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『ソード・アート・オンライン』略称『SAO』
今、日本で最も話題になっており世界に注目されているゲームである。
『SAO』は従来のコントローラーやマウスを使用しないゲームの根底を覆すようなゲームだ。
何故なら、世界初の『フルダイブ型VRMMORPG』だからである。
『VR』…『バーチャルリアリティ』の略であり、これは、仮想空間のことである。これを使用するゲームはこれまでもある。しかし、それらは、ゴーグル型の液晶を装着して、視界だけを楽しむ物だった。
そんな中、開発されたのが『フルダイブ』、つまり、意識を仮想空間に転送し、五感を感じて、現実で体を動かすのとまったく同じように『アバター』を動かせる技術である。
そして、この技術の開発者である『茅場晶彦』によって生み出されたゲーム、それこそが、『SAO』なのだ。
そして、俺、上空春希はというと
「おーい、待てよ春希。待てって。」
学校から下校してる時に、そんな声が響くが聞こえないフリをして無視するが。歩いてる俺を追い越し正面から捕まえる。
「はぁー、はぁー。ふぅ〜。ったく無視しやがって、ってそんなことより。お前SAOの抽選販売当たったってマジかよ!」
息が上がり、大きく呼吸し落ち着くと焦った様子で俺の両肩を、ガシッっと掴み、問い詰めてきている彼の名前は吉本蓮。学校のクラスメイトで一応友達。
「ああ、マジだよ。誰に聞いたんだ?」
淡々と言いながら、彼の腕を掴み両肩から手を離させる。
「言っても多分お前知らないと思う。」
「ふーん、噂ってのは早いな。」
そう言いながら歩き始める
「それよりお前運いいよな〜。あの抽選販売どんだけの倍率だと思ってんだよ。俺は当然ハズレたし。」
ちょうど2ヵ月程前に吉本と一緒に抽選販売に申し込んだのだ。それまで、あまりゲームに興味を記さずやってこなかった俺だったが、『SAO』だけは違った。テレビでSAOのPVを見た時だったか、新聞を読んだ時だったか忘れてしまったが、気づけば惹かれ、ゲーム好きの吉本に相談していた。俺が彼に相談することなど、後にも先にもこの一回だけだろう。
「ま、感想くらいは聞かせてやるよ。じゃあな。」
そう言い分かれ道を曲がると
「ちょっ!俺も後で行ってやるからな〜」
という声が後ろから聞こえてくる。
家に帰ると、リビングから人の気配を感じる。俺の母はこの時間はいつも会社にいるので、それ以外となると残る人物は彼女1人になる。
「あら、お帰り、春希。」
黒髪に両端のみ長めのショートカットで、両端に髪留めがついた、小柄な女の子がソファーに座っていた。
「ただいま。帰ってたんだな。詩乃。」
彼女は朝田詩乃、昔ちょっと色々あって今は俺の家に住んでいる。つまり、現在俺は、母、詩乃、俺の3人暮らしとなる。
「図書室には行かなかったのか?」
「うん。今日はね…」
詩乃といつも通りの会話をして、そのあと夕食を取る。
そして夕食後、俺は日課のトレーニングに勤しんでいるわけだが、
「相変わらずすごいパワーね。」
俺が500キロの重りを付けた棒で素振りしていると横で観ている詩乃が呆れ半分といった感じでそう喋りかけてくる。
「まぁ…なっ!」
千回の素振りを終えると、棒を仕舞い、締めのスクワットに入る。
「…ねえ、なんでそこまでするの?」
詩乃が真剣な声で疑問を投げかけてくる。
「……約束なんだ。父さんとの」
「…………そう。」
「……………」
「……………」
「…それより、この前、ケーキ食べに行きたいって言ってたよな。今度行こうか。」
重い空気と沈黙耐えられず無理矢理話題を変える。
「ええ、でも、いいの?」
「ん?何が?」
「春希の奢りになるけど。」
「まぁ、うん。というか俺が断らないってわかって言ってるだろ…」
「ふふっ」
「まぁ、良いさ、今月は少し潤ってるからな。」
「じゃあ、結構高いの頼んでいいわよね?」
「うぐっ」
「…冗談よ、なら今週末はどう?」
「ああ、いいよ」
詩乃は笑いながら提案し、俺もそれを受ける。その後、詩乃はそのまま部屋に戻り、俺もトレーニングを終え、シャワーを浴びて自室に戻り、ベッドに横になり、
「………父さん…俺は……」
意識を落とした。
(三人称)
1ヶ月後…
春希は近くの大手家電屋のゲームコーナーに向かい、抽選で当たった『SAO』と対応ハード機のナーヴギアを購入し、そのまま家に帰って、ナーヴギアの設定を始める。
(キャリブレーション?また妙なもんだな)
春希はナーヴギアを被り、設定を始めたは良いものの、かなり手間取っていた。それは、キャリブレーションで身体中を触ったり、長い接続テストを何度も行っていたからだ。フルダイブというまったく新しい試みなので仕方ないかもしれないが流石にうんざりしてきた時、設定が終了する。
(えーっと、確かダイブする時に言う言葉は…あ!)
「リンクスタート」
その言葉と同時に春希の意識は飛んでいった。