突然だが俺は魔法使いだ。
いや、年齢=歴的なアレじゃなくて、マジで魔法使いだ、魔力さえあればわりかし何でもできる、一番簡単なイメージとしては手から火を出したり水を出したり、風を起こしたりとまあそんな感じで。
やろうと思えば思考も覗けるし数時間先の未来ぐらいなら見れる、身体強化も出来るし千里眼で気になるあの子のおぱんつも覗ける。
いやいや冗談……とはならない、マジである。とあるUFO目撃記事の正体は実は俺が空飛んでる時だったり、謎の怪奇現象!人が消える!とかは俺が瞬間移動した時だったりする。
いやあお騒がせしました……年頃(14歳)だったモノで……。
あ、なんで俺が魔法を使えるかとかは聞かないでほしい、俺もよくわかってない、なんか生まれた時から使えてた、なんならその事に両親も何も言ってこなかったので、6歳ぐらいまで魔法が使えるのは普通の事だと勘違いもしてたぐらいだ。
まあ、輪廻転生的な、俺の前世がなんやかんやあったんだろう、理解できない事はそんなふわっとした思考で纏めた方が精神衛生上良いのである。
そんな俺も遂に30歳、何か困ったら魔法を使えば大抵解決するからと続けてきた会社も、お世話になっていた上司が辞めたのをきっかけに退職、はてさてこれからどうしようと考えていたある日の事だ。
社会と魔法の酸いも甘いも体験したつもりだが、そんな俺の唯一の心残りがある、魔法使いである俺の心残り_____それは青春。
とある事をきっかけに高校から大学にかけての期間、俺は魔法を全力で研究し使い熟す事に専念した事で世の中に溢れている青春時代というものを過ごせなかった。
魔法研究がひと段落着いた頃にはもう気付けば20代、当時は高卒認定なら勉強すれば取れるし、最悪魔法で採用担当者を洗脳染みたことすれば良いしと考えていた事もあり何とも思っていなかった。
だがここに来て「あー青春してえなー」と思ってしまったのである。
……それが理由の一つ、最大の理由は「彼女作りてえええええぇぇぇ!!!!!」である、魔法使い(真)なのだが魔法使い(童)でもある俺はついに性の限界に達した。
え?風俗?バカ言えよ、俺の魔法で空想にいる理想の女の子を現実に召喚(幻)してスッキリした方がコスパいいだろ。
……とまあ、とにかく。
そうと決まれば早速行動だ、おいおい教師でもやるのか?否である、生徒になるのだ、青春を取り戻すぞ!
30代のおっさんがなんか言ってるよとづまりしとこ……と普通ならなるかもしれないが俺は30代おっさんの魔法使いだ、30代になってからまた一段階魔力が高まった気がする俺は不可能を可能にする。
そう、結論から言えば俺は若返りの魔法を自分にかけた。
見た目16歳の中身30代おっさんの完成である、ちょっと昔よりイケメンにしたが少しぐらいならええやろ、鼻と目ぐらいだし。
戸籍?魔法で作りました、多分世界で俺しか魔法を使えないと思うから大丈夫大丈夫、ただまあ俺は少し抜けている所があると前々から両親に口うるさく言われていたので、帰省も兼ねて両親に相談してみた。
そしたら「この高校がオススメだぞ」となんととても好印象、その高校に行きたいと言ったら紹介するから俺達も若くしてと言われたので、なるほどこっちが本題かとなったがまあいいだろう。
諸々準備して半年、ついに四月になった今日。
俺は念願の青春を味わいにいく為、高度教育育成高等学校に入学するのであった……!
