因子継承!?あの娘とあの娘をレッツ・ラ・まぜまぜ!   作:アマノジャック

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…今はただ、読者に感謝を。


第119話 貴公子とモルモットのそれぞれの道

年が明けて、場所はアグネス家の本家…ソウジとアグネスタキオンの正装した姿がそこにあった。

 

「ーー以上のことから彼と共にこれからもレースに関わっていくつもりだ。よろしく頼むよ…ソウジ。」

「あぁ、これからもよろしくタキオン。」

 

パチパチパチパチ

 

レースから引退したアグネスタキオンは今後の方針をアグネス家の関係者へと語り…ソウジと握手する。会場からは惜しみ無い拍手が送られた。

 

ーーー

 

「引退後もトレセン学園に残る、か……それほどまで大切な場所になったのだなタキオン。」

「私たちも気持ちは同じですわ…チヒロ様。」キュッ

「……貴女が居る所が…私たちにとって大切な場所です。」キュッ

「尻尾を巻き付けてくるな…まだパーティー中だ。レディ、お前も言ってやれ。」

「だからこそいいじゃないの。ラモーヌちゃん、ルビーちゃん。もっと大胆に…」ハァハァ

「「はい。」」

 

グルッ、グルッ…

 

「…もう、好きにしろ。」

「そうしますわ……ん!」

「んんん!?」

「…狡いですラモーヌさん。次は私が…」

「いいわ…いいわいいわっ!!!」ハァハァ

「…ふぅ。ルビー、どうぞ。」

「チヒロ様。私にも…蕩けてください…んっ。」

「んんー!!」

 

 

「タキオン、あれは何か言わなくていいのか?」

「他人のふりをしたまえ。」

「いや、どうみてもアグネスじゃないのがいるよね。しかも公然な所であれは…アウトじゃない?」

「猥褻に当たるのは晒していないから…無視で問題ない。」

「その代わりに当主が醜態を晒してるというか…」

「いいから他人のふりだ!」

「…分かったよ。」

 

メジロラモーヌ、ダイイチルビー、アグネスレディに囲まれ好き放題にされているチヒロを…アグネスタキオンたちは無視する。そして周りを見渡していると、ドレス姿のアグネスフライトがこちらへと歩み寄ってきた。

 

「ソウジさん!ソウジさん!こういうのに参加するのは初めてですか?緊張してませんか?」

「まぁ、レースと違った緊張があるな…」

「安心してください。今日来ている人たちは主にばあちゃんの会社と取引してる企業なので…トレーナーのソウジさんに話しかけてくる人は少ないと思いますよ。」

「その割にはお前の周りにたくさんの人が来てる気が…」

「それはそうですよ~。昔から私の成長を見てきた人たちですので……それじゃ、また挨拶してきます!」

 

アグネスフライトは再び人混みへと姿を消した。

 

「…すごいな、あのコミュ力。」

「荒れてた時におじいちゃんが何度もこういう場に連れてきたからねえ。………ソウジはお姉ちゃんの本質を知ってるかい?」

「本質?荒れた口調になったのは見たことあるけど…」

「例えるなら飛べるのにわざわざ車輪だけで凸凹道を走る飛行機…ってところだ。非効率で嫌悪なことに自ら首を突っ込む女だよ。」

「…意味が分からん。」

「簡潔を言おう…お姉ちゃんは私のことが大嫌いだ。だから、私に構いたがる。」

「は!?いや、そんな訳…」

「またレースも嫌いだ。だからトレーナーになった。」

「いや、そうはならんやろ!」

「そして何より…自分が嫌いだ。だから…誰かの幸せを優先する。」

「…嘘だろ?じゃあ、俺のことも本当は…」

「いや、君への愛だけは本物だよ。少なくとも私はお姉ちゃんが君に歪んだ表情を向けたのを見たことがない。」

「歪んだ表情か…」

 

言われてみればソウジにも覚えはある。アグネスタキオンが天皇賞(秋)と宝塚記念でゴールした直後、始めて研究室に来た時、アグネスタキオンが自身の身体で『アナザー』の実験を行ったのを知った時…確かにアグネスフライトは声をかける前にアグネスタキオンに一瞬歪んだ顔を向けていた。しかし、ソウジに対しては安田記念前に学園で会った時、暴走してスタンガンを当てられた時、合宿場で噛みつかれた時…全てアグネスフライトの素の顔だった。

