OMEN of STORM   作:あしゅけーね

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十禍闘争/Omen Of Storm
再臨する絶大


「最初の試練、今再び」

 

「どお…して……?」

 

 全てが終わった事に安堵し、ラピスと共に実況席へと戻っていた少女───チャットは混乱していた。まあ無理もないことだろう。

 今し方試練は終わったはずだ。八つの試練(絶傑)は八つの戦場で敗れ、残る二つはほぼ共倒れ。特に自分の受けた唯我の試練などは全く関係のないクオンの手によって終わらせられている。それなのになぜ、斃れたはずの男が目の前に立っているのか。なぜ死したはずの男の声が聞こえるのか。

 

「簡単な話だ少女よ」

 

 貫かれた右目を眼帯で覆った目の前の男───マゼルベインは告げる。

 子供でも分かる簡単な理由。あるいは子供のように理不尽で身勝手な理由。すなわち───

 

「試練を終えた。福音を得た。ならば世界は進むのか。進んだというのならば我らに示してみせよ」

 

 絶大は宣言する。新たな試練を。

 

「見よ。我ら絶傑、今再び世界に試練を与えよう」

 

 *

 

 白黒二つの巨像から、小さな小さな卵が生まれる。心を育むその殻は、ブルリと震える。

 奏絶は、未だ歌わない。

 

 *

 

 音の消え去った舞台に、怨讐の火が灯る。朧の山は既になく、新たに刻むは悍ましき墓標。

 絶叫は、他者の声を許さず鳴り響く。

 

 *

 

 安寧を捨て去り、過酷を進む者へ。ならば貴様の縋る夢は潰え、心折る現実が突き付けられよう。

 絶望は、もはや憐れむことすらしないだろう。

 

 *

 

 焔は認める。己の弱さを。相手の強さを。ならばこれで対等だ。見下し、見下されたのだから。

 烈絶が認めたその輝き、今一度示せ。

 

 *

 

 体は耐え抜き生きた。心が死んだ。その在り方に間違いはなかった。受け継ぐものは命だけでないと知らなかっただけなのだから。

 絶命は認め、望む。心の生を。

 

 *

 

 皆等しく、皆同じ。故に拒むことが分からない。交われば分かるのに、わかること(交わること)をしようとしない。

 愛絶は理解を拒まれた故憎む。

 

 *

 

 餓える恐怖を知り、それでもなお乗り越えた。ならば人は喪失では止まらない。なればこそ。

 空絶は、全てを与える。

 

 *

 

 偽り、飾り、嘯き、繕い、虚ろう。訪ねど尋ねど真実は現れず、遂には虚構に斃れる。

 絶尽は纏う全てを剥き、真実を晒すだろう。

 

 *

 

 干上がれ、乾上がれ。甘く満ちることを望むのなら。飢えた子にとって、万象は甘く垂れる雫である。

 干絶は姿を晒し、世界という雫を飲み干す。

 

 *

 

「見えただろう。聞こえただろう。世界の進む音が。世界の辿り着くべき姿が」

 

 見えた。聞こえた。少女が知るには大きすぎるもの。されど知らずにはいられないもの。

 

「では、試練を始めよう。まずは示すがいい。他の何事にも変えられぬ、己が唯一の絶大を」




今後は金スペル+トークンの二話同時投稿でいく
文字数は合計で4000を目指すので一話を分割して二話にしてるだけ
なので投稿頻度は変わらない……はず
でも二つ書くのって面倒くさいんだよね
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