余談だが20代ぐらいになった両親達はいちゃらぶ海外旅行に出かけた、母曰く「彼女出来たらダブルデートするわよ!」との事だ。
いやあの……普通に嫌です……。
☆
バスにゆらゆらされるグレーアッシュな色した青年がいる。
俺である。
高度教育育成高等学校、わざわざ魔法を使って調べる必要がないぐらいには有名な高校だ、政府公認で卒業した生徒は好きな大学、就職に就けるとかなんとか。
まあそんなのは微塵も興味ないけどね、魔法使えばその辺どうにでもなってしまうので。
それに勉強しに来た訳でも無いですしおすし、ビバ青春!恋愛友情努力!そんな展開キボンヌなのだ。
まあ求め過ぎて幻滅するのが一番心が萎えるので、最低でも高校生活で彼女を作る事が第一目標としよう、他は二の次でいいや。
それから高等学校につく前に今一度確認しよう、魔法についてだ。
はっきり言ってこの力は万物を解決する、今のところ俺だけが使える最強の手段の一つだ、魔力が有れば何でも出来るしその魔力も一日寝れば感覚的に全体の十分の一回復してる。
わかりやすく言えばチートだ、まほぴー鬼TUEEEEE!逆らうやつら全員ぶっ殺していこうぜ!が可能なのである。
いや勿論殺したら問題になるしそれはしないが、犯行の目撃者の記憶を消せばその限りじゃないし、なんでもありだ。
そんな無敵な魔法に頼って送る高校生活に、果たして青春はあるのだろうか?
いや、無い!こんなものは青春とは呼べない!今の所俺しか使えないという厨二病大歓喜な設定(マジ)もまぁ青春ではあるが、俺が送りたいのはそっちの青春では無いのだ。
よって俺なりにルールを決める事にした。
ずばり、可能な限り魔法を使わず物事に取り組む事、である。
中身30代ではあるがセルフ記憶消去で部分的な学力を封印したし、体力作りも青春の為にそこそこやったが常識の範囲内だ。
下過ぎても上過ぎても青春は送れないと思っているのでこれぐらいでいいだろう、例外として犯罪行為に遭遇した時や、自他の生命の危機は魔法を使ってもいいことにする。
それ以外では、使っても月に一度だけの制限を付けることにした、これも魔法で自分自身に魔法で縛りを付けた。
青春を過ごす為の行為ではあるが、改めて魔法の有り難みを再確認するのも良いかもしれない。
……と頭の中で思考を回転させていたら良い暇つぶしになったようで、高等学校に着いたようだ。
バスを降りて歩き出す。
俺の青春はここからだ____!
「っぶえ!」
「あだっ!」
わくわくと歩いて数歩、到着早々人間とぶつかった。
嘘だろ?何でだ?俺が常時放っている識別センサー魔法なら俺に人が近づいたら認識するはず……ってああ、そうだった、魔法は制限してるんだった。
うっそだろ?魔法使えないだけでこんなに変わります?
っと、今はそれは置いといて、こっちの不注意でぶつかったんだろうし謝らないと。
「悪い、よそ見してて」
「あー平気だ、オレの方こそすまない」
ぶつかったのは男子校生、至って普通の……?いやまて。
普通の高校生って改めて考えれば、何が普通の高校生なんだ?どういうのが一般的な定義に当てはまる?魔法を使わない人間ってだけで俺の中では普通じゃ無いんだが……。
いや前提が違うか、魔法を使う人間つまりは俺が普通じゃなくて、それ以外が普通か。
そういう事なら目の前のどこか機械的な目をしてて、そこそこ鍛えている俺とぶつかったのに微動だにしてない目の前の多分同級生は普通の高校生か。
「あー、その、これも縁だし一緒に行かないか?」
「え、いいのか?」
「え、だめなのか?」
「いやそんなことないぞ、嬉しかったんだ」
俺も嬉しいぞ普通の高校生……あー、魔法使いの思考が抜けれない、こういう時は名前を名乗るんだよな?
社会に属していたって言ってもあれは尊敬してる上司に振られた仕事を個人で受けていたって感じだし、俺って社会人的にはアウトなんだろうなあ。
「
「綾小路清隆だ、よろしく倉上」
綾小路清隆ね、これも縁だし高校生活初の友達にしてやろう綾小路、俺と一緒に青春送ろうな!
