因子継承!?あの娘とあの娘をレッツ・ラ・まぜまぜ! 作:アマノジャック
トレセン学園から少し離れた練習場、そこでアグネスタキオンの特別レースが行われていた。
「やぁやぁ諸君、ここまでご足労だったね。G1シーズン中だからか流石に学園の練習場は使えなかったよ…すまないねえ。…さて、今日のゲストは『ハーピーバレット』君だよ。」
やや目付きの鋭い『ウマ人』がアグネスタキオンの隣に立った。少し周りが騒がしくなる。
ザワザワザワ
「ちょっとワイルドな感じね…」
「誰の『因子』を組み合わせたのかな?」
「さて、距離は2200mの右周り…天気もバ場状態も良好だ。ちなみに今回の出走メンバーは他にも3人は決まっていてね…来てくれたまえ。」
「「「…」」」
マンハッタンカフェ、セイウンスカイ、メジロブライトの3人だが…全員の様子が違う。マンハッタンカフェは荒っぽい歩みで刺々しさを纏っており、セイウンスカイは毛色が芦毛ではなく鹿毛へと変色していた。メジロブライトも見た目こそはあまり変化はないものの…いつものホワホワとした雰囲気が感じられない。
「さて…今回は出走する4人にここにいるウマ娘の中から指名してもらうとしよう。もちろん、指名されたからといって無理に参加する必要はない。その場合は出走者が減るだけのことだ…では、スカイ君。君は誰を指名するかね?」
「そうですね~、じゃあキングで!」
セイウンスカイはキングヘイローを指名する。
「勿論いいわよ。参加するわ!」
「よっ!流石キング!」
「ふふん♪キングと一緒に走る権利をあげるわ!」
5人目にキングヘイローの参加が決まる。
「ではブライト君…君は誰を指名する?」
「ドーベル、参加してくれますか~?」
「え?アタシ!?ライアンじゃなくていいの?」
「はい~、私の中のナニカがドーベルに対抗心を燃やしているようでして~………どうですか?」
「ブライトの中のナニカ?んー、とりあえず分かった。参加する。」
6人目、メジロドーベル。
「ではデサイ…んん!カフェ、君の番だよ。」
「あん?マックちゃんに決まってんだろ!」
ザワザワザワ
「マック…ちゃん?メジロマックイーンさんのこと?」
「仲良かったの?」
「確かにステイヤー同士ではあるけどさ…」
「というかアレ…カフェ先輩だよね?」
マンハッタンカフェの発言に周りは混乱する。
「あら?私をご指名で?」
「そうだ……!!……はい。アナタと…走りたいです……。」
「カフェさん?もしかして、何かに取り憑かれています?」
「…はい…正解です。ですが、アナタと…走れれば…満足するそうです。」
「まさか肯定されるとは…コホン!霊であれ、何であれ、メジロの名において…お受けしますわ!」
「ありがとうございます………不機嫌そうですので……そろそろ代わります……!!ったく、初めましてメジロマックイーン。俺の名は……後でいいや。とりあえず、ボコボコにしてやるよ。」
「やれるものならやってみなさい。」
7人目、メジロマックイーン。
「さぁ『ハーピーバレット』君。ラストメンバーを指名してくれ。」
「…タニノギムレット。頼めるか?」
「いや!ギム先輩はまだ調子が…」
「…理由は過去のワタシか?どちらにせよ、今の俺はオマエがみたい
「ケガは治ったんだろ?近くで魅せて欲しいな…お前の走りを。」
「………。ハッハッハッ!!!俺らしくなかったな!!!美酒を求める者がいる!!なら、なら…酩酊させるこそ俺の美学!感謝する…不調という不純物が今、消え去った!」
「ギム先輩かっけぇ!!」
ラスト、タニノギムレット。
「(特別レースに興奮して柵壊しそうだからとは言えないな…)」
「ここがトレセン学園外の練習場だからかい?心配せずとも君なら一瞬で直せるだろ?」
「…タキオン、俺の心読まないでくれる?」
この8人でのレースとなった。
ーーー
「ピスピース!実況担当のゴルシちゃんだぞ!…マックイーンは今回参加する側かよ…羨ましいぞ!」
「指名されたんだからしゃーない、しゃーない。代わりにアタシが解説するから元気出しなって。」
「グラス……じゃない!誰だお前は!?」
