ようこそしないで魔法使い君   作:ゆう31

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にゃーん


図書館ではお静かにだぜ

 

 期末テストまで残り一週間となった昼休み。

 

 あまりにも俺が定期的にBクラスがやっている勉強会に来ない事を危惧した一之瀬が、ホームルーム後に勉強会に誘ってきたのである。

 

「倉上くんなら問題ないかもだけど、一度ぐらい来て欲しいなって、だめかな?」

 

「だめじゃないけど良いのか、なんかこう、雰囲気的な意味で」

 

「う、うん?大丈夫だよ、だよねっみんな?」

 

 一之瀬がそう言うとBクラスの生徒は皆頷いた、なるほど。俺は少し誤解していたのかも知れない。

 

「避けられてるかと思っていた」

 

「ええっ、そんな事ないよ、でもそっか、私は倉上くんが避けてるのかと思ってたから、すれ違ってたのかもね」

 

「でもそれなら、なんで話しかけてこないんだ……」

 

「にゃー……んー。えっと、うにゃー……えっ、えっとね」

 

「一之瀬ちゃんっ、だめだよ言っちゃ」

 

「う、うん」

 

 一之瀬と小橋がひそひそと話している。は?おい、なんだそれ。俺本人には言えない何かがあるってことか?もしかして魔法使いだと気付かれたのだろうか、いやそれは無い。

 

 じゃあなんだ?魔法を使わないと検討もつかないな……まあ、うん。避けられては無いみたいだったから、気にしない事にしよう。

 

 それに勉強会も少し楽しみなんだよな、Dクラスの勉強会見てて思ったけど、あれも一つの青春だよな、勉強を教えたり教えられたりする会、良いじゃあないか。

 

 現役高校生の勉強会に若返りの魔法で高校生になった偽学生が紛れ込むという、なかなかなアレに目を向けなければ最高だ。

 

 そしてこの事実も精神年齢も若返ってるから実際セーフって事にすればオールオッケーだ。

 

「それじゃあ倉上くん、今日のお昼図書館にくるよーに!」

 

「うい。という訳だ姫野、一緒に行こう」

 

「は?なんで私まで」

 

「まあまて、俺が手取り足取り教えてあげよう」

 

「うざ、話しかけないで」

 

「そう言うな、そこそこ勉強できるぞ俺」

 

「あんたに教えてもらうぐらいなら一之瀬の方がマシ」

 

「これは手厳しい、という訳で姫野も行くけど良いよな」

 

「いーよー!」

 

「いかな……あーもう……っ!」

 

 

 そんなやりとりがあって今、図書館にいるのである。

 

 しかし昼休みに図書館に来たのは初めてだが、Bクラス以外にも図書館で勉強会を開催しているグループは多いらしい、利用者が多いのは良い事なのか悪い事なのか。

 

「それで姫野、何が苦手だ?教えよう」

 

「一人で出来るし、あっちいって」

 

「なるほど、なら俺は歴史が苦手だから教えてくれ」

 

「あっそ、教えない」

 

「うそだろ。勉強会とは?」

 

「また二人だけで話してるよこの二人……」

 

「ん、何か言ったか浜口哲也」

 

「いや何もって、なんでフルネームなんですか……」

 

 Bクラスの教師役は一之瀬とそれからこの浜口、そして俺。といっても基本一之瀬が教えて手が足りない時は浜口が教えるので俺いりますか案件である。

 

 しかしそうか、魔法を使うなら伝達魔法で一斉に脳内に直接知識を与えれば、まぁちょっと知恵熱で数分ぐらい頭痛くなるけど一瞬で覚えられるのだが、普通の高校生はこうやって勉強会をするよな。

 

 教える側も復習になるので、そこそこ良い効率の勉強会だ、あとは生徒側のやる気次第ではあるがその辺は問題無いようだ、勉強会に参加している人数は15人前後、図書館ではなくBクラスの教室で神崎が中心に教えている所もある。

 

 それにしても一之瀬はなんというか、教え方が上手い、こいつ教師向いてんな。星之宮先生よりは向いてると思います、てかあの人なんで教師になろうと思ったんだ?そこそこ知りたいな、今度暇があったら聞いてみるのも一興。

 

「……で?」

 

「ん?」

 

「歴史のどこが苦手なの」

 

「お、おお……!それはだな____」

 

 手持ち無沙汰でぼけーっとしていると姫野から声をかけられたぞ!やったぜ、ちょっと本当に俺どうしよっかなーって思ってたから本当に嬉しいぜ、これで暇にならなくて済む。

 

 ちなみに何故歴史が苦手だと言うと何故か全然頭に入ってこないのだ、自分でもどうかと思うが、めちゃくちゃに興味が無い。

 

 興味が無さすぎるので覚えられないのだが、姫野に教えてもらうと言う事なら話は別だッ、俺もうね。めっちゃ覚える。

 

