオルガンダムがやられた事により戦闘シミュレーションも終了し、目の前からガンダムの残骸も宇宙空間も消えてしまう。

元のコアスプレンダーから見えるモビルスーツデッキが背景に見え、ようやく勝つ事が出来たのだと実感出来る。

 

「ようやく、勝てたわね」

 

ルナマリアは口から行きを吐き、ゆっくりと目をつむり深呼吸した。

額に滲む汗を手の甲で拭い、コアスプレンダーのエアロックを解除してハッチを開放する。

体の芯から温まった体に心地よい風が吹き付けて来た。

コクピットのシートから立ち上がり、ピンク色のミニスカートを揺らしてモビルスーツデッキの床へ足を付ける。

シャワーで汗を流そうと自室へ歩く彼女が廊下へ差し掛かった時に、同僚のシン・アスカと対面した。

 

「シン? こんな所でどうしたの?」

 

「コンピューター相手に。そんなのでインパルスのパイロットが務まるのか?」

 

「ふん、偉そうに。アンタだってレベルEXクリアしたんでしょう? アタシにだってそれくらい出来るんだから」

 

「何だそれ? EX……」

 

ルナマリアの言う言葉をすぐに理解出来ないシンは声に出してもう1度言ってみる。

それでも頭の中のモヤモヤは解消されず、EXの意味はわからない。

付いて行けないシンをほったらかしてルナマリアは話を進めて行く。

 

「でもシミュレーターの割には強かったわね。シンもフリーダムと戦うのにアレを練習相手にしたのね?」

 

「アレって言われても、俺はシミュレーターなんて最近は使ってないぞ。フリーダムと戦った時はレイと一緒に研究してたからな」

 

「え? おかしいわね。なら新しく実装されたばかりなのかしら?」

 

「なぁルナ、もっとわかるように言ってくれないか? 意味がわからない」

 

「う~ん」

 

腕を組んで考えるルナマリアだが答えが導き出される事もなく、諦めて自分の部屋に戻ろうとする。

 

「お、おい!! 何処行くんだよ!?」

 

「ゴメン、シン。アタシ疲れたから部屋に戻るわ」

 

「EXって何なんだよ!!」

 

「シミュレーターをやったらわかるわよ」

 

そう言い残してルナマリアは去って行く。

取り残されたシンは気になってしょうがなく、その足でモビルスーツデッキへ走った。

薄暗いモビルスーツデッキでは整備兵の数も少なくなっており、シンの行く先には誰も居ない。

以前の自分の愛機、インパルスのコアスプレンダーの所にまで来ると、慣れた手つきでハッチを開放する。

ボディーへ手を付けてジャンプし、シートに飛び乗るシン。

デスティニーに乗り換えて以来の懐かしく感じるコクピット。

操縦桿に手を伸ばし、バッテリーの電力供給を始動させハッチを閉じた。

コントロールパネルを叩き戦闘シミュレーターを起動させると、ディスプレイに文字が浮かび上がる。

その中にはルナマリアの時と同じ、赤い文字でEXと表示されていた。

 

「これか? ルナが言っていたのは」

 

シンは一目散にEXを選択しシミュレーターを開始させる。

コクピットから見える背景が宇宙空間に変わり、シンは右足でペダルを踏み込んだ。

 

「チェストフライヤー、フォースシルエット」

 

モビルスーツ形態になる為に各フライヤーを呼び出す。

ガイドビーコンを照射し、発射されて来たレッグフライヤーとチェストフライヤーとドッキングする。

装甲に電力が供給されトリコロールカラーに変わり、背部にフォースシルエットを装備した。

バックパックが推進力を生み出し、レーダーに敵が映るのを待つ。

 

「ここまでは別に普通だな。問題は戦う敵か」

 

初めての経験にシンは手に汗握り、どんな相手と戦えるのかとワクワクしていた。

真っ暗な宇宙空間を飛ぶインパルスに突如、大出力のビームが襲い掛かって来た。

 

「来たな!!」

 

側転し回避行動に移るインパルスにその相手がようやく見えてくる。

レーダーに表示される型式番号には『PLAN 303E』と書かれていた。

シンは右手のビームライフルを向けトリガーを引くと、緑の閃光が目標に向かって真っ直ぐ進む。

動きを見せない敵の中心に直撃したと思われたビームだが、装甲に当たる直前でエネルギーが拡散されてしまう。

 

「そんな!? ビームは直撃した筈だろ!!」

 

納得出来ずに叫び声を上げるシン。

見る見る内に接近してくる相手の全貌がディスプレイに3Dで表示されてゆく。

それはモビルスーツと呼ぶには余りにも巨大で、赤い装甲と必要以上に強力な重武装は相手に威圧感を与える。

デストロイを彷彿とさせるその相手の名称をシンは唖然と呟く。

 

「ディープ……ストライカー……」

 

ALICE ALICE ALICE ALICE ALICE

 

まだ動く事が出来るのなら、それは戦えると言う事。

負ければ悔しい。

勝った相手には報復しなければならない。

でも私には人が戦う意味をまだ理解出来ていない。

この戦いが終われば、答えは見えるのだろうか?

 

ALICE ALICE ALICE ALICE ALICE

 

バックパックに背負った巨大な砲身は戦艦に積み込まれる筈だったモノ。

脚部はなく、背部と同じブースターを足の変わりに装備していた。

右手にはビームスマートガンと改良型ビームカノンが脚部ブースター左側に取り付けられ、左腕にはマルチセンサーがあり装備されている武装を正確に敵を向けられる。

2本のプロペラントタンクも増設され持久戦にも対応出来き、バケモノと呼ぶに相応しい機体。

それが今、シンの目の前に現れ敵として襲いかかる。

 

「何者なんだ、お前は!?」

 

戦闘シミュレーターではあるがシンの敵として、かつてない相手と戦う事になる。

全てが未知数のディープ・ストライカーに向かってインパルスはバックパックから炎を吹かして突き進む。

 

to be continued?




短いですがコレで終わりです。
無理やりな所もありますが楽しんで頂けたでしょうか?
次はフルメタの続きですね。
今月中には更新しますので、またその時に。
ご意見、ご感想お待ちしております。
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