退学になりかけてたウマ娘のトレーナーをやることになった話   作:刹那 結城

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第1話

皆さん、初めまして。私は今日からトレセン学園にトレーナーとして勤務することになった、新人トレーナーの雪風 響(ゆきかぜ ひびき)です!

 

憧れのトレセン学園にトレーナーとして採用してもらえるなんてこんな嬉しいことはないなぁ……何て考えてたら道間違えました……。しかも、ここ、どこ?

 

なんと言うか明らかに薄暗くて、怖そうな人やウマ娘がゾロゾロと……。

 

「おい、ネエチャン」

 

唐突に声をかけられる、背筋が凍りつくような感覚に襲われる。

……こう言うときはスルーが基本だけど、よく見たらウマ娘だったのでトレセンへの行き方を知ってると思い聞いてみる。

が、それが間違いだったことに気づくのにそう時間はかからなかった。

 

「なんだ、トレーナーか……丁度よかった。トレーナーにも、トレセンにも、あの生徒会長にも、すべて恨みあるからよぉ……。ネエチャン。お前に罪はないが……八つ当たりさせてもらうぜ!!」

 

ゾロゾロとウマ娘が出てくる、ざっと2,30人は居るように見える。

 

「さて、ボコるか……悪ぃな!サンドバッグちゃんよ!!」

 

あぁ、終わった……と私は目を閉じる。

十秒、二十秒。いったい何秒たっただろうか?

私にその拳が届くことは無かった。

 

「……おい、大丈夫か?」

 

私を心配する声が聞こえ、目を開けるとそこには白い髪の毛のウマ娘が殴りかかってきたウマ娘を殴り飛ばしていた。

 

「お、おい……あれって……」

 

他のウマ娘が動揺し始める、その動揺を無視して私を取り囲んでいたウマ娘を片っ端から殴り飛ばす白髪のウマ娘。

 

「……チッ、応援呼べ!!」

 

一人が叫ぶと、暗い通路の奥から、さらにウマ娘がゾロゾロと出てくる

また30人くらい増えてしまった……私のせいだ。

 

「流石のテメエも、この人数相手に一人はキツいだろ?降伏しても良いんだぜ?」

 

「……うるせぇなぁ。関係ねえよ、ただ殴り飛ばすだけだ」

 

そう言って、白髪のウマ娘が臨戦態勢に入ろうとした時……。

 

「おいおいおい、ゲーセンから急に消えたと思ったら何してるんだお前?」

 

白髪のウマ娘のお友達?のような二人が来た。

 

「ん?たまたま絡まれてるの見つけたから今日のストレス発散として絡んでるヤツ殴り飛ばしてる」

 

「あー、お前シリウスに散々フライトゲームで負けてたもんな……」

 

シリウス?もしかしてあのシリウスシンボリ??

 

「……それは当然だろ、て言うか私にフライトとか挑むのがバカだろ」

 

「うっせ、小型飛行機の免許持ってるとか知らねえよ!て言うかそういう情報は先に出せよ……フェアプレーどこ行ったよ!」

 

どうやらこの白髪のウマ娘とシリウスシンボリは勝負をしていたらしい……。

 

「んで、私にスロットで大負けして、メダルだけ突き付けて出ていったと思えば絡まれてる人助けてる、って訳ね。

善行積んでも行い次第では悪行が勝つって知ってるか?」

 

「説明ご苦労、後それブーメラン刺さってね?ナカヤマ」

 

ナカヤマ、もしかしてこの娘がナカヤマフェスタなの?

 

「……ってコイツらよく見たら私の下に居たドロップアウト組じゃないか。これはケジメつけそびれた私の責任でもあるな。

しょうがない、気は進まないがこの喧嘩、参加しよう」

 

理由は分かるけど気は進まないって言うわりには臨戦態勢になってません?

 

「よし、じゃあこうしよう。シリウス、セツナ。1番倒した数がショボいヤツが昼飯奢りだ!」

 

流石ギャンブラーとして名が通ってるナカヤマフェスタ……喧嘩すら賭け事にするなんて。

そして、今ので分かったけどこの白髪のウマ娘がセツナって言うんだ……。

 

「……勝手に決めるんじゃねえよ。ナカヤマ。

だがまあ良い、1番高い飯奢らせてやる」

 

意外と乗り気なんだね、君も……。

でも、これ以上誰も傷ついてほしくないし……。

 

「……あのー、もう喧嘩終わりにしません?

元々の原因は私にあるわけ……「あ”?」

「あ”?」

「あ”?」

 

3人に低く、威圧的な声で睨み付けられる。

いや、その、ごめんなさい……。

 

「……と言うわけで、よーいスタート!!」

 

セツナが一人殴り飛ばす。

 

「あ、おい!!フライングするな!!」

 

多少遅れてナカヤマフェスタとシリウスシンボリも次々と殴り飛ばし出す。

 

……勝敗は数分もかからなかった、彼女たちはあっという間に集団だったウマ娘たちを蹴散らし、残り一人となっていた。

 

「……オレは9人」

 

「私も9人」

 

「……チッ、同じか。私も9人」

 

3人とも倒した数は同じらしい。

 

「……なら、目の前のヤツ倒したら勝ちで良いな?」

 

「あぁ、それで行こう」

 

いや、もう相手戦意喪失してるんですが……あ、逃げた。

 

「……なんだよ、興醒めだな。

んじゃ、引き分けってことでトレセン戻るか」

 

「……そうだな、私は腹が減ったから後でカフェテリア行こう」

 

「おい、シリウス。この女ほっといて良いのか?」

 

「……今はめんどくせえ。

それより、アンタ。ここはこういうヤツらの溜まり場だから気を付けな。今回は私の監督不行き届きだったから参加したけど、基本助けなんて来ないからな。んじゃ」

 

そして去っていくナカヤマフェスタとシリウスシンボリ。

残るセツナと呼ばれたウマ娘と私。

 

「……しゃーねーな。アンタ見たところトレーナーだろ?

トレセンまで行くぞ」

 

「……ありがとう」

 

「あン?」

 

「……その、助けてくれて」

 

「むしゃくしゃしてただけだ。とりあえずシリウスも言ってたがこんなところには来るもんじゃねえ。気を付けな」

 

こうして、私はセツナの案内でトレセンまで無事に到着できたのであった。

……ただ、夕方になってしまったけど。

 

第1話 終

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