因子継承!?あの娘とあの娘をレッツ・ラ・まぜまぜ! 作:アマノジャック
パドックが終わり、ダートコースへと移動した各ウマ娘たちは自身のゲートへと収まっていく。
『さぁ、阪神レース場。
今日のメインレースはG3の『シリウスステークス』!
交流競走でもある、このレースには金沢からタクミシルバー、高知からハルウララの2名が参戦しています!
全員のゲートインが完了…スタート!
ミスイロンデルがいいスタートですが…ハナを取ったのはタガノラフレシア!
そのままダートコースへと入っていく!』
出遅れのなかったハルウララであったが、10番手とかなり後方からのスタートとなった。
「ウララちゃん、頑張れ!」
「セレクト!今回も期待してるぞ!」
「スターリングローズ、連覇!連覇!」
『向こう正面に入って先頭はタガノラフレシア。
2番にニチドウマジック、そしてマイネルセレクト、スターリングローズ、エイシンラグランジが固まって、内からツルマルファイターとインタータイヨウと人気ウマ娘が前の方へと集まっています。
注目のハルウララは…後方4番手の外から前の様子を伺っているか。
このまま第3コーナーへと向かいます。』
ハルウララはその順位を保持したまま最終コーナーまで進んでいった。
『さぁ、第4コーナーカーブ!
ここでタガノラフレシアは後退、ニチドウマジックとエイシンラグランジが前へと出るが…外からマイネルセレクト!
マイネルセレクトが仕掛けてきた!
スターリングローズも続いているが伸びないか。
大外ハルウララ!
ハルウララも仕掛けてきた!
マイネルセレクトとハルウララ、2人の争いか!』
「「はあぁぁぁ!!」」
『マイネルセレクト逃げる、ハルウララが追う!
しかし、ハルウララ凄い伸びだ!
2人の差はほとんど無くなってきた!
マイネルセレクトか、ハルウララか、マイネルセレクトか、ハルウララか…2人並んでゴールイン!
3番争いはツルマルファイターかインタータイヨウ!
これは写真判定か!』
ワアァーーーッ!!
………
「ハルウララ凄い伸びだったなコハル!…コハル?」
「…」ガタガタ
コハルは身体を震えながら爪を噛んでいた。
「コハル?」
「どうしたね?」
「ウララ…どうして…」
「コハル!?」
「ー!?すみません、すぐにウララの所に行ってきます!」ダッ
「おい!」
コハルは観客席を後にした。
「…」
一方でダイイチルビーはマイネルセレクトへと目線を向けていた。
「ルビー!あなたはどっちが勝ったと思うね?」
「そうですね…率直にも申し上げますとハルウララさんかと。」
「オゥ…ワンダフル!私はどっちが先か分からなかったね。」
「それは私も同じですよ。」
「ん?なら普通ここはセレクトと言わないの?」
「普通…かは存じませんが、彼女の今回の走りは『華麗なる一族』としてはまだまだです。」
「つまり、今回勝っていても負けていてももっと強く成長した姿が見たいってこと?フフフ…ルビーは手厳しいね。」
「…では私は次の予定がありますので。ソウジトレーナー、これを。」
「ん?これって…『因子』回収用の腕輪か?何で君がこれを?」
「タキオンさんのレポートから必要なデータは全て把握しております。まずは私の『因子』を提供します。」
「え?」
「この件に『華麗なる一族』は関係ありません。しかし、私個人はタキオンさんの研究にご協力したく思います。何かあれば5日前までに連絡を…それでは。」
ダイイチルビーは言い終わるとその場を去った。
ーーー
数分後…ついに掲示板に順位が灯る。ハナ差でハルウララの番号が1番上となっていた。
『写真判定の結果…1着はハルウララ!
ハルウララです!!
ついに中央での重賞制覇を果たしました!!』
ワアァーーーッ!!!