「おいっす~、ナイスネイチャでーす~。まぁマックイーンに頼まれた感じかな。ちなみにグラスならフライトさんとデート中らしいよ。絶対墜とす、と張り切っているとかいないとか。」
「1t超えのブクブク野郎め…」
「いや、こっちでは普通にスレンダーな女の子だからね?」
「…ちょっと待て。お前、最近あっち側にいったよな?なんでこっち側の話がまだ分かるんだよ?」
「いや~、まだ49日過ぎてないからギリギリこっち側なのですよ~。とりあえずメンバー紹介しちゃう?」
「そうするか…1番、メジロドーベル!」
「同条件のエリザベス女王杯を勝ってるし…いかに位置取りを上手く出来るか、かな?」
「2番、タニノギムレット!」
「最近足が完治したんだっけ?とはいえ柵は壊して無いらしいから…調子は悪そうに見える。」
「3番、『エターナルクラウド』!」
「…ん?髪色違うけどセイウンスカイじゃないの?」
「あぁ、セイウンスカイの『アナザー』だ。えーと…セイウンスカイとアストンマーチャンの組み合わせみたいだな!」
「デビュー前の娘を掛け合わせるとかチャレンジャーなことをしますな~。前の方で走りそう。」
「4番、『ハーピーバレット』!」
「んー、誰との組み合わせなのかが全然分からんわ。」
「目付きの鋭さにバレットという名前…シンボリクリスエスか?えーと…おっ!?グラスワンダーとヒシアマゾンみたいだぞ!」
「わぁ…予想外だ。2人とも中団の前後で走れるから…これはどういう脚質で来るか注目かな。」
「5番、メジロマックイーン!」
「そういえば宝塚記念も同条件だったね。それ抜きにしても高いスタミナで押し勝ちそう…」
「6番、マンハッタンカフェ?」
「何で疑問系?」
「いや、前に感じた悪寒が…マックイーンが心配だな…」
「アンタが心配するレベルって…まぁ、こんなにも人がいるし大丈夫でしょ。」
「…アイツ、前の方で走るぜ。」
「ん?マンハッタンカフェって後ろからの"差し"が得意だったよね?」
「見れば分かるよ。」
「は、はぁ…?」
「7番、『グアンダッキ』!」
「…え?メジロブライトも『アナザー』なの?」
「おう!メジロブライトとエアグルーヴの組み合わせらしいわ!」
「あー、だからメジロドーベルを指名したのかもね。エアグルーヴが走れない以上、ここで見れるのは貴重かな?」
「そもそもこのレースそのものが貴重だろ。」
「それもそっか。」
「ラスト、キングヘイロー!」
「キングか…やっぱり位置取りの勝負になってくるかな。メンバーみる感じだと後ろからのレースになりそうだし。」
「んじゃ、ゲートに向かってくれ!」
出走する8人がゲートへと向かい…レースが始まった。
ーーー
「スタートだ!先頭には…『エターナルクラウド』!やっぱり逃げて来た!続いてメジロマックイーン、そのすぐ後ろにマンハッタンカフェ!」
「本当に前にいる!?…3バ身くらい間が出来ての中団グループ…メジロドーベル、『グアンダッキ』が並び、少し離れて『ハーピーバレット』とキングヘイロー!最後方にタニノギムレットというやや縦長な展開で第1コーナーカーブ…マンハッタンカフェがメジロマックイーンをかわして2番手に上がった!?」
「向正面に入って先頭は変わらず『エターナルクラウド』。マンハッタンカフェ、メジロマックイーンと続いて外から『グアンダッキ』がメジロドーベルへと並びかける!」
「『ハーピーバレット』もペースを上げて、後続に2バ身程差が開く。それにキングヘイローとタニノギムレットが続いている。」
「第3コーナーカーブ…マンハッタンカフェが上手く曲がり、前の『エターナルクラウド』を捉えにきたぞ!メジロマックイーンも負けじとペースを上げる!そこに『グアンダッキ』が迫ってきた!」
「メジロドーベルはここで後退か…『ハーピーバレット』とキングヘイローがかわし…最終コーナーに入る!」
「おぉ!?マンハッタンカフェが『エターナルクラウド』を捉えて、先頭に立った!しかし、『グアンダッキ』とメジロマックイーンが捉えようと仕掛けてきた!」
「ここでタニノギムレットも仕掛けてきたか外へとまわる。残り200。」