 

「…」

「愛の力というのは未知数だ…さて、お姉ちゃんは完全に君の虜になった。これからどうするつもりかな。」

「俺としてはありだ。程よく肉が付いたいい足…、それに身体の相性も良かったし…、姉妹共々一生愛するよ。」

「…ハーレムの主にでもなったつもりかい。全く…問題はお姉ちゃんだけじゃないというのに。」

「カフェに関しては…うん。許してもらったとはいえ…何か誠意を見せないといけないよな…うん。…とりあえず、ジャコウネコの消化酵素でも培養して…」

「君はカフェをどうしたい?」

「綺麗で細い足…、身体の感度の良さ…、それにコーヒーを入れてくれる度に見せてくれる優しい笑顔……正直、嫁にしたい!」

「私の前でよく言えるよ…」

「いや!これは!その…んんん!途中でサンデーサイレンスになってたことに気付かなくてビックリしたな。」

「誤魔化せてないよ…結局、彼女も君の魔の手に堕ちたじゃないか。」

「魔の手じゃねぇよ。前尻尾だよ。」

「…ラマルクという学者が発表した進化論の中には面白い実験があったことを思い出したよ。確かネズミの尻尾を切る…」

 

ソウジの顔が青くなる。

 

「前尻尾じゃありません!XXXです!ほら、俺ってモルモットだから尻尾なんて無いし…だから、その実験だけはマジで止めて…ください!耳…は前にしたから…鼻や舌なら切ってもいいからさ…!!…やっぱり舌もダメだ!お前とベロチュゥ出来なくなる!XXXやXXXXXも…」

「ククク…君は本当に私を笑わせてくれるよ。そういえば二枚舌にする薬が完成してね…ワオキツネザルを参考にしているから上手く出来ていれば文字通りに舌が二枚に増える筈だよ。だからそれで出来たサブ舌を切るとして…何時飲むかねモルモット君?」

「結局切るつもり!?飲まないよ!」

「もし飲んでくれれば…XXXとXXXXXが同時に出来るのだが…何なら今夜私でしてみるかい?」

「うっ…!でも切られるんだよな……えーと、あ!そういえば、サンデーサイレンスがもう退院だった。トレーナー寮まで送ることになってるのだけど…正直、あの日の件で顔を見るのが怖いんだよな…」

「櫛で尻尾を解かせば機嫌は直るさ。」

「だといいが…」

「それで君は何時…」

 

「あっ!いたのだ。」

 

「シンコウウインディ?」

「君も参加していたのかい?」

 

これ以上は不味いと悟ったソウジが慌てて話題を変えるもアグネスタキオンが蒸し返す。さらにソウジが次の話題を考えていると目の前にシンコウウインディが表れた。

 

「…タキオン、有マ記念はおめでとうなのだ。」

「ありがとう…しかし、君がいるとは予想外だよ。」

「パパに無理言って付いてきたのだ。…これ、あげるのだ。」

 

アグネスタキオンはシンコウウインディからとある物を受け取った。

 

「花束?」

「お疲れ様なのだ。これからの活躍を…応援するのだ。…学園に残るのは予想外だったけど。」

「…ありがとう。君の気持ちは受け取ったよ。」

「ウインディちゃんの力が必要ならいつでも言って欲しいのだ!特別レースをもっと派手に…」

「早速だが今、1つ頼めるかな?」

「い、今!?何をお願いするつもりなのだ?」

「君の『因子』が欲しいんだ。」

「それくらいなら…お安いご用なのだ!協力するのだ。」ガチャ

 

ピッ、ピッ、ピー

 

シンコウウインディの『因子』を手に入れた。

 

「ありがとう…これでまた研究が進んでいくよ。」

「そう言われると嬉しいのだ…ソウジトレーナー!」

「どうした?」

「この前は練習の邪魔をしてごめんなさい…なのだ。後、ブリザードさんのトウモロコシもありがとう。」

「いいよいいよ。しばらくは食べれなくなるからそこは我慢してね。」

「それじゃ…ウインディちゃんはパパの所に戻るのだ。さらばなのだ。」

 

