因子継承!?あの娘とあの娘をレッツ・ラ・まぜまぜ! 作:アマノジャック
場所はアグネスワールドが開拓した練習場。ブリーダーズカップが開かれるアメリカへの出発も目前となり、出走者たちがトレーニングをしていた。
「ケイオスミラクル、もっと早く仕掛けろ。サンタアニタの直線は結構短いぞ。」
「はぁ…はぁ…はい!」
「アグネスワールド、コーナーでのカーブが膨らみ過ぎ。最後の直線が短いんだ…長所ばっかを伸ばすのはいいが…今回はそっちの方を強く意識しろ。」
「ぐぅ。分かった。」
「タイキシャトルとヒシアケボノも手伝ってくれてありがとな。」
「ノープロブレム!私も故郷のコースを走れて嬉しいデース!」
「あたしもワールドちゃんと走れて楽しいよ~!よしよし~!」
「ボノ姉。止めて。照れる。」なでなで
アグネスタキオンを含めた数人が出走するアメリカのレース『ブリーダーズカップ』…そのレースまでソウジはアグネスタキオンに加え、アグネスワールドとケイオスミラクルの指導をすることとなった。その指導をみてマンハッタンカフェに憑依したサンデーサイレンスが意見する。
『…お前のコースへの認識、あってるのか?てか、お前の担当…走ったことあったか?』
「ブリザードはBCクラシックの前に一度サンタアニタで走っている。…結果は3着だった。」
「…悪いけど私とバトラー、ウォーエンは走ったことないからコースについては何も言えないわ。」
「いや、私はダートを走ってないだけでターフはあるからね。」
「で、何かアドバイス出来る?」
「出来ないけど…」
ペイザバトラーの口が止まる。それをみたサンデーサイレンスがドヤ顔で口を開く。
『俺はG1含めて3回あるぜ。」
「へぇ…で?どうすれば勝てるの?」
『前をキープしてりゃ勝てる。』
「…ただのあんたの脚質じゃない。」
「大丈夫、最初からその答えは知ってたから。」
『ゴア…どういう意味だ?』
「…私も。ない。アメリカは。ケンタッキーだけ。」
「ほらほら、次!タキオン行くぞ!ブリザード、ウォーエンブレム、エルコンドルパサー、併走相手を頼む。」
「いつでも行けるとも。」
「あぁ!よろしく頼むますよ!」
「大丈夫ね。」
「はいデース!」
「ユーニヴァース☆」
「『ちょっ、お前…何でここにいるの!?』」
「菊花賞まで時間が無いからね☆ユーニヴァースなことをしないと★」ダキッ
「『だから、私に抱きつくな!』」
いつの間にかネオユニヴァースも加わっていた。こうして、出走ウマ娘たちの日本での最後の調整は進んでいった。
ーーー
「キャット…お前、本当に10年以上走ってなかったのか?」
「…チヒロ、いい加減にキャットと呼ぶのはやめろ。指導してりゃ走ることも多かったからだ。で、お前は私の走りをどう見る?」
「まぁ、いい勝負にはなるだろうな…」
「…やっぱり、勝てないか。」
「まぁ、帰国するくらいの気持ちでいいだろ。…キャット…正直言うわ。相手が悪過ぎる。ワールドはともかく…ミラクルには申し訳ないことをしたと思っている。」
「キャットをやめろって言ってるだろ。…ったく、チヒロってトレーナーやめた癖に結構干渉してくるよな。」
「…うるせぇ。自覚はしてるし、レディにもよく言われとる。だけどな…はぁ…」
ーーー
「よし、タキオンはここまでだ!アグネスワールドとケイオスミラクルは最後に…俺と模擬レースだ。」
「?意味。分からない。」
「ソウジトレーナー、あなたと…模擬レースですか?」
「あぁ。本番のつもりでかかってこい。」
ソウジはそういうと『合成因子』を取り出し…
ゴクン
飲み込んだ。そして、体が鹿毛(ピンク)の『ウマ人』へと姿が変わり、靴から蹄鉄へと履き替える。その光景に驚いたウマ娘たちを無視してソウジはゲートへと向かう。
「サンデーサイレンス、映像やタイムの記録を頼むわ。タイトルは…『合成因子第八十二号ダイヤマイトについて』で。」
『へいへ~い。』
そして、3人での模擬レースが始まった。
………
「…速い!」
「これは…ルビーと走ってる感覚が…」
「ケイエスミラクル!模擬とは言えレースだ!無駄口を叩くな!」
「失礼しました。」
レース展開はアグネスワールドを先頭に『ダイヤマイト』、ケイエスミラクルがほぼ固まって続く。そして、コーナーへと入る!
