ようこそしないで魔法使い君   作:ゆう31

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水泳授業?男子高校生の青春だぜ

 

 高度育成高等学校に入学してから早くも一週間経過した。

 

 この一週間、俺はそこそこBクラスに馴染んだ……筈だ、姫野以外の誰一人として連絡先を知らないが話はするし、未だ個人的に遊んだ事も無ければ集団でボウリング大会なども参加してないが、うん。

 

 いや、なんかね、こう、避けられてる?気を遣われている?うそだろ?俺ってそんな人としての価値無いですか?姫野は女子同士のコミュニティには何回か面倒臭そうに混ざっているのにその点俺は……。

 

 まあ俺には綾小路がいるし?べ、別に寂しくなんて無いんだからね!それに集団行動が苦手なのも本当のことだしな。

 

 社会人として過ごしてた時は仕事だからと公私を分けれたが、若返りの魔法により魔法使いとしての思考がだいぶ強い頃に戻った今の俺はどうも、他人との関わりが苦手なようで。

 

 それこそ、綾小路や姫野といったこちら側に近いと勝手に思っている人物にしか自分から話しかけるのが難しい、年頃の高校生と何話して良いかわからないのもある。

 

 やっぱりコミュニケーション能力の高い人物の思考を魔法でトレースした方がいい気がしてきた、ただ入学して一週間経った今、だいぶ今のBクラスの立ち位置的なのが定着してきてしまったので、ううむ……。

 

 さてはて一週間、今日はなんと水泳があるらしい、一部のBクラスの男子高校生がヒソヒソと大変盛り上がっている。

 

 わかる、わかるぞ。ここのBクラスに限らずこの学校の女子高校生の大半は魔法でも使ってるんじゃないかって疑うぐらいに容姿が優れているからな、うん。

 

 俺も姫野のスク水見たい、それから一之瀬、というか全員。

 

「おはよう姫野」

 

 返事はない、そっぽを向かれている、まぁこれももはや恒例の事になってしまった、最初こそもう一言二言話そうと試みたが、魔法で思考を見なくても嫌がってるのがわかったので、これぐらいが距離感として正しいのかもしれない。

 

 まあ俺が話したいから今日も今日とて勝手に話すぞ姫野。

 

「今日は水泳らしいな、姫野は泳げるのか?」

 

「うるさい」

 

「俺は泳げるぞ、何度か海の鮫と命懸け競争した事がある」

 

「はぁ……嘘つくにしてももう少しマシなのないの?」

 

「嘘じゃないぞ、いやあ案外鮫は強かったな」

 

「あっそ」

 

 むぅ、なかなか信じてくれない……本当の事なんだけどな、海の中でも魔法があれば生きていけるのか検証した時の話だ。

 

 特に一番やばかったのはシャチだな、あいつらに襲われた時は流石の俺も本気で対応せざる終えなかった、さすが海のギャングだ、食われたのが足じゃなくて頭だったら俺は死んでいた。

 

 海での生活は結論として、海底まで行くと俺の魔力が保たない事がわかったが、今ならどうだろうか……検証してみたい。

 

 いかんいかん、魔法は使わないと決めているのだから、初志貫徹しないと。

 

「そうだ姫野、今日の昼食堂に行かないか?」

 

「やだ」

 

「そうか、食堂が嫌なら別の所にしよう」

 

「そっちじゃない」

 

「なるほど?つまり俺の料理の方が良いって事だな、ありがとう姫野」

 

「っ〜〜〜!こいつ本当に……!」

 

 お、姫野と話してたら授業の時間だ、いやあ姫野と話すとあっという間に時間が過ぎるなあ。

 

 ちなみにちゃんと勉強してます、中身30代のおっさんとはいえ高校の勉強範囲を完全に覚えてる訳じゃないし、高卒認定取ったのもかなり前の話だしね。

 

 それにこの学校の授業はとてもいい、高水準だ、その分ついて行くのは難しそうだが、俺の場合復習に近いしな。

 

 はてさて……確か一限は数学だったかな?

 

 

 

 

 

 

 

 水泳の時間だ!!!!!