☆
綾小路とクラスが違った、世間話してて分かったが多分気が合いそうだと思っただけにそこそこショックだ。でもまあクラスが違っても会えない訳じゃ無いだろうし、切り替えて行こう。
俺の分けられたクラスは……ここだ、扉を開ければもう何人かはグループを作っていたりしていて、俺の入れそうな枠はないかもしれない。
気付いたんだが、もしかして俺、コミュ症ってやつなのか?それでも社会人時代はちゃんと話せていた筈なんだが。
もしかしてだが若返りをしたことが原因なのかもしれない、あれは肉体だけでなく精神にも影響があったのか。
そんな事を考えながら自分の席に座った、うーんはてさて取り敢えず隣の席の高校生と話してみよう。
そう思って隣の高校生を見つめるが、やばい、どうやって話しかけよう、しまった……話題がない。
くそっ!魔法が使えれば思考ルーチンを俺が知ってる中で一番コミュニケーション能力のある人物に変える事が出来るのに!
いっそやるか?でも入学して僅か数時間しか経っていないのに魔法を使っていいのか?どうする……ッ!
「……私に何か用?」
うおおお話しかけられたぞ!若干面倒臭そうに言われたがヨシ!この高校生の女の子いい奴かもしれない!
「あーいや、用って訳じゃない、隣の席だし挨拶でもしようかなって話す内容を考えていた」
「あっそ。そういうのはあっちで話してる人達にやりなよ」
「俺にあの輪は少し入りづらいな……」
「ふーん?まあ、それはわかるけど」
そう言うと何か思うことがあったのか、最初より身を乗り出して話をしてくれてる気がする、お、おぉ……女の子と話せてる、しかもこの高校生正面から見てみるとめちゃくちゃかわいいやんけ、タイプです。
あいやまたれよ、落ち着くのだ倉上直哉肉体年齢16歳よ、母親曰く邪な気持ちは女に筒抜けなのよと、アドバイスを貰ったじゃないか、気になる女の子とはいっそ無心で話すと良いと父親も言っていた。
よ、よし、やってみるぞっ。
「気が合いそうだな……えーっと、俺は倉上直哉、同じクラス同士よろしく」
「まぁ、よろしく」
「それで早速だが名前を教えてくれないか?」
「はぁ……姫野ユキ、別に私は仲良くしたいとか思ってないから、もうこれで良い?」
「俺が仲良くしたいしこれで良くはないんだが」
「は、はぁ?知らないよそんなの」
「わかった姫野、直球に言うぞ、友達から始めてくれ」
「だから私は____」
「正直今俺は一目惚れに近い感情が心にあると自覚しているが友達から始めて仲を深めていこう姫野」
「はぁ!?えっいや、何言ってんの?!」
話していたら突然姫野が叫んだ、やばい無心になり過ぎて一周回って感情のままに話していた、俺今なんて言ってた?
あれ?なんか一部のクラスメイト俺と姫野の方見てね?なんで?直近で使ったセルフ記憶消去魔法の後遺症か数秒程度記憶が飛ぶことがあるのだが、今まさにそれをした気がする。
あ、顔赤い姫野かわいい。
「それで姫野」
「あーうるさいうるさい!もう話しかけないで」
「え、それは困る、今の所姫野ともう一人しか友達いないし」
「勝手に友達にしないで」
「……?」
「なんで心底疑問に思ってる顔してんのよ!」
何だか疲れたような顔で話てくれる姫野、パーフェクトコミュニケーションではなかろうか!なるほどな……友達同士の高校生はこんな感じで話すのか。
「会話が成立したら友達だろ」
「全然会話が成立してないし」
「じゃあ成立するまで話そう姫野」
「やだ、あんたとはもう話さない」
「待ってくれ、わかった、じゃあ一回だけほぼ何でも願いを叶えてあげよう」
「話しかけないで、それが私からの願い」
「無理、他には?」
「……」
「無視か?それなら俺にも考えがあるぞ、実は俺は心を読むことが出来たりするのだが____」
その時、パンっと扉が開いた、格好を見るに生徒ではなく先生のように見える、容姿は……いやあれはちょっと自分のタイプではないっすね。
なんともタイミングが悪い、いや良いのか?あのまま姫野に無視されたら魔法使って思考読んでたかもしれないし。
心惜しいが仕方ない、教師が来たって事はホームルームという奴が始まるだろうし、ここは切り替えよう。
終わったら姫野か綾小路と学校探検しよー!
こめんとひょうかしてくれたらいっぱいしゅき