ようこそしないで魔法使い君   作:ゆう31

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わーいルーキー日刊一位やったー!


姫野が可愛すぎるぜ

 

 ポイントの変動から3日後の昼休み、俺は食堂に居た。

 

 軽く周りを見渡すが、ざっと見た所普通にポイントを払って食事をしている人が6割、0円の山菜定食を食べている生徒が3割、その他の奢られてたり、何故か弁当を学食で食べてたりと特例が1割といった感じか。

 

 思った以上に0円生活をしている生徒は少ないな、いや多いのか?今日はたまたまの場合もある。

 

 交渉するなら山菜定食を食べている生徒、それも上級生が好ましそうだ、ポイントを渡せば欲しい情報をくれる可能性は高い。

 

 まあ、特にそんなのはないんだけど。

 

 そんな事今はどうでも良いんですけど。

 

 

「よう姫野、天ぷら蕎麦か?奇遇だな。俺も天丼を選んだんだ」

 

「近寄らないで」

 

「前座るぞ」

 

「座んな」

 

「ところで姫野、今日の放課後暇か?家電見に行かないか?」

 

「行かない!ご飯の時ぐらい黙って!」

 

「それは確かに、いただきます」

 

 天丼って素晴らしいよな、揚げた海老の下に米あるんだぜ、というかタレが美味い、これ魔法だろ、なんて魔法なんだ、俺も習得したい。

 

 しかし姫野の天ぷら蕎麦も美味しそうだな……というか姫野の食べ方が綺麗でとても絵になっている、おいカメラ取れ、んで俺に送れ。

 

 先に席にいたのは姫野だったが先に食事を終わらせたのは俺である、意図して早食いしている訳じゃないんだけども、どうにも社会人時代に食べ物をささっと腹に入れて仕事に戻るとかいうくそムーブが抜けて切れてないようだ。

 

 ただまあ、食べ終わるのを待つのも楽しいな、姫野、俺のことは気にしなくて良いぞ、いっぱい味わう君が好き。

 

「おい」

 

 じっと見てるのも失礼か?いやでもちょっと目が反らせません、ほぼ間違い無く好きな女の子の食事風景とか目に焼き付けたいよな、青春ポイント的にも。

 

「おい、テメェだよテメェ」

 

 いや魔法使って本当に目に焼き付けようかな、瞼の裏に今のこの光景を保存する魔法なんだが、編み出したは良いものの使う機会が何一つなかったんだけど、今になって使い道が出来てしまった。

 

 でもな〜〜5月に使う魔法それでいいのか?てか5月こそ魔法を使わないようにしたい、使うにしてももっと計画的に___

 

「……あんた、呼ばれてるよ」

 

「ん?」

 

 食事を終わらせたであろう姫野にそう言われて、振り返るとそこにはロン毛の高校生が居た、隣にでけえ黒人とやんちゃっぽい奴、なにこいつ、誰?

 

「やっと気付いたか、倉上。女に夢中で眼中にねぇってか?」

 

「いやそれはそうだろ」

 

「はっ、よほど舐めてるらしいなぁBクラス」

 

 そう言って隣の黒人にロン毛の高校生が目をやると、少し動いた後に、仁王立ちでそこに立った、え、何?

 

 なんでこいつこんな絶妙な位置に移動した?

 

 瞬間、海の中での生活、山の中での生活、とにかく魔法使いとして修行をしてきた際に培われた第六感が働いた。

 

 ロン毛の左拳が俺の顔面を狙って放たれるより早く、第六感に従った俺は直ぐに衝撃魔法を放とうと手を前に___

 

 あ、ヤッベ。魔法使えねぇや。

 

 

「___あぶね」

 

 手を前にした手で顔面を狙う左拳の拳を逸らして事なきを得る、追撃が来るかと思い警戒するが、ロン毛の高校生はニヤついて話しかけた。

 

「は、どうやら身体能力もそこそこらしいなァ」

 

「なんだおまえ」

 

「Cクラスの王だ、覚えとけアホ面」

 

 は?厨二病かよ、何だこいつ、ほら見ろ姫野も困惑して___ってあれ?居ないんだけど、え、嘘。放ってかれた?

