ようこそしないで魔法使い君   作:ゆう31

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しんやとうこうですっ!


どうやら無人島パラダイスのようだ

 

 まずこの無人島試験について整理しよう。

 

 目指すべきは一週間、出来るだけ多くのポイントを入手した状態での試験終了、Aクラスを目指すならば撮るべき手段は基本的にこれだ。

 

 Aクラスを目指すだけでなく、毎月支給されるppを増やす目的だとしても上記の通りである。

 

 そして出来るだけ多くポイントを入手した状態で試験終了をするのなら、追加ルールである、島の各所にあるスポットを占有する必要があるだろう。

 

 占有する為の占有権の効力は8時間、スポットを一度占有するごとに1ポイントのボーナスを得れる。

 

 だがスポットを占有するには専用のキーカードが必要であり、キーカードを使用できるのはリーダーとなった人物に限定される。

 

 そして最終日の点呼のタイミングで他クラスのリーダーを言い当てる権利が与えられる、よって多く占有すればそれ相応のリスクが付き纏うという事だ。

 

 言い当てられたら50ポイント失い、当てた側は50ポイント得る。つまり100のポイントの差が出るというハイリスクハイリターン。

 

 リーダー当ては自由、やっても良いしやらなくても良い、リーダーを当てられない様に、スポット占有は程々にしてもいい。

 

 総括すると。いかに効率よく、リーダーを悟られずスポットを占有し、そして他クラスのリーダーを見破るか。これが試験の鍵となるだろう。

 

 

 ……こんな所か。

 

 

「んーっ、どうしよっかみんな、何か意見あるかにゃ?」

 

「……なら俺から良いだろうか、先ずはスポットを探さないか?此処にずっといる訳にも行かない、探している間に意見をまとめて、見つけたらそこで議論するのはどうだろう」

 

「良いと思うけど、リーダーは決めとかない?」

 

「それとシャワーとかは必要だと思うんだけど〜」

 

「それを言うならトイレも必要だよ、流石にあの段ボールを使うのは嫌だなぁ」

 

「ワイトもそう思います」

 

「二度と墓地から出てくんな」

 

「アヒン!」

 

 ディエリストが居る?まじかよ、那珂ちゃんのファン辞めます。

 

 とまあそんな事はさておき、このままだと神崎の意見が流されそうだ、軌道修正するか。

 

「すとーっぷ!そういうのも含めて、神崎くんの言う通り先ずはスポットから探しにいこう!」

 

「賛成です帆波ちゃん!」

 

「おっけー一之瀬、それなら俺、ちょっと心当たりあるから先導していいか?」

 

「うんっ、任せたね柴田くん」

 

 ……するまでもなかったか、これは俺より一之瀬の方が向いている、舵取りが上手いと言うべきか?一度吐き出させた後に行動させる、なるほどこれなら不満は無い、こういう所は実にリーダーをしているな。

 

 にしても柴田がスポットに心当たりがあるとは幸先がいい、やはりと言うか……機転思考力……というより、判断力?が高い、直感に近いモノが魔法を使ってない俺と同じか一歩上か、下か。

 

 まーここは全部任せよっと、俺から言う事はとくになーし。

 

 

「……ねえ」

 

「ん、どうした姫野」

 

 

 そうしてBクラスが移動を始め、後方で付いて行っていると同じく後方から付いて行ってる姫野に話しかけられた。

 

 珍しいな?なんだろう、愛の告白?あいや待たれよ流石に浮かれ過ぎた、ていうかそれは俺がする予定だ。

 

「話に参加してなかったけど」

 

「……?」

 

「何か考えてないの?」

 

「ああ、なるほど」

 

 そう言うことか、話に参加してない俺を不思議と思ったんだな?いやでも、俺は本来こんなんだぞ、Aクラスには興味が無いから、こういう時は頼られない限りは黙ってる。

 

 まあ一之瀬が話を切り替えて居なかったら俺から切り替えたりとかはするつもりだったが、その必要もないからな。

 

