もし良かったら読んで行ってください。
2022年 11月13日修正と加筆
第一話
『迷える人に告げる。その迷いを晴らすことを望むのならば、己の世界を投げ捨て、我らの”世界”に来られたし』
そう書かれた手紙を読んだら何故か空に投げ出された。
「…は?」
思わずそんな声が出た。
体に叩きつけられる風、周囲を見渡すと下は森、遠くには薄ら街のような建物が見える。
何故、どうして、そんな考えが俺の思考を駆け巡る。
「あばばばばばばば」
思わず叫びそうになり口を開くと叩きつけられる風でまともに喋れない。
どんどん落下していく体、俺は叫びながら恐怖で目を瞑った。
「あああああ!! ぶふぉお!!」
感じたのは叩きつけられる衝撃ではなく水に包み込まれる感覚と派手な水しぶき、どうやら池のような所に落ちたのかと思い俺は目を見開いた。
水面に叩きつけられて体が痛いが急な出来事で息が続かないと急いで水面に上がった。
「どうなってんだよマジで… いきなり空から落とされるとか…」
というか俺よく生きてたな、取りあえずこの池から上がろう、うんそうしよう。
水面に上がり、周囲を見渡す。
幸い岸には少し泳いだら着きそうではあるが、岸に人影が見える、それもこちらを見ている。
そりゃああんな派手な水しぶきを上げて空から落ちてきたってなると誰でも様子を見ようとするだろう、俺は丁度良いとその人影の方に向かって泳いだ。
「…あの、大丈夫ですか?」
「この状態を大丈夫だと思うのなら眼科行った方がいいと思いますね」
岸に着いた俺は岸にいた人に話し掛けられていた。
だが、その話しかけてきた人物に問題がある。白装束のような服を着た白髪の美人さん。服が濡れており、肌に張り付いて若干透けている、えっど。
そして一番気になるのはその顔、もっと言えばその頭部。その頭部には普通の人間にはない獣耳のようなものが付いていた、コスプレ?
「あはは、そうですよね」
「ですです、よいしょっと」
取りあえず岸に上がらせてもらう。
「ところでその恰好、コスプレの撮影だったりするんですか?」
「うん?… この、か、っこう…?」
白髪獣耳コスプレ美少女さんは己の体を見ると顔が真っ赤になった。あれれー? 予想と違う反応だぞー? 予想では「そうなんですよー」的なものを期待してたんですけど。うん、ちょっとこれはマズイのではなかろうか…
「きゃああああ!!!」
「あー、ですよねその反応ですよね、ふべらぁ!!」
顔を真っ赤にした白髪美少女さんはおもむろに手を振りかぶり凄い勢いでビンタしてきた、ありがとうございます!!
俺はそのまま湖に再度叩き込まれたと同時に当たり所が悪かったのか意識を手放した。
「あっ、つい、ごめんなさい!!」
私は思わず叩いてしまったことを謝り、池に再度叩きつけてしまった人を見る。
日々の務めである滝に打たれ、身を清めていると結界を張っているのにも関わらず突如として出現した人。思わず気になって様子を見に来たのだが…。
「あ、あのー…」
その人は無反応でただ水に浮かんでいた、顔を下にして。
「…嘘でしょ?」
まずいまずい!! 早く助けないと、と池に飛び込もうとした。
「フブキ!! 大丈夫!?」
名前が呼ばれ振り向くと幼馴染が走ってきていた。
「急に結界内に魔力反応が出現して、そしたら大きな水しぶきが見えたから、急いできたんだけど…、ってその人、溺れてる!?」
幼馴染は池に浮かぶ人を見る。
「いや、えっとこれは…」
叩いた衝撃で池に落としました。なんて言えない。
「何かやったの!? と、取りあえず言い訳は後で聞くから先に助けよう!!」
そう言うと幼馴染は浮かんでいる人を助けるために池に飛び込んだ。
『今日の晩飯なにー?』
母にそう聞く、すると大体こう返ってくる
『何が良いー?』
すると親父がこう返すんだ。
『何でも良いよー』
『それが一番困るって何時も言ってます!!』
すると大体母がキレる。
だから俺は適当に料理名を言うんだ。
「明太子たらこパスタァ!!」
「うわ、ビックリした」
夢の出来事を思い出しながら寝かされてた布団から体を起こし、和風な部屋を見渡し、反応を返してくれた人を見た。
「母さん?」
「うちにこんな大きな子供はいないかなぁ」
「母さん、から揚げ食べたい」
「明太子たらこパスタは?」
「別にそんな好きじゃない、というか明太子かたらこかどっちかにしろよ」
「自分で言ってたのに!?」
「所でアナタは?」
「あ、話を進めるのね…」