「ーーくっ!」グラッ
「そこだっ!」
ダンッ
アグネスワールドがコーナーでやや膨らみ、それにより空いた内に『ダイヤマイト』が突っ込む。最後の直線、先頭は『ダイヤマイト』、それに3バ身ほど離れアグネスワールドとケイエスミラクルが続く。
「…ここから決める!」
ダンッ
ケイエスミラクルが仕掛けた。そして、アグネスワールドをかわして『ダイヤマイト』へと迫る。しかし…結果は『ダイヤマイト』の勝利で終わった。
「…よし、ここまでだ。後でデータを送るから…改善点を自分でも考えてみてくれ。アメリカで最終調整を行う。」
「…はい。」
「ありがとうございました。」
「…出来るだけ今回の俺の走りを覚えていてくれ。よし、学園に帰るぞ!」
こうして、合同練習は終わったが…ソウジは足を骨折し、杖は必要ないもののギプスで固定することとなった。
ーーー
アグネスタキオンとソウジは研究室内で『合成因子』についてまとめているとチヒロと1人のウマ娘が入ってきた。
「…よう。」
「チヒロさん?」
「…おじいちゃん?何の用だい?」
「…ソウジがケガしたと聞いた。お前…なんでタキオンのみに集中しなかった?」
「それが俺たちトレーナーの仕事ですよ。担当で無くても、経験から指導できることを行ったまでです。」
「…模擬レースの映像を見せてくれ。」
「その前に彼女は誰だい?」
「あー、そうだったな。キャット、挨拶しろ。」
「『アジュディケーティング』だ。普段は地方でトレーナーをしているが…今回のBCスプリントにアグネスワールドとケイエスミラクルと出走する予定だ。」
「…さっきキャットって呼ばれてなかったか?」
「私はアメリカのトゥインクルを走っていた。それで最後のレース、チヒロが私の指導をすることになってな…その縁もあってか引退後は日本でトレーナーになった。」
「それとキャットがどんな関係で?」
「当時のチヒロは英語が分からなかったようでスペルで見せた"Adjudicating"の"cat"の部分しか読めなかったかららしい。」
「おじいちゃん…」
「挨拶は済んだろ。映像を見せてくれ。」
「分かりましたよ。」
先ほどの模擬レースの映像をチヒロへと見せた。
………
「で、どうでしたか?」
「…日本のウマ娘が勝てる未来が見えない。」
「そう、ですか…」
「いっそ、お前を出せたら向こうも大満足だったろうな。」
「成長は期待出来ませんか?」
「『本格化』がとうに終わっとるだろ。…とりあえず、善戦出来るだけまだ良い。そのデータを俺にも送ってくれ…キャット、帰るぞ。」
「これだけでいいのかチヒロ。」
「元々はお前の顔合わせが目的だ。またな、ソウジ、タキオン。」
「えぇ、また空港で。」
「メジロ家のプライベートジェット…実に興味深い。」
「…俺だけ別ので行ったらダメだろうか?」
「よろしいのではないでしょうか…メジロ家や華麗なる一族の目を掻い潜ることが出来るのなら。」
「だよな……はぁ。」
チヒロはため息をついた。
アジュディケーティング…90世代のアメリカの黒鹿毛の牡馬。2歳にG1レースであるカウディンSとシャンペンSを勝ち、3歳のBCスプリント4着を最後に日本で種牡馬となった。大井、川崎など地方でのダートレースで活躍馬が多かったことから『南関東のサンデーサイレンス』と呼ばれた。主な産駒は東京大賞典(2回)、川崎記念、かしわ記念、帝王賞、とG1を5勝したアジュディミツオー。
ーーー
▼登場人物にアジュディケーティングが追記されました。