 とはいえ、ある意味これは俺の意見が聞きたいってことなのだろうか、いずれにせよ姫野と話す口実になるなら話そう。

 

 

「あるにはあるが、今は別に良いと思った、一之瀬達に任せてる方が良い」

 

「あっそ。でもあんた、Aクラスに興味無さそうね」

 

「ん?言ってなかったか?ないぞ、姫野はあるのか?」

 

「どうだろ、言われれば、そうでもないかもね」

 

「そうか、似た者同士だな」

 

「……さいあく」

 

「何故だ、俺は嬉しいぞ姫野」

 

「私は嬉しくない」

 

「はっはっは、照れるな」

 

「照れてないし……都合良すぎ、あんたの耳」

 

「はて?」

 

 そうやりとりしていると、柴田がスポットを見つけたようだ。

 

 周りに木が多く、そして井戸がある……成る程な、これはあれか、たまたま見つけちゃった系か、だってほら、柴田びっくりしているし。

 

「えーっと……心当たりの場所此処じゃ無いけど、とりあえず、休憩がてらここで議論するか!」

 

「おっけいっ、それじゃあ第一回、無人島生活どうしようの議論、始めよー!」

 

 元気良く一之瀬はそう宣言した、AクラスやCクラス、Dクラスも今はスポット探しや話し合いで忙しいだろう、誰にも聞かれる心配はないな。

 

 さて____

 

 

「一之瀬、悪いがスポットを探しに行って良いか、見付けるのは早ければ早い方が良い、話し合った結果は後で聞く」

 

「えっ、うーん……でも、ここを占領するとは限らないよ?それにリーダーが居ないとスポットは使えないよ?」

 

「占有が出来ないだけだ、見つけるのはリーダーでなくても良い、それに一先ずの拠点を此処にするのは理由がある。井戸があるのは良い、水を確保したも同然だからな」

 

「待ってくれ倉上、この井戸の水が飲めるとは限らないぞ」

 

「水質汚染を危惧してるならそれは無いな、スポットとして活用出来る場所にわざわざある事を考えれば分かるだろ、神崎」

 

「倉上はリーダーにならなくて良いのん?」

 

「別に良い、それは任せる」

 

「でも勝手すぎない?倉上くん、そういう所多いよね、今はまだ何も決まってないし、色々決めてからじゃダメなの?」

 

「だめじゃないが今が一番良いタイミングだ、情報のアドバンテージは大事だ」

 

「待って、一人で行く理由は何?」

 

 とまあBクラスの皆んなに色々言われたのだが……まさか姫野にも質問攻めされるとは、今日の姫野は何かと俺と話してくれるな。

 

 _______その時、俺の脳裏に電流走る。

 

 誘うなら絶好のタイミング……!ここだっッ!

 

 

「いや特に一人で行く理由はない、という事で姫野、一緒に行こう」

 

「は?」

 

「賛成します、二人で行くなら私は問題無いと思います」

 

 そう言って俺の方にアイコンタクトを送る白波、おまえ____!やるじゃないか!この試験が終わったら好きなだけ豪華客船の料理を振る舞ってやるぞッ!

 

「まぁそれなら、姫野さん、倉上のこと頼んだよー」

 

「倉上くん一人なら不安だけど姫野さんと行くなら、私もオッケー」

 

「意義なーし、爆発しろ

 

「えぇ……皆んながいいなら、まあ、いいのかにゃあ?」

 

「まって……!行くなんて言って」

 

「さあ行こう気が変わらない内に行こう今すぐ行こう」

 

 

 姫野なら着いて来てくれるだろうし、時間は有限だ、そこそこ速度でスポット巡りを始めるか。

 

 それと同時に違和感と疑問を解消出来れば良いのだが、まあ最もその一つはこの出来過ぎた(・・・・・)スポットを見て解消したが。

 

 

「____っ、ああもう……っ、一之瀬!」

 

「うにゃ?!は、ひゃい」

 

「あのばかと戻るまでに色々決めて、分かった?!」

 

「う、うん、頑張るねっ姫野ちゃん」

 

「ちゃん付けしないで、後それから……あのバカが言わないから私から言うけど、リーダーは一之瀬、あんた以外にして」

 

「ふぇ、えっと、なんで?」

 

「……自分で考えて」

 

「あ、まってまって姫野ちゃん!」

 

「うっさい、それじゃ行くから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 やや離れて姫野を待っていると、予想よりも少し遅くやって来た、様子から見て小走りで来たようだ。心なしか少し、いやそこそこ怒っているように見えるが気のせいだろう。

 

 ……気のせいだよな?

