退学になりかけてたウマ娘のトレーナーをやることになった話 作:刹那 結城
さて、家に帰るか……。
「おい、トレーナー。お前、バイクには乗れるか?」
「え、乗れるけど?一応免許持ってるし」
「……そうか、なら問題ないな」
まさか私が運転するのか?だとしたらバイクはどこから、何て考えているとトレセンの駐車場についた。
まさか、盗んだバイクで走り出す的な!?
「……何考えてるか知らねえけど、乗れよ」
「え?セツナ君、バイク乗れるかって聞いてきたからてっきり私が運転するのかと……」
「……なんでそうなる、だから免許がどうのこうの言ってたのな、さっき。
後これはオレの愛車だから、ま、難しいことは考えずに乗れよ」
……セツナ君の後ろに乗る。まだ春になったばかりだ、駐車場に咲いてる桜も綺麗だなぁ。
「……ボーッとするなよ、落ちるても知らねえぞ」
私はセツナ君の腰の辺りに手を回す。
一応免許持ってるけど、後ろに乗るのははじめてだ。
「準備は出来たか?んじゃ、行く……「先輩、どうもです、後ろの人は彼女ッスか?」
走り出そうとしたその時、目の前にウマ娘が現れた。
「トレーナーだ、今日付けでオレ専属になった」
「……ふーん」
そのウマ娘は私をじっと見つめ、何故か私の胸を見つめている。え?何?なんなの??
そして自分の胸を見て、少し落ち込んでいるようだ。
「……ま、負けた」
「そりゃお前、中等部じゃまだ成長途中だろ……成人女性より小さくて当たり前じゃ……」
ある程度もっともらしいことを言おうとして、セツナ君は一瞬言葉に詰まる。
「……いや、確かにお前の同室のやつとか、この学園のやつとか見てると自信無くすも分からなくはねえわ」
「そうでしょ!?先輩!俺だって牛乳飲んだり色々調べて頑張ってるのに、スカーレットのやつはなんか元々デカイし……」
「ま、まあ、あれだ。その、頑張れ。としか言えねえよ……とりま、オレ達は帰るから、じゃあな、ジン!」
※セツナはウオッカの名前を別の酒や銘柄に置き換えて呼ぶ遊びを今、勝手に始めて、それで楽しんでます。
バイクのエンジンをかけるセツナ、そして走り出す。
「俺の名前はウオッカです~!!いい加減覚えてください!!!!」
遠くからウオッカが叫んでいるがセツナは聞こえてるのか聞こえてないのか、そのまま速度を上げて行く。
ーーー信号待ち。
「……さっきの娘、元気な娘だね」
「ん?ギムレットのこと?」
あれ?また名前変わってる……ような?
「……えーっと、ウオッカちゃん、だっけ?」
「あぁ、サイドカーのことか」
……なんか名前をわざと間違えてるような気がする。て言うか絶対そうだと思う。じゃないとこんなにポンポンお酒の名前を変えつつ出てこないもん。
「それで?ジャック・ダニエルがどうしたって?」
ついに銘柄になった……。せめてそこはウイスキーじゃないのね。
「いや、何か結構懐いてるように見えたからさ」
「なんだ?もしかして焼いてるのか?」
「そんな訳無いでしょ!!可愛い後輩じゃないの?」
「……んー、確かに可愛い後輩ではあるな。
だけど、オレなんかよりもっとマトモなやつをカッコいいと思ってほしいとは思う、心底思う」
「いや、可愛い後輩って言う割には若干そっけないな、と」
「……アイツに構うといくら時間あっても足りねえからな。まあバイク好きだったりボーイッシュだったりとか、センスは悪くねえんだけどな。
後胸は意外とあれくらいが悪くねえと思ってるんだけどなあ、オレ」
「……何か意外だね、てっきりその手のものに興味ないと思ってた」
「……いや、別段興味はないぞ?ただ、質問とかであるだろ、理想のタイプや好みはどんなのですか?みたいなの。ちょうどアイツが全てにおいて良いんだよ、オレから見たら。
成長途中で、若々しくて、若干幼さが残りつつも、自分ってのを形成していくあの時期くらいが見ててキラキラしてて、輝いて見えるからな」
「……妙に年取ってるようなこと言ってるけど、セツナ君高等部だよね?」
「……別にキラキラした青春とか送ってる訳じゃねえからな。
好みと言うより、そういう若々しい面に憧れと言うか、羨ましさがあるんだろうな、オレの中で」
「……私より若い娘が何を言うか」
「……何歳なんだよ?」
「レディに歳聞くのはマナー違反だよ、ってのは置いておいて、24だよ」
「……24か、トレーナーも若いなあ。ま、その若さを大切にな」
「……オッサンかアンタは」
セツナ君の何か若さやエネルギーに溢れてる人には魅力がある理論を聞きながら家にたどり着く。
「さて、今日も帰ってきたし。飯食ってくつろいでくれ。
明日は明日で何が起こるか分からねえからな」
「了解、じゃあご馳走になるね」
「……まあざっくり作るから、テレビでも見て待ってな」
ーーー。
こうして、セツナ君の家で一晩明かすのであった。
第3話 終わり