 

 父親譲りの表情筋が今は凄い助かっている、それがなかったら今頃俺の顔はにやついて仕方なかっただろう、それはいけない、邪が溢れすぎると魔力的にも危険なのだ。

 

 魔力の暴走は常に感情の昂りと比例する、感情の昂りを表に出しすぎると意図せず魔法を使ってしまう事もあるのだ、まあ流石にそんな黒歴史染みた時期は卒業しているが。

 

「おー倉上、中々鍛えてんだな!」

 

「柴田か、お前こそ」

 

 Bクラスのムードメーカーの柴田に体付きを誉められた、ふふんそうだろうそうだろう、魔力が切れて魔法が使えなくなった時、常に俺を助けてくれたのは筋肉だからな。

 

 モテる為でもあるが、ただの見せ筋って訳ではないぜ。

 

「お……」

 

 女子高校生達がお見えになった、目の保養が過ぎて思わず目から光を放つ魔法が飛び出そうだ、これはなかなか……魔力の暴走を抑えなければ……!

 

 特に一之瀬!どうなっているんだ一体!どう育ったら高校一年生でそのポテンシャルを身につけるというんだ!しかも多分あれは無自覚だし、男子全員がやられていらっしゃるぞ!

 

 それから安藤紗代もなかなかやばい!特にあのたわわがたわわっている、これが普通の高校生の基準なのか?だとしたら基準が高すぎる、どうなっているんだこの学校は。

 

 ならば今一番気になっている超絶可愛い俺のタイプの姫野は……っ居た!

 

 ぐ、グレイト!イグザクトリィ!世の中で一番スク水が似合う女子高校生部門かもしれない、やばいな……もうこれ以上言葉で語ることすら無粋だ。

 

「よし、おまえら集合しろー」

 

 全員揃ったのを確認した後、水泳の担当教師はそう言って生徒を集める。

 

「見学者は……三名か、二人は体調不良でもう一人は軽度の水恐怖症だったな、正当な理由なら問題ない、ただもし正当な理由無しで見学する事は認めないからな」

 

「先生ー、私泳ぐの得意じゃないんですけどー」

 

「そうか。泳ぎに自信のない者は手を挙げろ」

 

 そういうと一人の女子生徒を皮切りに、数人の生徒が手を挙げる、案外泳ぎが苦手だと自己申告する人は少ないな、大多数は泳げるらしい、もちろん俺も。

 

「なるほど、安心しろ、夏までには泳げるようにしっかり指導するつもりだ」

 

「でも私海好きじゃないしなあ」

 

「そう言うな。泳げるようになれば必ず後で役に立つ」

 

 ……?少し言い回しが気になるがまあ良いか、先生は泳げない高校生を集中的に、他は各々準備運動の後に、軽く50メートル泳ぐように指示する。

 

 久々にプールに浸かるな……海での生活も数年前だし、海の上で立つ魔法を編み出して以降は中に入る事も少なかったからな。

 

 ある程度泳いでいると先生が声を出した。

 

「よし……それでは、今から男女別に五十メートルの競泳を行うぞ、種目は自由型だ、男女別で一位を取得した生徒には俺から特別報酬として5000ポイントを進呈しよう、どうだ?やる気が上がるだろう?」

 

 おお、これは太っ腹、是非とも欲しいが魔法無しだと柴田には勝てなさそうだな、見てて分かるがあれは魔法無しの俺より多分運動神経良いだろうし、水泳が得意な男子にも厳しそうだ。

 

 うーむしかし5000ポイント……色々と青春を追いかけていたら既に3万ポイント使ってるし欲しいなあ、でもなあ。

 

 最初は女子から泳ぐらしい、柴田が誰が一番早いんだろうなと話していたが俺の見立てだと安藤か南方かな、パッとみた感じだから水泳部の女子がいたらその高校生だろうか。

 

 姫野はどうだろう?悪くはなさそうだけど本気でやるとも思えないんだよな……お、泳いだ、まあまあ速い、三位ぐらいになりそうだ。

 

 泳ぎ終わった後の姫野に近付く。

 

「おつかれ」

 

「……なに?」

 

「いや、それだけだが、姫野と話したかった」

 

「あっそ、私は話したくないから、離れて」

 

「そうか、ところで姫野、男子なら誰が一番になると思う?」

 

「はぁ……興味無い、柴田じゃないの」

 

「だよな」

 

「……それで?」

 

 お、姫野から話の続きを促したのは初めてじゃ無いか?もしかして進展している?仲良くなってる証拠だよな?勘違いじゃ無いよな?早く会話を終わらせたいようにも思えるけど気のせいだろ。

 