 

 

「はぁっ……ああもう、柄じゃないことしたし……」

 

「ん、一之瀬に何か言ったのか?」

 

「リーダー決めの事」

 

「姫野が言いそうな事といえば、一之瀬以外にリーダーを任せるようにしたか?」

 

「だったら何」

 

「いや、ただ珍しいと思っただけだ」

 

「あんたが言わないからでしょ……」

 

 ジト目で目を合わしてそう言われる……ふむ。

 

 やっぱり姫野は何だかんでBクラス全体を見ている、そして思考力も高い、四ヶ月ほぼ毎日話して関わっているから流石に姫野の事は多少なりと分かったつもりでいる。

 

 その上で言うなら、当初の想像通り、姫野は極力、思う事があっても面倒だから言葉に出さない、そんなタイプだ。

 

 だからこそそのイメージとは少し離れた行動をした理由までは解らないな、とても気になる、クラス争いにもそこまで興味がないなら尚更、自分の意見を発言しないと思うのだが。

 

 

「ねえ、何か隠してる?」

 

「隠してると言えばまぁ否定しないが、それより移動しよう」

 

 俺はそう言って歩き出す、すぐ隣で姫野も着いて来てくれてるのを確認して心なしか気持ちが弾む。

 

 走る必要は無いだろう、少しでも長く姫野と二人きりの無人島デートを楽しむ理由が7割近いが、そうでなくても、今から行動するなら走る必要は無い。

 

 さて、スポット巡りとは言ったがそれは半分正解で、正確に言うならスポット巡り+各クラスのリーダーを予測する為の情報集めだ。

 

 あわよくばスポットを占有している所を目撃したいが、どうだが。

 

 

「隠してる事知りたいか?」

 

「別に、言いたく無いならいい」

 

「わかった、結論から言えば俺は今回Aクラスのリーダーを当てる動きをする」

 

「……あっそ、自信あるの?」

 

「今後次第だが、俺だけで無理そうならCクラス、というより龍園と手を組む、そうすればAクラスがこの試験でトップに立つ事は無い」

 

「何それ、なんで龍園?」

 

「今一番高いクラスポイントを持っているのは当然Aクラス、Cクラスとのポイントの差を考えれば、一個上のBクラスよりもAクラスの方が攻撃の優先度が高い」

 

「何で?」

 

「目標がAクラスなら、Aクラスとのポイント差を縮めた方が近づく。それに此処でAクラスのポイントを減らさないと、500近いポイントの差は中々埋まらない」

 

 ……まぁ最も、短期でAクラスに行くなら話は別になるが、どうもあの男はそれを理解した上で、実践するとは思えない。

 

 自らをCクラスの王と名乗ることと、龍園の性格を考えた上でだが、まぁこれは良い、根拠も乏しい半ば妄想だ、自信があるわけでも無いし、これを明確にしたとしてだからどうしたという話だからな。

 

 

「____っと、ここはスポットか……姫野、紙はあるか?地図を描いた経験は?」

 

「どっちもない、何?描けって?」

 

「無いなら良い、ここは今Bクラスが居る場所とそう遠くないし、記憶していれば問題無いか」

 

 ミスったな、時間を気にする余り紙を用意し忘れた、まぁそれをするならポイントを使う必要があったので、どのみちか。

 

 見るからに畑、掘って一つ取ってみるが……成る程、芋か、これは中々良い。

 

「ちょ……勝手に取って良かったの?」

 

