因子継承!?あの娘とあの娘をレッツ・ラ・まぜまぜ! 作:アマノジャック
場所は中山レース場、今日はG1レース『スプリンターズS』が行われる予定である。
「…」
「タキオン…いい加減に機嫌を治してくれよ…」
「…放っておきましょう。」
そこには無表情で場内のモニターを眺めるアグネスタキオンとそれを宥めるジャングルポケットと我関せずのマンハッタンカフェがいた。
『さぁ、阪神メインレースの『シリウスS』が始まります!』
ーーー
時は1週間ほど前、ソウジは発光した状態で薬の調合をしつつ、アグネスタキオンに声をかけた。
「タキオン、来週の日曜だが…ちょっとレースを見てくるわ。」
「あぁ、了解した。その日は実験データの整理でもするとも。」
「お弁当は多めに作っておくから…1人で大丈夫?」
「何をそんなに心配するのかな?暫くは派手な実験の予定はないし、お姉ちゃん来なても平気だったし…たまには1人になるのも悪くはない。君も好きなように過ごすといい。」
「あぁ。」
そう言いつつも…アグネスタキオンの耳と尻尾は寂しそうに垂れていた。
………
そして、日曜日。ソウジもマンハッタンカフェもいない研究室でアグネスタキオンは1人、パソコンのキーボードを打ち続けていた。
「『以上が『合成因子八十号コクテツ』の記録である。』、と。これで溜まっていた分は終わりだね。今は…12時か。随分と早く終わったね。とりあえずお弁当でも…」カタカタ
そこには既に空となったお弁当箱があった。
「トレーナー君、ご飯…って今日はいないのだったね。はぁ…」
ため息をつきながらミキサーを取り出していると誰かが研究室へと入ってきた。
「タキオン、レース見に行かない?」
松葉杖を持ったジャングルポケットだった。
ーーー
「『ウォーエン、どうして逃げるの?』」ダッ
「『メダグ…君が怖いからに決まってんだろ!というかレースが近いはずだろ?こんな所に来ていいの?』」ダッ
「『そんなことはいいの…その娘は誰?栗毛ならまだ許してあげようと思ったけど…詳しく教えてくれない?』」
「『知らないよ、何か懐かれたんだよ!離れろ、ネオユニヴァース!』」
「ユーニヴァース☆ワタシは英語分かんない~☆」ダキッ
ーーー
アグネスタキオンたちは中山レース場に着くと早速知り合いに出会う。
「あら?タキオンじゃない。あんたがここに来るなんて珍しいわね。」
「こんにちはタキオンさんにジャンポケさん。」
「ごきげんようですわ!」
スイープトウショウ、ニシノフラワー、カワカミプリンセスだ。
「珍しい組み合わせだね…誰かの応援かい?」
「そうよ。うちのデュランダルが出走するの!だから…私たちで勝てるように魔法をかけたの♪」
「魔法?」
「見れば分かりますわよ!」
「見れば分かる魔法?」
「あはは…」
「あ!そろそろメインレースのパドックが始まるわ!早く行くわよ!カワカミ、ジャンポケさんを運んで!」
「承知しましたわ!」ダキッ
「いやっ、自分である程度は…!」
「フラワーもタキオンも置いていくわよ!」
そう言いスイープトウショウとカワカミプリンセスはジャングルポケットを背負いパドックへと向かう。それをアグネスタキオンとニシノフラワーが追いかけた。
ーーー
しかし、パドックにはまだ誰もいなかった。
「…まだ早かったみたいだね。」
「これでいいのよ。だってデュランダルが一番近くで見れるから!」
「私もそれはありがたいな。」
「そういえばジャンポケ君。君は誰を見に来たんだい?」
「来たら教えるよ。とりあえずモニターはあるし、阪神の方でも見ておくかい?」
「…あなたたちも…来ていたのですね。」
「カフェ!?君も来ていたのか!」
「…彼女が…見たいとのことです。…ってことだ、よろしくなタキオン!」
「急にカフェのキャラが変わった!?」
「…暴れたりしたらお姉ちゃん呼ぶからね?えーと…あったあった。ジャンポケ君、これでカフェの姿を見てくれたまえ。」
アグネスタキオンはジャングルポケットに『デサイレンスコープ』を渡す。ジャングルポケットが覗き込むとマンハッタンカフェともう1人誰かが重なった姿がみえた。
「ん…何これ!?背後霊?幽波紋?」
「カフェが『お友だち』と呼んでいたただの生霊だよ。トレセン学園でトレーナーをする予定だったが事故にあって今は入院中さ。名前はサンデーサイレンス…」
「待て待て待て!情報量が多い多い!え?トレーナーで生霊?てか、サンデーサイレンスってアメリカの年度代表ウマ娘になった大ベテランだよね?何で日本にいるの?何でカフェに取り憑いてるの?」