 何てったって姫野は俺と会話を続けてくれる数少ない俺の友達で優しい女子高校生だもんな。

 

「応援してくれ姫野」

 

「やだ」

 

「一位取ったら何か奢ろう」

 

「別に良い」

 

「具体的に言うとこの前物珍しそうに見てたコーヒーメーカーとか」

 

「な、何で知ってんの!?きもいしうざい!」

 

 辛辣すぎる、流石に傷つくぞ姫野……。

 

「この前たまたま見かけて話しかけた時に気付いた」

 

「ほんと最悪」

 

「それで、応援してくれるのか?」

 

「しない!」

 

「そうか……」

 

 悲しい。

 

 まあ切り替えていこう、そろそろ男子の番だし、まあ一位を取れなくてもコーヒーメーカーは奢るつもりだ、なぜって?好感度上がると思うので、確か15000ポイントぐらいしたけどまあ良いでしょ、うん。

 

 俺と同じ番で速そうな奴は……水泳部が一人いるな、うーんどうだろう、勝てるかな、魔法があれば身体強化して一発だけどそれは流石にな。

 

「頑張ろうぜ、倉上」

 

「おう」

 

 水泳部の男子に一言言って位置について、スタートする。

 

 魔法無しで泳ぐ事は久しぶりだがさっきの50メートルで感覚は覚えた、泳ぎ方のフォームは綺麗じゃないと思うけど身体能力は水泳部の男子より俺の方が上か?

 

 ひたすら泳いでゴールした結果、0.7秒差で俺の勝ち、1着だ、よっしゃ、普通に嬉しい、身体能力でものを言わせたが、もう一回同じ条件でやれと言われたら次は負けそうだ。

 

「良い勝負だったな!倉上も水泳部入らないか?」

 

「帰宅部こそ青春に満ちていると俺は思っているから無いな」

 

「そ、そうか?いやまあ、否定はしないけどよ……?」

 

 さて。ここで1着を取れたことで上位五人の内の一人になれた、この五人で1着を決めるぞ。

 

 しかし困った、柴田もそうだけど他の三人にも勝てない気がする、鍛え始めたのは半年ぐらい前だからなあ。

 

 一度長期的に筋肉を魔法で補強した事があるが、最終的に肉体ホルモンが崩れて元の筋力より低くなったし、普段から欠かさず鍛えている者達には一歩二歩劣るよな。

 

「柴田くん頑張ってー!」

 

「みんな頑張れ〜!」

 

 女子の黄色い声援が降り注いだ、俺以外。ぐぬぬ……ま、まあ?俺には姫野がいるし?

 

 姫野が見ているか探してみると、目が合った、少し意外だ。俺の応援はしないらしいし、こういうのに興味無いと思ったから見てすら無いと思ったんだけど。

 

 いや、もしかすると言葉ではああ言っていたけど、実は応援してくれていたりするのか?ん?なんか凝視してたら目を逸らされた、すると何人かの女子が姫野に近づいて話しかけたぞ?

 

 ……なんか真っ赤になって凄い否定している声がする、何話してんだろう、あ、目が合った、めちゃくちゃ睨まれた、ええ……?

 

「よっ倉上、良い勝負にしような!」

 

「あ、ああまあ、そうだな?」

 

「てかよー倉上」

 

 柴田が小声で耳打ちしてきた、えっ何?

 

「ちょいちょい噂聞くんだけど、姫野と付き合ってんの?」

 

「いや違うけど、え、なぜそんな噂が」

 

「いやおまえ自覚無いのかよ……」

 

 はて?いやマジでわからん、そりゃあまあ控えめに言っても超絶タイプなので付き合いたいけどそれはそれとしてなんでそんな噂になってんの?

 

 あれか?放課後とか姫野見かけたら話しかけてるからか?いやでも友達なら見かけたら話さないか?うーん?入学して一週間だけど未だに全然普通の高校生の事がわからない……。

 

「よーしおまえら、そろそろ始めるぞー」

 

 先生が合図をした、まあ魔法無しじゃ負けると思うけどやるだけやるか、あわよくば勝ちたいし。ポイント欲しい。

 

 そう思いながら軽い準備運動をしている時、姫野と話していた女子の一人が少し大声で声を出してきた。

 

「倉上くーん!姫野ちゃんが応援してるってー!」

 

「ちがう!ばか!してないから!」

 

 ゑ?マジ?