 

 は〜〜〜〜〜?????俺と姫野の食事デートをこいつ邪魔しやがった!感情が昂るのを感じる、今めっちゃ感情のままに魔法ぶっ放してえんだけど。

 

「いいかBクラス、俺はお前らを」

 

「うるせえどけ」

 

 突然の俺の行動にロン毛は反応し切れず体をへの字にした、なんて事はない俺の正拳突きだがこんな奴に構ってられるか。

 

「てめぇ!龍園さんに!」

 

「お前らに構ってられる暇無いんで、じゃ」

 

 姫野?!どこに行ったんだ姫野、俺寂しいよ……ってもうこんな時間じゃん!そろそろ昼休みの後の授業始まる。

 

 あ、そうか、授業始まるから教室戻ったのか、なんだよそういう事なら一言言ってほしかったな、いやなんか絡まれたから遠慮したのかな。

 

 あー、なんか殴っちゃったけど大丈夫かな、把握している監視カメラの位置からじゃ俺が殴った事はわからないと思うけど。目撃証言とかは誤魔化せないしなあ。

 

 まあいいよね、魔法使ってないし正当防衛になるよな、そもそも厨二病ーズが絡んで来たのが悪い、うん。

 

 最悪目撃した人達の記憶魔法で改竄させよう、そうしよう。

 

 はあ、せっかく昼休みに姫野と話せたのに……気分が落ち込んだまま食堂から出る。

 

 食堂から出て前を向くと、内に鮮やかな水色のレイヤーを入れた、特徴的な美しい髪色のツインテール美少女がいた。

 

「って、へ?あれ、姫野?教室に戻ったんじゃないのか?」

 

「べつに、忘れもの取りに来ただけ……」

 

「あ、まじか、取りに戻ろう」

 

「いい、教室に置いてたの思い出したし」

 

「おお、それは良かった、じゃあ一緒に教室行くか」

 

「離れて」

 

「それでさっき言いかけたんだが、放課後暇か?家電ついでにお揃いのストラップ買いに行こう」

 

「買わないし行かないしきもい!」

 

 

 運が味方をしてくれたのだろうか、ありがとう女神様!今日はいつも以上に姫野と話せそうだぜ!

 

 俺は自然と隣で歩こうとするがそれを見た姫野が先に一歩進む、むむっ、まぁ良かろうなのだ、後ろ姿の姫野を見るのも目の保養がとんでもないです。

 

「ねえ、あんた龍園と知り合いなの?」

 

 姫野と教室に戻っている途中、珍しく姫野から会話を切り出した。

 

「誰それ」

 

「さっきあんたに絡んできた人」

 

「なるほど、知らないし興味も無いけど、有名なのか?」

 

「……まあ、悪い意味で。一之瀬にでも聞いてみなよ」

 

 へー、悪い意味って事はよく無い噂の持ち主ってことか、いやまあ急に殴りかかってきたし間違ってなさそう。

 

 Cクラスの王とか言っていたけどもしかして厨二病患者じゃなくてクラスを纏めているやつなのか?いや、それはなんというか、どうなんだ……色々と。

 

 Cクラスこぇ〜、近づかんとこ。

 

 ていうかそれって姫野……。

 

「心配してくれたのか?」

 

「は?ちがうし」

 

「ありがとう姫野、最高の女の子だな、好きだ」

 

「このっ……!うざい!どっか行って!」

 

「進む道同じだし無理」

 

「じゃあ消えて!」

 

 むむ、それはつまり魔法を使えと?確かに透過魔法を使えば透明人間になれるけど、まぁ姫野の頼みなら月一で使える魔法ここで使っても良いけど。

 

 あ、もしかして消えろって物理的な意味じゃない?それだと魔力の半分ぐらい使えば、全世界に俺という存在がいる事を消すことが出来る魔法もあるんだが、もしかしてそれか?

