因子継承!?あの娘とあの娘をレッツ・ラ・まぜまぜ!   作:アマノジャック

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宝塚記念の後編です。

「アンラッキーセブン」、発動!


第34話 最悪のスタート…貴公子よ、軌跡を残せ!

『アグネスタキオン!

アグネスタキオンが大きく出遅れた!』

 

ざわざわざわざわ

 

「タキオンちゃん!?」

「…あんな出遅れ見たことありません。ソウジトレーナー…あなたの指示ですか?」

「…嘘だろ?…何かあったのか…タキオン…」

「あなたの指示でもない…!タキオンさん…何を考えているのですか…」

 

目の前のことが信じられず、唖然となるソウジたち。それでもレースは進んでいく。

 

『アグネスタキオンは最後方からのスタートとなりました。

先頭はマイソールサウンド、バランスオブゲーム、アサカディフィート、内からタップダンスシチーが続く。』

『縦長な展開ですね…中段の集団からアグネスデジタル、シンボリクリスエス、ヒシミラクル。

第1コーナーに入ります。

後ろの集団にネオユニヴァース、ツルマルボーイ、ファストタテヤマ…最後方にアグネスタキオン。

このままのペースで行くようで…あ、アグネスタキオンがファストタテヤマをかわしてツルマルボーイの後ろに来ました。』

 

「アグネスタキオン、もっとペースを上げろー!ツルマルボーイよりは前に出ろー!」

「シンボリクリスエス!いけるぞ!落ち着いていけー!」

「アグネスデジタル頑張れ!」

 

『さぁ、もうすぐ第3コーナー!

先頭はマイソールサウンド!

ここでシンボリクリスエスが上がってきたか?

私の夢のヒシミラクルがネオユニヴァースと共にアグネスデジタルをかわした!』

『イーグルカフェ、ツルマルボーイ、アグネスタキオンと後方のウマ娘たちも仕掛けてきました!』

 

『第4コーナーカーブ!

前と後ろが入れ替わりました!

先頭変わってタップダンスシチー!

内からシンボリクリスエス!

マイソールサウンドとバランスオブゲームは後退でしょうか。』

『外からダンツフレームとヒシミラクルが追い込んで来ます!

さらにその外からもネオユニヴァースとツルマルボーイも…なっ!

アグネスタキオンだ!

大外からアグネスタキオンも来ています!

追い込み勢が内にいるウマ娘たちを次々とかわしていく!』

『先頭は変わってヒシミラクル!

ツルマルボーイがさらにペースを上げてきた…それらをまとめてアグネスタキオンが捉えにかかる!』

『ーーアグネスだ!

アグネスタキオンがまとめて撫で切り…1着ゴールイン!』

 

ワアァァーー!!

 

『1番人気アグネスタキオン、ファンの期待に答えました!』

『出遅れがありながらも何という末脚!

上り3ハロンは…はい?

33.9!?

阪神2200では聞いたことのないタイムです!』

『…ツルマルボーイ以上の上りタイム…アグネスタキオン、これは実は彼女の作戦だったのでしょうか?

まだまだ底が見えません!』

『ちょっと待ってください!

彼女が走った跡が…ここからでも確認できます!

これはまさか!

アグネスフライトが『ジャパンC』で残した…』

 

ーーー

 

場所は代わって走り終えたレース場。肩で息をするアグネスタキオンにヒシミラクルが近づく。

 

「はぁ…はぁ…はぁ…」

「…アグネスタキオン、我輩の完敗である。このような奇策を持っていたとは…予想外である。先行を得意とするそなたが追い込みだなんて…」

「…作戦じゃないんだ。」

「え?」

「…純粋に出遅れてしまったんだ。何でそうなったかはもう分からない。どうすればいいか…頭が真っ白になってしまった…」

「…嘘であれ、真実であれ、運命はタキオン殿を選んだ。しかし、そなたの本気の最速が間近で感じられて…我輩はもっと強くなりたいと思ったのである!また、戦ってくれるであるか?」