 と、やる気満々元気盛り盛りだったのだが、姫野が何かに気付いたようで、少しイラついたような表情に変わった、何事かと視線の方をみると、どうやら揉め事の気配がする。

 

「ん?てかあの赤毛、Dクラスの生徒じゃん」

 

「なに、知り合い?」

 

「まあそう言われればそうではある、ちょっと行ってくる」

 

「……あっそ」

 

 

 さてはて何があったのやら、放課後だけでなく昼休みも勉強会をしているのは良い事だが、図書館ではお静かに。揉めるなんてあっちゃあいけないんだぜ、とはいえ訳を聞かない限りはなんとも言えない。

 

 というか綾小路いるなら止めろよ、なんで止めにかからない、いや。もしかしたら図書館での揉め事は青春ポイント的に有りって思うタイプかも知れない。

 

 俺は逆です、時と場所を考えないとせっかくの青春ポイントもマイナスになっちゃうんだぜ。

 

「よう奇遇だな、どうかしたか?」

 

 口論がヒートアップしているのか、立ち上がって今にも殴りかかろうとしている赤毛の高校生より先に横から言葉を出して牽制する。

 

「あ?いやァ何も?ただちょっと底辺の___」

 

「は?いや誰だお前、お前に話しかけてない。綾小路、勉強会は順調か?」

 

「……まあ、見た通りだな」

 

「ふむ。ところで」

 

「おい、無視してんじゃねえよ!」

 

 は?いや何こいつ、うるせえな。ははーん?読めてきたぞ?この変な奴がDクラスの勉強会に絡んでなんか言ったんだろ、多分ナンパだな、あの茶髪の女の子俺から見ても可愛いし、一目惚れか?

 

 わかるよ一目惚れ、ついついガッツリ行きたくなっちゃうよな、でも時と場所を考えないとダメなんだぜ、ここは図書館、放課後の誰もいないどこか特別感のある図書館ならまだしも、昼休みはちょっとな。

 

 そりゃ赤毛の高校生も席を立って注意しようとするよ、お前は恋愛に対するマナーがなってない、青春もできてない。まぁその二つのどれも俺が口出し出来る問題じゃ無いけど。

 

「……まあいい、底辺同士馴れ合ってろよ」

 

「底辺?俺と比べて確実に頭も悪そうで顔も悪い、運動能力も低そうで言葉遣いがなってないお前。なあ綾小路、どっちが底辺だと思う?」

 

「オレに聞くなよ……」

 

「あァ?てめえ、さっきから」

 

「それとこれは親切心なんだが少し臭うぞ、服洗ってるかお前」

 

「テメェ!」

 

 俺の言葉に図星だったのか食ってかかろうとしてくる、おいおいマジか、短絡的過ぎないか?服洗ってるか聞いただけじゃん、自覚あるんなら洗えよ、洗う時間無いならスプレーシュッてするだけじゃん。

 

「はいストップストップ」

 

「ん?一之瀬、勉強会の方は」

 

「倉上くんは少し黙ってて」

 

「えっ……はい」

 

 うそだろ?あの一之瀬が辛辣なんだが、え?中身姫野になってたりする?入れ替わりの魔法使った?それとも俺一之瀬になんかした?いやいや、まぁ確かに他クラスと話し過ぎてはいるかもだけど。

 

 いやまあ一之瀬の事だから騒ぎを沈静化したかったんだろうけど、いや俺もそうなんだけど。目撃者多数かつ監視カメラもあったから、あのまま殴られても良かったんだけどな。

 

 Aクラスがあそこまで沸点低いとは思わないし、Cクラスでしょ。ちょっかいかけてきたあの生徒。

 

 何やら黙ってるとそのCクラスの生徒が捨て台詞的なことを言って去っていったけどそれよりちょっとキレ気味な一之瀬さんがこわいです、雰囲気がほにゃらら〜〜って感じじゃなくてムカッて感じです。

 

 あ、振り向いた。

 

「倉上くんは後で説教ですっ、それじゃあ君たちも、ここで勉強を続けるなら、大人しくやろうね。以上っ」

 

 悲報、俺説教らしい、なにやらBクラスの方でくすっと声がしたが、え?もしかして俺笑われた?なんでこんな目に、結構ショックだ、それもこれもあのCクラスの生徒が悪い事にしよう。

 

「……貴方も戻ったら?此処にいられても不快なのだけども」

 

「そういうな、もう少し居させろ」

 

「嫌よ、ここから失せなさい」

 

「この黒髪は反抗期なのか?綾小路」

 

「……ノーコメントで」

 

「綾小路くん、殴られたいの?」

 

 バイオレンス過ぎるだろ、言葉の棘がひどい、しかも姫野の愛のあると勝手に感じてる言葉と違って苦しかなさそうだ、もしかして綾小路お前の友達か?まあ確かに顔は良いしな、でもやめといた方がいいぞ。

 

 ただまあここに居てもなにも無いか、実際邪魔だろうし、戻るか。

 

「ああ所で、テスト範囲それじゃ無いぞ」

 