こほん、と黒髪のこれまた美少女が言う、この人も件の白髪美少女と同じく獣耳があった、流行ってるのか? 俺も獣耳欲しいな。
「うちの名前は大神ミオ、池で溺れた君を運んだんだよ」
「あ、これはどうも助けてもらってありがとうございます、俺の名前は
「荒川君ね、よろしく。 ところで頬は痛くない? 一応治療はしたんだけど」
大神さんにそう言われて頬に手をやると湿布が貼られてあった。 あ、そう言えば俺ぶっ叩かれたんだと思い出した。
「あはは、ごめんね、あの子もそんなつもりは無かったって言ってたんだけど…」
「いえ、あれは流石に俺が悪いですよ、あんな恰好見ちゃったんだし」
「そう言ってくれると助かるよ、一応、その子も謝りたいって言ってるんだけど入って大丈夫かな?」
「あ、はい大丈夫です」
大神さんは部屋の外に「ふぶきー」と呼びかけると部屋に俺をぶった白髪美少女が襖を開けて入ってきた、良かった、流石にあの服がはだけてほぼ半裸状態の姿ではなくまともな服を着ている。
彼女は部屋に入るとすぐに頭を下げてきた。
「本当にごめんなさい!! いきなり叩いたりしてしまって」
「いえ、こちらもすみません、あんな恰好見られたら誰だってああなりますし」
「…あの、出来れば忘れてくれると」
いや、無理だろ。
「いや、無理だろ」
「ちょっとぉ!?」
「おっと、心の声が漏れた」
「忘れてください!!」
「無理ですよ、あんな、思春期の俺には刺激の強すぎる光景忘れるに忘れられないです」
「そこは嘘でも忘れるぐらい言ってくださいよ!!」
「自分、素直な人間で通してるんで」
「こんなことで通すな!!」
「自分を曲げるのはちょっと…」
「んーっ!! ミオーッ!!」
あら、大神さんに泣きついた。
「はいはい、荒川君もあんまりイジめないであげてね」
「いやー、反応が可愛くてつい…」
「それはそう」
「ミオー!!」
大神さんに抗議の声を上げる、可愛い。
「あ、自分、荒川 虎太郎っていいます」
「…白上フブキです」
白上さんは大神さんの影から自己紹介してきた、この人反応一つ一つ可愛いな、イジメたくなる。獣耳もピクピク動いてて可愛いな…、ん? 動いとる?
「…あのー、失礼だったら申し訳ないんですけど、その耳ってもしかして本物だったりします?」
「うん、そうだけど、別に珍しくないでしょ?」
大神さんは当たり前だというような反応を返した。
え、珍しくないんですか? 地元だと見たこと無いんですけど、てか今更だがここは何処だ?
「こっちからもいいかな、色々と質問したいんだけど」
ほら、フブキ離れてと大神さんは白上さんを離してこっちに向き直った。
「あ、はいどうぞ」
「ありがと、まず、荒川君はどうしてあそこにいたの、正確にはなんで落ちてきたの? 普通ならここら辺一体は結界が貼ってあるから普通は入ってこれないはずなんだけど、どうしてかな?」
優しく聞いてはくれているが、大神さんの表情は真剣だ目が笑っていない、嘘や冗談を挟めるような感じじゃない。
「…正直自分でも何が起こったのか理解してもらえる自信ないんですけど」
「それでも大丈夫だよ」
「えっと、ありがとうございます」
まあ、何が起こったか自体の説明は簡単だ、だがそれで理解してもらえるかどうかだ。
発端は俺が夜中の公園のベンチに黄昏て座っていた時、俺の前ににやけたオッサンが現れたんだ、んで俺に
「もし何か迷っていてそれを解決したいのなら、この世界を捨てる覚悟があるのならこの手紙を開きなさい」
って言い、オッサンは手紙を渡して消えたんだ、それで俺はそのまま手紙を開いた、そしたら何故か
「空に出てたと…」
「はい」
「…その時の手紙って持ってますか?」
白上さんにそう言われて俺は手紙が無いかポケットを探すとそれが出てきた。
「あ、これです」
俺はそのままその手紙を白上さんに渡した、その手紙を白上さんと大神さんは観察すると。
「これ、ちょっと魔力の痕がない?」
「うん、結構大きな魔力の類だと思う、じゃないと痕なんて残らないし」
魔力? 何をまじめにファンタジーなことを話しているんだ、と思ったが二人とも既にファンタジーのような存在だったので気にしないようにしよう。
「しかもこの感じは転移魔法系… 荒川君この周囲、というかさっきの湖とか知ってる場所だったりする?」
「いえ、全く、空中に出されたときにちらっと見えた街並みも全く記憶になかったですね」
「…ミオ、もしかして荒川さんって」
「うん、多分、迷い人だ」
「まよい、びと?」