シンコウウインディはその場を後にした。

 

「…彼女もハーレムに入れる気かい?」

「何でだよ。タキオン、さてはお前…どんどんバカになってきているな?」

「失礼だな!?」

 

その後もアグネスタキオンとソウジは他愛ない会話を続けたのだ。

 

ーーー

 

「以上を持ちまして、アグネス家の新年会を終了いたします。ご参加していただいた皆様に感謝を…今後のアグネス家をよろしくお願いいたします。」

 

パチパチパチパチ

 

アグネスレディの挨拶により新年会が締められる。各自が帰っていく中、ソウジとアグネスタキオンはその場に残っていた。

 

「まだ来ないねぇ…」

「別に慌てる必要は無いけど……来たか!」

 

ソウジは自身の服装を確認し…姿勢を正す。すると、アグネスフライトが1人のウマ娘を連れてきたのだ。

 

「お待たせタキオンちゃん、ソウジさん!」

「ちょっとお時間いただくわよ。」

「いえ、こちらこそ…初めまして。私はタキオンさんの担当させていただいておりま…」

「固い挨拶は無しでいいから。…へぇ、フライトから聞いていた通りいい男ね…」じー

「あ、あの…"アグネスフローラ"さん?」

「お母さん!ソウジは私のだがっ?」

「いいえ!私のよ!」

「お姉ちゃんは違うだろ!」

「あらあら…モテモテね。あと、フローラでいいわ。」

「…はい。」

 

アグネスフライトが連れてきたの自身の母である『アグネスフローラ』だった。姉妹が言い争いをしている隣でアグネスフローラは言葉を続ける。

 

「んー、どっちも独身のまま行くのかなと思っていたけど…孫の顔を見れる日は近そうね。」

「…あの、それ…どういう意味…」

「あの2人をよろしくお願いしますね…ソウジトレーナー。」

「…フローラさん。申し上げにくいのですが…俺…他にも手を出してしまった人がいて…決して誠実な人間では…」

「全部フライトから聞いているわ…もちろん貴方の人柄についても。その上でもう一度言うわ。フライトとタキオンをよろしくお願いします。」

「はい!…必ず幸せにします!」

「ふー、1つ問題が片付いた。いやー、こっちはこっちで大変なことになっててね…お父さんが過去に担当していたメジロラモーヌとルビーちゃんの間に子供作っちゃってさ…」

「ダイイチルビーも!?本当に何してるのチヒロさん!」

「まぁ、お母さんの願いらしいけど…お陰でメジロと華麗なる一族の関係者が毎日大量に家に来て大変なのよ。終いにはシンボリ家の人も来るし…」

「うわぁ…大惨事ですね。」

「お母さんもお母さんでいつの間にか出来てるし。まさか、この年になって下の兄弟が増えるなんて…」

「…」あんぐり

 

アグネスフローラの言葉にただソウジが口が開く。同じく姉妹の言い争いも止まる。

 

「母さん!何それ!?初耳だけど!?」

「ラモーヌ君のことは聞いていたが…ルビー君まで…」

「…何でタキオンちゃんはラモーヌちゃんのことは知っているのよ!?」

「この前の暴露ガスの時にブライト君が教えてくれてだね…」

「…そもそも何でこうなったの?」

「メジロラモーヌは知らないけど…ルビーちゃんの方なら知ってるわ。その…ルビーちゃんの全ての引き継ぎが終わったから…お父さんが何か慰労しようとしたんだって。何がいいかルビーちゃんに聞いたら森林浴がしたいって答えたの。だから、いつものロッジに行ったのだけど…」

「ロッジ?」

「あぁ。トレーナー君は知らなかったね。元々はおじいちゃんが昔、実家から逃げるために買ったそうなのだが…いつしかチームメンバーでのキャンプとかBBQとかの交流イベントに使われるようになったんだ。」