「先頭マンハッタンカフェ、差し返そうと『エターナルクラウド』、さらに後ろからメジロマックイーン、『グアンダッキ』、『ハーピーバレット』が迫ってくる!」
「『ハーピーバレット』凄い伸び!『グアンダッキ』と『エターナルクラウド』をかわし、メジロマックイーンと並んでマンハッタンカフェを追う…残り100!」
「先頭との差が縮まって…ここでメジロマックイーンが先頭!『ハーピーバレット』、これをかわせるか?かわせない!メジロマックイーンが1着でゴールイン!3着にマンハッタンカフェ…4着争いに『グアンダッキ』とタニノギムレット!」
「いやー、後方からのタキノギムレットの伸びも凄かったね。何よりアンタの予想通りマンハッタンカフェが前から行ったのがビックリだわ。」
「…まぁ、ちょっとな。コホン…今回のレースはここまでだ!またな!」
ーーー
レースが終わり、制服へと着替え終わったメジロマックイーンがソウジの元へと向かった。そこには既にアグネスタキオンとマンハッタンカフェもいた。メジロマックイーンに気づいたのかマンハッタンカフェが刺々しいオーラを纏い笑顔を見せた。
「おう!お疲れ様!」
「それで…カフェさんに憑いてるあなたは誰ですの?」
「フフフ…聞いて驚け!俺の名はサンデーサイレンス!G1を6勝、全レース連対率100%のスーパーウマ娘だ!」
「そうですか。」
「あれ?何かあっさりした反応だな?」
「いえ、あなたの名前は10年前から知っていますわよ。アメリカが活躍するもケガで引退。その後日本でトレーナーになり、来日した日に事故に会い死亡。それで未練が残りカフェさんに取り憑いたと。」
「いや死んでねえからな!ちゃんと身体は入院してるからな!後、コイツのサブトレーナーだからな!」
「それで私に馴れ馴れしいの何故ですか?そういうのは既に間に合ってますので。…1人でも厄介だというのに。」
「そりゃ、ずっと見てたからな。」
「もしもし警察ですか?ストーカーが…」
「別にいいけど…カフェが連れていかれるだけだぜ?安心しろ!担当に摂取したカロリー誤魔化したり、練習休んで野球を見にいこうとしたり、夜な夜な担当の名前を言いながらベッドの中でマス…」
「お黙りなさい!あなたは本当に何者ですか?私の半径50km以内に近寄らないでくださいます?」
「…とりあえず、お前のファンだよ。そういう弱味は黙っておくから。」
「今おもいっきり喋っていましたよね?」
「あ…普段が完璧過ぎるから気を緩めた時の行動がレアで頭に残ったんだよ。…お前の担当の秘密も教えようか?」
「
「…本音が漏れてるぜ…くくっ。今日はこんなところでいいや。また今度、紅茶でも飲みながらゆっくりお話しようぜ!じゃあな!」ガクッ
マンハッタンカフェの体制が崩れ、慌ててアグネスタキオンが支えた。
「…終わりましたね……お疲れ様でした。」
「こ、これはやましいことではありませんわ。そう、一心同体!一心同体の為であって…」ぶつぶつ
「聞いていないようだね。…マックイーン君!」パンッ
1人の世界に入ったメジロマックイーンの前で手をたたく。
「…はっ!失礼しました。」
「コホン…とりあえずデサイレン君のことで困ったらお姉ちゃんに言ってくれ。すぐに対処してくれるだろう。」
「…ちょっとした地獄絵図を……覚悟してください。」
「どんな対処方法ですの!?」
「えーと、マンハッタンカフェに取り憑いたサンデーサイレンスを素手で引き剥がしたり…」
「素手!?」
「トレーナー君、流石に素手は盛り過ぎだよ。フクキタル君からもらった特殊な手袋を付けていた筈だろ?」
「俺やブリザードが試した時は引き剥がせなかったから…パチモノってことが分かった。ほぼ素手で間違いじゃない。」
「…嘘だろ?」
「他には自分に憑依させて…」
「あのー、もういいですわ。そろそろ学園に戻りたいので…」
「これを持っておくといい。」
アグネスタキオンはあるものを渡した。
「これは…何ですか?」
「"デサイレンスコープ"。デサイレン君が半径10m以内に入れば通知が来るように設定した。いくつか作ったから1つ君に渡しておこう。」
「…ありがとうございます。」