阪神レース場から大きな歓声と拍手が響き渡る。笑顔でウイニングランをしようとしたハルウララだが、ダートコースへと全力疾走で乱入してきたコハルに背負われ、そのままコースを1周する前代未聞のウイニングランとなった。しかし、そんな姿にも観客たちは大きな拍手を送った。
………
コハルはハルウララを背負い、そのままの足で控室へと入る。
「とれーなー?どうしたの?」
「ウララ、すぐに横になって。」
「え…うん。」
コハルは横になったハルウララの足を揉む。
「…」
「あはは…ちょっとくすぐったいよ。」もみもみ
「静かに!」
「??」もみもみ
しばらく揉んだ後、コハルは一息ついた。
「ふぅー…ウイニングライブは大丈夫そうね。」
「どうしたのとれーなー?」
「…ウララ、どうして言われたタイムよりも速く走ったの?」
「あ…!その…途中から分かんなくなっちゃって…」
「ケガしたらどうするの!これからのレースに出れなくなるよ!」
「…ごめんなさい。でも…ちゅーおーのじゅーしょーだったから…どうしてもとれーなーに勝つところみてほしくて…」
「ー!!ウララ…私こそごめんなさい。ウララの身体のことばかり考えて…ウララの気持ちまで考えてなくて…うぅ。」
「とれーなー?どこか痛いの?」
「いや、結局は私のわがままか。私なんかが貴女の担当トレーナーになったから…折角の…ウララの勝ったレースを…」
「とれーなー?」
「ウララ…ウイニングライブに行ってきて…」
「ダメだよ!泣いてるとれーなーを置いてなんていけないよ!」
「…」
「とれーなー…ウララのこと嫌いになった?」
「それだけは絶対にない!でもウララにケガをして欲しくは…」
「大丈夫。ウララは…大丈夫だから。」
「ーー!」なでなで
「涙は止まったね。じゃあ、ライブに行ってくる!」
「…ウララ。」
その後のウイニングライブは無事に終わった。
ーーー
レースが終わり、ソウジはタイキブリザードのトラックへと乗っていた。荷物は既に積まれており、後は帰るだけの状況となっている。そして、2人は今日のレースについて話していた。
「今回のスターリングローズはちょっと不調だったか…堅実を重視する彼女が掲示板を外すとは珍しい。」
「きっと寝不足ね。目の下にクマがあったね。」
「作戦を綿密に立てる娘だからあり得るな。ハルウララや『華麗なる一族』のあの娘のことをずっと考えていたのだろうか?」
「めいびー、違うね。」
「ん?と言うと?」
「彼女…ハルウララと走れる喜びで寝れなかったね。」
「あー…納得出来るな。パドックの時もチラチラと見てたし…」
「それで勝った後が…凄かったね。」
「コハルな…よくハルウララの側まで行けたな。アイツの現役時よりも速いんじゃないか?」
「ホワッツ?彼女もトゥインクルで走っていたの?」
「そうだよ。…残念ながら1回走った後にケガで引退だったがな。コーナー不利を受けながらも上がり最速で3着…これからが期待出来たウマ娘だった。」
「…」
「…あ、俺のサブトレーナー時代の話な。とは言え…あんなにも拍手が出たものだからURAの職員もその場では怒るに怒れなかったみたいだな。後でかなり言われてると思うが。」
「今も続いてると思うね!…それはそうとソウジ!」
急にタイキブリザードの声色が真剣な物へと変わる。
「どうした?」
「…昨日のホテルのことは覚えてる?」
「全部覚えてるぞ。」
「ー!!」ダラッ
タイキブリザードから汗が流れ始める。
「お前が俺の○に酒瓶突っ込んで、その後に着てたやつをXXXして、お前からうまぴ…」
「やめるね!!」ダラダラ
タイキブリザードの汗が滝へと変わる。少しして近くのサービスエリア見えたため、トラックを止め2人同時に降りた。そして…
「ご、ごめんなさいね!!」
タイキブリザードは盛大な土下座をした。
ーーー
休憩を挟みつつトレセン学園へと帰る2人。タイキブラザードの目はアグネスタキオンとなり、そんなタイキブリザードをソウジはニヤニヤと見ている。
「いやー、俺としてはいいよ。お前はもう成人だし、長い付き合いでもあるからな。だが…1番はタキオンだ。ブリザード、お前はそんな俺でいいのか?」
「…私の1番はソウジだから勿論いいね。でも、それでソウジの仕事が無くなると考えると…」
「別に俺は構わんが?」
「ホワイ?」
「トレーナーになる前から株で大当たりを引いててな…1人や2人増えたところで一生養えるくらいの貯蓄は既にある。最悪は俺の内臓売れば何とでもなる。それにタキオンに改造されたからか心臓と脳以外なら1月くらいで再生するし。」
「バ、バイオレンスなアイデアね…」
「外野に何言われようが知ったこっちゃねえ。…ブリザード、また俺と契約してくれ…レースじゃなくて人生の方の、な。」
「ー!!じゃあ、早速またホテルで…」
「コラコラ!学園用の荷物あるだろ?仕事はちゃんとしろ。」
「オゥ…」
「…タキオンのレースが終わるまでは待ってくれ。こればかりは譲らない。でも、それが終わったら…おわっ!」
「ソウジ!?」
「やぁやぁ…今帰ったのかな?」
当然に背後よりアグネスタキオンが現れ、尻尾をソウジの足へと巻き付ける。
「タキオン、今何時だと…」
「…トレーナー君からいつもと違う匂いがするねえ。これはどういうことかなブリザード君?」
「それは…その…」
「さて急遽行う実験が出来たよ…トレーナー君、来てくれるね?」
「いや、明日から仕事が…」
「来てくれるね?」
「…はい。ブリザード、運転ありがとうな。今度何かお礼するから…!」
「さっさと行くよトレ…モルモット君?」グイッ
「自分で行くから引っ張るなって!」
「…ソウジ。…仕事しないと。」
タイキブリザードはトラックの中の荷物を1人で運んだ。翌日、ゲッソリとした顔のソウジが目撃された。