「フラワーちゃんがいる時は本当にすごいテンションだったよね…いつの間にか電気風呂トイレエアコンWi-Fiまで完備していたし…」

「…話を続けるわ。森林浴を楽しんでいた2人だけど…ルビーちゃんが急に"アレ"になったの。」

「"アレ"…ってまさか…」

「…うん"アレ"。だからお父さん慌てて鞄から抑制薬を出そうと探したのだけど…何故か、それが入っていたケースだけ空になっていてね…後はお察しの通り。」

「…」

「ソウジさん。もしも2人に"アレ"が来た時は…フフフ。しっかりお相手してあげてね?」

「もう…」

「母さんったら…」

 

「「ソウジ(さん)はいつでも相手にしてくれるから私たちが"アレ"になることはないとも(わよ)。」」

 

「…そう。さて、いい時間だしそろそろ私たちも解散にしましょうか。」

「では、失礼します。」

「ソウジさん…また学園で!」

「またな、フライト。」

「これからはチームトレーナーとして忙しくなるだろうが…私との時間をしっかりと作りたまえよ。」

「もちろんだ。改めて…これからもよろしくなタキオン!」

「作成した『合成因子』が大量にあるからねえ…これからじっくりと調べていこうじゃないか!」

 

こうしてアグネスタキオンはレースから完全に引退した。

 

 

ーーー

 

後日のトレセン学園…ソウジのトレーナー室にチームメンバー全員が集まってきていた。

 

「今日から本格的にチームとして活動していく…みんな、よろしくな。」

『はい!』

「そしてサブトレーナーとして彼女も今日から本格的に加わる…来てくれ。」

「…」

『!』

 

入ってきたのはボブカットで目付きの悪い青鹿毛のウマ娘だった。

 

「…今さら挨拶がいるのかよ。」

「いるだろ…みてみろよ。」

 

「トレーナー…なのよね?」

「目付き怖い。」

「何か悪寒が…」

「フフフ…強そうな人ですね…」

 

「…」

 

みんなが警戒している中…ディープインパクトだけが無言でサンデーサイレンスを見つめている。

 

「あー、サンデーサイレンスだ。これでもG1を6勝してるエリートだ。」

 

「サンデーサイレンス!?カフェ先輩に取り憑いている…」

「つまり…本体?」

「イメージ通りの姿だった…」

「というかG1を…6勝ですって!?」

「…やっぱり、みんな知らなかったんだ。」

 

「まぁ、よろしく。でソウジ、聞きたいことがあるが…」

「何?」

「ここのチーム名は何だ?」

「チーム名…あ!決めてなかった…よしっ!チーム名を今から考えるぞ!」

 

ズコッ、といった音が部屋に響く。

 

「アンタね…」

「トレーナーらしいけど…」

「タキオンズに1票。」

「まずはみんなの意見を聞いてから…」

「…別に何でもいい。」

 

「タキオンは名前、何がいいと思う?」

 

ソウジはアグネスタキオンへと質問を投げる。アグネスタキオンはパソコンに目を向けたまま返事をする。

 

「…ん?名前かい?『エレメント』とかはどうだい?」カタカタカタッ

 

「いいわね!」

「『因子』から取ったのかな…」

「タキオンズ…」

「だからみんなの意見をですね…」

「…ふわぁ~」

 

「もう一捻り欲しいか…名前というのは非常に大事だからねぇ…」カタカタカタッ

「いや…それに決めた!チーム名は『エレメント』だ!チーム『エレメント』…活動を開始する!」

 

『はい!』

 

「…え?チームの名前だったのかい?」

 

ソウジは専属トレーナーからチームトレーナーとして、アグネスタキオンは出走者から研究者として新たな道を進む。しかし、互いを繋いだ『因子』の研究はこれからも続いていくのだろう。




・おまけ
アグネスフローラ…1987年生まれの鹿毛の牝馬。主なG1勝利は桜花賞。無敗のまま5連勝し、桜花賞を勝利するもオークスではサイシンサニーに敗れ2着となる。その後は屈腱炎により引退…繁殖牝馬となりアグネスタキオンとアグネスフライトを生んだ。また、同期にはメジロマックイーンやダイタクヘリオスなどがおり、ダイイチルビーとはオークスで、イクノディクタスとは桜花賞とオークス両方で対戦したことがある。
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