 

 そうか、そうかそうかなるほどそうか……。

 

 

「悪い柴田」

 

「お、おう?」

 

「本気出すわ」

 

 

 入学して一週間ではあるが、負けられない理由が出来てしまった、これはもう勝つしか無い、そして勝つには魔法を使うしかない。

 

 いやいやまだ一週間経った程度なのに魔法使うのかよおまえと言われそうだが仕方ない、もう惚れていると言っても過言では無い姫野から応援されてることで完全に舞い上がってしまった。

 

 具体的にいうと女子の水着姿で限界に近かった俺の感情がこの瞬間止められなくなった、魔力の暴走である。

 

 ……いや、まあ。高校生活をするに当たって自分自身に掛けた魔法の制約で、不本意で暴走した魔力は全て酸素として変換して地球温暖化の防止に貢献するようにしているから、魔力の暴走は俺の言い訳だけど。

 

 とにかく、これで俺が下手な結果を取ろうものなら、姫野に幻滅されて友達関係が抹消するかもしれない、まあそうなったら時を戻すだけなんだけど。

 

 心に傷を負うのは確実だろうし、普通に凹む。

 

 そう考えると、月に一回だけ使えるようにしている魔法を今ここで使うのも良いだろう。

 

 四月は使わないと思ったんだけど……やっぱダメだな、潜在的に、生まれた時から持っているものを、そう簡単に制限は出来ないな。

 

 

 位置に着く。

 

 プールに飛び込む瞬間、俺は魔力を解放した。

 

「な____!」

 

 

 魔法での身体強化、シンプル故に極めれば強力だ、想像上の強くなった俺をイメージして魔力を込めれば込めるほど現実に変換される。

 

 流石に全力で魔力を使うと泳ぎの衝撃で周りを泳いでいる生徒が吹っ飛ぶかもしれないからちゃんと自重する。

 

 オリンピック選手程度の、俺からすれば簡単過ぎる身体強化、だけどもまあ、これぐらいでいい筈だ、辛うじて柴田が付いてくるのを見るとやはりこいつは出来るやつだなと再確認する。

 

 ただまあ、俺の方が速い、今の俺の身体能力は世界記録保持者と同等だ。

 

「____っは!」

 

 俺が一位だ、卑怯とは言うなよ、好きな女の子には振り向いて欲しいんだ。

 

「21秒31……!?日本記録とそう変わらないぞ……!」

 

 ぬ、まず間違いなく身体能力は世界記録保持者なのだが、そうか、日本記録に届かなかったか、その辺はやはり水泳のフォームが重要になるのだろうか、だけどもまあ勝ちは勝ちだ。

 

 俺の記録で男女共に騒いでいるがそんなのはどうでもいい、柴田が話しかけてくるがそれよりも姫野だ、どこにいる?見てくれたかな。

 

 あ、いた、驚いてるように見える、初めて見た顔だ、可愛いな……どうどう?俺頑張ったけど、見惚れた?見惚れて?

 

「凄いな倉山、水泳部に__」

 

「興味ないです、それに火事場の馬鹿力です、もう一度やれと言われても出来ません」

 

「そ、そうか……」

 

 そんなことよりだ。

 

 やや離れた所で一人座っている姫野に近づく、一位を取った俺より柴田の方に女の子が話しかけに行ってるのをみるとちょっと思う事はあるけどまぁいいんだ。

 

「ありがとう姫野、応援してくれて」

 

「してない」

 

「姫野の応援が無かったら一位は取れなかった」

 

「してないってば……!」

 

「お礼にコーヒーメーカーを買うから、今日の放課後一緒に見に行かないか?」

 

「いかない、あっち行って!」

 

「え、俺が選んで良いのか?」

 

「だから……っ!あーもう!」

 

 

 これで俺は五月にならない限り、命の危機以外で魔法を使う事は絶対になくなった、予想外の魔法の使用だが悔いはない、反省はしているが。

 

 こうして水泳の授業は終わった、Bクラスの皆から一目置かれたかもしれないがそんなことより、姫野に応援された事が一番嬉しかったぜ。

 

 ちなみに放課後二人でコーヒーメーカー選びした。

 

 ついでに食事も奢ったので、俺のプライベートポイントは5万を下回ったのである。

 

 

 

 ……節約しよ。




水泳イベント、パパッと終わらすつもりだったのになぜ?
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