 

 いやあちょっと、姫野の頼みでも悩むなあ、第一アレめっちゃ疲れるしなあ、世界に俺という存在を戻すのにも時間かかっちゃうし。

 

「……変なところで黙んないでよ」

 

「え、ああ。ごめん」

 

「別に、怪我とかないの」

 

「へ?ああ、うん。ないけど」

 

「……あっそ!」

 

 姫野に怪我の心配をされた事に呆気に取られてると、姫野は早歩きでBクラスの教室に向かった。

 

 え、何今の。姫野マジで心配してくれてたのか?

 

 ……心に何か温かいものを感じる、ついでに少しだけ顔が赤くなってきた気がする。

 

 やっべー、こういう時なんて言えば良いんだ?

 

 

 魔法より難しい問題に直面したな……。

 

 

 

 

 

 

 

 ちょっとその日は気恥ずかしさで放課後に姫野を誘えなかった、いやあれは……心に矢が刺さった、恋心的な意味で、なおさら好きになったかもしれない、いやなった。

 

 俺のこの感情が止まる事を知らないがそうなると魔力ダダ漏れ酸素ドバドバマシーンになるので頑張って自制した。

 

 こういう時は綾小路に限る、早速電話して遊びに誘ったのだが、なんと勉強会を開催するとの事で時間が取れないとの事だ。

 

 綾小路が開催する勉強会とかちょっと俺も興味あるんだけど、多分俺より学力ありそう、勘でしかないけど。

 

 30年生きてきた人間の勘は結構当たるもんだぜ、と詳細を聞いてみると、綾小路は人をセッティングするだけで教師役はしないらしい、なんだ、じゃあ興味無いや。

 

 てか「オレが教師役は向いてないだろ」とかなんとか言っていたが、少しだけとはいえ俺に勉強教えたの忘れてないか?

 

 まあ綾小路の事は良いや、今日の放課後どうしよう、何しよっかな。

 

 目的もなくふらついていると、金髪の男子生徒を見かけた、あれ多分もしかしなくてもナンパだと思うんだけど、えー……でもなんか女の子嫌がってるように思います。

 

 俺より容姿いい奴のナンパは失敗すればいいと思ってるので飯ウマ出来るかもしれない、近づいてさりげなく会話を聞いてみるか。

 

 姫野がしれっと輪から抜け出す時をイメージして魔法無しで忍び足してみよう……こんな感じか?おお、出来てる気がする。

 

「だから、もう良いでしょ……!南雲くん!」

 

「おいおい、俺は善意で言ってんだぜ、何よりこれがバレたらお前の立場が無いだろ、素直に言う事聞いた方が良い」

 

「___っ!許さないから……!」

 

「言ってな、お前は負けたんだよ」

 

 

 ……上級生の会話か?

 

 断片的な情報だけで何を判断は出来ないが、まぁ多分この行け好かない金髪の上級生が悪い、俺の偏見100%だけど。

 

 にしても負けたって何に負けたんだ?……いや、断定できる情報がない以上幾ら考察しても結論は出ない。

 

 思考をしていると金髪の上級生は女子生徒を連れて、寮に向かって歩き出した、うわっさりげなく腰掴んでるのムカつくな。

 

 あれがモテる男の平均、普通なら俺は普通じゃなくて良いかも、あれが普通とか言わないよな?誰に聞けば教えてくれるんだ、Aクラスの担当教師にでも聞いてみようかな。

 

 うーん……しれっと端末で写真撮ったけど、これ何かに使えるかな、なんとなく撮った一枚だけど、あの金髪に彼女が居るならしれっと教えて修羅場にしてやろうかな。

 

 魔法を使えばあの金髪の彼女がいるかいないか、それが誰か探知魔法で簡単にわかるけどそんなことのために魔法を使うのは流石に4月の時以上に無いのでやめよ。

 

 しかしまあ、負けね。

 

 何を持ってして負けたと思うのは当人次第だが……俺個人としては、人生という長い時間に勝ちも負けも無いと思っている。

 

 究極的な考えになるかもしれないが、死ぬか生きるか。

 

 

 ただそれだけじゃ無いか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 土曜日だ。

 

 学校に行かなくても良い日、つまりは高校生の休日。交友関係の浅い俺には少し退屈な日でもある。

 

 し、仕方ないじゃないか……連絡先を聞き出すまで話の流れを持っていけないんだよ……!