「スポットが占領されていたなら問題だが、占領されてないなら別だ、取っても問題は無いない」

 

「……例えば、全部取ってここを荒らした後に占領されても、占領される前から荒らしてるから、ポイントは減らない?」

 

「鋭いな姫野、多分そうだが……推奨しないぞ、単純にこれを全部取る苦労に合わない」

 

「別に、言ってみただけ」

 

「気付いた事は言っていこう……次に行くか」

 

 まぁ、火を付けるなら別だが。

 

 学園的にそれはNG行為だろうし。あぁだけど、ルール的にはグレーゾーンなのか?検証してみたいがそれでBクラスが警戒されるのは俺の本意じゃ無いし、この思考は辞めておこう。

 

 次行くところは少し思うところがあったところだ、これはスポットとして使えるか微妙だが、豪華客船に乗っている時に気付けたのだから、他の人物が気付いた可能性は高い。

 

 運次第だが____さてどうかな。

 

 

「……洞窟?」

 

 そう呟いて洞窟を確認しようと踏み出そうとして、俺より前に歩こうとしていた姫野の腕を掴んで引いて物陰に隠れる。

 

 引かれた事に驚いた姫野は抗議の顔をしてこっちを見たが、直ぐに俺の行動を理解して、目で「腕を離して」と言ったように思えた。

 

 ……名残惜しいけど仕方ない、俺は腕を離して、改めて状況を確認し、観察する。

 

 

 観察して気付く。

 

 微かだが、俺と同じように隠れている人間がいる、誰かまでは分からないし、人数も特定できないが……一人か二人?俺と姫野が気づかれてるかまではわからないな。

 

 ただまあ、今はいい、それより洞窟から出てきた男子高校生だ。

 

 一人目の男子高校生については特徴、人相共に該当なし、だがもう一人の、あのスキンヘッドの男は知っている、坂柳から聞いた。Aクラスのリーダーの内の一人、葛城康平だ。

 

 ツイてるな……あの手に持ってるのは、キーカードか?幸先が良い、Aクラスのリーダー当ての難易度が急激に下がった、やはりこのタイミングで自由行動して良かった。

 

 

 ____さて、どうする?

 

 

 このままあの二人が去るまでここで大人しくする、或いは知れる事は知れたので気付かれる前に迅速に去る。

 

 色々有る、魔法を使うならそれこそ無限大だが、今回魔法は使わない、この試験で使ってはいけない。

 

 ていうか使えないんだよねてへぺろ☆八月一日に使っちゃってるし、あれ月一の制約に含まれてますしおすし。

 

 だから今回の試験は本当の意味で、俺は魔法を使わないで乗り越えないといけないって事だ。

 

 この事に俺は少しだけわくわくしている、過去無人島を魔法修行として経験したことがある身としてはこの島は少し、物足りないが、それでも高揚は隠せない。

 

 

 いっそここは打って出るか____?

 

 そう思うのと、姫野が俺の裾を軽く掴んだのは同時だった。

 

 じとーっとした目が俺を覗く……その目に吸い込まれそうになるのを抑えて、何を言おうとしているのかを考える。

 

 多分、何もするなって言っている、余計なことをして自分が巻き込まれるのが嫌なのだろうか?巻き込むつもりはないから杞憂だが、まぁ、俺たち以外の目もあるのなら、ここは大人しくするのが吉か。

 

「お喋りはここまでだ。いくぞ弥彦」

 

 その言葉が聞こえ、足音が遠くなっていき、やがて聞こえなくなる。俺たち以外に隠れているであろう気配はまだある。

 

 ……ふと姫野の方を見てみると、さっさと離れたそうにしているし、俺から離れるか。

 

 さて、ここに居たもう一つの二人組か、単独の生徒は誰だったのだろうか?Bクラスでないのは確定、CクラスかDクラスか。

 

 どちらにせよ……得るものは得た。

 

 

 一つ目の相談の約束は果たせそうだ。

 

 さて……最初にBクラスが見つけたスポットの方に戻りつつ、もう少し姫野と無人島デートを楽しむか。

 




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