因子継承!?あの娘とあの娘をレッツ・ラ・まぜまぜ! 作:アマノジャック
今日の宝塚記念…応援するのは『ディープボンド』!!『マーベラスサンデー』、『メイショウドトウ』、など宝塚記念でG1を初勝利した例も珍しくない…ゆえにここは勝って欲しい!
後は現時点で世界最強の『イクイノックス』、好走をし続けている『ダノンザキッド』を応援します!
…全員の完走を祈ります。
勝ったのは『イクイノックス』…最初蓋されていたのに…強すぎる。ディープボンドは5着…喉痛い。
11月に入った週末…東京レース場にてG1レースの『天皇賞(秋)』が行われていた。
『さぁ最終コーナー入って、現在の先頭はローエングリン。
このまま逃げきれるか?
ここでシンボリクリスエスが追い込んできた!
シンボリクリスエス、すごい伸びだ!
一気に先頭に立った!
大外、ツルマルボーイも伸びるが…これは届かない!
シンボリクリスエス、圧勝!
シンボリクリスエス、ついにG1に手が届いたっ!!』
パチパチパチパチ
………
「クリスエスおめでとう!!」
「おめでとうございます。」
「…ありがとう。」
ウイニングライブ後、シンボリクリスエスは控え室にてゼンノロブロイたちと共に勝利を喜んでいた。
「どうしたボリクリ?不満そうだなァ?」
「…あぁ。」
「どうして?レコードタイムでの勝利だよ?」
「…今回の私の勝利はアグネスタキオンがいなかったからだ。彼女に勝たなければ…私が満足することはないだろう。」
「クリスエスさん………やはり、あなたの目に私は映っていないのですね…」
「…はい!じゃあ、明日からまた練習です。…クリスエス、その前にテレビのインタビュー来てるから…行ってきて。」
「了解した。ノリカ、また後で。」
シンボリクリスエスは控え室を後にした。
「では、私たちも…」
「ロブロイちゃん、ちょっといい?」
「え?何でしょうか?」
「まぁ、大したことじゃないんだけど…」
控え室に残ったノリカとゼンノロブロイを背にエアシャカールとファインモーションもその場を後にした。
「…」
「シャカール?…ロブロイなら心配しなくても大丈夫だよ。」
「…別にしてねェよ。」
「そうかな?フフフ…今からフライトとギムレットを呼んでラーメンでも行く?」
「行かねェ…てか、てめぇもレースが近ェだろうが!炭水化物は控えろ!」
「…うん。分かってるけど…その…ね。次のね、私のレース…その…」
「…不安があるならてめぇのトレーナーに言えよ。」
「…」
「…チッ。話くらいは聞いてやるから早くしろ!」
「ー!ありがとうシャカール!」
その後、2人でラーメンを食べた。
………
『ーー次の質問ですが、シンボリクリスエスさんが課題としている部分はどこでしょうか?』
『末脚…今回以上に速くキレのある走りにしたいと思っている。』
『今回以上…ですか?それはかなり期待したいですね…それで次走はやはり『ジャパンC』になるのでしょうか?』
『…『ジャパンC』には出走しない。』
『…え?』
『アグネスタキオン…彼女に勝つことが今の私の最大の目標。世界最強となった彼女に対抗するため、この11月は末脚を…私の武器を徹底的に磨く。そして…ラストランとして『有マ記念』で全てを出しきる予定だ。』
『ラストラン!?』
『…私の走りに期待して欲しい…以上だ。』
ーーー
シンボリクリスエスの『天皇賞(秋)レコード勝利』、インタビューでの『ジャパンC回避』、『有マ記念ラストラン』という衝撃的な出来事があった翌日…大井レース場にて『JBC競争』が行われいた。
そして『元・未勝利の星』ハルウララ…彼女は今日、メインレースの1つである『JBCスプリント』に出走する。そんな彼女は現在…控え室にて横になり、大きく身体を伸ばしていた。
「んんーー!!」グイッ
「ウララ、準備はいい?」
「うんっ!久しぶりのレースだから楽しみでしょうがないよ!」
「いや、まだ1ヶ月くらいしか…ってウララにしたら長かったか。体調は大丈夫?」
「たいちょーはだいじょーぶ!でも…初めてのG1レースだから…ちょっときんちょーはあるかも…あ!とれーなー!今日のタイムは…」
「ないわ。」
「…え?」
「もう必要ないわ。だから…ウララにとって一番の走りをして!大丈夫…私が知るウララなら…大丈夫だから!」
コハルはハルウララの頭を軽く撫でる。するとハルウララは笑顔になって立ち上がった。
「ーーうんっ!行ってくる!」
「って、待ちなさいウララ!左目に巻く赤いの着けてないじゃない!変更したんだから忘れたらダメでしょ!」
「…あ。」
「締まらないわね…ウララらしいけど。ほら、座って。」
「えへへ…」
コハルに赤い布を巻いてもらい、ハルウララはパドックへと向かった。
………