 

 こういう時は綾小路だ、だが綾小路は自分のクラスの事で忙しそうなのを知っているので、次の機会にするとしよう。

 

 となると他に連絡先を持っている人間に遊びに誘う事になるのだが、まず柴田は部活で忙しい、神崎はなんとなく誘いずらい。

 

 一之瀬?いやいや、あのクラスのアイドルに二人きりで遊ぶ?いやあ、ちょっと、怖いっす。

 

 姫野?いやさっきから掛けてるんだけど応答しないんだよね、なんでだろ、でもワンコールで出るとはサンコールぐらい掛けてみよう。

 

 ……ダメだ出ない、うーん。じゃあ姫野の部屋に行ってみるか?場所はわかってんだよな、初日に姫野の分の食材を送った時に把握したのだ。

 

 昨日の感情はリセットしてるから健全な気持ちで会えるし、よし、決めた。行こう。

 

 私服に着替えて寮を歩く、俺にファッションセンスは無いので適当な服を着ているが、うんまあ、別にダサくないよな?普通だよな?

 

 どうしようこれで姫野にダメ出しされたら、結構凹むぞ。

 

 いや待て、なら姫野に服を決めて貰えばいいのでは?おお、めちゃくちゃいい考えだ、今日の予定決まったな。

 

 そんな事を考えていたら姫野の部屋に着いた、ノックしよう。うん、出ない、もう一回。

 

 むむ、だめか。いや待て、でも俺の姫野センサー(魔法使用無し)は部屋にいると告げている、だからここはくどいかもしれないがもう一回!

 

「うるさい!」

 

「やあ姫野、遊びに行こう」

 

「行かない!てかなんで私の部屋に来てんの」

 

「初日に行ったじゃん」

 

「なんで覚えてんの、きもい」

 

「好きな女の子の部屋は覚えるだろ」

 

「っ!」

 

 パタン!

 

 あ、扉を閉じられてしまった、ぴえん。

 

 ……流石に強引すぎたかなぁ、魔法を使えばもっとスマートに誘えただろうか、普通の高校生の事以上に年頃の女の子の思考がわかっていない説はある。

 

 でも俺の尊敬している先輩は高校生ぐらいの時は当たって砕けろが常だって言っていたし、いやよいやよも好きの内とか言ってたし。

 

 いやでもあの人バツ2だったよな、そんな人のアドバイスが果たして有効なのか?冷静に考えてみて、ダメな例なのでは?

 

 姫野の部屋の前で体育座りをしている俺に通り過ぎる生徒が不思議そうな目で見ているのを感じる。

 

 若返りの魔法で精神肉体共に年相応になっているとは言え30歳、年上属性は女子高校生的にはNGなのだろうか……。

 

 

「……何してんの」

 

 うずくまっていたら私服姿の姫野がそこにいた。

 

 パンク系の服を可愛く着飾った姫野は制服姿の時とまた違った印象を覚える、数年前に好きなアーティストのライブに行った時に出会った女性の服装に近いが、姫野が着ると神秘的に感じる。

 

 正直言います、めちゃくちゃかわいい。

 

 

「迷惑なんだけど」

 

「わ、悪い」

 

「……」

 

 じと〜っと見られてる、私服姿で完全に思考を停止しているせいで言葉が出ないんだが、や、やべぇよ、やべえよやべえよ。

 

「どこ行くの」

 

「え、遊びに一緒に行ってくれるのか?」

 

「あんたしつこいから、仕方なく今日だけ……」

 

「お、おお。じゃあ先ずはこの前見かけた喫茶店にいこう、気が変わらないうちに行こう!」

 

 

 神様ありがとう、俺にもついに春が来ました。

 

 嫌そうにしているけど着いてきてくれてるって事は遊んでくれるって事だもんな!やったぜ!

 

 

 よっしゃ〜〜〜〜休日デートだァァァ!!!!!




つづきおそめかも、まーゆっくりまってー
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