「もちろんだ…あ!」

「どうしたである?」

「蹄鉄が…壊れてしまったようだねえ。ウイニングライブ用の靴はあるから問題はないが…」

「…え?こんな壊れた方するのであるか?」

 

そこには右側が少し凹んで外れた蹄鉄があった。

 

ーーー

 

場所は変わって観客席、強張った顔でレースを見ていたジャングルポケットの緊張が解ける。

 

「勝ったか…はぁ、良かった~」

「ジャンポケ先輩!?確かにすごい末脚だったけど…」

「…タキオンの出遅れ、多分私のせい。」

「はい?」

「緊張してるって言ったからそれでモヤモヤさせたっぽい。余計なことしたな、って思った。」

「…それ、ジャンポケ先輩関係なくね?」

「ジョーダン、君もデビューすれば分かるよ。小石1つでもレースの展開は大きく変わるからね…『本格化』までに万全な状態にしておかないと。特に君は爪が…」

「分かってるし!もうすぐ夏休みだし夏合宿で…」

「期末試験…赤点は回避出来そうか?」

「…今回も助けてください。」

 

ーーー

 

同時刻…同じく観客席にてソウジたちはアグネスタキオンの末脚に驚いていた。

 

「タキオンさん…勝ちましたね…」

「…あぁ。…トレーナーとしてこんなこと言うのはどうかと思うが、勝つのは絶望的だと思ってた。」

「私も…同意見でした…」

「タキオン…」

「フライト?」

「いえ、何でもありません。…少し席を外しますね。」

「あ、あぁ…」

「…フライトさん、どうしたのでしょうか?」

「タキオンが勝ったのにあまり嬉しくないような…」

「…フライトさんの顔…真っ青でしたね。」

「そうなのか?体調でも崩したのかな?それも心配だがタキオンの足…後で検査しないとな。」

 

その後、無事にウイニングライブは行われた。

 

ーーー

 

「クソッ!何であんな状態から勝てんだよ!しかも!よりにもよって!よりにもよって…私の走りで!!クソが…!?うぷっ!」

 

ーーー

 

ウイニングライブ後、ソウジはアグネスタキオンへと合流し、すぐにタクシーでダイワスカーレットが待つ病院へと向かう。マンハッタンカフェはアグネスフライトを探すとのことだ。

 

「…」

「最初に言っておくが…あの出遅れは完全に私のミスだ。情けないことにね…」

「緊張していたのか?」

「ジャンポケ君にも言われたが…分からない、が結論だ。」

「出遅れに関してはもういい。あのツルマルボーイを…1人だけを狙った追い込みは…フライトを真似たのか?」

「そうだ。出遅れた私が取るべき走りは…無理やり前に行くか、後ろから行くか…私は後者を選択した。」

「…」

「問題は誰に付くかだったよ。シンボリクリスエス君か、デジタル君か…ただ2人とも今回は前の方だったからね…よってネオユニヴァース君かツルマルボーイ君の2択になった。」

「ヒシミラクルは考えてなかったのか?」

「選択肢に無かった訳じゃないが…もし後ろに付いていたら負けていたよ。あの追い込みは私も想定外だ。…私が選んだのはツルマルボーイ君だ。」

「…」

「『アルタイス』の影響もあるだろうが…彼女と上りの最速を競おうと思った。正直な話、私も勝つのは難しいと思ったんだ。なら、記憶に残る走りとしようと…」

「それでまた怪我して、これ以降走れなくなったらどうするつもりだ!無理だけはするなって言っただろうが!…まだまだ走るつもりなんだろ?帝王賞のゴールドアリュールをみたばかりだろ…G1レースと言えど故障すれば元も子もな…!」

「…」

「怒鳴って悪い…まずはお前の足の状態を確認しよう。」

「あぁ…」

 

その後病院に着き、ダイワスカーレットに支えられながら精密検査を受けたものアグネスタキオンの身体に異常は見つからなかった。その結果を聞きソウジは大泣きし、アグネスタキオンはそんなソウジを抱きしめた。




おまけ

・上がりタイムの参考記録
2015年宝塚記念…デニムアンドルビー : 34.0秒

おそらく宝塚記念における最速の上がりタイム
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