地下バ道にて、スターリングローズはバインダーに挟んだ資料とにらめっこしていた。
「今回のレースはウララちゃんはおそらく後ろから来るはず。一番警戒するのは東京盃を勝ったハタノアドニスとして、サウスヴィグラスと共に前に来たならプランGとQを頭に入れつつコーナーを越えたらマイネルセレクトより早く前に出てウララちゃんから逃げ…」ぶつぶつ
「ローズちゃん!」
「ウ、ウララちゃん!?」
「何々?考えごと?」
「今日のレースに向けて色々と作戦を練ってきたからね…とりあえず5つまでには搾れたわ。今回も掲示板は確保する予定だよ。」
「へー、すごいね!私はただ楽しく走るだけだから…でも、勝てたらすっごく気持ちいいよね!」
「…気持ちいい?」
「うん!勝つために全力で走る!…私ね、最初に勝てるまで勝てなくても楽しいからいいや、って思ってたの。でもね、実際に勝ったらさ、また勝ちたい!勝ってやる!って感じになってね、えーと…」
「…勝ちたい、か…よし!」
「ローズちゃん!?」
その瞬間、スターリングローズは資料をバインダーごと真っ二つに折り、ゴミ箱へと捨てた。
「…良かったの?大事なものなのでしょ?」
「勝ちたい、からね。これでいいの…お互いに頑張りましょ。」
「うんっ!」
ハルウララとスターリングローズはパドックへと向かった。
「…うぅ、初のG1…緊張するっす。でも、ルビー様の前でカッコ悪い姿何て…うぅ。…すぅ…はぁ…すうぅぅ…はあぁぁーーんんっ!ゴホゴホッ!ゴホッ!」
ーーー
「ハルウララのパドックが始まったぞ…なぁ、タキオン。現地じゃなくて良かったのか?」
「…私たちにそんな余裕はないだろ?宝塚記念の時とは違うんだ…指導を頼むよトレーナー君。」
「とか言いつつ、お前が今やってるのは『因子』の合成じゃないか…」
「グランプリウマ娘であるグラス君の『因子』が手に入ったんだ…ククク、気になってトレーニングどころじゃないよ。」
「…。(フライトからタニノギムレット、シンボリクリスエス、ゼンノロブロイの『因子』を貰ったことは黙っておこう。)」
「ふむ…誰かと重なっている成分は無さそうだ。」
「…あれ?今、テレビで一瞬チヒロトレーナーが映らなかったか?」
「おじいちゃんがかい?君の見間違いだろ?」
「そう…かな?」
ーーー
一方、大井レース場でチヒロはダイイチルビーとアジュディケーティングと共にパドックをみていた。
「ハタノアドニス、キャットが担当しているウマ娘か…きっちりと仕上げてるじゃないか。前哨戦の『東京盃』も勝ってるし…期待出来るな。」
「『かしわ記念』でスターリングローズに敗れたりはしたが…その後は重賞を3連勝。調子は最高だよ。」
「マイネルセレクト…彼女のこともお忘れなく。練習データを見る限り、彼女も優勝候補の1人です。」
「あぁ、身体が前より少し絞ったか…いい感じだ。」
「彼女も『華麗なる一族』だったよね?身内贔屓とは紅玉様も甘くなったね。」
「…私は事実を発言したまでです。」
「おいキャット!ルビー嬢を煽るな!」
「別にそんなつもりはないけど…チヒロ、お前は誰が勝つとみる?」
「俺か?俺はだな…」
ーーー
パドックが終わり、各ウマ娘たちが次々とゲートへと収まっていった。
『最後に名古屋のユウキュウがゲートに収まり…スタートしました!
サウスヴィグラス、いいスタートだ!
それに続くナイキアディライトにハタノアドニス!
続いて内にフェスティバル、外にマイネルセレクト、その後ろに昨年の覇者スターリングローズ!
間を狙うシルバーサーベル、その外からハルウララ、大外からはエスプリシーズ!
ここまでが先行集団!』
ハルウララは見事なスタートをきり中団の外へと付いていた。
『後方集団はノボトゥルーとツルマルザムライを前に、ナイキアフリートと外からノボジャック!
後方の3人はエムエフファルコン、ケンチャム、ユウキュウ!
前は3コーナーへと入り、ナイキアディライトとサウスヴィグラスが先頭を取り合っている!
外からハルウララが一気に3番手まで上がってきた!』
「よしっ!ここだ!」
ダンッ
『4コーナー曲がり、最後の直線でハルウララが先頭へと立った!
ナイキアディライトは後退か!
先頭を追うサウスヴィグラスとマイネルセレクト!
さらに内からハタノアドニス、外からスターリングローズが追い込んできた!
先頭、ハルウララ!
ここで末脚を伸ばしてきたか、外のマイネルセレクト!
ハルウララとの差が無くなってきた!
ハルウララ先頭だが苦しいか!
ハルウララとマイネルセレクト、2人並んでゴールイン!
3着争いはスターリングローズかサウスヴィグラスか!
最後にマイネルセレクトがハルウララを捉えたかどうか…!』
ワアァァァーーッ!!