「おいおい…一気に聞くなって。それよりモニター見てみろよ。」
サンデーサイレンスに指を指され見てみると、そこには阪神レース場のカメラにタイキブリザードに抱きつかれたソウジが映っていた。
ーーー
「へー、私を1人置いてレースに行った思えば…まさか、ブリザード君と不倫をするためとはねえ。」ゴゴゴ
「…そもそもの話…タキオンさんとソウジトレーナー…結婚はしていないでしょ。」
「カフェ、これ以上タキオンを刺激しないでくれ。」
不機嫌なオーラを出すアグネスタキオン。そんなことを無視してスイープトウショウが背後からチョップを食らわす。
「コラっ!そんな顔してここにいるじゃないわよ!他の観客に迷惑でしょ!それに出走するウマ娘に悪影響が出ちゃうかもしれないじゃない!」
「…尤もだ、すまなかった。ところでだが…君はもし自分のトレーナーが他のウマ娘とイチャついていたらどうする?」
「…使い魔が?そんなの決まってるじゃない!後でとことん問い詰めるわ!それで誰がご主人様かみっちりとその体に教え込むのよ!」
「フフフ…いい答えだ。」
スイープトウショウの答えに満足したアグネスタキオン。気づけば周りは他の観客で一杯になっていた。そして…出走ウマ娘たちの姿も見えてきた。
「…あ!来たわよ!」
「確か見れば分かる魔法と言っていたね。どこ…が!?」
「…」クルッ
ザワザワザワザワ
パドックに現れたデュランダルが背中を向けた瞬間に観客が騒ぎだす。
「おい、デュランダルの大剣ってあんなファンシーだっけ?」
「何だよアレ…ん?俺もしかしたらどこかで見たことある気が…」
「てか、勝負服とミスマッチ過ぎるだろ!」
「スイープ君、もしかしてあれが…」
「ふふーん!凄いでしょ?見たことないでしょ?」
「いや、すごい見覚えのある剣なのだが?フラワー君からはちゃんと許可は貰ってる?」
「え?何でフラワーのって知ってるの?まぁ、いいわ!アレは…えーと…カワカミ!詳しい説明をお願い!」
「はい、あれは今シリーズの『WIN☆ポンッ☆プリファイ』に出てくる『風林火山合成剣
「何で女児向けアニメの武器が漢字ばかりの名前なのか、とかメリケンサックが出ていいのか、とか色々と突っ込みたいところだが…いいのかいフラワー君?」
「チヒロトレーナーから頂いた物ですが…デュランダルさんが強くなったのも事実です。で、あれば彼女が使うべきだと思います。きっとチヒロトレーナーも喜んでくれるかと。」
「あー…うん。おじいちゃんなら別に問題ないか。」
話が終わり、パドックへと顔を向けたアグネスタキオンにジャングルポケットが声をかける。
「話は終わったかタキオン。」
「すまないね、で君は誰を応援しに来たのかな?」
「彼女だよ。」
ジャングルポケットが目線を向けたのは青と白の勝負服のウマ娘。
「『レディブロンド』さん…デビューはかなり遅れたけど、私たちと同期だよ。」
「何故彼女を応援するのだい?」
「さっきも言った通り、彼女のデビューはかなり遅くてね。今年の6月だ。」
「…ん?ちょっと待ってくれ。たった3ヶ月でG1に出走かい?しかもジュニアやクラシックじゃない…シニアのG1レースに?」
「5回レースに出て…全勝している。何なら先週に出たレースも中山1200m…同じ条件だ。」
「…!ウララ君に並ぶハイローテじゃないか!確認だが彼女は中央のウマ娘だよね?」
「あぁ。そして、ラストランだ。」
「なるほど…『本格化』の終わりか。」
「今回の成績次第ではドリームに進めれるかもしれない。実は私がケガする前は彼女とよくライブの練習をしていたんだ。ダンスとかよく教えてもらっていたよ。だから…そんな彼女のトゥインクルでの姿をどうしても生で見たかったんだ。」
「…パドックが終わったようだ。後はレースでその勇姿を見ようじゃないか。」
「あぁ。」
ーーー
「頑張ってねディブロ姉!ほら、『プイ』も!」
「…頑張れ。」ボソッ
「声が小さいよ…」
「大丈夫、きっと届いているから。そろそろ行こうか…『クタ』姉さん。」
レディブロンド…アグネスタキオンと同期の鹿毛の牝馬。デビューが5歳というとても遅い時期ではあったものの条件戦を5連勝。そして…連闘でスプリンターズSに出走するもデュランダルに敗れ、ケガもあり引退、繁殖牝馬となる。しかし、アグネスタキオンとの間に出来た牝馬ガールオンファイアを産んだ後に死亡。産駒は5頭のみとなった。代表産駒は帝王賞など重賞を4勝したゴルトブリッツ、後に日本ダービーと天皇賞(秋)を制覇したレイロデオ…を産んだラドラーダ。
ーーー
▼登場人物にレディブロンドが追記されました。