「……まさか、本当に?」

 

「担任に聞かなかったか?それじゃあな」

 

 

 Bクラスの方に戻るとなんだか微妙な目でBクラスの生徒達が俺を見るが、なんだよ。もう、そんな目をしなくても良いじゃ無いか。

 

 いやまあ、よくよく思えば止めに入ろうとしたのにエスカレートさせてしまったから、言いたい事わかるけどさ。

 

 しかし一之瀬からの説教か、説教……うそだろ、俺中身30歳なんだぜ、10以上離れた年下に説教されんの?そう考えるとめちゃくちゃ凹むな、苦しい。

 

 魔法使って時間巻き戻そうかな……あっだめだ、5月はもう使ったんだった、逃げれねーじゃん。

 

「ってあれ、姫野は?……白波、姫野はどこへ」

 

「姫野ちゃんならもう戻ったよー」

 

「うそだろ、一人にされた」

 

 

 

 

 

 

 

 一つだけ言えるのは一之瀬の真剣に俺のことを考えた上での説教は結構効いたとだけ言おう。

 

 今度からはもう少し考えてから言葉を話そうと思う、でもこれは仕方ないのだ、魔法と姫野の事ならまだしも他の、しかもあんなどうでもいいCクラスの生徒に充てる言葉の思考時間は無いのである。

 

 気にはするが多分次あっても似たようなことを言いそう、まあうん、関わらなければいっか。

 

 さて、勉強会も終えて早くも放課後になった、先程綾小路から連絡があったので今日の遊び相手は綾小路だ、とりあえず喫茶店で合流しようと俺から提案すると了承してくれたので行き付けになっている喫茶店に向かう。

 

 姫野に紹介した喫茶店だ、規模も良い感じで知っている生徒が少ないのか、人が少ないのも俺的には好み。

 

「もう居たか、待ったか?」

 

「そんな事はないぞ」

 

 店内に入ると既に綾小路がいたので、隣のカウンター席に座る、そういえば五月に入ってからはあまり放課後に集まらなかったな。

 

 まあ四月での綾小路と遊んだ頻度が多かったのもあるから、本来はこんな感じか、綾小路がどう思ってるのかは知らないが、Aクラスを目指すならBクラスも敵なのは変わらないし。

 

「今日はどうする?まだやってないので言えば、つい先日射的場を発見したぞ」

 

「射的……的当てか?ダーツとは違うのか?」

 

「てんで違うな、そもそも競技ではない」

 

「そうか。所で倉上、少し相談があるんだが、いいか?」

 

「相談?期末テストのことか?」

 

「察しが良いな、それならオレが欲しいものも分かるだろ」

 

「上級生の期末テストが欲しいならタダでも良いぞ」

 

「……それは何故だ?」

 

 少し疑うような目で綾小路は見てくるけど、特に理由がある訳じゃないんだよな、友達だしタダで渡しても良いかなって思っただけだし、まあ1万ppで売っても良いのだが。

 

 今のところ俺、ppに余裕あるし1万ppぐらいなら別に貰っても貰わなくてもあんま変わらないなーって思ってんだよな。

 

 それにDクラスの全体的な勉強力は知らないが、もしかしたら赤点取るかも知れないってのはあるし、そうなるとポイントは多く持っておいた方が良いだろうし。

 

 でもせっかくなら何か条件付けるか。

 

「特に理由はないが、タダで買えないなら条件付きでどうだ?」

 

「聞かせてくれ」

 

「射的ってのは景品を当てるのがポピュラーなんだが、どっちが多く景品を取るか勝負しよう、俺が多く取ったら15000ポイントで売る、綾小路が多く取ったら0ポイントで譲る、どうだ?」

 

「なるほどな、ただ0ポイントで貰うのは心情的な問題がある、オレが多く取ったら5000ポイントにしよう」

 

「それにするか、じゃあ話もまとまったし出るか」

 

「そうだな」

 

 俺と綾小路は喫茶店から出て、射的が出来る場所へと移動する。

 

 綾小路とはこの関係性を保っていたいものだ、どうにも綾小路はオレより知らないものが多い気がする。

 

 だからだろうか、こいつに色々と見せてやりたくなるんだよな、それに綾小路は青春ポイントが高い、こいつといると相乗効果で二割増しに青春を味わえている気がする。

 

「あ、そうだ。人をダメにするソファーどうだった?」

 

「あれは……すごいな……」

 

「だろ」

 

 

 綾小路もダメにされたか、そうだよな。あれは本当に人をダメにする、綾小路がダメにするソファーにダメにされてるのを直で見てみたいし、今度綾小路の部屋に遊びに行くか。

 

 そんなこんなでその日は久しぶりって程ではないが、放課後に綾小路と遊んだ。

 

 しかし射的というのはどうしてこう、当たったのに倒れないんだろうな、あれ絶対やってるだろ。

 

 

 結果?俺の負け、5000ポイントで売りました。

 




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