ゴール直後、観客席が一気に盛り上がる。
「ウララちゃんかな?ウララちゃんだよね?」
「分からなかったわ…結果が出るまで待ちましょう。」
「マイネルセレクトが差しきった…よな?」
「あぁ、俺はそう思うけど…」
「やっぱりスターリングローズは安定してるよな。」
「…でも…いつもと違う走りじゃなかったか?」
「確かに何時もより悔しそうだな…G1だからじゃね?」
「…ダイイチルビー、身内贔屓などと言って悪かったよ。彼女の実力は本物だ。」
「…いえ。ハタノアドニスさんもまだまだこれからかと。」
「そっか…うん!また1から鍛えていくよ!」
周りが騒がしくなる中でチヒロが小さく呟いた。
「…やはりハルウララ、か。コハル、お前は本当によくやったよ。」
ーーー
『判定が出ました!
1着はハルウララ!!
高知から初のG1ウマ娘爆誕!!』
ザワザワザワザワ
数分後、写真判定での結果が発表された。画面にはほぼ並んだ状態のハルウララとマイネルセレクトの写真が写っており…ハルウララの鼻が先にゴール線へとついていた。
「や、や…やったーー!!」
「おめでとうウララちゃん!」ダキッ
ハルウララが笑顔で大きくジャンプする。それと同時にスターリングローズがハルウララへと抱きついた。その結果…
「…ぐえっ!」ドサッ
「ローズちゃん!?ごめん!」
2人のバランスが崩れ、そのままスターリングローズがハルウララの下敷きとなった。
「あぁ…ウララちゃんの柔らかい感触が……じゃなかった!ねえ、ウララちゃん…今、嬉しい?」
「うんっ!とっても!これで私もG1ウマ娘!ローズちゃんと並んだよ!」
「G1…そっか。このレース…去年は私が勝ったレースだったね…よし、決めた!私…ドリームに行くよ!」
「ドリーム?」
「…ウララちゃんのお陰で決心が出来た!私も…大舞台で勝ちに行く!」
「私の…お陰?」
「ウララちゃんが何時来るか分からないけど…先に待ってるから!それじゃ!ウイニングラン行ってきて!」
「待ってる?え…?あ、うん!走ってくるね!また後のライブで!」
その後、ハルウララをセンターにしたウイニングライブが行われた…歴代最高の盛り上がりだったという。
現在のハルウララの成績
総合:98戦14勝(14-5-4-75)
今期:19戦14勝(14-1-0-4)
主な勝利:建依別賞、シリウスS、JBCスプリント
ーーー
「…またあの娘に負けたっす。あと10mあれば…でも負けは負けっす。でもこれじゃあ…ルビー様に合わせる顔が…」
「顔を上げなさい。」
「ー!?」
「華麗であれ。至上であれ。常に最たる輝きを。」
「ル、ルビー様…何故ここに…いや!私のことをご存知で…」
「貴女は何故、下を向いているのですか?」
「え?それは…その…前回負けた相手に…今回も負けたから…っす。」
「…」
「私…最近まで自分が『華麗なる一族』のウマ娘だって知らなかったっす。母が黙っていたのもあるっすけど…デビューした後に言われてビックリしたっす。…正直怖くて逃げたくなったっす。不様に負けてルビー様たちの顔に泥を塗らないか、その不安がずっと私に纏わりついてるっす。」
「…貴女は走ることが嫌いですか?」
「う、うぅ……そんなことは…ないっす。トレーナーに止められて長期間走れなかったこともあったっすけど…走ることは大好きっす。」
「…なら背筋を伸ばしなさい。」
「ー!?」
「華麗であれ。至上であれ。常に最たる輝きを…結果は何であれ私は貴女のこれからに期待します。」
「ル、ルビー様…?」
「…ではご機嫌よう。最後に…私に様付けは結構です。」
ーーー
その後、『JBCクラシック』が行われた。
『最終コーナー曲がって、先頭はカネツフルーヴ!
しかし、アドマイヤドン!
アドマイヤドンが捉えた!
アドマイヤドンが先頭に変わり、外からはスターキングマン!
しかし、アドマイヤドンだ!
アドマイヤドンがドンドン伸びる!
そのまま差を広げ…ゴールイン!』
アドマイヤドン、圧勝。
「『有マ記念』に出るまで…私は負けない!」
力強く宣言するアドマイヤドンに大きな拍手が送られる。こうして『JBC競争』は幕を閉じた。
ハタノアドニス(Hatano Adonis)…アグネスタキオンより2つ上の世代の鹿毛の牡馬。アジュディケーティング産駒。(現在で)2歳から走っては休養、走っては休養を繰り返し、4歳になり3勝(その間に7戦しており全て3着以内)。その後も掲示板内を外さず…900万以下の条件レースを3連勝。その中には後にJBCスプリント(2003)を勝ったサウスヴィグラスもいた。しかし、その後は勝てなくなり6歳で地方へと移籍。掲示板をキープしつつ7歳で東京盃を勝利。その後は地方のレースで掲示板に乗りつつ現役を続けるも8歳のアフター5スター賞の勝利を最後に勝利は取れず10歳で引退…その後は不明。主な成績は東京盃1着(2003)、JBCスプリント2着(2005)、地方重賞1着×5回。